知事定例記者会見
- 日時/令和5年6月16日(金)14:31~15:15
- 場所/記者会見室
- 記者数/23名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 「経済財政運営と改革の基本方針2023」について
- 令和5年度(2023年度)2定補正予算について
記者からの質問
- 次世代半導体について(1)
- 「ゼロカーボン北海道」について(1)
- 「ゼロカーボン北海道」について(2)
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震について
- 道の財政状況について
- 次世代半導体について(2)
- あすなろ福祉会について
- 風力発電計画について(1)
- 風力発電計画について(2)
知事からの話題
「経済財政運営と改革の基本方針2023」について
私から二点、お話させていただきます。
まず一点目であります。本日、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」が閣議決定される見通しであります。昨年の「骨太の方針」では、「ゼロカーボン北海道」をはじめ、食と観光、ウポポイを拠点とした取り組みといった北海道開発の位置付けを明記いただきました。そして本年については、将来にわたり持続可能な活力ある北海道を目指すため、北海道開発の推進はもとより、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震への対策や、電力基盤の増強と海底光ケーブルの整備の加速、さらには道内における次世代半導体の拠点形成に向けた取り組みを加速いただくよう、4月に国に対して要請したところであります。
先週示されました原案の段階では、北海道開発の柱として、新たにデジタル産業の集積促進が位置付けられるなど、本道に関わる記載が大幅に充実されたほか、海底直流送電の整備といった北海道に直接関連する取り組み、さらには半導体産業に関する研究開発といった北海道が対象になり得る取り組みが新たに盛り込まれるなど、北海道の要望が反映される見通しにあると承知しております。また、決定の段階に向けて、今週行いました中央要請においては、アドベンチャートラベルの支援についても記載を求めているということもお聞きしまして、このアドベンチャートラベルの支援についても記載されれば、本年9月に行われますアドベンチャートラベル・ワールドサミットのリアル開催を予定している北海道にとって追い風になると認識しております。今後、この方針に基づいて、令和6年度の国の予算の検討が加速されることに期待しているところであります。
また、先ほど申し上げましたとおり、道としては、今週、来年度の国の概算要求や国の(予算)編成に向けて、私から道選出の国会議員の方々、そして関係する閣僚の方、大臣などに、道の提案要望を行ったところでございまして、この後、ご説明いたします今年度の重点政策も含めて、足元の道民の皆さまの暮らしを守る取り組み、そして北海道の強みを生かした先進的な取り組みを着実に進めていきたいと考えております。
一点目は以上でございます。
令和5年度(2023年度)2定補正予算について
二点目でございます。二点目は令和5年度の重点政策についてであります。
6月22日に開会予定の第2回(北海道議会)定例会に提案を予定しております、令和5年度の補正予算に盛り込んだ重点政策について説明させていただきます。今回の政策予算でありますけれども、私の2期目の公約として掲げた基本政策を実行に移すことはもとより、この2カ月間で、これまで進めてきた取り組みが目に見える形で動き始めていることから、こうした動きを加速させていくための政策を盛り込みました。そこであらためて、本道を巡る最近の動きを振り返ってみたいと思います。
4月に「G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合」が開催されました。このほか、道内での次世代半導体の国産化を目指すラピダス社に対しまして、2600億円を上限とする(国の)追加の支援が決定されました。5月には、北海道の五つの海域が洋上風力発電の「有望な区域」に選定されました。このほか、データセンターなどの整備について、北海道が中核拠点に位置付けられたところであります。さらに、先ほどご説明いたしました「骨太の方針」におきましても、北海道開発の核として、デジタル産業の集積促進などが位置付けられる見通しであります。また5月には、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、社会経済活動が活発化する一方で、物価高騰の長期化により、道民の皆さまの生活および事業者の方々の経営環境は厳しい状況が続いております。
このように、刻一刻と変化する情勢にもしっかり対応していくため、「暮らしを守る」、「未来を創る」、「地域と進める」という三つの視点から、重点政策の取りまとめを行いました。このような考えの下で予算編成を進め、補正予算全体の規模は2776億円となりました。前回4年前の肉付け予算規模は2513億円でしたので、4年前と比較して263億円の増となっております。肉付け予算としては、結果として過去最大のものとなりました。
次に、具体的な政策について説明いたします。まず、「暮らしを守る」であります。エネルギーや食料品等の価格高騰が長期化し、道民の皆さまの生活や事業者の方々の経営環境は、今後も厳しさが続くことが懸念されますことから、3月30日開催の経済対策推進本部において、必要な対策の検討を急ぐよう指示いたしました。5月17日の臨時議会において、総額233億円の補正予算を議決いただき、価格高騰等経済対策を取りまとめたところであります。今回の補正予算においては、肥料の価格が高騰している状況を踏まえ、農業者への支援を行うなど、23億9千万円の予算事業を追加し、これまでと合わせた全体の対策規模は562億6千万円となります。引き続き、地域や事業者の皆さまの声の把握に努めていくとともに、道民の皆さまの暮らしや、中小・小規模事業者の方々への影響が緩和されるよう速やかに準備を進め、各般の施策にしっかりと取り組んでまいります。
続いて、やさしく温かい社会づくりに向け、社会全体で子育てを支える子ども応援社会を推進していきます。これまでの乳幼児医療費助成や保育料の無償化といった道独自の支援に加え、子ども応援社会推進監を司令塔として、保険適用外となる不妊治療医療費や、受診にかかる交通費などを北海道独自に支援していくほか、妊婦や子ども連れの方を優先して案内するなどの「こどもファストトラック」の推進、道営住宅の優先入居など、道の関連政策を総動員して取り組みを進めていきます。さらに、地域医療や福祉の確保、障がい者の活躍促進などによって、全ての道民の皆さまが安心して健やかに暮らせる環境づくりを進めます。また、命と生活を守る基盤づくりに向けて、地震や津波への対策を推進するとともに、地域交通の確保など暮らしを支える環境づくりに取り組むほか、持続可能な一次産業づくりに向け、一次産業の生産性の向上を図り、食料自給率の向上に寄与いたします。
次に、「未来を創る」であります。まず、成長をけん引する産業づくりに向け、次世代半導体製造拠点の整備に向けた支援や、関連産業の集積に向けた取り組みを進めるほか、未来技術実証のテストフィールド化を進めるなど、未来に挑戦する産業づくりに取り組みます。また、本道のポテンシャルを発揮し、「ゼロカーボン北海道」の実現に取り組み、環境と経済が調和した脱炭素化を推進してまいります。世界に輝く魅力づくりに向けては、アドベンチャートラベルをはじめとした観光の高付加価値化などを進めていきます。食の輸出や消費拡大に向けては、道産食品のブランド力強化や販路の拡大を図っていきます。また、移住促進などにより人を呼び込むとともに、本道の産業を支える人材を確保、育成するなど、未来を担う人づくりに取り組んでいきます。
最後に、「地域と進める」であります。共に輝く地域づくりに向け、応援団第二章として、地域おこし協力隊との連携を強化し、地域課題の解決を促進するとともに、179市町村の地域資源を生かしたまちづくりなどの取り組みを支援いたします。重点政策の取りまとめに当たっての考え方については以上であります。
続いて、主な新規事業などをご紹介させていただきます。まずは、海溝型地震対策を加速させるため、特別強化地域となっている39の市町が取り組む避難施設等の整備を支援する事業であります。これは地方負担分のうち、一般財源負担の3分の2と地方債の元利償還金の2分の1を道が負担することで、(結果として)建設年次における市町村の一般財源負担は約1%まで軽減できるものであります。これは、全国的に見てもトップクラスの支援となります。今回の補正予算では、新たに3300万円を計上しております。
次に、次世代半導体製造拠点の本格稼働を見据え、製造、研究、人材育成が一体となった複合拠点の実現に向けた事業であります。具体的には、半導体関連産業の振興に向けた取組方針を策定するほか、道民向けセミナーの開催による理解の促進や、関連企業に対する本道の立地優位性のPRなどを行うものであります。新たに約1億2千万円を計上しております。なお、工場の新増設に対する補助金など、当初予算も含めた関連予算は、総額で21億6千万円となります。
続いて、「ゼロカーボン北海道」の推進に向けた事業であります。今回の補正予算において、100億円規模の基金を創設し、環境と経済の好循環を図りながら、「ゼロカーボン北海道」の実現に向けた取り組みを推進していきます。この基金は、地域支援や産業振興、人材育成などに活用することとし、今年度は、洋上風力に関するサプライチェーンの構築に向けた調査や、関連人材の確保への支援、住宅や集会場などのゼロカーボン化を進めるための省エネ改修などの支援、民間企業の新エネルギー設備導入への支援などを盛り込み、19億円を活用いたします。
次に、観光の高付加価値化に向けた事業であります。アジア初のリアル開催となるアドベンチャートラベル・ワールドサミットを契機に、コロナ禍からの本格的なインバウンドの回復を取り込めるよう、新たにワインツーリズムやケアツーリズムといった付加価値の高い旅行商品をつくり上げる事業に約5700万円を計上したほか、アドベンチャートラベルに対応した新しいアウトドアガイド制度の運営を行う事業に約2900万円を計上いたしました。道産食品の輸出拡大に向けては、新たに海外百貨店でのフェアや、海外のECサイトでのテスト販売を通じ、海外の販路を拡大する事業に約6600万円を計上したほか、東南アジアなどで水産物のPRイベントなどを行う生産者団体を支援する事業に約1300万円を計上いたしました。
最後に、地域おこし協力隊への支援を強化する事業であります。全国最多の人数を誇る本道の地域おこし協力隊のさらなる拡大や活動の支援に向けて、相談窓口の設置や地域定着に向けた起業、就業支援など、入り口から出口まで一貫したサポート体制を整えるための事業に2500万円を計上いたしました。
こうした政策を推進するため、「暮らしを守る」、「未来を創る」、「地域と進める」という三つの視点の下、子ども応援社会推進監の設置や、「ゼロカーボン北海道」の推進体制の強化といった体制整備も行ったところであります。政策を推進するための体制と予算事業を両輪として、2期目の政策を強力に推進してまいります。
以上の政策は、22日から始まります第2回定例会においてご議論いただくこととしております。私としては、北海道をさらに前へと進めていくため、本道を取り巻く環境変化を踏まえ、北海道のポテンシャルを最大限発揮しながら、暮らしを守り、未来を創る、この取り組みを地域と共に進めてまいりたい考えであります。
私から以上です。
記者からの質問
(日本経済新聞)
何点かあるのですけれど、まず一点目、半導体のところなのですけれども、知事から先ほど、道としての半導体産業集積に向けた取組方針をまとめられるということですけれども、今後、調査等も進んでいくのかなと思うのですが、現段階で知事として取組方針にこういうものを盛り込みたいとかですね、また取組方針を取りまとめる時期等についてですね、お考えをお伺いできれば。
(知事)
今回、半導体関連産業の集積促進ということで、予算を提案してまいります。ラピダス社の立地、このチャンスを最大限生かしていく、そして次世代半導体の製造、研究、人材育成などが一体となった複合拠点の実現を目指していく、道内企業の取引参入、関連産業の集積などに、産学官が連携してオール北海道で戦略的に取り組んでいく、このことを進めていくために、半導体関連産業の振興に関する取組方針を策定したいと考えています。この方針のもとで、関係者が一丸となって取り組みを進めて、ラピダス社の立地の効果を全道に波及させていくことが重要であると考えています。策定に当たっては、年度内の策定を目指して取り組みを進めていきたいと考えております。
また、予算にあっては、今後の半導体関連産業の集積、ラピダス社の立地はもちろんですが、これも見据えた中で、必要不可欠な用排水施設などの整備を、かつてないスピードで進めていくため、インフラに関する調査も実施していくということも進めていきたいと考えています。
取組方針を策定する、そしてインフラに関する調査を実施していく、こういったことなどを通して、取り組みを進めるために必要な予算を計上したところであります。
(日本経済新聞)
二点目なのですけれども、脱炭素に関するところで、今回100億円規模の基金を設立されましたが、既に民間企業さんからも、先日の三菱UFJ銀行さんからの寄付も活用されているかと思うのですが、今後、民間さんからの寄付も増やしていくということだと思うのですけれども、最終的にどれくらいまで基金、寄付も含めて積み上げていきたいかという今後の先行きのところ、どういうふうにご覧になっているのか、いかがでしょうか。
(知事)
まずは、「ゼロカーボン北海道」の実現につきましては、「骨太の方針」に、今回も案の中では、記載が継続される予定という状況にあります。2050年までの「ゼロカーボン北海道」の実現に向けて、2030年度までの温室効果ガス排出量を2013年度と比較して48%削減、道の事務事業における50%の削減という目標の達成といったものも視野に、取り組みを現在進めているところであります。こうした取り組みにつきましては、中長期的な視点で進めていく必要があるわけであります。
今回の補正予算においては、今ご質問にありました民間からの寄付金といったものも活用し、新たに全国トップクラスとなります100億円規模の「北海道地球温暖化防止対策基金」を設置するところであります。今後も民間の寄付金なども取り込みながら、この基金について運用していきたいと考えています。現時点において、道として、全国トップクラスとなる100億円規模の基金を設置していくことが、さらに民間からの寄付を呼び込んでいく契機になることも期待しているところであります。
令和5年度におきましては、この基金を19億円活用し、洋上風力発電のサプライチェーン構築に向けた調査、人材確保の支援、省エネ住宅の取得、改修など、集会所などの省エネ改修等への支援、地域における新エネ導入に対する支援、こういったものに取り組みながら、この基金の意義、またこの思いというものも、さらに多くの方に周知していきたいと思います。
(読売新聞)
ちょっと今の基金の関係で少し補足でお聞きしたいのですが、今回やはり100億円規模の基金ということで、「ゼロカーボン北海道」の推進を、こういう基金という形で一つの方法とするというのは、今お話ししたように民間企業の寄付を呼び込んだりとか、あと中長期的に脱炭素、ゼロカーボン関係を進めていきたいとか、基金という形をとった狙いをもう少しお聞かせ願ってもよろしいでしょうか。
(知事)
今ご質問にあったとおりですね、この取り組みにつきましては2050年までの取り組みであります。また、2030年までに48%、国においては46%という(温室効果ガス排出量削減の)具体的な数値目標を掲げた上で、中長期的に取り組みを進めていかなければならないというものであります。
「ゼロカーボン北海道」を実現し、環境と経済の好循環を実現していくために、全国でもトップクラスとなる100億円規模の基金を設置したところであります。三菱UFJ銀行から5億円もの寄付をいただいたところでありますが、条例の改正とともに、こういった具体的な目的を持った基金を設置することで、民間から寄付にご協力いただくきっかけにもつながっていくと思っています。
さらには、具体的な目的を持った基金を活用する事業が進展していくことによって、この基金を活用した事業の効果といったものも皆さまにお示ししながら、道民の方々に対する理解とともに、共に脱炭素、カーボンニュートラルへ取り組む経済界、多くの企業の皆さまのご理解を得ながら進めていきたいと考えています。
(北海道新聞)
海溝型地震への支援についてお伺いします。知事は知事選の公約でも太平洋沿岸の自治体への支援を訴えていました。南海トラフ地震の先行事例の補助率は、全額支援した実績のある高知県を除き、3県が2から6%で、それに対して道の補助は、補助率は最終的には9.7%となります。総事業費の1割弱を道が支援するということになりますが、その1割弱とした考えをお聞かせください。
(知事)
今のところ、先行する南海トラフ地震における支援を行っているのが4県あるとお伺いしているところであります。特別強化地域に指定されている市町村の数などにも差がありますので、それぞれ各県において支援内容はさまざまという状況にあります。
今回の道の支援でありますけれども、やはり建設年次において、市町における一般財源負担をしっかり軽減していきたいという思いの中で、さまざま議論をしてきたところであります。結果として、建設年次における市町の一般財源負担は約1%まで軽減されることになります。この点については、先行する他県と比較しても、トップクラスの補助になっていくと考えております。
道として大変厳しい財政状況にあります。厳しい財政状況の中にあっても、道民の皆さまの命、そして暮らしをしっかり守っていくために、ソフト面の対策も重要でありますので、ソフト面の対策も含めて、海溝型地震への備えを一層加速させていきたいという考えの中で、この最終的な数字になったというところであります。
(北海道新聞)
もう一点だったのですけれども、今回補助を出したのは国の特別強化地域に指定されている太平洋沿岸の39市町が対象です。道内はほかに、オホーツク海、日本海にも面しており、残る二つの沿岸の自治体への支援についてはどう考えているのか教えてください。
(知事)
まず特別強化地域に指定されている市町において、現在、計画策定の上で、施設整備などについて一緒になって、さまざま取り組みを進めているところであります。その負担にあっては、今後の議論においても、対象の市町から、道における支援に対する要請、またその内容についてできるだけ早くお示しいただきたいという状況もある中で、さまざま議論を進めてきたところであります。これは当然そうですが、そういった対象地域のみならず、平時から災害に対する備えは多くの地域で取り組んでいかなければならないので、ソフト事業をはじめとして、さまざま広域自治体として、必要な役割については、今後とも果たしていきたいと思います。
(北海道新聞)
道の財政状況について伺います。実質公債費比率は、かつてに比べて改善傾向が見られますけれども、依然として18.9%と全国47都道府県で最低水準が続いていて、今後、上昇も見込まれるような試算です。知事は1期目に稼ぐ道政を掲げて、民間からの政策資金の獲得を目指しましたけれども、財政構造の大きな変化という意味では、3兆円規模の道財政ですので、なかなかそこまで至らないのが現状だと思います。財政難とどう向き合って、今後どう対応していくかについて考えを教えてください。
(知事)
今ご質問にありましたとおり、実質公債費比率につきましては、現在のシミュレーションでは、令和8年が最も厳しい状況になります。私が就任してから、財政状況をできるだけ、将来の実質公債費比率も、トレンドとして低減させるべきであるという考えの下、さまざまな取り組みを進めてきたところです。そういう意味では一定の成果も出てきております。また、財政調整基金の部分も、就任時90億円ぐらいの基金でありましたが、令和4年度末残高につきましては、428億円という過去2番目の水準まで財調(財政調整基金)を積みました。これは、今の足元の本道の状況や、さまざま政策を実行していく上で、どうしても財政調整基金が一定程度必要であるということで、全庁挙げてさまざま取り組みを進めてまいりました。
その結果として今回、「ゼロカーボン北海道」の基金への積み立てや、収支不足への対応については、過去2番目の水準となる財調を結果として活用するという形で、何とか予算編成をすることができたというところがあります。しかしながら、また財調を使うわけですから、厳しい状況があります。ですので、引き続き、歳出の削減、効率化、そして歳入を確保していく取り組みをしっかりと行っていかなければなりません。そして高い水準が続く実質公債費比率を改善していくための減債基金の積み戻しも、私が知事になってから当初予算でやっておりますので、こういったものを(引き続き)やっていく。そして財調について、やはり500億円規模を目指していくことも努めていきたいと考えています。
いずれにいたしましても、道の財政状況は厳しい状況が継続しますので、さまざまな取り組みを継続して行っていくことが必要であることに、ご理解いただければと思います。
(北海道新聞)
別の話題で、ラピダス進出に関わる半導体関連事業の関係なのですけれども、先ほどもご説明あったように、1億2千万円を盛り込んだということなのですけれども、基礎自治体であって、立地自治体である千歳市とは道は性格が違うわけですけれども、千歳市は既にインフラ整備費や調査費などに約26億円を予算付けしています。先進事例であるTSMC(台湾積体電路製造)が進出する熊本県、これももちろんラピダスとTSMCの事情の違いがあるので、比べるのはナンセンスかもしれないのですけれども、進出決定後に、インフラ整備として熊本県は5億円規模の予算付けをした経緯があります。
ここまでの違いというのは、道として、ラピダスや関連産業に直接的にどんな支援をしていくかという、例えば役割分担ですとか、そういったものを検討する時間を道としてきちんと確保して考えたいという意味合いなのか、そもそも、千歳市だったり熊本県と支援に対する考え方、スタンスが違うということなのか、教えていただきたいと思います。
(知事)
ラピダス社、千歳市、国、道ということで、それぞれ役割を果たしながら、前例のない一大プロジェクトであります次世代半導体の、まずはパイロットライン、その後の量産に向けた取り組みを進めていく必要があると思います。まず、広域自治体である道としてやらなければならないことを、しっかりやっていかなければいけないと思っています。その上で、先ほどご質問の回答でお話しさせていただいたのですけれども、デジタル関連全体については夏までに考え方を整理します。その上でラピダスはどうなるのですかという話がありますので、取組方針ということで、今回、予算も計上した上で方針を作っていきます。さらに、今さまざまな課題もあるのですけれども、必要不可欠な用排水施設などの整備も、かつて無いスピードでやっていかなければいけません。それに関する調査を実施していかなければなりません。こういった内容についても、いわゆる立地自治体である千歳市などとお話ししながら、この役割などについてもご相談しながら、予算計上という形で取り組みをさせていただきたいと思っています。当然のことながら、(パイロットライン稼働目標の)2025年、(量産開始目標の)27年に向けて、その時期で必要となる中身も変わっていきますので、例えば熊本県などでは、もう今、建物を建てています。進捗のスピードが非常に速いので、何とかそれを計画どおり進めるためには、それぞれの立場で役割をしっかり果たしていかなければいけませんので、そこは熊本県の取り組みと、厳密に言うといろいろな違いはあるかと思いますけれども、その思いの中で、国や千歳市、北海道やラピダス社はもちろんですけれど、その認識を共有して取り組みを進めていく、これが重要だと思っています。
(北海道新聞)
今の点で確認だったのですけれど、つまり道としての支援が遅いとか、まだまだ少し時間がかかっているということでは、全く違うとそういうことですね。
(知事)
そうですね。我々としてはラピダス社の進出表明があって以来、頻繁にやりとりをしています。千歳市とも当然のことながらやりとりをしています。また、先般、私も上京しまして、千歳市の思いも踏まえてですね、国への要請なども行っております。非常にスピードが速いプロジェクトですので、何とかそのスピードに対応するためには、それぞれの役割をしっかり果たしながら、取り組みを進めていかなければならないと思っています。
(共同通信)
江差町のあすなろ福祉会についてなのですけれど、道が行った監査について、複数の入所者が不妊処置を受けていたことが確認されて、道が文書指導する方針を固めたと、一部報道で確認されていますが、まだ発表前だと思うのですけれど、現時点で、知事のほうの受け止め等ありましたらお聞かせください。
(知事)
監査は現在も継続中であります。そして、その結果につきましては、来週の21日水曜日に、皆さまにお知らせをさせていただきたいというふうに思っておりますので、ご理解いただければと思います。
(日本経済新聞)
先般、双日さんが計画されている風力発電の計画について、小樽市のほうから反対するという旨のですね、意見がありまして、記者会見も行われていました。今後その意見をですね、知事宛てに小樽市としては提出するというふうになっておりますけれども、現段階で知事として現在の双日さんの風力発電の計画についてのお考えを伺えないでしょうか。
(知事)
まず、北海道において「ゼロカーボン北海道」を進めていく、2050年までにカーボンニュートラルを実現していく中で、わが国随一のポテンシャルを、この風力においては、北海道が持っています。ただその活用にあっては、地域の理解の下、環境にやはり十分配慮して事業を進めていくことが大変重要だというふうに考えています。
小樽市、そして余市町のほうから、さまざま報告を受けています。本件については、地域の皆さまの理解が進んでいないという状況であろうというふうに思っています。事業者においては、地域の皆さまの理解が進んでいないという状況を理解の上で、より一層、地元の理解、これに努めていただく、このことが私は必要であると考えています。
今、私としての受け止めを申し上げましたが、手続き的なお話でいいますと、意見書が来ていますので、6月30日に道が主催する公聴会での意見とともに、環境影響評価審議会において審議いただくということとなります。その上で、これを踏まえた中で、8月の中旬をめどに知事意見を作成する、そして経済産業大臣に提出するというスケジュール感になります。
(日本経済新聞)
知事としては、現段階で小樽市、余市町、その地元のほうで理解が得られていない状況では、知事意見を出す際にも、計画を進めるのはなかなか難しいというような、そういう意見にならざるを得ない状況なのでしょうか。
(知事)
私としては理解が得られていないのではないかと、まずそれにしっかり努めるべきであるというふうに考えますが、これは私の思いでありますので、環境影響評価審議会に審議いただくということが、まずは必要になりますので、そのような手続きを進めていくということになります。
(日本経済新聞)
先ほど重点施策にも関連で入っていますけれども、今後、その洋上風力発電の建設が進んでいくとなると、陸上風力以上に漁業権とかですね、さらに地元の理解を、より丁寧に取っていかなければいけない局面になると思うのですけれども、北海道として、その地元の理解を得ながら洋上風力発電の導入を進めていく際の考え方というかですね、進め方、例えばこういうふうに、その地元の理解を進めるためにこういうことをするとかですね、現段階で知事の中での思いというのは何かございますでしょうか。
(知事)
先般、洋上風力については五つの「有望な区域」への選定もありました。この途中でありますけれども、(道の)人事におきまして新たに強化もしながら、地域の理解を進めていく体制も強化したところであります。道として果たすべき役割も大きいところがありますので、そこはしっかりと道としての役割を果たしていきたいと思います。洋上風力は再エネの切り札と言われており、陸上(風力)におきましても(北海道が)優位なところはございます。ですから、こういったポテンシャルを最大限生かしていくことで、北海道の(エネルギーの)地産地消、また地域経済の活性化、環境と経済の好循環を実現していきたいという考えに変わりはありませんが、ただ、やはり地域にしっかりと理解していただくことと、環境の配慮を十分にしていかなければならない、このことをないがしろにできるわけではありませんので、環境と経済を調和しながら取り組みを進めていくことが重要だというふうに考えてます。
(北海道新聞)
今の小樽市の風力発電の計画を巡ってですね、知事はまだこの計画については、地元の理解が得られてないという認識が示されたと思います。今後、環境審議会のほうでの議論次第になるとは思うのですけれども、今回の計画についてですね、知事から経産大臣に意見を出すときに反対の意見を出すということも、今、念頭に置いて考えていらっしゃるのでしょうか。
(知事)
今申し上げたように、私の受け止めとしては、地域の理解が進んでいないのではないかというふうに思っております。ただ、これは手続き上、環境影響評価審議会においてご審議いただいた内容を踏まえた上で、経産大臣に(知事意見を)提出するという形になっていますので、そこはしっかり、皆さまのご意見を踏まえた中で判断していくということになります。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)