知事定例記者会見
- 日時/令和6年2月21日(水)16:41~17:27
- 場所/記者会見室
- 記者数/20名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 令和6年第1回北海道議会定例会の開会に当たって
記者からの質問
- 観光振興を目的とした新税について(1)
- 釧路市音別町の太陽光発電事業計画について
- 観光振興を目的とした新税について(2)
- 観光関連予算について
- 観光振興を目的とした新税について(3)
- 次世代半導体について
- 水素等の利活用について
- レッドリストにおけるヒグマの取り扱いについて
- カスタマーハラスメント防止に向けた条例の検討について
- 人口減少について
- 日高山脈襟裳国定公園の国立公園化について
知事からの話題
令和6年第1回北海道議会定例会の開会に当たって
一点、私からお話しさせていただきます。
本日から令和6年第1回(北海道議会)定例会が開会いたしました。コロナ禍後、社会経済活動の本格化を踏まえた初の通年予算として、「地域」と「世界」の二つの視点に立って取り組む重点政策をはじめ、総額3兆215億円の一般会計予算案と、北海道こども施策審議会条例など、63件の条例案を提案したところでございます。また、国の補正予算に伴う対応として、総額246億円の補正予算案を提案し、本日、議決いただきました。来週28日水曜日からは代表質問が始まります。令和6年度予算案をはじめ、さまざまな道政上の重要課題に関して、議員の皆さまと真摯な議論を積み重ねてまいります。
私からは以上です。
記者からの質問
(毎日新聞)
先日の宿泊税の有識者懇話会のことで伺いたいのですけれども、日本旅館協会の唐神道支部連合会長さんがですね、45億円に減収するのが承服できないということで、かなり厳しい態度で臨まれたのですけれども、お話を伺っているとですね、コロナでやはり借金とかがかなり積み上がっていて、基金にすごい期待していたということなのですけれども、道の宿泊税の使途の規模感というのは前回初めて示されて、それがあまり議論されていなかったと思うのですけれども、この辺についてですね、今後どのように対応されるのかというのを聞かせてください。
(知事)
(2月)19日にですね、4回目となる有識者懇談会を開催させていただきました。今ご質問がありましたけれども、第3回懇談会で提示した取りまとめの方向性に基づく新税の考え方ということで、お示しいたしました。そして懇談会では、使途や税率といった制度の骨格となる部分につきましては、おおむね了承ということでありましたけれども、早期に制度の運用を開始して、スピード感を持って導入すべきというご意見があった一方で、今お話もございました、観光施策の充実、強化という観点から、税率区分の見直しにより税収減となるということに対する反対のご意見をいただきました。今回、さまざまご意見をいただきました。このご意見を踏まえて、課題を整理しながら、道としての考え方を取りまとめていきたいというふうに考えております。
(毎日新聞)
それは、今回示したその案をさらに見直す可能性もあり得るということでいいのでしょうか。
(知事)
さまざまなご意見もいただいたところであります。道としても、観光施策の充実、強化の必要性については、この額が減少することに対する思いの背景として、やはりコロナ後における観光施策のより一層の充実、強化という観点からのご発言であったかというふうに考えております。こうしたご意見も踏まえて、より多くの皆さまがご理解いただける制度となるように、検討を進めていきたいというふうに考えています。
(毎日新聞)
あと、道消費者協会の武野専務理事が当初からですね、免税点のことについてずっと言及されていて、今回、免税点は設けないということでですね、多様な納税者の意見を聞くべきだというふうに発言されたのですけれども、この点について、例えばパブリックコメントですとか、納税される方の意見をどこかで聞く機会というのを設けられるのでしょうか。
(知事)
そのご発言についても把握していますけれども、先ほど申し上げたように、使途や税率といった制度の骨格となる部分につきましては、おおむね了承いただいた中でですね、そのご発言があったということで、報告を受けているところでございます。さまざまなご意見もいただきました。課題については整理しながら、道の考え方をまとめていきたいというふうに思います。
(毎日新聞)
パブコメにかけるかどうかというのは、何かありますか、現時点で。
(知事)
パブリックコメントは。
(広報広聴課長)
観光局から。
(観光振興監)
今後、検討していく考えです。
(毎日新聞)
あと、ちょっと話が変わってですね、先日、釧路市の音別町の太陽光発電で、釧路自然保護協会さんの意見とかを受けてですね、釧路市長さんが、中止を含めた見直しを道に求めたというふうにおっしゃられているのですけれども、この点の受け止めとですね、あと今後、おそらく知事意見を出されることになると思うのですけれども、どのような形で意見を付けようと思っていらっしゃるかを聞かせてください。
(知事)
この点はですね、要望書などもいただいているところでありまして、そして、この事業に関しましては、昨年12月になりますけれども、これは要望の中でも触れておられるのですが、保安林内において無許可で水路を設置したということから、道では、この工事の中止など、この事業者に是正を指示したところであります。また、この件ももちろん速やかに指示しているところなのですが、現在は、環境影響評価法の配慮書の手続き中という状況になっていますので、アセス審議会での審議結果はもとより、関係市町村の釧路市、そして白糠町からいただいたご意見を踏まえるとともに、今回の要望もありましたので、この地域の良好な環境が保全されるように、速やかに必要な知事意見を述べるということで、事業者に対して適切な対応を促していきたいと思います。そして今、速やかにということで申し上げましたけれども、具体の内容と日時等が決まり次第、マスコミの皆さんにはお知らせしたいと思います。私としては速やかに意見を述べていきたいというふうに思っています。
(北海道新聞)
一昨日の宿泊税の有識者懇談会の件でお伺いしたいと思います。懇談会で宿泊税の新案に反対を表明した日本旅館協会というのは、道内の宿泊業界の中心的な存在だと思います。今回、唐神会長は、道の対応によっては徴収代行業務を拒否するともおっしゃっています。仮にこのまま折り合いがつかないとすると、導入に向けて大きな支障が出てくると思いますけれども、知事が、例えば唐神会長に直接お会いして、道の新案について理解を求めていくようなことはお考えでしょうか。
(知事)
さまざまなご意見をいただきましたので、多くの皆さんにご理解いただける制度となるよう、検討を進めていきたいと思います。
(北海道新聞)
あらためて今回の発言というのは、かなり重い発言かなと思うのですけれども、知事はどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(知事)
先ほど申し上げましたけれども、60億円の税収規模から15億円程度の減収試算となるということに対して、やはり、コロナ後における観光施策のより一層の充実、強化という観点から、税収を確保すべきであるという趣旨でのご発言であるというふうに受け止めております。道としても、観光施策の充実、強化の必要性については、これは私どもも同じ考えであります。こうしたご意見も踏まえてですね、先ほど申し上げたように、ご理解いただける制度となるように検討を進めていきたいと思います。
(北海道新聞)
唐神会長は、議論の継続というのを希望されていたと思うのですが、あらためて、知事、先ほどちょっとお答えが曖昧だったのですけれども、知事は唐神会長にお会いして新案についての説得、理解を求めていく考えはありますか。
(知事)
さまざま理解を得るための取り組みについては、当然のことながらしていきたいというふうに思います。
(北海道新聞)
あともう一点、関連して、今週、札幌市の秋元市長が札幌市の宿泊税導入に関して、本年度中に条例を提出する方針を示していますが、道としては、いつ頃、条例の提出というのを考えていらっしゃいますか。
(知事)
まずはですね、懇談会でさまざまなご意見をいただきました。このご議論、そして本日から議会が始まりましたので、道議会での議論を踏まえて、課題を整理するということが必要だというふうに考えています。今後、新税の導入を検討していない多くの市町村、そして宿泊事業者の皆さまとの対話を丁寧に行っていきたいと考えています。先ほどご質問もありましたけれども、パブリックコメントなど道民の皆さまのご意見を広く伺う機会を設けるなどして、北海道全体として望ましい税の制度となるように検討を進めていきたいと考えています。
(北海道新聞)
条例提出時期については、まだ未定ということでしょうか。
(知事)
繰り返しですけれども、まずは今回、懇談会でさまざまなご意見をいただきました。そして、本日から道議会が始まりました。この道議会での議論を踏まえて、課題を整理する必要があると考えています。
(北海道新聞)
話題を変えて、北海道観光振興機構に対する新年度予算について、ちょっとお伺いしたいと思います。弊社の取材では、観光振興機構から要望を受けた予算額と、実際に機構への負担金として新年度計上している道の予算額に、大きな開きがあることを確認していまして、関係者からですね、これについて大きな不満の声が聞こえてきています。知事の受け止めというのをお伺いしたいと思います。
(知事)
当初予算については、観光振興機構をはじめとして、さまざまな団体からご意見を伺った上で、庁内で議論を重ねて予算編成ということで行っております。観光振興機構の関係でいいますと、令和6年度観光関連予算につきましては、秋に観光振興機構から約26億円の要望をいただいております。この点は皆さんにも、マスコミの方も、冒頭(取材)でしたかね、フルオープンではなかったのかな。
(北海道新聞)
フルオープンではなかったです。
(知事)
冒頭頭撮りだったのですかね、そういった形で要望内容も皆さまが把握されているというふうに思いますが、それらを含めまして、全庁的な予算検討を重ねる中で、アドベンチャートラベルの推進、観光関連産業の人材確保、国内外における戦略的なプロモーションといったことなど、機構負担金として必要な当初予算を取りまとめまして、議会に提案させていただきました。道としては、観光振興機構と一体となって、これらの取り組みを効果的に推進していきたいというふうに考えています。
(北海道新聞)
予算額に開きがあることについて、不満が出ているということについては、知事の考えというか、どういうふうに受け止めているかというのは。
(知事)
26億円の要望については、秋にお会いしたときにお伺いしています。ただ、さまざま団体もございますけれども、ご要望、ご意見をいただいた上で、庁内で議論を重ねて、予算の編成というのはさせていただいているところであります。そして、先ほど申し上げたような各取り組みを事業として計上しながら、道議会に提案させていただいたところであります。いずれにしても、観光振興機構と一体となって、効果的に事業を推進していかなければならないというふうに考えています。
(北海道新聞)
今の話だと、機構と道の予算額の開きというのは、多分12億円近くあると思うのですけれども、例えば今後ですね、補正予算などで機構に対する負担金だとかを上乗せして計上するだとか、どういった対応というのを考えていらっしゃいますか。
(知事)
まず、当初予算を提案させていただいている状況でございます。当初予算について、議論を積み重ねていくことが重要だというふうに思っています。
(日本経済新聞)
私からも宿泊税についてお伺いしたいのですけれども、今回の宿泊税の議論の推移ですと、当初、第1回の懇談会が始まってから、23年内に3回開くというようなスケジュール感でしたけれども、途中で市町村の皆さんとの意見交換ですとか、意見の聴取にかなり時間がかかって、第3回の開催自体も2024年にずれ込んでですね、第3回の懇談会の開催もずれ込み、結局、第4回までやって、ようやく取りまとめということになっています。かつ、その有識者懇として取りまとめた案に対しても、これまでの質問にも出ているとおり、かなり事業者からの反発が強い状況にあると思います。こうなるとですね、案としてまとまった後、今後、議会に条例を提案するにしても、かなり丁寧な説明が求められる状況になってしまったのではないのかなと思いますが、知事として、今回の宿泊税導入に向けた議論そのものの経過について、どのように評価されているのか、何か見直すべき点、反省点があったのかどうか、その辺の考えを伺ってもいいでしょうか。
(知事)
やはり丁寧に対応していくということが大事だと思っています。さまざま皆さんも立場がおありの中でですね、それぞれさまざまなご意見をお持ちですから、そういったことをしっかりご発言いただきながら、進めていくことが重要だというふうに思います。懇談会も当初、今お話のあった予定ではあったのですけれども、やはりより丁寧にですね、皆さんに議論していただく必要があるということから、今回、4回目ということで対応させていただきました。さらに、この中でもさまざまなご意見が出ました。そして、先ほど申し上げたように、新税の導入を検討していない多くの市町村がありますので、そういったところですとか、先ほどからお話が出ております宿泊事業者の皆さまとの対話を丁寧に行うということ、そしてまた議会が始まっていますので、議会でも当然、議論を踏まえた中での課題の整理はしっかりやっていく必要があるというふうに思っています。そういった中でですね、十分な対応と言っていただけるように取り組んでいきたいというふうに思っています。
(日本経済新聞)
丁寧な対応ということですけれども、現在、反発している事業者の皆さんですとか、まだ独自の宿泊税の導入を検討されていない市町村等への説明はこれからで、まだ積み残しになっていると思うのですけれども、その辺の理解は最終的には得られる、そして導入はできるというふうに、知事としてはお考えということでいいのでしょうか。
(知事)
今回、懇談会でもさまざまな意見は出たのですけれども、使途ですとか税率といった制度の骨格となる部分については、これまでいろいろなご意見があった中で、今回、たたき台から見直ししてですね、おおむねの了解を得たというところがあるというふうに思っています。早期にこの制度を運用開始して、スピード感を持って導入すべきだという声がある一方で、先ほど申し上げたような声もございました。ですので、こういった内容を多くの検討していない市町村などにもしっかりご説明もしながら、理解を得ていくことが必要だと思います。
(北海道新聞)
半導体の産業振興に関連してお聞きします。ラピダスの千歳市進出によって、関連産業の集積が期待される一方で、人材や資材がいっそう道央圏に集中してしまうことが懸念されていると思います。道は、全道への波及効果を目指していると思いますけれども、現状では逆に地方の人材不足であったり、資材の高騰を招いてマイナスの効果が波及してしまっているという声すら、取材の中ではお聞きしています。現在、策定中の半導体・デジタル産業振興ビジョンでも、一極集中への懸念については触れていると思いますけれども、こうした負の影響についての知事の認識と対応をお伺いできればと思います。
(知事)
二つあると思っていまして、よく言われる人の部分で言いますと、例えば、工場の建設を今しているという段階ですから、今の時点で半導体を製造しているわけではないわけですけれども、そういう意味では、この工場の建設が本格的に始まっていますので、多くの方がそこに携わっているという状況があります。建設産業の人手不足という状況がありますので、そういう中で懸念する声があるということがございます。この点については、「建設産業ミライ振興プランHOKKAIDO」においても、担い手の確保、育成を早急に解決すべき重要課題として位置付け、必要な取り組みを展開していくといったことなど、関係団体とも連携しながら、地域の安全、安心に欠かせない建設産業の振興に、しっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。
それともう一つは、要は工場の建設ということではなくて、実際、ラピダスが半導体を作りますよという状況になったときの(必要とされる)人という話だと思うのですけれども、この点については、ラピダス社においては、アメリカのニューヨーク州のオールバニにあるニューヨーク・クリエイツに今、約100名のエンジニアを派遣しています。次世代半導体の量産技術開発を進めていまして、今後、順次、帰国して、千歳市でも勤務するという予定であるということです。それと、北海道内の特徴としてあるのですけれども、多くの理工系の高等教育機関が、この北海道には設置されているという状況がありまして、ただ一方でですね、大学、高専はあるわけですけれども、文系を含む全体としては、北海道で勉強した方の6割が北海道に残ってくれていて、4割は道外に出ていますよという状況です。今回のラピダスの関係でいう、必要とされる理工系人材については、それが逆転していまして、4割が残って6割が出ていくということなのですね。ですから、人材を育成しているのだけれども、文系を含む全体は6割が残ってくれているのだけれども、理工系人材については、それが逆になってしまっていまして、4割が残って6割が出ていっているという状況なので、ここはなぜかと言ったら、なかなか勉強したことを生かす場所が少ないという状況があるものですから、ぜひそこは、道内での就職を、このラピダス社をはじめとする半導体関連産業の集積を通じてですね、活躍していただく場所をつくっていく、またUIターンといった人材の誘致という取り組みをしていく、このことが重要だというふうに思っています。
そしてラピダス社のほうは、地元採用をぜひ、せっかく北海道に立地していますので、地元の雇用を考えておられる一方で、他の企業への影響が出ないように、十分配慮するという意向も同時に示されていますので、こういった今申し上げたような状況を踏まえた中で、対応していくということが必要だと思っています。
(北海道新聞)
道としては、全道への効果の波及というところを目指していると思うのですけれども、この道央以外の地域が期待している波及効果というのは、おそらく雇用の増加であったり、定住人口の増加なのかなというふうに感じているのですけれども、あらためて、道が目指す、ラピダスの道央以外の地域への波及効果というのは、具体的にどういうものなのか、知事の考えを伺えますでしょうか。
(知事)
それはビジョンでも書いてあるのですけれども、まずは今申し上げたような、建設にあってはですね、ラピダス単体で考えれば、工事建設に関する雇用だとか、また参入促進の中で、直接的な経済効果というのが生まれますけれども、ラピダス単体で考えたときの、これからの製造というところ、またそのあと研究も、同時進行で行くわけですけれども、そういった観点での波及効果が、まずあると思っていますし、また、その関連産業の集積における、さらなる効果が期待できるというふうに思っています。また、北海道の観光や一次産業をはじめとして、さまざまな産業分野においてですね、この半導体をはじめとする産業がもたらす効果、これは非常に大きいわけでありますので、全道への波及というものをですね、このビジョンとして取りまとめた中で、ぜひ効果を上げていきたいというふうに考えています。
(読売新聞)
水素の話でご質問なのですが、昨日、出光とENEOSと北電さんが、苫小牧市にグリーン水素の拠点を造ると発表されまして、知事も歓迎のコメントを出されたと思うのですが、道も今年度、来年度も、水素の供給のサプライチェーン構築の予算を付けて、説明会の開催とか、勉強会の支援とかをやってきていると思うのですが、昨日の件を受けて、あらためてどういうふうに水素の件を、道として普及していくかというのと、あと、道内の自治体では、実際に水素の利活用、販売とか、FCV(燃料電池自動車)とかを利用している自治体もあると思うのですけれど、いまいち、多分、水素というものが、燃料とかエネルギーになるというイメージが、まだ付いていない方も結構いるのではないかと思っていまして、その辺りをどういうふうに普及を図っていくのかというのを教えてください。
(知事)
まず、今回の出光興産、ENEOS、北海道電力の3社が、2030年頃までに国内最大となる水素の生産、供給拠点構築を目指すということで、発表がありました。なかなか、エネルギー企業が垣根を越えて連携するというのは、自分たちのライバルですからね、今までなかったというふうに思っていまして、この点でも画期的なのではないかというふうに思っています。そして、北海道としても、今ご質問のあった水素などの利活用は、ゼロカーボン北海道の実現につながる重要なものであります。その点からも歓迎したいというふうに思っています。そして、苫小牧エリアなのですけれども、現在、先進的CCS(二酸化炭素回収・貯留)事業の取り組みが進められています。CCUS(二酸化炭素の回収、有効活用・貯留)やカーボンリサイクルの拠点化の実現に向けて、大きく前進させるものであります。先ほど用途の話でですね、水素や合成燃料等といったものを通じて、北海道は積雪寒冷地でありますので、本道の幅広い産業の脱炭素化にも寄与するといったことが期待されるわけであります。そして、この点は少しですね、目線合わせというかあれなのですが、国のほうでも、水素社会の早期実現に向けて、15年間で3兆円以上を投じることとしていまして、道としても、国が全国で整備を目指すという水素・アンモニア拠点に、北海道のプロジェクトが選定されるよう、苫小牧市、そして地域や関連する企業、こういう皆さんと連携して、水素・アンモニア拠点の取り組みを進めていきたいというふうに思っています。これは北海道だけではなくてですね、日本全体のカーボンニュートラルに貢献するというものでもありますので、そういったことからも、取り組みを進めてまいりたいと考えています。
(読売新聞)
一般の方にも水素というものがわかりやすくするために、どういうことを道としてやりたいというのはありますか。
(知事)
燃料ですとか、皆さんが日常的に活用されるいろいろな施設などでも今、実証などが行われていますので、そういう取り組みを見える化してですね、ただやはり、今、(水素)製造の価格が高いのですよね。ですから、そういった価格の差を補てんするような、そういった国の支援事業が極めて重要になってくるわけでありますけれども、エネルギー利用としては、積雪寒冷の中で、北海道はエネルギーをたくさん使うわけですけれども、まさにさまざまな利用の可能性がありますから、そういった実証などの取り組みについても、道民の皆さまに可視化しながら、いろいろな活用のありようがあるのだなということについては、発信していくことが大事かなというふうに思います。
(読売新聞)
もう一点、その関連で、今朝、他社さんにも記事が書いてあったのですけれど、この事業以外にも、例えばラピダスさんとか、再生エネルギーにすごい注目している企業が、今後、増えてくると思っていて、そういうときに、再生エネルギーの潜在力が高いというふうに承知しているのですけれど、その供給のあり方とかで課題になってくる部分とか、それをどう解決していくか、その辺のお考えというのはどうですか。
(知事)
供給はまさに、道内においては、送電網のあり方について同時に解決していかないと、再生可能エネルギーのポテンシャルがある地域でも、なかなか十分な送電網が整備されていない中で、なかなか今も課題があってですね、そこは指摘されてきました。今回は、海底の直流送電ケーブルと併せてですね、道内の系統強化についても1.1兆円をかけて取り組んでいこうということを、併せて今、議論しているというところがございますので、そういった意味では、そこは課題であり、方向性としては、その点についても今後、解決していこうということもありますので、そういったことを踏まえた中での進出や、事業の取り組みの動きが出ているということで、理解していいのではないかというふうに思います。
(HTB)
ヒグマの関連でちょっとお伺いしたいのですが、一部報道で環境省のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)から除外するというのがあるほか、今後、環境省が各都道府県に生息数の調査を求めるという話もあります。道としてどのように対応するのか、知事のお考えがあればお願いします。
(知事)
これはですね、環境省のほうに確認しました。そして、次期レッドリストについてどうなっているのですかということで確認しまして、令和6年度以降の公表を目指して作業を開始しているのですが、ヒグマに関する具体的な検討は進んでいないということで、環境省のほうからお答えがございました。ヒグマについては、道が公表している北海道のレッドリストがあります。こちらにおいても、環境省と同様に、二つの地域個体群を絶滅のおそれのある地域個体群としているところです。北海道としては、現在、ヒグマ管理計画の見直しのために、地域ごとの最新の生息数を推計しているところであります。そして、その結果を踏まえて、北海道版の、北海道レッドリストについても、道希少動植物有識者会議などの専門家のご意見なども踏まえて、対応を検討していきたいというふうに考えています。また、国のレッドリストに掲載するものについては、絶滅に瀕しているか、その危険が増大していると判断されるものでありまして、その中で、分布が単一の都道府県に収まる地域個体群は除くと書いてありまして、これはまさにヒグマは北海道で生息しているという状況でありまして、そういった意味で、ヒグマが該当する可能性もあるわけでありますが、道としては、国から検討状況を適宜お伺いするということと、ヒグマは北海道に生息していますので、道が行う生息数の推計とかも、道がやっているものが、国に提供することによって、国も参考にするという関係性もありますので、国に提供するなどして、密接に連携して対応していきたいというふうに考えています。
(北海道新聞)
道議会の自民党会派が、昨日20日に、客が理不尽な要求をするカスタマーハラスメント防止条例の制定に向けた検討部会を立ち上げました。全国でカスハラに特化した条例の例はなく、新しい動きでもあります。くしくも同日、小池百合子東京都知事がカスハラ防止条例の制定方針を表明して、道議会と東京都が時期的に並行して議論する形となりました。北海道内では、道議会が議員提案で目指す格好となったわけですけれども、道庁には、都庁のように行政側が主導する形で、こうした条例化に踏み切る考えですとか、選択肢というのはなかったのでしょうか。
(知事)
まず、道庁内においてはですね、外部の方から職員に対する、いわゆるハードクレームへの組織的対応を徹底するためのマニュアルですとか、そういったものを作成して、全庁的に対応を行っています。また、カスタマーハラスメントは、セクハラですとかパワハラ同様に、労働者の方々への多大なストレスを与えるほか、人権を侵害する行為であります。これは、この条例の有無に関わらずですね、犯罪行為に該当するような場合につきましては、警察による対応を求めていくことはもちろんなのですけれども、それまでに至らない場合にあっても、不当、悪質クレームは決して許されるものではありませんので、こういったことについては、しっかり発信していくことが重要だというふうに思っています。そしてこのたび、道議会において、カスハラ防止条例の制定に向けた部会が開催されました。道としては、議会と連携しまして、適切に対応していきたいというふうに考えています。
(北海道新聞)
別の話題で、道が策定中の総合計画についてなのですけれども、深刻な人口減少が進む北海道で、道として、どのような人口構造の将来像を描いているのかという重要部分に関わるため、2月9日の記者会見でもお伺いしたのですけれども、ちょっと判然としない部分があったので、再度聞きます。道は総合計画の原案に、2035年には石狩振興局管内の人口割合が全道の50パーセントを超えることが見込まれ、さらなる人口集中が懸念されており、過度な人口集中を緩和するなどとの文言を盛り込んでいます。この過度な人口集中という文言の認識なのですけれども、そもそも今現在、石狩管内の人口割合は46パーセントなのですけれども、これは過度という認識でしょうか。
(知事)
これは以前もご質問いただいたのではないかと思いますけれども、この人口の集中で、確かに4割が札幌市に集中しているわけですけれども、集中とともに大きな課題が、やはり本道は若年層をはじめ、地方から首都圏へ、札幌市だけではなくてですね。また札幌市などへの人口流出が続いて、152の市町村が過疎地域に指定されているということです。ですから、札幌市に人口が集中しているということだけではなくてですね、152の市町村が過疎地域に指定されていまして、そうした状況は過度な集中であるというふうに考えています。そして、こうした状況によって、どういうことが起こるかというと、地域によって差があるものの、地域の担い手不足や医療、福祉、公共交通の確保への懸念など、地域の経済や暮らしに影響が及んでいるという状況があります。そして、重要な取り組みとしては、いわゆる札幌市のダム機能を維持する、北海道から道外への流出抑制に向けてですね、北海道と札幌市が一緒に取り組んでいくことは大事だと思います。今、北海道の中だけの話で、札幌市と、石狩管内と、それ以外の地域という話でしたけれども、やはり、北海道、札幌市、それ以外の都府県という考えでいくと、そういった流出を抑制していくということが大事です。それと、札幌市については、日本の中でも魅力的な都市の一つであります。道外はもとより、海外からも選んでいただける、そういう地域づくりを、札幌市のみならず、北海道で進めていかなければいけないというふうに考えています。昨年、公表された人口動態では、外国人の大幅な社会増によって、現在の集計方法となった平成26年以降、初めて社会増となったというところでありますので、この傾向が継続しているというふうに考えられますので、こうした方々が北海道で活躍していただくことも重要だと考えています。今、札幌市、石狩(管内)と、それ以外の地域というご指摘というか、お話でしたけれども、そこ以外の日本全体や、また世界の中で外国人の方々もご活躍いただくということもですね、やはり重要なポイントになってくるというふうに思っています。こうした取り組みを進めていくほか、当然ですけれども、社会減だけではなくてですね、自然減というものを抑制するなど、地域が維持できる一定の人口規模の確保を目指して、オール北海道で住み続けたいというふうに思える地域をつくっていくことが大切だなというふうに思っています。
(北海道新聞)
確かに私の質問は北海道内の人口集中の話を伺っているのですけれども、なぜ、それを伺っているかというと、総合計画の中に北海道内の人口割合について書いているので、それを過度な人口集中を緩和してというお話があるから、北海道内の人口割合ですとか、北海道内の人口バランスについて伺っているので、つまり、それ以外の地域がどうというのは、少なくともここの文言からは読み取れませんし、私も質問で伺っていないので、そもそも伺いたかったのは、まず、そもそも現在、石狩管内の人口割合が46パーセントなのですけれども、これは過度な人口集中だというご認識かどうかを、まずこの総合計画に沿う形で伺っているつもりなのですけれども。
(知事)
今、その点お話ししました。繰り返しますけれども、まずは、人口の4割が札幌市に集中している。それと、これは札幌市だけではなくて首都圏もそうなのですけれども、(地方からの)人口の流出が続いて、152の市町村が過疎地域に指定されている。そうした状況は、過度な集中であるというふうに考えていますと、先ほど申し上げたところであります。
(北海道新聞)
総合計画と関係なく伺いたいのですけれども、北海道内の人口が、今46パーセント石狩管内に集中しているという状況は、過度な人口集中という状況ではあるかないかというのは、どういうご認識でしょうか。
(知事)
今申し上げたとおりです。札幌市に人口が集中しているということや石狩管内に集中しているということと、152の市町村がやはり過疎という状況になっていて、この状態が過度な集中であるというふうに考えていますと申し上げているところです。
(北海道新聞)
わからないのですけれども、そうすると、北海道内の過度な人口集中を緩和するという文言には、石狩管内に、今は46パーセント、2035年には50パーセントを超えるというこの割合を、何か下げていったりしようという、そういうことでは、ここの文言はないという理解でいいですか。
(知事)
同時にやらなければいけないこととしては、一定の人口規模を維持しながら、札幌市以外の地域についても、やはり維持していかなければならないというところが、非常に大きな課題としてあります。人口規模は、確かに減少トレンドが日本全体で進んでいくのですけれど、それぞれの市町村が持続可能に(なるよう)、それぞれの市町村を経営するべくですね、さまざまな取り組みをしているわけです。ですから、一定の人口規模の確保を目指していくために、オール北海道で取り組みをしながら、そこに住んでいらっしゃる皆さんが、その地域に住み続けたいと思っていただいている方々に、しっかり応える取り組みをしていくということが大事だと思っています。
(北海道新聞)
例えば、この前の記者会見でも知事がおっしゃっていましたけれど、外国人住民が増えているですとか、あと転入超過にですね、コロナ禍から入国制限の緩和があって、2022年の人口動態調査では、4千人ぐらいの転入超過になったということもトレンドとしてあるというふうにおっしゃっておりましたけれど、例えば、外国人住民に関してもですね、現状、石狩管内にやはり43パーセント、北海道内で集中しているわけでありまして、同じペースで外国人住民が入ってきたとしても、石狩管内への人口集中という状況は変わらない状況であると思うので、そういうものを何か変えていくということにしないと、先ほど来の知事がおっしゃっている過疎地域での人口維持だったり増加にはつながらないわけですけれども、政策的に外から入ってくる人も、札幌市だったり石狩管内以外のところに流入してもらうような政策をやっていくということなのでしょうか、今の話を総合すると。
(知事)
札幌市もですね、いわゆるかつて言われたようなダム機能が十分果たせなくなってきたというところを、課題として感じているのだと思います。今までだと、全道の人口が札幌市にどんどん集まることによって、札幌市自ら人口増加トレンドがあったのですけれども、札幌市そのものも社会減になっていくという状況の中においては、そういう課題があるというふうに思います。そして人数というのは極めて大事なのですけれど、やはり札幌市に人口が集中していますから、企業もそうですし、当然、人数という意味では、外国人の方も多くなってくるということはあるのですけれども、例えば、外国人の技能実習生の活躍の状況を見ますと、水産関係で技能実習生が活躍されている状況が非常に多いのですけれども、そうなると勤務地というのは、札幌市以外の地域で活躍されている場合も多いです。その人数については確かに、札幌市と比較したときにですね、外国人という人数でいうと少ないかもしれませんけれども、そもそも人口規模が小さいところで産業を維持する上では、非常に重要な人数でもありますので、大事なところは、そういった外国人の方ももちろんですけれども、産業であったり地域を維持する上で、日本人の方も外国人の方もですけれども、札幌市だけではなくてですね、それ以外の地域も選んでいただける環境をつくっていくことと、一定の規模を維持していかないと、より課題がやはり深刻になってくるので、そこをしっかり市町村と連携して取り組んでいくことが重要だというふうに思います。
(十勝毎日新聞)
日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴う名称について伺います。地元市町と自然保護団体の間で十勝の名称を入れるかどうかについて、賛否の声が上がっていると思いますが、明日にも環境省の中央審議会が開かれて、この点について議論があると思いますが、知事のお考えを教えてください。
(知事)
これは環境省に対してですね、十勝を入れるよう要請がなされている一方で、日高の町村議会議長会などが十勝を入れることに反対の意向を示しているということでございます。道としては今後、国において、この地元のご意見を十分踏まえて議論をしていただくことが重要だというふうに考えています。なお、国では、この国立公園の名称について、知名度、分かりやすさ、地元の意見等を総合的に踏まえて決定するということでございますので、明日、開催される中央環境審議会自然環境部会で議論されるというふうに伺っていますので、そこを注視したいと思います。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)