知事定例記者会見
- 日時/令和6年6月18日(火)14:30~14:57
- 場所/記者会見室
- 記者数/21名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 令和6年第2回北海道議会定例会の開会に当たって
記者からの質問
- 貝殻島灯台の消灯について
- 航空機燃料の不足の影響について
- 北海道旧本庁舎(赤れんが庁舎)の入館料等の利用料金について
- 知床地域の携帯電話エリア化について(1)
- 知床地域の携帯電話エリア化について(2)
- 地方自治法改正案について
- 観光振興を目的とした新税について(1)
- 観光振興を目的とした新税について(2)
知事からの話題
令和6年第2回北海道議会定例会の開会に当たって
私から一点お話しさせていただきます。
本日から、第2回定例会が開会いたしました。このたびの議会では、治山災害復旧事業費など、当面措置を要する経費として、総額約14億円の補正予算案を提案いたしました。 また、道民の皆さまに親しまれ、現在改修工事中である赤れんが庁舎の保存、公開、活用等について新たに定める北海道庁旧本庁舎条例案など7件の条例案を提案いたしました。21日金曜日から、一般質問が始まります。こうした予算案、条例案を含めまして、道政上の重要課題に関して、議論を積み重ねていきたいと考えています。
私からは以上です。
記者からの質問
(読売新聞)
昨日の根室市沖の貝殻島の件なのですが、海上保安庁の発表などによると、貝殻島のほうで灯台の光が消えたということがありまして、貝殻島を巡っては去年の洋上慰霊の際とかも国旗が立ったりとか、去年は点灯したりとかという動きがありまして、今、道として把握している周辺の船も含めての影響と、洋上慰霊の日程も昨日発表された中で、こうした動きが出ているということについての受け止めをお願いします。
(知事)
これは、昨日外務省において、貝殻島の灯台が消灯されているということを確認して、ロシア側に対して、航行の安全の観点から灯台の点灯が早急に復旧されるようにということで、外交ルートを通じて申し入れを行ったということであります。
道としては、外務省のほうで安全の観点でしっかりと申し入れを行っていただいたということは必要なことだと思いますし、また洋上慰霊も予定しています。ここへの直接的な影響はないと考えておりますが、安全を確保しながらしっかり洋上慰霊については実施していきたいと考えています。今後とも、外務省のそういった情報等についても共有していければと思っています。
(NHK)
航空機の燃料不足についてご質問させていただきます。昨日の道議会でも質疑が行われたかと思うのですけれども、海外の航空会社が道内の空港への就航を見合わせるという事態が今、表面化してきています。特にこれからの時期は、北海道の観光産業にとっても書き入れ時ですし、私がいろいろと話を聞いていると、冬場にかけても、この影響というのはさらに続く可能性も出ているというような話もあります。国土交通省は今日、今まさにこの時間帯に協議会を設置して、対策について話し合っているかと思うのですけれども、特にこの道内においては、今後、観光産業ですとか、飲食業も含めて地域経済に大きな影響が与えるような恐れもあることが懸念されるかと思います。これについてですね、今、知事としてどう受け止めていらっしゃるか、また、道として今後具体的なその業界の支援なども含めて、国の申し入れなども含めて、どのように対応していくお考えかを聞かせていただければと思います。
(知事)
これは、議会(新幹線・総合交通体系対策特別委員会)でも報告させていただきましたけれども、本年1月から5月までの判明分という形で、新千歳空港においては、今後の運航も含めてなのですけれども、週14往復の定期便、そして、帯広空港、旭川空港、こちらでもそれぞれ約1カ月間、週2往復のチャーター便、これが燃料の調達を理由に運航見合わせとなったというところであります。これは北海道エアポートなどからお伺いしているところです。まず、この燃料の安定供給は極めて重要なことです。このような状況を踏まえて、道としては、今月の7日に北海道観光振興機構とともに国土交通省航空局および経済産業省資源エネルギー庁に対して緊急の要望を行ったところです。これは北海道だけの問題ではなくて全国的にも、そういった背景の下、かなり要望の声が上がっています。われわれも7日に緊急の要望を行ったのですけれども、これらの要望等も踏まえまして、本日午後2時からだったと思いますが、先ほど質問にもあった「航空燃料供給不足への対応に向けた官民タスクフォース」という形で設置、開催されているという状況です。この道内空港における国際線の運航については、海外との交流拡大、そして地域振興、観光振興、こういった北海道の活性化を図る上で重要な役割を果たすものであると考えています。北海道としてはこれまでも、空港の業務を担う人材不足への対応など、地域と一体となって道内空港の受け入れ環境の整備に努めてきたところですけれども、今回の燃油の問題につきましても、今後、本日開催された国のタスクフォースの議論も注視しながら、北海道エアポート、地元自治体、そして全国の知事からもわれわれと同様の声が出ています。ですから、これは全国知事会としても連携して要望していく、こういうことなど、いずれにしても航空機の燃料の安定確保が速やかに図られるように、国に働きかけるなどの取り組みを、道としても、同じ課題を抱える皆さんと連携して対応していきたいと考えています。
(NHK)
あらためての認識なのですが、やはりこの問題は、今後かなり道の地域経済、せっかくコロナ禍から回復基調になった地域経済にかなりの影響が及ぶ可能性もあるのではないかと個人的には受け止めているのですけれど、その辺の認識は知事、どのようにお考えでしょうか。
(知事)
実際に北海道に行きたいというニーズがある中で、燃料の見通しが立たないことによってそれが果たせていないということは、これは地域経済、またはその観光の振興の観点から、重要な課題だと思っています。エネ庁(資源エネルギー庁)を所管する齋藤経産大臣においても、日本全体で必要量を確保できているという一方で、タンカーによる輸送体制などの給油体制にさまざまな要因が重なっているのではないかという話もしています。まさにこれは国としても、全国的課題として迅速に対応していただかなければならない課題だと思っています。そこは共通の課題を持つ他県ともしっかり整理しながら、また一方で全体像がなかなか分かっていないと国も言っていまして、われわれ北海道の情報としては、北海道エアポートを通して、今申し上げたような状況を確認していますが、その全国全体としてどういう影響が出ているのか、これも早急に整理していただいた上で、全国レベルで迅速に対応を考えていただく必要があると思っています。道としてもこれは重要な課題ですので、関係者と共有して、しっかり対応していきたいと思っています。
(uhb)
赤れんが庁舎の有料化に関してお伺いします。今日、道議会に有料とする条例案を出されたかと思うのですけれども、それの目的と、あともう一つその八角塔というのを別料金というか、設定したかと思うのですけれども、その理由について伺わせてください。
(知事)
まず赤れんが庁舎ですけれども、コロナ前で言うと、(年間)約70万人の方が北海道の歴史的建造物である赤れんが庁舎をご覧いただくという形で多くの方にお越しいただいていました。8割以上の方が道外の方なので、そういった意味では、道外から、赤れんが庁舎へ行きたいという思いを持って、これだけの方が来ていただいていた、そういった重要な施設だと思っています。この施設をより魅力的なものにするために、北海道の歴史文化、そして道内各地の優れた自然環境などの展示を充実させるということと、道産食材を使った食事の提供、そして道内各地の特産品の物販、これに加えて、今ご質問にもありましたけれども、道庁周辺の景観が一望できるエリアに入場できる、八角塔に登ることができるということで、そういった特別な体験が可能となるように、施設の改修と展示整備を行っています。その上でどうやってこれを運営するのかという観点で、やはりこれは民間のノウハウを最大限活用していく、これが重要だろうということで、役所が考えるより、観光とか、多くの方に来ていただくということを考えると、そういう民間の方々の豊富な経験・知見を活用していただくということで、サービスをさらに向上させていく、そしてさらなる集客を図っていくという観点から、指定管理制度を使ってやっていくことがいいのではないかと。さらには(利用者の)過度な負担にならないように、ほかの施設とかも見ながら料金設定をして、(一般)300円と(高校・大学)200円と中学生以下無料ということを上限に、指定管理者の中で料金設定をしていただいて、さらにそういったお客さんを集めるための取り組みなどにも活用していただくということで設定しました。そういった素晴らしい施設ですから、より活用していただくという観点から、こういった設定をさせていただいたということです。
道としては、将来を担う子供たちをはじめとして、より多くの方々にぜひお越しいただいて、誘致につなげていきたいと思っていますので、積極的にこれからPRしていければと思っています。まずは、今定例会で条例提案しますので、しっかり議論していきたいと思います。
(朝日新聞)
知床の携帯電話の基地局の建設についてお伺いします。日本自然保護協会などがユネスコの世界遺産センターに対して、世界遺産のコアである顕著な普遍的価値に影響が及ぶ可能性があるということで、そういう内容の通知文を送りました。その通知文が送られたことについて、今朝の閣議後(の記者会見)でも、環境大臣のほうが、そういうことがあったけれどまだ連絡は環境省自体聞いていないという話がありました。ここで、所管する北海道においても、こういう動きが出ていることについて、どうお考えかということ、どう受け止められているかということが一つと、先般、地元同士でよく話し合うべきだというお考えを示されたのでそのことをあらためて、その後進展があったのかどうかも含めて、お考えをお伺いできればと思います。
(知事)
北海道自然保護協会などからユネスコ世界遺産センターへの通知に関しては、ホームページ上で公表されているという形になっていますので、道としても承知しているところです。この世界遺産の保全策について定めた「世界遺産条約履行のための作業指針」というものがありまして、ここでは、ユネスコの世界遺産条約事務局が遺産に重大な劣化などがあったなどの情報を関係条約締結国以外の第三者から入手した場合は、可能な限り情報の内容などを確認して、締結国、すなわち日本政府になると思うのですけれども、からコメントを求めるという指針がありますので、こういう流れの中で今手続きが進められているのではないかと考えられるところです。質問の中でもありましたけれども、本件所管の環境大臣が、本日、現時点で条約事務局から情報照会が届いていないということと、正式な照会があった場合には、内容を精査して適切に対応していくということで、ご発言されたと報告も受けています。これは以前も申し上げましたけれども、やはり十分な環境保全への配慮がなされるべきだと考えています。世界自然遺産を所管する北海道としては、やはりそういった十分な環境保全への配慮がなされるべきであると考えています。そして、先般の(知床世界自然遺産地域)科学委員会からの助言なども踏まえて、国としては対応するということを言っている中でこういった動きもあるので、それも踏まえた中での適切な対応が国として図られるべきだろうと思っています。この点については道としても引き続き情報をしっかり収集していきたいと思っています。
それと、今状況が変化してきて、関係する皆さんで、いわゆる推進会議(知床半島地域通信基盤強化連携推進会議)というのをこれまでやってきたのですけれども、これまで開催されていないという状況があるので、この場でも個人的にはということで申し上げたのですけれども、開催を検討すべきなのではないかということで、その会見の後に、これは事務局は総務省がやっていまして、総務省に申し入れをしました。総務省のほうでは、環境省と調整の上で検討しますということで回答がありまして、今日現在でそれ以降の動きというのは、まだないという状況ですけれども、(直近の)推進会議を開いてから状況もそれぞれの動きがあると思いますので、そういった意味では、まずはこういった関係者が認識を共有してというのが大事なのではないかなと思っています。
(朝日新聞)
そういった会議が開かれた場合は、道のほうとしても何らかの形で参加するという方向なのですか。
(知事)
この推進会議に道も入っていますから。そういう観点で参加するということになると思います。
(北海道新聞)
今の他社さんの質問に関連してなのですが、知床基地局の関係で、今知事がまずおっしゃった総務省への推進会議の開催の申し入れというのは、いつ行ったものでしょうか。
(DX推進課地域デジタル担当課長)
先々週の会見の後に申し入れを行ったところでございます。
(北海道新聞)
今、他社さんの回答の中にあった構成者会議にも道として参加するという話ですけれども、これまで推進会議には道庁としては、DXの部署が入られたと思うのですけれども、今回こういう問題があってというところで、これに参加するのはDXの部署に加えて、環境保全のほうの部署が入ったりとか、そういうお考えはあるのでしょうか。
(知事)
そこは、現時点で詳細を決めてはいないですが、適切な人選をもって参加すべきなのではないかと思います。ただ、これまでの推進会議の経過とかもあるのでしょうから、そういったところも踏まえた中で、必要なメンバーが出るということなのではないかと思います。
(北海道新聞)
今の推進会議もそうなのですけれども、道とか知事のこれまでの発言というのは、いろいろこの問題に関しては、国のほうで適切に対応すべきと考えているとおっしゃったりとか、先ほどおっしゃった地域科学委員会の要請についても、国のほうで内容を踏まえて適切に対応いただきたいと、配慮いただきたいというふうな発言になっているのですけれども、道としては、知床世界(自然)遺産条例をこれまでも制定してきていて、この中で、知床世界遺産の保全とか適正利用については、道と国の環境省、林野庁のこの三者で責任を負ってやっていくというふうに決まっていると思います。ですから、こういった知事や道が、見方によっては国任せに見える、国に丸投げしているというふうに見える発言だとか対応というのが、この道条例には沿っていないのではないかという指摘もあると思うのですけれども、この点について知事としてお考えいかがでしょうか。
(知事)
道としての必要な役割、その条例も踏まえてですけれども、しっかり果たしていきたいと思っています。
(北海道新聞)
現状これまでの対応というのは、道の条例に沿っているものなのでしょうか。
(知事)
十分な環境保全への配慮についても、関係する推進会議全体の中でも、十分それを果たすべきということで認識しているものですから、そこをしっかりやっていただくことが重要だと思っています。
必要な時に、道として必要と思われる行動、または発言を主張していく、このことをしっかりやっていくことが大事だと思います。
(北海道新聞)
ということは、道の考える必要なものというのは、既存の枠組みである推進会議の中で対応していくということなのでしょうか。
(知事)
いえ、推進会議のみならず、さまざまな形で国に状況確認を行ったり、また申し入れについても、これはあくまで総務省が事務局を担っているわけですが、その全体の状況を見た中で、これはやはり一回みんなで状況を共有する必要があるのではないかということで申し入れを行ったわけです。そういった意味では、環境省が許認可を持っている、また事務局を総務省がやっている中では、道として、そこまで言及するということは、もしかしたら一歩踏み出しているのかもしれませんけれども、今の状況を鑑みれば、そういった状況変化等を共有する必要性があるのではないかという私の考えの下で、申し入れを行ったところです。こういったことなど、必要なことを道の知事として、また道庁としてやっていく、これが大事だと思います。そこをしっかり道民の方にもご説明していくことで理解を得たいと思います。
(共同通信)
地方自治法改正案の件で質問がございまして、本日先ほど参院の委員会(参議院総務委員会)で法案が可決されて、一応、今国会で成立する見通しになりました。そこであらためてなのですけれども、知事の受け止め、特に懸念している点を、教えていただけますと幸いです。
(知事)
多分以前の会見でもお話ししているかと思うのですけれども、これは全国知事会としてもさまざま議論があった課題でもあります。この「事前に地方公共団体と十分な協議・調整を行うこと」などについて、これは全国知事会として政府に要請して、その結果、要請内容が反映されて、法案においては、「あらかじめ地方自治体に意見等を求めること」など、適切な措置を講じるよう努めなければならないということが盛り込まれています。
また、衆議院の総務委員会において、付帯決議として、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に該当するか否かを判断する考え方を可能な限り明確にし、速やかに地方公共団体に周知すること」などを求めることについても採決されたというところです。
現在、参議院で審議されてという形になったわけですけれども、あらかじめ道民の皆さまに対しては、どのような場合に運用されるかなどについて丁寧に説明を行っていくことが、私としては重要だということをこの会見の場で申し上げてきました。また、国の補充的な指示が地方自治の本旨に反し、安易に行使されないよう、その旨、確実に担保されて運用されることが大切であると考えています。
(HTB)
道が導入を目指している宿泊税についてお伺いします。昨日、道議会の特別委員会のほうに概要の案が提出されましたけれども、今後正式な表明も含めてどのように進められるのか、知事のお考えをお願いします。
(知事)
昨日も、今ご質問にありました食と観光調査特別委員会において、ご報告させていただいたところであります。このたびお示しした道としての考え方につきましては、本日から開会の定例会において、さらに議論いただきたいと考えているところであります。
(HTB)
導入の正式な表明については、何らかのタイミングで知事がされるというような方向になるのでしょうか。
(知事)
当然いつかはそういったことを表明するということにはなるわけでありますが、本日から開会した議会においてまずは議論いただくということが必要だと考えています。
(HBC)
宿泊税について追加でご質問いたします。これまで事業者の方などへのヒアリングなどを行ってこられたかと思いますが、今回、この案の中で出されている義務者への交付金の件ですとか、あとはその使い道の案のところですね、そういったところなどに、ヒアリングの結果というのは、どのような形で反映されていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
さまざま事業者の皆さまなどからお声をいただき、また市町村においても、さまざまなご意見をいただいたわけであります。そういった状況なども踏まえた中で、道としての考え方につきましては、昨日、食と観光調査特別委員会においてご報告させていただきました。今後さらに、議会におけるさまざまな議論を丁寧に行っていきながら、道として進めていきたいと考えています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)