北の総合診療医 - その先の、地域医療へ(勤医協2)

勤医協中央病院

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2020.03.31 記事

プロフィール
北海道札幌市出身
北海道大学医学部を2013年に卒業。
勤医協中央病院で2年間の初期研修を修了。
2015年から3年間は専攻医として勤医協中央病院、道東勤医協釧路協立病院、勤医協札幌病院に勤務。
2018年4月から勤医協中央病院に勤務。
資格
日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医。

勤医協中央病院の総合診療センターに勤める加藤医師は、医師として7年目。幼いころに描いた医師像に向け、多くの患者さんの診療を行っています。運ばれてくる患者さんの多くは、生活だけでなく、病状すらわからないケースも多い中、さまざまな職種との連携を構築しながら、日々奮闘しています。今回のインタビューでは、目を輝かせながら、日々の充実について話してくれました。

親身に診てくれた医師が理想像
一貫して総合診療を目指してきた

加藤医師にとって総合診療医は、もともと持っていた医師のイメージに重なるといいます。小さい時に地域の診療所を受診し、そこで親身になって診てくれた医師が理想像であり、それを実現すべく医学部を目指しました。

北海道大学の医学部に合格してからも、その思いは変わらず、医学部生の時に、医療法人渓仁会の家庭医療クリニックの実習を通じて家庭医を知り、自分が思い描いた医師になるための選択肢として、勤医協中央病院の初期研修を見学しました。

「自分とは1~2年違うだけなのに、しっかりと患者さんにアセスメントして、自分で判断して治療を進める初期研修医の姿を見て、この病院ならしっかり学べて、実践力も身につけることができると実感しました」。

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地方での総合診療も経験
「場所が変われば、求められることも変わる」

初期研修では、専門研修を開始するにあたり、基礎的な力を身につけられ、やりがいも感じたといいます。また、道東勤医協釧路協立病院での専門研修は、勤医協中央病院よりも医師やスタッフの人数が少なく、常にさまざまな役割を担うことが求められたほか、外来から入院治療だけでなく、退院後の訪問診療、外来まで途切れることなく一人の患者さんを担当し、とても多くのことを学び、充実した日々だったと振り返ります。

2015年から3年間は総合診療医の専攻医として診療を行い、さまざまな患者さんがおり、答えが一つではなく、全てを自分で解決できるわけではない、環境・場所によって総合診療医に求められるものも変わってくることを学ぶことができたといいます。

わからないことだらけでも
患者さんの安定した生活を考えて対応

2018年からは、勤医協中央病院総合診療センターの一員として勤務しています。総合診療の他科との大きな違いは、病気を治すだけではない部分だといいます。家で倒れていたところを近所の人が見つけて通報し、運ばれてくる患者さんが少なくありません。最初に得られる情報は、新聞が何日分もたまっていたことぐらいです。患者さん自身が誰なのか、家族はいるのか、病歴は? 病状がどのように悪化してきたのか、病気が治っても家に帰ることができる状況なのか、分からないことだらけです。そのような状況から、多職種と協力しながら情報を集め、病気を治すだけではなく日常生活に戻る手助けを行うことが大事な仕事の1つといいます。

また、近年は高齢患者さんが増えており、「糖尿病で、心臓や腎臓も悪く、徐々に認知症も進行していて、インスリン使っているけど、協力してくれる家族がいないなど、疾患や生活環境などで多くの問題を抱えた患者さんが増えています」。

病気を完全に治すことはできない中で、どうやったら患者さんにとってなるべく安定した生活を送ってもらえるのか、そういう視点が必要となることがたくさんあるといい、日常の診療の中で、これからはそういった視点をもった総合診療医の必要性を痛感するといいます。

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多職種で患者さんを支える
そのための「環境」づくり

「患者さんが望む暮らしを支える存在になりたい」。
これまでさまざまな診療を通して、病院は生活のごく一部に過ぎず、患者さんの生活全体を支えるためには、多職種連携が重要となります。地方で勤務していた時に、医療と介護の間に壁を感じることがあったそうです。「互いに言いづらい」「声をかけづらい」、これは医療と介護の連携において、大きな課題の一つと言われており、「誰でも気軽に話し合える環境づくりを進めていきたい」。

総合診療医は、診療科という枠にとらわれず、さまざまな病状・疾患を診ます。どうしたら患者さんが安全に自宅で暮らせるのか、さまざまな視点が大事になります。そこで、患者さんを見る視点が違えばいろいろ違うものが見えてきます。生活を見るという点では、コメディカルスタッフの方が優れていることも多いので、カンファレンスなどでは積極的に提案や意見を求めるようにしています。

学生にメッセージ

総合診療医は、急性期から療養、在宅といった医療機能の違い、大都市や地方など状況が違っていても、どこでも活躍できると思います。また、総合診療医に求められるのは、医師として基本となる能力や知識、技術です。将来、医師として何らかの専門分野に進みたいという人でも、まずは総合診療医として学び、働いて基礎を固め、そこから専門分野に進むこともできます。

医師として、一人の患者さんにしっかりと関われる部分にやりがいを求めるなら、ぜひ総合診療医を目指していただきたいと思います。

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