知事定例記者会見
- 日時/令和5年10月13日(金)15:30~16:46
- 場所/記者会見室
- 記者数/19名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 「北海道-熊本県 観光交流ウィーク」について
- 「第1回北のアニメ大賞」について
- 「北海道ミライづくりフォーラム」について
記者からの質問
- 新千歳-熊本便について
- 自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)について
- 冬季五輪招致について(1)
- 冬季五輪招致について(2)
- 外国人技能実習制度について
- 高レベル放射性廃棄物について
- 北海道新幹線の札幌延伸について
- 冬季五輪招致について(3)
- 次世代半導体について
- 鈴木宗男参議院議員の日本維新の会離党について
- お米・牛乳子育て応援事業について(1)
- お米・牛乳子育て応援事業について(2)
- 観光振興を目的とした新税について
- 北海道医療大学の移転について(1)
- 北海道医療大学の移転について(2)
- 冬季五輪招致について(4)
知事からの話題
「北海道-熊本県 観光交流ウィーク」について
私から三点、お話しします。
まず一点目ですけれども、熊本県と本年8月に半導体関連産業に関する連携強化に向けた協定を締結しました。半導体に関連する事業を推進する上で連携を図るとしたものでありますが、協定では、観光交流の拡大についても協力して取り組むこととしたところであります。このたび、明日からですけれども、明日から1週間を「北海道-熊本県 観光交流ウィーク」と銘打ちまして、北海道と熊本県が連携した、さまざまな取り組みを行うことといたしましたので、ご紹介させていただきます。
まず、明日14日でございますが、サッポロファクトリーで熊本県主催のイベント「笑いとグルメの熊本フェアin北海道」ということで開催されます。こちらは、熊本県の蒲島知事がご出席されまして、私も会場のほうに伺って、くまモンとキュンちゃんと共にステージイベントにも参加させていただく予定となっています。会場では、熊本ラーメンや馬刺し、からし蓮根といった熊本グルメを集めた物産展が開催されるほか、熊本県産品のクイズ大会ということで行われますので、ぜひ皆さまにも取材などご協力いただければと思います。15日以降は、くまモンとキュンちゃんが観光地を訪問して、お互いのSNSを活用した情報発信を行うということであります。16日午前11時からは、札幌市内の小学校をくまモンとキュンちゃんが訪問するということであります。道内でこういったさまざまなPRを行うことになっています。また、21日でありますけれども、阿蘇くまもと空港で、今度は「北海道PRイベントin熊本県」ということで開催しまして、熊本県の方々に北海道の魅力を発信するということになっています。こうした取り組みを積み重ねながら、観光交流をより一層進めていきたいと考えています。詳細につきましては、本日の午前中にもリリースさせていただいていますので、併せてご覧いただければと思います。
また、こうした取り組みを進める中で、本日また、うれしいニュースがありました。株式会社AIRDOが、来年2月8日、11日に、新千歳空港と阿蘇くまもと空港を結ぶチャーター便について、それぞれ1往復の計2往復運航されるということで、本日、発表されました。このチャーター便が運航する2月でありますけれども、さっぽろ雪まつり、スキー、流氷など、冬の北海道の魅力を堪能できる絶好の機会でありますので、ぜひこうした機会に、熊本県から北海道に訪れていただきたいということであります。今後も北海道と熊本県、航空会社や旅行会社などと連携を図りながら、このチャーター便や、かつてあった直行便の運航といったものに向けて、さまざま取り組みを進めていきたいと考えています。報道の皆さまには、今後ともお力添えいただければと思います。
これが一点目です。
「第1回北のアニメ大賞」について
二点目であります。
「第1回北のアニメ大賞」の募集についてであります。北海道は有名な漫画家を数多く輩出しております。その強みを生かして、まんが、アニメなどメディア芸術の振興を図るために、平成28年度からは「北のまんが大賞」、令和2年度からは、アニメ作成における設計図とも言える絵コンテを募る「北の絵コンテ大賞」、こういったものを実施してきたところです。わが国のまんが、アニメは、子どもはもとより大人でも楽しむことができ、世界的にも人気が高く、国内外からその舞台となった場所、地域を訪れる聖地巡礼といった行動が見られるなど、観光や地域振興の効果も期待できるところであります。こうしたことを踏まえて、今年度は新たに「北のアニメ大賞」を創設することとし、アニメによる本道の魅力発信と、新たな才能の発掘に取り組むことといたしました。この募集を機に、初めてアニメ作成を手がけるという方でも気軽に応募できるように、作品のテーマにつきましては、北海道を素材とし、北海道の魅力発信につながるものとさせていただきました。多くの方々から応募いただけるように、報道機関の皆さまにもご協力いただければと思います。
「北海道ミライづくりフォーラム」について
最後三点目でございます。
北海道では、デジタルに関連する理解を深めて、実践へのきっかけをつかんでいただくため、DX(デジタル・トランスフォーメーション)実例を目で見て、耳で聞いて、手で触れることができるイベントとして、11月2日木曜日でありますが、ロイトン札幌において「北海道ミライづくりフォーラム」を、NTT東日本との共催で開催いたします。このフォーラムでありますが、自治体DX、教育ICT、ドローンなどに関する講演や、民間企業・団体約50社、70ブースの展示を行います。デジタル技術の活用による地域課題の解決をテーマとして、官民が一堂に会して、この規模の展示を行うイベントは、北海道では過去に例がございません。
基調講演におきましても、AI技術とともに「ヒトと技術の調和」というテーマで、長年にわたって研究を進めておられます北海道大学の川村教授にご講演いただきます。自治体、企業、教育機関、DXの専門家などのステークホルダーを道内外から集めて、現場目線に立って、翌日からでもDXに取り込むことができる内容に工夫いたしました。当日は私も主催者として開会のご挨拶をいたしますほか、展示会場で未来技術を体験したいというふうに思っています。
さらに、生成AIの関係で全国的にも関心が高い状況になっています。北海道でもさまざまな活用の試行ということをやっていくのですけれども、全国知事会においては、デジタル社会推進本部があるのですけれども、こちらは私が副本部長を務めさせていただいていまして、生成AI利活用検討ワーキングチームというものを設置させていただきました。こういった枠組みを活用してですね、北海道大学の川村教授のご講演につきましては、生成AIに関心の高い全国の都道府県の皆さまと共有できる形で展開したいと思います。ですので、全国知事会の枠組みとしても、ご講演を共有したいと思っています。
本フォーラムの開催を契機に、課題先進地である北海道のハンデを強みに変えて、デジタル活用の先進地としていきたいと考えております。ぜひ多くの自治体、企業、団体の皆さまには、ご来場いただきたいと思います。報道の皆さまにもご協力をお願い申し上げます。
話題については以上であります。
記者からの質問
(NHK)
冒頭の熊本県との連携協定絡みで、AIRDOのチャーター便が就航したという話について、知事も先ほど言及されていましたけれど、あらためてになりますが、今回は2便ということになりますけれども、今後、TSMC(台湾積体電路製造)ですとかラピダスが本格的に動いてくれば、当然、企業間の交流ですとか観光的な交流という意味での人流も増えていくかと思います。そういった意味で、今後、チャーター便だけではなくて、定期便の最終的な就航に向けて、知事の今の期待感などがもしありましたら、あらためてお聞かせ願えればと思います。
(知事)
かつて、だいぶ前になりますけれども、(直行便が)あったのですよね。今回について、AIRDOさんが、こういった熊本県と北海道の連携などもある中で、2月のすごい良い時期なのですけれども、チャーター便をやりますということでありますので、まずはここをしっかり利用して、熊本県の皆さまにもお越しいただく機会にしていきたいと思っています。また、先ほどTSMCの話もありましたけれども、台湾の会社なのですが、北海道は非常に人気があるのですね、台湾の皆さんに。ですので、今後さらにお越しになる方も増えるというふうに熊本県としては考えているようですので、まさに熊本県から台湾の皆さまが北海道にお越しいただけるような機会にも、今後つながるのではないかというふうにも思っておりますので、ここはですね、しっかり熊本県とも連携しながら、さまざまな取り組みを進めていければなと思っています。まずは、この交流ウィークをやりますので、ここをしっかり盛り上げていければなと思っています。
(読売新聞)
最後の「ミライづくりフォーラム」の関係なのですが、こちらのイベントは、主に対象としているのは、一般向けというよりは、自治体とか企業、団体の方向けのイベントなのかというのと、あと、このイベントの目的もその一つかもしれないのですが、道のほうで今、DXであったりとか、ドローンとか、生成AIとか、いろいろな試行をされているところだと思うのですが、結構広い北海道であると、179の自治体にもどう波及させていくのかというのが重要だと思うのですけれど、もちろん、このイベントに登壇する自治体みたいに、先進的にやっているところもあると思うのですけれど、役所とか役場ごとに、どうしても得手不得手じゃないですけれど、技術力であったりとか、モチベーションの違いもあると思うので、それを道として、どういうふうに波及させていくのか、何かビジョンみたいなものがあれば教えてください。
(知事)
この部分は、NTT東日本さんとの共催ということでありまして、ドローンの関係などもご協力いただいた中で、開催はしてきたのですけれども、対象は、先ほど申し上げたとおり、自治体、企業、団体の皆さまなどを中心に想定しております。全道179市町村ありますので、それぞれの課題解決のありようや、また、進捗具合の差ですとか、力の入れ具合なども、確かに違いはあろうかと思いますけれども、北海道では、過去に例のない形で、具体的なさまざまな取り組みや展示なども、今回、展開させていただきますので、そういった情報に皆さんに触れていただくことによって、意識の変化もそうですし、自身の自治体や企業において導入を検討するきっかけになったりですとか、そういったことにもつながっていくと思います。
内容などについても、アーカイブで皆さんに見ていただけるようにしたいと思いますし、また、自治体からの相談などにもさまざまな形で、今、応じているところでありますので、そういったさまざまなサポート体制といったものを皆さんにご活用いただきながら、北海道全体のさまざまな課題を解決するためのDXの実例を作っていければというふうに思っています。
まずは今回、こういった形で取り組みをさせていただいて、しっかり多くの方に会場にお越しいただいて、取り組みを進めていければと思います。
(北海道新聞)
札幌市が進めてきた2030年冬季オリンピック・パラリンピックについて、あらためてお尋ねしたいと思っています。先日11日にも知事室の前でお話しいただきましたが、まず、札幌市の秋元市長とJOCの山下会長が2030年冬季五輪招致を断念したことについて、あらためて知事の評価、見解を伺えますか。
(知事)
これは共同会見を受けてですね、お話しさせていただきましたけれども、さまざま記者の皆さんとのやり取りですとか、冒頭のご発言などもありましたけれども、大きく三つですよね。2030年の招致活動を中止しますということと、2034年以降の可能性を探っていくということ、そして具体的に進めるにあっては、しかるべき時期に民意の確認を行うということで、ポイントとして大きく三つあったのではないかというふうに思っています。
私は、会見の内容を共有させていただいて、山下JOC会長がおっしゃった言葉の中で、招致に向けてご尽力いただいた札幌市民、道民、そして関係者の皆さまに大変申し訳ないという趣旨のご発言がありました。それは、ご本人がどういう思いで発言されたかということを確認しないと分からないところはあるのですけれども、やはりその提案を山下会長が秋元市長にされて、その場でというか、その中で中止ということで決まったという状況がありますので、さまざま協力してきた方々に、なかなか説明の時間もない中で、そういう形になったということに対する申し訳ないという思いや、また、いろいろ協力してくれて、これまで取り組んできた中で、中止という形になったことに対して申し訳ない、そういうような思いからもご発言があったのではないかと、これは私の一方的な、そうなのではないかというふうに思っているところでありますけれども、そういった発言が非常に印象に残っています。
そして、やはりその上でですね、その時点では私自身、その会見終了後に何か連絡があったとか、そういう状況ではなかったこともあったのですけれども、札幌市、JOCが主体となって取り組んでいるわけですが、まず市民の皆さまですね、札幌市民の皆さま。札幌市民の皆さんというのは当然道民でもあるわけでありますが、そういった皆さんにですね、何も説明もない中で決めているわけですから、当然のことながらそこは説明を丁寧にしてほしいということで申し上げました。
そのことがありましてですね、昨日、札幌市のほうから、まずはその会見の内容についての説明が事務方のほうにありました。その際に、札幌市からは、帯広市長などの関係する自治体に説明を行う予定でありますということと、道に対しては、秋元市長が道のほうに来たいということで申し出があったという報告を受けております。日程などはまだまったく決まっていませんけれども、日程等の調整をしていければと思っています。
(北海道新聞)
また今の同じ関連なのですけれども、知事は2030年オリンピック・パラリンピックプロモーション委員会の副会長も務められていますし、あるいは2019年の知事選の際には公約にも、30年五輪招致について進めていくということを掲げられています。そうすると、説明を求めていくというお考えももちろんわかるのですけれど、あらためて現状ではやむなしという判断なのかであるとか、残念とお考えになっているだとか、一緒になって進めてこられた立場としての見解を、あらためて教えてください。
(知事)
私は、これまでの経過、経緯をぜひ調べていただけばわかるのですが、プロモーションとかで機運醸成をしていくという際にも、この一連の東京大会の問題が起きたときにですね、このまま進めることは難しいということを、私はプロモーション(委員会)のこの立場もある中で申し上げて、そういった発言もさせていただく中で、結果としては、そういった機運醸成活動についてはいったん立ち止まるということで、市長はじめ皆さんもご判断されたのだというふうに思っています。さまざまな状況の変化の中で、それぞれ私の立場の中で考えたことをお話しし、また、ご対応いただけてきたのではないかというふうには思っているところでありますが、いずれにしても、市民の理解が広がっていないという札幌市長の認識と私の認識については、前回も申し上げましたけれども、その点は認識は同じであります。
(北海道新聞)
そうすると今回の30年招致(活動の中止)については、やむなしというふうに捉えていると、そういうことでしょうか。
(知事)
まずはJOCと札幌市で共同会見を行いました。確かにテレビなどで私も拝見いたしましたが、どういった状況の中で、そういった形で皆さんにお話ししたのかについての説明などはお伺いしておりませんので、まずは、しっかりお伺いすることが大事ではないかというふうに思っています。
(北海道新聞)
いったん、ちょっと34年以降の話について伺いたいのですけれど、この間の会見は知事もご覧になったと思うのですが、札幌市とJOCとしては2034年以降の大会の開催招致を目指していくという考えだと、34年以降の招致に知事として、北海道としてどのように関わっていきたいか、あらためてお考えを教えてください。
(知事)
34年以降については、JOCの山下会長はそういった趣旨のご発言をされていましたけれども、そのターゲットをどうするかなどについても、まだJOCと札幌市の中では、決まったという形ではないのではないかなと思っていますので、その点も含めて説明をお伺いしながら、道として対応が何か必要なのか、必要ではないのか、そういうことについても考えていきたいと思います。
(NHK)
先ほど、札幌市側から秋元市長が、近々というのはいつかわかりませんけれど、知事のところにお越しになるという意向があるという話はあったとご説明ありましたけれども、率直に知事ご自身としてというか、知事も一札幌市民でいらしたかと思うのですけれども、先ほどの理解が広がっていないという認識はご一緒だという話もありましたが、今後、仮に札幌市が引き続きオリンピックを招致するという方向に、引き続き舵を切るとした場合にどういうふうにすると、いわゆる市民、道民の理解が広がっていくと思いますか。というか、例えばこういうようなことをしていくべきなのではないかみたいな、何かもしお考えなどがあったら、ちょっとぜひ伺えればと思います。
(知事)
まず、30年の招致については中止ということでありますので、これは大きな一つの節目なのだと思います。ですから、そういった大事なタイミングだと思いますから、これまで招致に前向きで協力していただいていた方や、またそうではない方もいらっしゃる中で、30年は中止しましたということについて、まず、共通の理解をすることが大事だと思います。そこがよくか分からないという状況の中で、新しいことを何か考えても、なかなかそれは、ましてや競技会場になっているところや、さまざま協力してきた方々も、誰も何もわからない状況になっているわけですから、そこはまず、しっかりと丁寧に説明することが、今後どういう形で取り組みを進めていくのか、いかないのかも含めて、重要になるのではないかなと思います。
(NHK)
繰り返しになってしまうのですけれど、そうするとやはりいったん、今の意思決定というのが11日に行われたタイミングという、札幌市とJOCの決定を、まずは関係者含めてしっかりと歩みを揃えて、共通理解を醸成していくということが、次の一歩につながるのではないかと、そういうような今ご認識でいらっしゃるということでしょうか。
(知事)
最低限、必要なことだと思います。
(朝日新聞)
大きく二つテーマがあるのですけれども、まず一つは外国人技能実習制度についてです。知事がメンバーを務めていらっしゃる外国人技能実習制度のあり方を検討する政府の有識者会議が、近く報告書を取りまとめる予定になっています。中でも、北海道に影響のありそうな転籍制限の緩和についてお伺いしたいのですけれども、3年の実習を経て特定技能に移行すると、道外に移ってしまう実習生が他府県と比べると多いと、北海道は指摘されています。まず、なぜ道外に移ってしまう実習生が多いとお考えでしょうか。その理由についてお尋ねしたいと思います。
(知事)
道が実施した調査におきましては、技能実習終了後、給与、そして生活環境などを理由といたしまして、約2割の実習生が道外へ就労するという実態があるところであります。理由はそういったものを挙げていらっしゃいます。このため、道では、これまでも外国人材定着の好事例等を紹介する企業向けのセミナーですとか、交流座談会、国の機関や経済団体等関係機関と連携しながら、よりよい就労環境づくりといったものに取り組んでまいりました。
新制度がどのような制度になるかの結論は出ていないという状況にあります。転籍制限が緩和された場合などの影響ですね、現時点で、なかなか見通すことは難しいわけでありますが、いずれにしても、引き続きこうした取り組みをしっかりと通じながら、外国人労働者の方々に選ばれ、そして働き暮らしやすい、そういった環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。
(朝日新聞)
以前知事は、有識者会議に対して、実習生については一定の就労期間を確保することが必要であるという要望を申し入れされています。道内の農業や漁業のですね、持続可能性、人手不足が指摘されている職場のですね、継続して続けるために、最低限どのくらいの期間の就労期間というものを確保することが必要だとお考えでしょうか。
(知事)
まさにその期間については、今さまざまな意見があります。(有識者会議の)内容については非公開ですから、そこは差し控えたいというふうに思いますが、私自身が発言してきたことについては、お話しして良いということでありますので少し触れますが、まず、現行制度のように転籍が制限されることは、人権保護などの面から課題も多いということから、この転籍制限の緩和ですね、必要ではないかというご意見があります。一方で、転籍制限をなくしてしまった場合、今のご質問につながってくるわけですが、企業側にとっては、技能習得には一定の期間を確保する必要があるということ、それと、転籍によって人材の確保が難しくなるという恐れがあるということ。また、実習生側にとっても、適正な人材育成が行われないといった問題があります。一定の就労期間を確保することは、私は必要という考えでありまして、有識者会議の場でも、今申し上げたような道の考え方について提案をしてきているところであります。
(朝日新聞)
少し繰り返しになるかもしれませんが、その転籍制限の緩和について、知事は唯一、知事として、都道府県知事として唯一、有識者会議のメンバーでいらっしゃるというお立場から、地域の声を代弁するお立場なのかなと考えます。その中で、転籍制限の緩和についてですね、何か地域の実情を踏まえて要望したいこと、あらためてありますでしょうか。
(知事)
やはりこの新制度においてですね、人材を確保するための取り組みというのは、まさに今、非常に重要な状況にあります。特に、人口減少が著しい地域、過疎地域をはじめですね、そういった地域、また本道においても、水産加工をはじめとして、現に多くの技能実習生がご活躍されております。産業を持続可能な形で支える上で、現時点でも欠くことのできない人材がご活躍いただいている、そういった現状も踏まえた中で、新制度については、適切な議論が行われるべきだと思っています。今後も発言や提案の機会がございますし、取りまとめにおいても、さまざま意見が出ています。これは私だけではなくて、構成している(委員の)皆さんからも、さまざまな意見が出ておりますので、そういった声を事務局にもしっかり伝えながら、取りまとめに参画していきたいというふうに思います。
(朝日新聞)
もう一つ、別のテーマなのですけれども、少し前の話になります。これまでの会見で出ていますけれども、寿都町のほうでですね、今月初め、町議選があって、高レベル放射性廃棄物の最終処分場に賛成する議員の数が反対を上回っています。近く寿都町と神恵内村での文献調査の報告書がまとまって、いずれも概要調査の適地であるというような内容になるという見通しになっています。その内容を問わず、知事は概要調査に進むことは反対されるというお考えですけれども、反対するお考えについて変わりがないのかということと、例えばですけれども、道外の他の地域が文献調査に名乗りを上げる、この前の対馬市のような動きがあった場合ですね、実際その文献調査に名乗りを上げたところが現れたとしても、今のところ反対するお考えは変わらないのでしょうか。それについてお聞かせください。
(知事)
考えは変わりませんし、他の地域がどうご判断されるのかというのは、それは他の地域において、さまざまな背景のもとでお考えになられることであるというふうに思いますので、そのこと自身がですね、何か道の考え方に、直接的に作用するということにはならないというふうに考えています。
(朝日新聞)
寿都町の町議選の結果で、賛成派が上回ったということについては、どのように受け止めていらっしゃいますか。
(知事)
これは、あらゆる選挙において言えることですけれども、有権者の方々がですね、さまざまな政策などを、これは選挙ですから訴えますので、そういったものを踏まえた中でご判断されたことでありますから、そのことについてのコメントは控えたいと思います。
(朝日新聞)
それと、もし知事が(概要調査移行に)反対された場合ですね、文献調査の段階で神恵内村と寿都町での調査がストップするということになると思います。国の原子力政策の欠陥と言われている「トイレなきマンション」と言われた状況ですね、これについては当面、相当な期間がかかるかもしれませんが、日本はその克服ができない、解消できないという状況になりますが、そのことについて意識されることはありますか。
(知事)
この問題は、これも何度もこちら(記者会見)で申し上げているのですが、北海道だけの問題ではございません。これは原発立地地域のみならずですね、全国の課題でありますので、そういった取り組みを国においても、しっかり国が責任を持ってですね、進めていくよう要請もしておりますし、その考え自体を、しっかり私自身もですね、多くの方に理解していただくべく、取り組んでいきたいと思っています。
(朝日新聞)
今のところ概要調査に移行することについて、反対されるお考えに変わりはないということでよろしいでしょうか。
(知事)
それは先ほど申し上げたとおりです。
(毎日新聞)
札幌冬季五輪の30年招致の断念と、あと、北海道新幹線の関係で伺いたいのですけれども、今週、国土交通省さんとJR北海道さんが(30年招致)断念ということになったけれども、(北海道新幹線は)スケジュールどおりの開業を目指すということで、記者会見されていますけれども、一部報道ではですね、元々工事の遅れもありますし、30年度末の開業というのを目指さなくてもいいのではないかという、政府関係者の話があるというのが出ていましたけれども、この点について、知事がどのような考えを持っていらっしゃるのかというのを教えてください。
(知事)
これは先日10日だったと思うのですが、斉藤国土交通大臣もですね、現在、鉄道・運輸機構において工事の遅れを軽減すべく、工程の工夫策などについて受注者などと協議を行いながら、鋭意工事を進めており、現時点において開業目標を変更したという事実はない、ということでご発言されております。そのとおりなのではないかというふうに思います。
(毎日新聞)
知事としても、スケジュールどおり30年度末の開業を求めているということですか。
(知事)
これはですね、有識者報告書ということで取りまとめられた際も、私から直接、30年度末の札幌までの完成、開業の実現に向けてということで、国に申し入れを行っていますので、建設工事が円滑に、安全に進むようにということで、沿線の自治体の皆さま、関係者の方々とも、これは一丸となって取り組んでいきたいという考えです。
(朝日新聞)
私も五輪の関係です。先ほど知事は、秋元市長が民意の確認を行うというふうなご説明をされましたけれども、その民意の確認の方法として、現在、札幌市では住民、市民団体の直接請求の運動があって、住民投票で決めるべきだという動きが出ています。秋元市長自身も、住民投票で決めることは選択肢の一つだというふうなご発言もされております。その上で、知事がお考えになる、今いろいろとここまで混乱といいますか、延び延びになっている五輪の招致を決める手法として、住民投票はふさわしいのか、ふさわしくないのか、そのあたりのお考えを聞かせてください。
(知事)
民意の確認の仕方についても、これまでは2030年を目指してやるか、という話でしたけれども、今の時点で、2034年以降を探るということであるのですけれども、ターゲットをどうしていくのか、また、どう考えているのかというのは、まさにJOCと札幌市が、まず考えを整理しないと。また、その民意の確認方法についても、どういった形が最も適切な反映の仕方なのか、こういったことについては、しっかり双方ですり合わせる必要があるのではないかというふうに思っています。いずれにしても、まずは中止という状況がありますので、内容についてできれば直接お伺いしながら、道としての対応については考えていきたいと思います。
(朝日新聞)
同じく関連ですけれども、そもそも現状の見立てでいきますと、もう34年はソルトレークシティーが最有力だというふうにも言われています。そうなると38年の大会ということで、今からもう15年先にもなるわけですから、そういう意味で一部には、もういったん(五輪の招致を)白紙に戻すべきだというふうな考え方も合理的かと思うのですけれども、いったん白紙に戻すべきだというお考えは知事はお持ちですか。
(知事)
さまざまな意見が、それはあるということだと思います。さらには、30年(招致)を中止するということを決定したわけですから、そういった状況の中で、どういった確認の方法があるのかというお話とともに、今後、ターゲットをそもそもどうしていくのかというところも、JOCと札幌市で、やはりしっかり考える必要があるのではないかと思っています。ですので、この招致を続けるということに対し、何か皆さんの確認を取るということもあり得るのかもしれませんし、そこはさまざま、まさに今後、検討していくべき話を、確認の方法とともに、だから何を目指すのかというところが決まらないと、そういった話にはなっていかないのではないかなと。いずれにしても、今、30年が中止になったわけですから、それを市民はニュースとかで見たのだと思うのですが、結構急なお話であったと受け止めている人もいるのではないかとも思いますし、ですので、まずは今の現状をみんなと共有するというのが、最低限必要なことで、そこからまた再度、節目ですから、進めていく話なのだろうと思います。
(北海道新聞)
ラピダスの誘致について伺います。知事は、今年2月中旬にラピダス本社の小池社長を訪ねてプレゼンしたことを踏まえてですね、今春の知事選の全道各地での演説で、小池社長が、知事の政策がうちの会社とぴったり合っているから北海道に決めたと言ってくれたですとか、私が知事を続けないでどうするのかなどと繰り返して、誘致を自身の実績とアピールされていました。当選後の4月25日、公務の場でもですね、三菱UFJ銀行との連携協定を東京都で結んだ際も、自身のプレゼンを上げてですね、立地を決めていただいたと発言しているのですけれども、一方、最近こうしたですね、自身の実績だという表現があまり聞かれないように感じるのですけれども、あらためて、今もご自身の実績との認識は変わっていないのか、それとも、何か状況ですとか考えに変化があるのでしょうか。
(知事)
私は事実関係をお話ししてですね、マスコミの皆さんにも公開の中で、小池社長もその進出決定にあってのコメントをされています。ですから、そのやり取りの内容も踏まえて、お話しさせていただきました。そのことに、事実としてお話ししていることについて何か変わるだとか、そういったことはないということです。
(北海道新聞)
関連で、ラピダス進出についてなのですけれども、進出は道内に大きな経済効果をもたらしますけれども、どうしても課題やリスクもはらんでいます。例えば、電力についてなのですけれども、弊社の取材では、ラピダスは2027年の量産開始以降、道内使用の1割から2割となる60万キロワット程度の電力利用を想定しているとされていて、ここに関連産業集積などによる需要の上乗せも見込まれます。電力供給体制が十分なのか不安もある上、道庁のエネルギー関連政策にも多大な影響を与えることになりますけれども、道はこの問題にどう取り組むのかということと、知事が権限を持つ泊原発再稼働の流れが強まる可能性もあるのですけれど、再稼働論議への影響というのを、どう見ていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
まず、消費電力の量ですか、今ご質問の前提となっているものというのは、どういった情報でそういうお話になっているのですか。2割とか。
(北海道新聞)
60万キロワットなので、道内の全体の使用量の一番使うときは、電力量が一番大きいときは1割ですけれど、少ないときは2割になるという、そういう前提でお話ししているのですけれど。
(知事)
電力をはじめとする生産コストに関するものは(企業の)機密情報ですから、それはどういった前提なのかちょっと私は分かりかねますので、そういった前提であれば、コメントは難しいかなと思います。
(北海道新聞)
60万キロワットは、そうしたらそういうことでですね、大量の電力を使うことになるということの前提で、ちょっと教えていただけますでしょうか。
(知事)
ラピダス社として当然、進出にあってですね、電力事業者と当然協議して、進出というのは決めますので、そういった状況の中で(協議が)行われていると考えています。
(北海道新聞)
こういう電力のことに関しては、道庁さんとしては特に関わっていかないということ、あくまで民間同士のやり取りですということなのですか。
(知事)
基本的には、電力を確保していくにあっては、電力事業者の方とですね、進出にあってさまざま協議した中で、ボリュームなどについては企業の今後の生産力などの機密情報だということだと思いますけれども、さまざま協議、そういったものが行われているというふうに考えています。道としては当然、再エネのポテンシャルがありますので、そういったものをしっかり活用いただけるようにですね、取り組みは進めていくのですけれども、道が何か主体的に電力事業会社を立ち上げるとか、そういうことではなくてですね、政策として、再エネの賦存量が高いですから、そういったものを有効に活用できるような取り組みについては、投資も促しながら取り組みをしていきたいと思いますし、その点においては、電力事業者とも当然連携してですね、政策を進めていきたいというふうに思います。
(北海道新聞)
もう一点、今の電力の話もそうなのですけれども、ラピダスの進出を巡ってはですね、既に建設人材の奪い合いによる他地域の工事への影響が出ているほか、人口や経済のさらなる道央圏ですとか、札幌市への一極集中をもたらすとの懸念も、道議会などでも指摘されているわけですけれども、知事は、先ほどもご発言があったように、自身で誘致してですね、これを実績と強調してきた以上は、こういったさまざまな課題ですとかリスク、自身は責任を負っているという認識はありますでしょうか。
(知事)
そこはさまざま自治体として取り組まなければならないこと、自治体も広域自治体や基礎自治体である地元千歳市、また国、そしてラピダス社自身、さまざま当然、プロジェクトの成功に向けて役割を果たしていかなければなりませんので、ましてや非常に大規模なプロジェクトでもありますので、その影響もですね、プラスの影響と、また、懸念を示されていることなどもありますので、そこに対して、広域自治体としてできることをしっかりやっていく、このことは大事だと思いますし、道庁のトップである知事として、しっかり対策を講じていかなければならないというふうに思っています。いずれにしても、地元千歳市や国、そしてわれわれもそうですが、多くの方々と連携して、このプロジェクトの成功に向けて取り組みを進めていきたいと考えています。
(北海道新聞)
最後に、やはり知事がですね、冒頭ありましたように、ラピダスを誘致したのかどうかというのが、ちょっと先ほどよく分からなかったのですけれども、知事が今年2月中旬にプレゼンを行う3カ月前の昨年11月時点で、ラピダスは千歳市と接触してですね、具体的な進出の交渉に入ってきたことが、弊社の取材で明らかになっているのですけれども、知事は一方で、先ほど事実を述べただけとおっしゃっていたのですけれど、例えば知事選中の4月8日ですね、札幌市豊平区での街頭演説では、今日、北海道新聞一面でラピダスが記事になっていたけれども、残念ながら鈴木知事が誘致したとは書いてくれなかった、本当はぜひ書いてほしいなどと語ってですね、かなり明確に自身が誘致したとおっしゃっているのですけれども、そういう理解でいいでしょうか。
(知事)
街頭演説で、新聞の表記に対して私は編集権限はないわけですけれど、道がプレゼンなどもしてですね、小池社長もいろいろな発言をして、当然、進出は私だけがやっているわけではなくて、地元の千歳市だとか、いろいろな関係者の協力があってですね、当然やるわけですし、私も知事という立場で、当然仕事をしていますけれども、多くの道庁職員をはじめ、さまざまな方が関係して、もっと言えば、ラピダス社も本当にゼロから立ち上げてですね、このビッグプロジェクトに挑戦しようという方々が集まって取り組みを進めてきたわけですから、それは、誰か一人がどうこうということでは当然ないですけれども。ただ、私が先ほどの質問の中で事実を申し上げたのですよということについては、ご質問の中で聞かれた内容が、要はフルオープンの中で、小池さんも私も話をしている中で、その趣旨の発言はしているということを申し上げたところです。それは議事録とかに載っているので、それは確認していただければいいのではないかなと思いますけれども、そういった認識に、事実関係に変更はないですということを申し上げたところです。
(朝日新聞)
二点あって、まず一点目からなのですが、先日、参議院議員の鈴木宗男氏が除名になる前に維新(の会)から離党されました。知事は、1期目も2期目も選挙において鈴木氏がオーナーである新党大地のほうから推薦を受けていると思います。一連のロシアに関する発言を、ある種、知事を支持した支持母体の一部である団体のオーナーである鈴木氏ということで、知事ご自身はどのように受け止めて、また今後、鈴木氏並びに(新党)大地との関係というのをどのように考えているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
(知事)
これは、前回、記者会見でご質問いただいて、(ロシアへの)渡航自体が懸念ある行為であったということで申し上げたところでありますが、政治家個人としての判断で行動されたのだと思いますけれども、懸念のある行動であったということで申し上げたところです。維新の離党ですとか、一部で除名の議論があっただとか、そういった内容については、党におけるそういった対応に関して、私はコメントする立場にはないというふうに思っています。新党大地という政治団体において、今後どのように鈴木代表が対応されていくのかについても、それは代表である鈴木代表がお考えになられることなのだと思います。私は知事として、北海道のために道政を運営する上で、どういった対応が適切であるかということを絶えず考えて、政党や政治団体との関係について考えていきたいと思っています。
(朝日新聞)
確認なのですが、今の時点では、新党大地から推薦を受けてきたということについては、まだ特段その対応を考えていないということでよろしいのでしょうか。
(知事)
そうですね。推薦を受けたということは事実でありますが、推薦を受けた政党の活動について、知事として、この定例記者会見でもって、何か論評するだとか、これがいいとか悪いとか、そういったことを申し上げることは控えたいと思います。
(朝日新聞)
ということは、次の選挙があるまでは、特段コメントとか、次に推薦を受けるとか、そういうことがない限り、特段(新党)大地との関係というのは、前回、この間の、先日の選挙で推薦を受けたという事実以外は特にないということでよろしいのですかね。
(知事)
鈴木代表、鈴木宗男参議院議員が、この北海道を中心にさまざまな活動をされる状況が当然あるわけですから、そういった中で、個別に政治家の方々と知事としていろいろ向き合っていく中で、当然、北海道にとって、道政運営上、どう対応していくことが適切なのかというのは、当然さまざま考えながら、取り組みを進めていくということになります。
(朝日新聞)
あともう一点なのですけれども、先日、経済部のほうから、知事の肝いりの事業でもありますお米・牛乳子育て応援事業について、10月1日から3日の申請、期限締め切り後の申請について、270件については審査を行い、要件を満たしている場合には支給対象とするという発表がありました。これは実施要領等でも期限が示されていて、そしてこの270件以外のところについては、逆に言うと、もう(受付返信)メールの内容を直したからなどの理由で支給対象としないということで、不公平感もある内容になっているのですが、このあたりのまず一点目としては、知事としてはこの一部だけ支給を認めるという点についてどうお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。
(知事)
これは私も報告を受けまして、大変難しい問題だというふうに思ったわけでありますが、まず、今ご質問にあったとおり、(申請期限は)原則9月30日。8月から9月に生まれた新生児を対象とする申請については10月31日ということで、二つに分かれているのですね。新生児以外は9月30日までが締め切りですよ、新生児については10月末までですよということです。そしてこの受け付けのシステム改修を直ちに行うべきだったのだと、今、報告を受ければ思うわけでありますが、その改修が行われずに10月1日から3日までの3日間については、新生児以外を対象とした申請が受け付けできてしまう状況になっており、さらに、この申請をした方については、申請を受理して支給する旨を記載したメールが送られるという、そういう事案であります。
この事案を協議した結果、270件、まだ書類が完全に整っているかどうかというのは、これは確認を当然していくわけですけれども、基本的には、まず一義的に委託事業者の責任ではあるのですけれども、道としても確認、指示が十分ではないというところがあります。また、申請者の方々に対して誤認されるメールを送っているという状況もあります。こういったことなどを勘案しますと、最大270件でありますけれども、こういった方々に対しては、特例的に対象にするということで判断したというものです。
(朝日新聞)
今のお話ですと、その判断をしたというのは、最終的には、これは知事のご判断ということでよろしいでしょうか。
(知事)
当然、それぞれの部などで考えを整理して、私も報告を受けて、この方向性でやるべきではないかということで判断しました。
(朝日新聞)
ここでお伺いしたいのですけれども、つまり270件について、すべてを認めれば200万円ぐらいか200万円を超える、余分なお金が必要になってくるという点と、一義的には事業者が悪いのだけれども、道も悪かったということで、結局その責任の所在があいまいになっていると思うのですが、これについてのまず責任はどこに、誰にあるのかという点と、もう一つは、その200万円なり余分にお金が掛かると、この費用というのは何を根拠にもって、どこから出すものなのか、そのあたりというのはどうなっているのでしょうか。
(知事)
これはまず、事業者のほうの一義的な責任というのは当然あるのですけれども、道としても、先ほど申し上げたような確認だとか、指示だとか、そういった点において課題があったというふうに思います。一方で、申請された方につきましては、システム上、受け付けができる状況で、一応、(支給)対象について記載はされているのですけれども、受け付けができる(状況)、さらには、確認のメールが、支給する旨のメールが届くという状況などもありますので、そういった状況から、先ほど申し上げたように、総合的に判断したところであります。予算については当然、その事業の範囲の中で支給するという形になります。
(朝日新聞)
そうすると、その事業の範囲内の中でカバーできるコストであるから(支給)するという、そういう理解でよろしいですか。
(知事)
当然、それ(予算)を超過するとか、そういう状況にあっては、議会でお認めいただいた予算超過の対応が必要になるわけでありますが、そういった状況にはないというふうに把握しています。
(朝日新聞)
この件なのですけれども、新型コロナを巡る一連の各種こういった事業については、主に2社ぐらいが道と随意契約を結んで契約してきています。そして、この件に関してもそれらの一つとして、プロポーザル方式という形ではありますが随意契約しており、公表資料によれば44億円という巨額のお金が使われています。プロポーザルをまず判断したのは、メンバーを見ますと道庁の各部のしかるべき方々であります。このプロポーザルに基づいて行われた、このようなずさんな事業については、当然責任を負うべき人が道庁内にいると思うのですが、いかがでしょうか。
(知事)
今回の件については、やはりしっかりそれぞれの事業者と、また道庁としても課題があったわけですから、そこは双方しっかり整理した上で、こういったことが起きぬよう、しっかり取り組みを進めていくべきだと思っています。その旨を私からも指示しているところであります。
(朝日新聞)
プロポーザル方式の判断、評価をしたのはあくまで、繰り返しになりますが道庁であり、道庁のしかるべき担当者であり、その計画に基づいて事業者が行ったことについて、ミスがあったというのが一つですね。あと、契約書のほうはまだ公表されていないので分かりませんが、道の他の契約とかを参考にしますと、事業者に瑕疵があった場合は事業者に賠償を求めるというお話もあると思います。そういう項目は、通常は盛り込まれると思います。先日、電通北海道の件でもお尋ねしましたが、結局その事業者、相手の事業者に対して責任や賠償を問うということについて、道はやや後ろ向きなことが多いのではないかと思うのですけれども、これは、やはり巨額のプロポーザル方式で随意契約であるから、余計にしっかり追及すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
(知事)
そこは、甘いとかどうとかということではなくて、告発等については、他の自治体の事例なども参考にしながら、そこは当然のことですけれども、感情的なものとかそういうことではなくて、しっかりと冷静に、類似する状況などを踏まえた中で判断しなければならないというふうに思います。当然、契約行為における賠償の必要性などについても同様で、そういった対応をしていくべきだし、そうしていきます。
(北海道新聞)
今のお米と牛乳券の事業に関連して、質問として繰り返しで重なってしまうのですけれども、この事業を巡ってはですね、5月にも事務手続きミスが発生していると思うのですけれども、そのとき知事は再発防止を徹底するというようなお話をされたと思います。今回再びですね、こういった手続きミスが発生してしまったことについては、どう受け止めていらっしゃいますか。
(知事)
これは本当に多くの方々にご申請いただいて、申請も8割を超える、87.1パーセントぐらいという状況で、ご利用いただいて、本当に多くの方々にご申請いただきました。申請にあってはですね、さまざまマスコミの方々にもご協力いただいた中で取り組みを進めてきました。一方で、先ほどお話のあったように、当初の段階で、システムにアクセスが集中して、そういう問題が起きました。いわゆる宙に浮いたような形の申請を、個別連絡によって対応を確認しなければならないような事例も生じました。今回さらに、申請の締め切りを過ぎた中で、受け付けができるような形でシステムが存続し、(10月)1日、2日、3日に受け付けが270件なされたということでありますので、これは非常に重く受け止めるべき話であるというふうに思っています。私からも、担当などから話を聞いた中でですね、しっかり事業者、また担当において、この問題点の整理なども指示したところであります。新生児についてはですね、10月の末までご申請いただける状況が今も続いていますので、お生まれになって、さまざまな手続きが集中しますので、なかなか申請がすぐにできない方もいらっしゃると思いますので、10月末までの新生児の対応などについても、自治体などともしっかり連携して丁寧に対応しながら、この事業効果というものを最大のものにするべく、取り組みを進めていきたいと考えています。
(北海道新聞)
関連して、今回87%の申請があったということなのですけれども、大阪府などは第2弾の同じような事業というのをやっていたりするのですけれども、知事としてですね、お米と牛乳券を配布するような事業というのを、継続して実施するようなお考えというのはございますでしょうか。
(知事)
まず、10月まで新生児の方の申請がありますので、まずはしっかり皆さんに申請いただけるように取り組みを進めていきます。また、国の経済対策なども踏まえてですね、道としても対策検討の指示を今しているところでありますので、今後、そういった(国の)経済対策と呼応してですね、さまざまな道としての対応について、この事業をやるとか、そういう話ではないのですが、検討はしていきたいなと思います。
(北海道新聞)
話題が変わりまして、宿泊税についてお伺いしたいと思います。知事は先週の記者会見で、宿泊税の導入に関して、今月から市町村を訪問して意見を聞くとご説明していてですね、今後、道と市町村との間で、具体的な使途に関する調整、市町村が具体的な使途を示すようにとおっしゃっていると思うのですけれども、そういったものの調整が行われるとこちらは認識しています。確認ですけれども、市町村との協議が始まる状況になったということは、道として、今まであいまいな答えに終始していた使途に関する具体的な説明ができる段階になったというような認識でよろしいのでしょうか。
(知事)
まず、懇談会でお示しした、たたき台を基にですね、さまざま道議会においても、今議会においてご議論がありました。そういったことを踏まえて、今後さらに検討は深めていきます。それとともに、このたたき台を基とした懇談会における状況などをベースに、さまざま検討している自治体がありますので、今月から各地を訪問する予定であります。それぞれ各地域でお考えがあろうかと思いますので、さまざまな地域の担当の皆さんからお話をお伺いしたいというふうに思っています。その具体的な詳細については、今まさに調整中なわけでありますが、詳細については担当部局にお尋ねいただければと思います。
(北海道新聞)
前回の懇談会でもですね、やはり市町村からは入口論のところの具体的な使い道というのが全く見えない中で、税収の見込み額を示すのはどうなのかというようなご指摘があったと思います。当然市町村のほうも、そういった協議をするために、道庁としても訪問するのだというような認識を持っている自治体も多いとは思うのですけれども、これはちょっと先の話になってしまうのかもしれないですけれども、税収の使い道と税額設定というのは表裏一体の関係にあると思います。現在のたたき台で示している年間60億の税収見込みについては、全市町村との使途に関する協議をする中で、変化していく、変動してくる可能性があるという理解でよろしいでしょうか。
(知事)
まず、たたき台をお示しさせていただいて、イメージをお示しした中で、予想される宿泊者数を乗じて約60億円という試算結果をお示ししたところであります。これはあくまで試算であります。今回設定した段階的定額制を採用した場合のイメージとしてお示しさせていただきました。また、使途についても、観光の高付加価値化、観光サービス・観光インフラの充実・強化、危機対応力の強化といった方向性と、取り組みの例などについてお示しさせていただいたところであります。いずれにしてもですね、税収や使途、その規模感、こういったものについては整理していく必要があるというふうには考えています。
(北海道新聞)
ということは、協議の中で、今、たたき台が示されていると思うのですけれども、新たなたたき台というのですかね、協議を踏まえた上でのたたき台みたいなものも、今後示していくというようなお考えでよろしいでしょうか。
(知事)
まずは市町村に訪問して、懇談会でたたき台をお示しした中でさまざまご意見をいただいております。また、道議会においてもさまざまな議論がありました。こういったことを今後さらに検討を深めていくとともにですね、今月から各地を訪問した中で、各自治体のお考えをお聞かせいただくことを進めていきたいというふうに思っています。いずれにしても、税を検討する市町村とも十分に調整を図ってですね、宿泊事業者の皆さま、道内に宿泊される方々のご意見も伺うということ、また、税の検討を行っていない市町村とも、今後、意見交換の場を設けるということなど、丁寧にですね、取りまとめ自体は行っていきたいというふうに思っています。
(北海道新聞)
再度確認になってしまうのですけれども、そういった協議をする中で、もう一度協議を踏まえて、今回、いわゆる年間60億の税収見込みというようなものを示した、たたき台を示したと思うのですけれども、あらためてたたき台みたいなものも示していくというお考えでよいのかというのを、ちょっと伺っているのですけれど。
(知事)
今月(市町村を)回るときは、たたき台というのは決まっているわけですね。ですから、それをご説明しながら、皆さんのお考えもお聞きしながらですね、まずは訪問させていただきたいというところです。
(北海道新聞)
もう一点、宿泊税の関係で、今月上旬のですね、道議会の知事総括質疑の中で、道内宿泊者に対して、宿泊税導入に関するアンケートを実施するというようなご答弁をされていたと思います。このアンケート自体はいつごろ始める予定で、どういった内容を聞くのか、
それと、宿泊者に聞いた意見というのは当然、宿泊税の制度の中に反映させていくというお考えなのかどうか、伺いたいと思います。
(知事)
そこはまだ、具体的なアンケートの詳細など、私自身報告を受けていないのですが、担当から何かありますか。
(経済部観光局国際戦略担当課長)
今、そこら辺は調整中ですので、固まり次第、また皆さんにお知らせいたします。
(北海道新聞)
北海道医療大学の移転について伺います。今週火曜日の10日にですね、北広島市とボールパークの運営会社と、あと北海道医療大学の運営法人で協定を締結しました。これは同じ道内への移転ではあるのですけれども、元々大学のあった当別町だとですね、人口減少とか地域経済などに大きな影響が予想されます。あらためて知事の受け止めをお聞かせください。
(知事)
今ご質問ありましたけれども、基本合意の締結ということでありました。当別町のほうは、北海道医療大学、学生たちと40年を超える付き合いと絆もあって、学生や教員の減少によって、飲食、商店街、住居を提供する不動産賃貸業や公共交通など、地域経済への影響について懸念しているということで承知しています。当別町においては、商工会と連携して、影響を受ける事業者向けの相談窓口を10日に開設いたしました。道としても、町とは石狩振興局がこの間の状況について共有してまいりました。道も町と連携し、北海道医療大学の移転に関する経営金融特別相談室ということで、石狩振興局においても設置させていただきました。道としては、引き続き今後の状況を注視するとともに、事業者の皆さま、そして町や町内関係団体からの相談などについて、道としても適切に対応していきたいと考えています。
(北海道新聞)
関連して締結式でですね、大学運営法人とボールパークの運営会社側とですね、1年ほど前から移転について話し合ってきたということが出ていました。これに伴って、知事と道はですね、医療大の移転について、事前に相談などを受けていたのか、もしそうでないならば移転を知ったのはいつなのかお願いします。
(知事)
道としては9月22日に報道がなされたことによってですね、報道を通じて、その概要については承知いたしました。その後26日に、当別町長から大学側に要望書を提出したことについて、石狩振興局が説明を受けました。28日に公開で行われた大学側の説明会については、(石狩)振興局の職員が参加させていただいて情報収集したと、こういう流れであります。
(北海道新聞)
確認なのですが、報道が出るまで、道としては関知していなかったということですか。
(知事)
そうですね。これは確認したのですが、そういう状況であったということであります。
(読売新聞)
今の医療大の移転の関係なのですが、今の他社さんの質問にもあったように、当別町では元々、まちづくりにも医療大というのがかなり位置づけられていて、その核を一つ失うということもあります。一方で北広島市にはボールパークというところに新しい大学ができるということで、今後のまちづくりをどうしていくかということだと思うのですけれど、知事の考えで、北海道ではいろいろ町と大学の地域づくりというのは結構共同してやっているところもあると思うのですが、特に北広島市、移転先の北広島市で、どのような地域づくりというか、そういったところに主眼を置いてほしいという何かお考えがあればお願いします。
(知事)
そこは三者が今後さまざま検討を具体化されていく中でですね、広域自治体として必要な対応があれば、三者の検討状況について把握した上で、適切に対処できればというふうに思っています。一方、先ほどから繰り返しですけれども、当別町において、さまざまな懸念を町長はじめ示されております。ですから、そういった声にしっかり寄り添いながらですね、適切な相談を実施しながら、その課題を解決するための(支援策などの)ご紹介などですね、この点については、町とも連携しながら適切に対応していきたいと思っています。いずれにしても、今後さまざまな動きがあろうかと思いますので、石狩振興局を中心としてですね、状況は共有していきたいというふうに思います。
(北海道新聞)
すみません、もう一度教えてください。オリンピックの関係で再度お尋ねするのですが、先ほどの質問に対するご回答の中で、市民の理解が広がっていないという市長の認識と、知事の、私の認識は同じだというご発言がありました。これまでも東京大会の事案を受けてこのまま進めるのは難しいと言ってきたというお話もありました。その中で、秋元市長は知事と同じ認識である市民の理解が得られていないと、広がっていないという認識の下、30年招致を断念されたと。では知事としては、その秋元市長が断念されたことについて、これまでこのまま進めるのは難しいと言ってきたという立場も踏まえて、市長の判断が妥当だと思っていらっしゃるのか、あらためて教えてください。
(知事)
まずは、札幌市から説明があるということですから、お伺いしたいと思います。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)