知事定例記者会見(平成28年2月19日)

知事定例記者会見

・日時/平成28年2月19日(金) 14:00~15:17
・場所/記者会見室
・記者数/36名(テレビカメラ3台)

会見項目

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知事からの話題

1 「第30回記念 北海道マラソン2016」・「はまなす車いすマラソン2016」の開催について
2 平成28年度当初予算等について

 

記者からの質問

1 平成28年度当初予算等(予算編成に込めた知事の思い)について
2 平成28年度当初予算等(TPPへの対応)について
3 平成28年度当初予算等(北海道創生加速化事業)について
4 平成28年度当初予算等(道議会庁舎改築)について(1)
5 平成28年度当初予算等(道議会庁舎改築)について(2)
6 平成28年度当初予算等(財政調整基金)について        

知事からの話題

 

「第30回記念 北海道マラソン2016」・「はまなす車いすマラソン2016」の開催について

〔配付資料: 北海道マラソン2016」・「はまなす車いすマラソン2016」の概要について(PDF)
 まずは、「第30回記念 北海道マラソン2016」・「はまなす車いすマラソン2016」の開催についてであります。
 今年のこのマラソン大会は、8月28日日曜日に開催することとなったところでございます。1987年に始まりました北海道マラソンは、今年で30回の節目を迎えるところでございます。参加者の方々はもちろんでありますが、スポンサーの方々、スタッフの方々、沿道から応援をする道民の方々、皆さんに支えられて、今や北海道の夏を代表する大きなイベントに成長することができたところでございまして、関係の皆さま方に心から感謝を申し上げる次第であります。
 今回は30回を機に、参加定員を20,000人にする予定であります。フルマラソン17,000人、前回は15,000人でありました。ファンランという11.5キロメートルの種目は3,000人の定員ということで、合計の参加定員を20,000人とする予定でございます。参加の受付は4月3日日曜日の午後6時から開始の予定でありますので、よろしくお願いいたします。
 そして、今回30回を記念するという形で、オール北海道の大会にしようということで、179市町村全てからご参加をいただくということで、市町村と連携して取り組むことを検討しているところであります。
 このほか、皆さんご存じの有森裕子さんにスペシャルアンバサダーに就任していただき、大会を盛り上げていただくこととしております。
 また、はまなす車いすマラソンのほうでありますが、ハーフマラソンのほうは競技レース、ショートレースは初心者向けと分かれているわけでありますが、ショートレースにつきましては重度障がいがある方々など、より多くの方に参加をしていただくことができますよう、より短いコースも設定することといたしております。
 道民、特に札幌市民の皆さま方におかれては、交通規制などへのご理解ご協力をお願いしなければならないわけでありますが、道内外からたくさんの方々にお越しいただいて、大会が大いに盛り上がるように、マスコミの皆さま方にも周知をよろしくお願いいたします。

平成28年度当初予算等について

〔配付資料:(資料1)平成28年第1回北海道議会定例会提案補正予算(平成27年度補正)について(PDF)
〔配付資料: (資料2)平成28年度予算の概要(第一回定例会)〕 ※総務部財政局財政課のページへリンク
〔配付資料:(資料3-1)行財政運営方針(案)の概要(PDF)
〔配付資料:(資料3-2)行財政運営方針(案)(PDF)
〔配付資料:(資料4)平成28年第1回北海道議会定例会に提案する条例案(73件)(PDF)
 昨日(2月18日の総務部長記者レクチャー)、総務部長から計数的なところは、ご説明を申し上げたと思いますので、私からは、今回の予算のポイントをご説明を申し上げたいと思っております。
 「平成28年度予算の概要」の資料をお出しいただきまして、まずはマクロの部分でありますけれども、3ページをご覧いただきまして、平成28年度当初予算の規模は、2兆8,246億円ということであります。これは、昨年度との比較では、0.8パーセントのプラス、225億円の増。実質的に一体として執行される国の補正分も含めますと、2兆9,131億円となるわけでありまして、これですと前年度比2.5パーセントプラスの723億円の増となるところでございます。
 4ページに歳入歳出の内訳がございます。
 まず、公共事業費など投資的経費について、前年度を上回る額を確保しようということで96億円の増であります。また、義務的経費、特に保健福祉関係では、77億円の増であります。一般施策事業費につきましては、後からも申しますけれども、TPP関連の農林水産分野の施策の充実などもあって、252億円の増ということになっているところでございます。
 このような歳出を賄う歳入のほうも、いろいろな工夫を総務部にしてもらっておりまして、来年度の当初予算案では、ここまで9年間連続して、残念ながらどうしても都合がつかない部分について、国直轄事業負担金の一部を計上留保するという、いわゆる赤字予算編成を余儀なくされてきたところでございますが、10年ぶりに当初(予算)段階でこれを解消することができたということであります。
 ただですね、引き続きなかなか厳しい状況にあるところでございまして、来年度は、行政改革推進債の発行といった財政的調整、管理職員の給与縮減の継続をはじめとする歳出削減等の取組に加えまして、いろいろな節約努力などで捻出した財源を活用するなどして、「北海道創生加速化元年」にふさわしい施策を盛り込みながら、なんとかやりくりを行ったということでございます。
 それから、一気に飛びまして14ページからであります。
 昨年の秋に「今後の行政改革と財政健全化に向けた取組方針」の方向性というものをお示しをし、その後、議会議論、パブリックコメント等の実施などの後に、今ここに現段階の考え方をお示ししたところであります。一般職員の方々の給与独自縮減は今年度で終了するところでありますが、それ以外さまざまな調整、工夫のほか、管理職員の方々のご理解ご協力もいただくなどしているところでございます。
 14ページ、15ページでありますけれども、15ぺージの上の表について、この方針の計画期間というのは平成32年までの5年間でございますが、うち平成28年度、平成29年度の2年間は、まだまだ多額の収支不足額があるということで、集中的に対策をしようとする期間という意味で、「対策期間」というふうに銘打っているところでございます。この2年間につきましては、下の「収支対策D」のところにございますとおり、財政的調整、これは先ほどちょっと触れました、行政改革推進債の発行などの調整、それから、歳出削減等では、これも先ほど申しました、管理職員の給与の独自縮減などによりなんとか調整をしたいのですが、今段階では、平成29年度についてもマイナス70億円という要調整額を見込まざるを得ないと考えております。
 その上でですね、平成33年度当初予算におきましては、今は、この「収支不足額(B-A)C」の欄でありますが、自然体ではマイナス60億円とならざるを得ない状況でありますが、さまざまな対策を講じながら、ここをゼロに持っていきたいと、今回の行財政運営方針(案)の中で考えているところでございます。
 それと、もう一つの今回の目的は、次のページの16ページの「実質公債費比率の推移」のところで言及しておりますとおり、この横に点線があるレベルというのは、平成27年度のレベルですから、20.8パーセント、これを自然体でいえば今のところ超えざるを得ない部分もあるわけでありますが、なんとか計画期間中はこれを上回らないような状況に持っていこうというふうに考えているところでございます。
 以上が、計数的な部分のご説明になります。昨日も質疑があったと総務部長から報告を受けております。また、何かございましたら、事務方に聞いていただければと思います。19ページからは、政策予算でございます。
 19ページに総括的な考え方を示しております。基本姿勢ということで、「連携(人・地域・政策)の「絆」で危機を克服する」、そしてもう一つは、「未来への確かな「礎」をつくる」という基本姿勢の下に、展開方向として、第一に「人を大事に人を育てる」、第二として、「暮らしをまもり地域を創る」、第三として「価値を高め人を呼び込む」。その下に政策の体系ということで、二つの大きなくくりにいたしております「安心のまち・暮らし「住まいる北海道」づくり」、そしてもう一つはこれからの先を見越して「より良き未来への挑戦」ということであります。もとよりこういったことを実現するためにその下にございますとおり、道と179市町村の総力で挑んでいくということといたしているところでございますし、また、これから「北海道150年に向けた取組」の検討を、しっかりやっていかなければならないと考えているところでございます。
 先日、2015年の国勢調査速報値を公表いたしました。北海道の人口は538万人。まだ全国各都府県の数字が出そろっておりませんので、これがどのくらいの位置付けかということは精査をしなければならないわけでありますが、この538万人という数字は、昨年の10月に「北海道創生総合戦略」とともに、道民の皆さま方にご提示を申し上げた「北海道人口ビジョン」の中で私どもが想定をしていた数字でございまして、この厳しい状況の中で、何としても、2040年に450万人から460万人までにとどめるということに取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
 そういった意味で、4期目を迎えた私にとって、最初からフルに予算を編成する最初の年である今回の当初予算におきましては「北海道創生加速化予算」というネーミングの下に進めようとしているところでございます。
 20ページに入っていただきまして、大きな柱の一つである「安心のまち・暮らし「住まいる北海道」づくり」というところでございます。
 20ページには、私が今回特に心を込めて担当部局に指示をいたしました「結婚や出産、子育ての希望をかなえる環境づくり」ということでありまして、結婚、妊娠・出産など、ステージごとにできる限りきめ細やかな対応を行うこととしているところでございます。
 国では、昨年の4月から、新たな子ども・子育て支援制度が運用されているわけでありますが、多子世帯の保育料負担が大きいことについて、国は改善しているということなのですが、やはりちょっと私としては納得できないところもあるので、それを補完するような形も含めて対策をしようとしているところであります。
 この保育料について申しますと、年収が360万円未満の多子世帯の方々に対しては国もきちんと対応すると言っているのですが、360万円以上の年収でお子さんが2人、3人とおられるという状況を想定した場合に、じゃあ360万円以上の方々は(対象としなくても)良いのかという議論もございますので、私どもとしては、こういった部分につきましても、もとより道だけで全部負担するというのはなかなか難しいので、市町村の方々にお声を掛けて市町村と連携しながら、こういった方々に支援するというようなスキームを考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、道といたしましては、国に対する抜本的な対策を引き続き強く訴えると同時に、国の対応を待つばかりではなく、道として、出会いから、結婚、出産、育児、自立というライフステージに応じた切れ目のない施策をパッケージとして新たに展開して、何としても出生率の向上につなげたいと、このように考えているところでございます。
 このパッケージ施策全体の予算は、5定補正予算(平成27年度補正予算)を含めて、18億8,000万円ということで、昨年度と比べ大幅に増額したところであります。
 そして21ページの右の方でありますが、その一番上が「高齢者、女性など多様な主体の活躍の場づくり」ということであります。少子高齢化や人口減少の中で、アクティブシニアの方々の活躍が大変重要だと思っております。このような方々が介護サービスや外出支援などの担い手となるような体制づくりに加えまして、女性の方々の活躍あるいは自立に向けた環境づくりにも取り組んでいきたいと、このように考えているところでございます。
 また、その下に「安心を支える医療・福祉サービスの確保」ということでございます。この広大な北海道における医療・福祉のレベルの充実強化というのは、私として、従来から掲げている大変重要な課題でありますが、医療につきましては、おかげさまをもちまして、地域医療を担う医師を養成するために取り組んでまいりました、いわゆる「地域枠」の1期生である7名の方々が、4月から地域の公的医療機関に勤務することになっているところでございます。引き続き、医療従事者の確保、救急医療体制の充実などに取り組み、また、新たな在宅医を養成するなど、在宅医療の提供体制の強化ということ、あるいは介護との連携ということ、こういうことにもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
 高齢者や障がいのある方、お子さん方など、地域の皆さんが一緒に利用して、福祉サービスなどを受け、また、コミュニティ活動もできるような「共生型地域福祉拠点」づくりということもしっかりやっていきたいと思っております。
 それから21ページの右にある、「誰もが地域で安心して暮らせる生活支援」、地域の公共交通の維持などにしっかり取り組んでいくということであります。検討会議(地域公共交通検討会議)での議論と並行しながら、こういうこともしっかりやっていきたいと考えております。
 そしてその下には「持続可能な地域を支える「循環」の構築」ということでありますが、農林水産業は北海道の基幹産業であり、またTPPの荒波の中で、われわれとして全面的に支援をしなければならない分野でありますが、その中で、まずは農業の基本となる基盤整備の推進、加えてそれに伴う農家の皆さま方の負担軽減、これは通称「パワーアップ事業」ということで、これまでも累次にわたって取り組んできているところでございますが、今年度いっぱいで今のスキームが終了いたします。各方面からご要望も大変多いわけでありまして、来年度から新たな形で5年間の継続ということを考えているところであります。
 また、この「パワーアップ事業」の一環として、酪農、これもTPPとの関係で大変厳しい状況にもございますので、酪農の基盤整備といえば草地づくりということでありますので、この部分についても農家の皆さんの負担軽減ということを新たに始めようと考えているところであります。
 漁業については、漁場の整備などの基盤整備を進めてまいります。
 詳しいスキーム等については農政部などにお問い合わせをいただければと思う次第であります。
 また、「エネルギーの自給、地域循環の促進」ということにつきましては、身近なエネルギー資源を効率的に活用する地産地消の取組などの支援を行ってまいります。
 それから21ページの下、「コンパクトなまちづくりの推進」であります。
 現在、道内では管理されていない空き家が、市街地の防災、衛生、景観上の問題となっております。こういったことへの対応というのは、まちづくりの観点からも大変重要でありますので、市町村の空き家の利活用の取組を支援してまいります。
 そして、「まちなかへの居住や各種機能の集約などの促進」につきましては、これまでの人口増を前提としたまちづくりを見直し、誰もが暮らしやすいように、都市機能をまちなかに集積させて、環境負荷を減らしていくような「北の住まいるタウン」の普及に向けた取組を推進していきたいというふうに考えております。
 その下が、「北海道らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻す」ということであります。
 もう既に道内には、移住・定住推進の一元的な窓口なども整備しておりますが、新年度において、新たに東京の都心に「ふるさと移住定住推進センター」を設置して、一元的な情報発信、そしてご相談に応ずるなど、きめ細やかな支援体制を強化したいと考えております。
 それから、いわゆるCCRC構想、アクティブな生活を送れるよう、首都圏等から元気な高齢者の方々に、ご希望に応じて地域に来ていただくということもしっかり進めようというふうに思っております。この分野では先行的に取り組んでおられます伊達市長からも、室蘭市や登別市なども含めて、さらに前向きに取り組みたいというお話もございまして、これも道だけではできませんので、ぜひ市町村の方々あるいは民間の方々のご協力もいただきながら、取組を進めてまいりたいと考えております。
 22ページに入ります。
 2つ目の柱である「より良き未来への挑戦」ということであります。人口が減っていく中で、2040年をターゲットとして、人口450万人から460万人を維持するということを共通認識とし、それを実現するためのさまざまな施策を打っていくと、産業経済の活力を高め、北海道にしかできない新しい成長の姿を実現していかなければならないわけでありまして、そのための施策をこの項目の中に展開しているところであります。
 まずは、22ページの上にございますとおり、「次代を創る農林水産業の確立」ということであります。
 基幹産業である農業につきましては、生産性・収益性の高い農業を目指しまして、若い農業者の方々の育成、あるいは生産力を高めていくための法人化、もとより農業というのはやはり個人経営が基本だとは思うのですが、働く方々の休暇なども十分に取りながら、大規模な成長産業としての農業を育てていくために、やはり法人化というものは進めていかざるを得ないというのが私どもの認識でありまして、現に農業生産法人というものは、北海道内には全国の中で飛び抜けて多くあるという状況にございます。
 それから、先端技術を活用したスマート農業の普及を図っていく。また、JA(農協)グループの皆さま方とも連携をしながらマーケットイン、すなわち消費者が何を求めるかというものを、今まで以上に感度を高くして生産・販売の促進に取り組むことも考えております。
 漁業については、獲るだけの漁業から、地域に合う魚種を育てて、獲ってまた育てるという循環型の漁業を着実に推進するということを目指していくことといたしております。ホタテなどはものすごく海外に出荷しておりますし、ナマコも高く売れております。特に日本海側という生産量の減少が著しい地域の漁業振興について、ナマコの安定的な養殖技術の確立に向けた取組などを推進していきたいと考えております。
 それから最近、漁獲量だけではなくて、漁種の変化ということにわれわれは直面しているところでございまして、最近増えております道産のブリであるとかサバなどの加工のみならず、高値が期待できる「生」で出荷ができる体制の構築を含めて、高付加価値化ということも図っていかなければならないと考えております。
 林業につきましても、育てて伐採をしてまた植えていくという形で、森林の再生ということを大切にしていかなければなりません。CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)、集成材を交互に積み重ねて強度を高める加工材の技術をさらに高めていきたいと思っておりますし、木材産業の世界でも付加価値向上を一層図ってまいる考えであります。
 それから22ページの、その下の「食を中心とした輸出拡大」についてであります。
 一昨日(2月17日)、「北海道食の輸出拡大戦略」を庁議の場で決定いたしました。品目別、国別にターゲットを絞るとともに、税関手続きや個別の商談などに対応するアドバイザーを新たに配置します。先般、函館税関長にいろいろとお願いをしてきましたけれども、こういうことをやっていきたいと思っておりますし、物流や販路拡大の取組にも力を入れていきたいと、このように思っているところでございます。
 先月(1月14日)、私もシンガポールにトップセールスで参りましたし、現地オフィス(北海道ASEAN事務所)の開設もしたところでございますが、ここを一つの拠点とし、札幌市の現地駐在員もおられますので、連携をとり、また、タイのほうにも、道職員も行っておりますし、北洋銀行の事務所もありますし、いろいろな形で官民挙げて、どんどん市場開拓も進めていきたいというふうに思います。
 また、食品の輸出を考えた場合には、物流面の充実、鮮度保持技術のさらなる向上などもあるわけであります。
 来年度は、新たな販路開拓に向けて、機能性食品あるいはスイーツといった付加価値の高い製品のテスト輸出にもチャレンジすることといたしておりますが、引き続き、JA(農協)や漁協とも連携をし、官民を挙げて、さらなる輸出拡大に向けて、取り組んでいく所存であります。この食を中心とした輸出拡大についても、本年度の予算額でみると増額しているところであります。
 それから、その右のほうの、これも私の公約でございます、外国人観光客300万人関連の「観光客受入体制の充実強化」の関係であります。
 観光予算、本年度は13億5,000万円、これは一時的に実施したプレミアム旅行券事業15億6,000万円というのを除いた額でありますが、来年度は、5定補正予算を含めまして17億6,000万円を計上いたしております。加えて、いわゆる宿泊施設の耐震化、耐震の状況の公表をすることと同時に、一定の耐震工事が必要な場合には、それを直ちに行うということでないと、やはり観光業というものはお客さまのことを重視しなければならない分野でありますので、この宿泊施設の耐震化に対する支援事業というものも計上しているところでございますが、こういったものも含めますと、観光関連で71億円くらいの計上になるのかなというふうに思っているところでございます。
 インバウンド(外国人観光客)300万人の目標達成のためには、空港のハード面、ソフト面の整備も不可欠であります。特に、私どもは道内バランスよく(観光客を受け入れる)と言っているのですが、それでもやはり新千歳空港への集中という面はあるわけでありまして、新千歳空港においては、例えば、グランドハンドリング(地上支援業務)の人員不足、態勢不足が起因となって新規就航に至らないケースも多いという報告も受けているところでありまして、これはいろいろな試算の方法があるのですが、本年度だけでも7万人以上の外国人来道客を逃しているという試算もあるようであります。こういったことに鑑み、グランドハンドリングなど受け入れ態勢の強化に、われわれの予算を投入して、さらなる国際航空便の受け入れ強化を図っていきたいというふうに考えているところであります。
 また、新千歳空港の国際線ターミナルに英語、中国語、韓国語に対応した観光案内所の新たな設置、また、新千歳空港ばかりではなく、道内の空港ネットワーク全体での呼び込みを図るため、道内各空港へのチャーター便の誘致活動も強化していくつもりであります。
 それから、いわゆるDMO(観光地域づくりの推進主体)の形成ということにつきましても、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
 海外へのプロモーションも重要であります。もとより、私自身もできる限りトップセールスを行いたいと、また、副知事などと手分けして、アジアあるいは世界を回る予定としておりますが、特に観光客が多いのは台湾でありまして、台湾は、政権交代もあるようでありますけれども、そういう中でやはりプロモーションをもっとしっかりやっていきたいというふうな思いであります。やはり映像の力が大変重要でありますので、こういった試みをしっかりやっていきたいと思います。具体的には、台湾ばかりではなく、香港、シンガポール、マレーシアなど幅広い国々を対象とし、さらにインドネシアなどの国々も想定しつつ、テレビ以外にも、YouTubeであるとか、SNSなどを活用するクロスメディア(により)、インバウンド拡大作戦ということもやっていきたいと考えております。
 それからその下、「新幹線開業効果の拡大」ということであります。北海道新幹線の開業自体は今年度中でありますが、これはゴールではなくてスタートであるということを前から申し上げております。来年度、しっかりとこのことに向けてさまざまな知恵を出しながら対策を続けていきたいと、イベントの実施であるとか、二次交通充実の取組であるとか、開業効果を道内全域に波及させるためのプロモーションの実施など、さまざまやっていきたいと思っておりますし、東北との連携にもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 それから、22ページの左下のほうにございます、「地域・未来を担う人づくり」というところでございます。(北海道)総合教育会議を、今年度立ち上げたところであります。(北海道総合)教育大綱も策定いたしました。地域づくりの礎というのは、何といっても人づくりであります。例えば、高い英語コミュニケーション能力あるいは国際的素養を身に付けたグローバル人材の育成など、社会に貢献する人材育成に取り組んでまいりたいと思っております。(今年の1月に)韓国の済州(チェジュ)島に参りました時に、済州特別自治道が韓国政府から特区の指定を受けていて、このグローバル人材の養成について、素晴らしい事業をやっておられるということに感銘を受けたところであります。こういったことにもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 また、この人材づくりのところでは、全国よりも高い割合にある非正規労働者の正規雇用化に向けた取組をしっかりやっていきたいと考えております。
 それから、その右の「企業・人材の誘致の推進」というところでございます。バックアップ拠点構想とか、いろいろなアピールの仕方によって、首都圏などからの企業誘致、あるいは人材の誘致をいろいろやってきたところでございます。比較的に自然災害が少ないということ、あるいは冷涼な気候であるということ、こういった本道の優位性を生かしながら、さらに進めていきたいと思っているところでございます。昨年12月に設置しました「北海道プロフェッショナル人材センター」の機能を生かしまして、道外の専門人材を道内の企業が効果的に活用できるように、その橋渡しなどの支援をやっていきたいと考えております。
 そして、23ページ右上「北海道150年に向けた取組」ということであります。
 これは、150年目を迎えるのは2018年でありますので、ここに向けて、道民の皆さま方のお知恵をいただく検討会議というものの立ち上げも考えているところでございます。加えて、赤れんが庁舎の有効活用などについて、しっかりと今から議論を進めていきたいと、このように考えております。
 そして、その下に、「北海道創生加速化事業」という欄がございます。後に掲載している主な事業を再掲の形でここに掲載したものでございます。この北海道創生加速化事業につきましては、これまで、特別枠ということで、20から25億円くらいを想定しているということを申し上げてきたところでございますが、新規事業として立ち上げるもの、あるいは既存の事業をさらに拡充するものなどをいろいろ精査し、ここにある各事業など47事業で約36億円をこの加速化事業として位置付けさせていただいたところでございます。
 冒頭の予算の計数のところで申しましたが、こうしたことを実現するために、道職員の管理職員の方々に給与独自縮減等のご協力をいただいていることに対して、あらためて感謝を申し上げたいと思います。
 それから、24ページから25ページに移りまして「展開方向に沿って重点的に実施する取組」について、これは19ページに戻っていただきますと、基本姿勢の下に、展開方向という3項目がございます。これに沿う形で以下、事業を掲載しております。
 一つ目、「人を大事に人を育てる」ということでは、3項目あります。「地域力を高める教育の充実」ということで、24ページの上にある部分でございますが、先ほども申しましたが、教育大綱も策定をいたしました。新しい制度の中で、教育・人づくりという分野における知事のコミットメントというのがより強くなるということでございます。今までも、教育長と連携を密にしながら、こういったことに力を入れてきたところではありますが、あらためて、今年度こういう取組を取りまとめたところであります。
 ICTを活用した遠隔授業による教育の質の向上、あるいは生活保護受給世帯などを対象とした就学の給付金の拡充、また、残念ながら全国的に後を絶たない、いじめの対応について、学校任せということではなく、地域の人たちも積極的に関与する形で、解決の方向性を見いだし、未然防止するべきであるという提言を(北海道)いじめ調査委員会から、昨年の暮れ(12月17日)にいただいたところでありますので、地域とともにある学校づくりとしていわゆる「コミュニティ・スクール」、このことは教育大綱の中でもしっかり位置付けておりますが、この導入、普及に向けた啓発事業も行っていきたいと考えているところであります。
 それから、「世界に飛躍するスポーツ王国北海道の実現」、アジア冬季競技大会への支援、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた未来のアスリートの育成などに取り組んでいきます。
 それから、「命をまもる安全・強靱化」、このことにつきましては、例えば、土砂災害の恐れのある区域の指定、基礎調査等の予算を引き続き計上するとともに、データセンターの誘致、あるいは、いわゆるバックアップ機能の拡充にも取り組んでいきます。
 加えて、飲酒運転根絶条例(「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」)が昨年(11月)議員提案の形で制定されたところでありまして、この取組についても道が先頭に立って進めていきます。
 それから、24、25ページの真ん中にございます、「暮らしをまもり地域を創る」というところに4項目掲載させていただいております。まず、「経済・雇用を支える「地域産業力」の底上げ」ということにつきまして、省力化、効率化、自動化が、あらゆる産業分野で進められているところでございます。そういった中で、既に新聞に出ていましたけれども、自動車の自動走行、北海道には広大な土地もございますし、いろいろな条件で実証実験をやる必要がある分野でございますので、このことの誘致などもぜひやっていきたいと。道内は、寒冷地のテストということで、国内外の自動車メーカーの多くがテストコースを持っておられるという、そういうご縁もございますので、こういったこともしっかりやっていきたいと思っております。
 それから、自動車産業などのものづくり産業の集積促進に加え、フードビジネス、健康関連産業の振興にもしっかり取り組んでいきたいと思っております。札幌医科大学の再生医療技術を生かしたニプロによる研究開発拠点の建設も進んでいますよね。大いに期待しております。また、北海道大学も、臓器移植に伴う拒絶反応ということをなくす新しい技術を確立されたという報道もございます。さまざまな形で、また、産学官連携を図っていきたいと、このように考えております。
 また、地域の経済や雇用を支えている中小企業や小規模企業者の持続的な経営の維持のために、これも公約でございます、「北海道小規模企業振興条例案」を議会にご提案申し上げ、しっかりと対策に取り組んでいきたいと思っております。
 それから、「アジアの環境首都を目指す北海道づくり」ということにつきまして、これも大変重要な分野でありますエゾシカ関連では、食肉に加え、皮の利用やペットフードなど新たな活用が期待されており、そういった、捕獲から回収、加工までの利活用のモデル事業などの実施を考えているところでございます。
 それから、自然環境の保全につきましては、「北海道知床世界自然遺産条例案」、(知床の世界自然遺産登録から)10年目を機に、このような条例の提案を考えているところでございまして、地元のご要望も踏まえて、1月30日を「知床の日」として、その保全あるいは適正な利用を道民の方々とともに進めていく事業を実施していきたいと考えております。
 それから、24、25ページの下のほうにあります「価値を高め人を呼び込む」のところでございます。この中の一つ目でございます「「世界の中の北海道」の視点を持った国際化の推進」につきましては、昨年の10月に、私も訪問させていただいて、ユジノサハリンスク市に、「北海道センター」を開設いたしました。ここに在ユジノサハリンスク日本国総領事館も入っていただく予定となっているなど、北海道の拠点であると同時に、ある意味、サハリン州における日本国の拠点のようにもなっているところでありますが、こういったさまざまな関係の方々のご協力もいただきながら、このセンターを通じた、ロシア極東地域との経済交流をさらに進めていきたいと思っております。こういうことが、北方領土問題への解決にもしっかりとつながっていくと確信をしながらやっていきたいと思っております。
 また、中国との関係で、今年は、黒竜江省との友好提携30周年の節目であります。近々、黒竜江省の省長が来道されるという予定もあるとの話も聞いておりますが、それとは別に、私も、道民の方々とデレゲーション(派遣団)を組みまして、久方ぶりに黒竜江省に訪問させていただき、相互の交流あるいは記念行事など関係強化の取組を推進したいと、このように考えております。
 それから、「世界が憧れる観光立国北海道のさらなる推進」ということにつきまして、体験型観光の充実などのほか、「食」の魅力を生かしたフードツーリズムの推進、あるいは、滞在型観光地づくりなど、お客さまが少ない時期の誘客拡大にも努めてまいりたいと考えております。
 それから、「ふるさとの歴史・文化の保全と継承」というところにつきましては、北海道博物館、これは昨年の4月にオープンいたしましたが、さらに北海道新幹線の当面の終着駅でございます新函館北斗駅においても展示スペースを設け、アイヌ文化や縄文文化など北海道の古くからの文化というものを、道外そして海外からいらっしゃるお客さまにも発信することなどの事業を行いたいと考えております。
 そして、24、25ページの下にございます、「道と市町村の総力で挑む北海道の未来づくり」ということであります。やはり179市町村という、他県に類を見ない数の基礎自治体が存在する北海道であります。市町村の皆さま方としっかり連携をしながら、総力で北海道の未来づくりに取り組んでいかなければならない。そして、私ども道庁における地域づくりの拠点が、14振興局でございます。この14振興局の役割はさらに増してくるというふうに思っておりますので、局長の裁量や権限というものをさらに高め、しっかりと北海道創生に取り組んでまいりたいと思っております。権限の拡大そして予算の拡充、こういったこともやっていきたいと、このように思っているところでございます。
 26ページ、「TPPへの対応」などであります。
 TPPの影響調査(TPP協定に伴う北海道への影響中間とりまとめ(第2回)(農林水産物の生産額への影響))ということにつきましては、一昨日(17日)の庁議(北海道TPP協定対策本部)で、報告を受けたところでございます。
 そうした中で、私、その場でも申し上げたと思いますが、国の支援策も順に出てくるわけでありますが、そういったこととも連携しながら、私どもとしてもしっかり対応して、将来の北海道、そしてそれは日本国の全体の農業を担っていく生産者の方々に夢を持って、希望を持って、将来像をしっかり持っていただきながら、事業を展開していただくために、しっかりとした予算の対応も必要だという額を申し上げたところであります。最終的に、計数がまとまりまして、今年度の補正予算と来年度の当初予算と合わせて、1,075億円という額を計上させていただいたところであります。詳細につきましては、担当の部長もおりますので、聞いていただければと思います。
 それから、TPPについては、われわれはこういう形で計上しておりますけれども、これ以外にも、国直轄事業については、これからもしっかり確保していくということをやっていかなければならないと考えております。
 それから、「ロシア200海里水域におけるさけ・ます流し網漁禁止にかかる緊急対策」についてであります。これにつきましても、道東を中心に大変大きな影響が出ているところでございまして、道の関連予算としては、66億円を計上しているところでございます。TPPは全国の問題でありますが、こちらの問題は、主として影響を受けるのが北海道ということで、国直轄事業も119億円ございます。それからTPP関連で水産関係で計上させていただいておりますのが104億円ございますので、こういうものも活用しながら、道東地域の一大事であるこの問題に、道庁を挙げてしっかりと対処をしていかなければならないと、このように思っているところでございます。
 大変駆け足でございましたけれども、私からは以上でございます。

記者からの質問

(NHK)
 昨年までの予算ではですね、重点政策の一番に挙げているのというのは、経済の活性化とかといったことが挙がっていたと思うのですけれども、今回は子育てですとか、子どもの支援だとか、そういったことに重点が置かれて、暮らしを重視した予算が重点化されているのかなというような印象なんですけれども、その辺りの知事の今回の予算編成にあたっての意図をお聞かせください。

(知事)
 まさにおっしゃるとおりであります。もとより経済というのは大変重要でございまして、経済が活性化して歳入が増えればそれをさまざまな施策に、あるいは道民の生活の好循環につなげることができるので、経済、産業の重要性というのは論をまたないわけでありますが、今回は、今ご指摘のとおり、暮らし面、とりわけ子育てや出生率の向上ということを期していくための環境整備がわれわれ行政のやるべきことでありますが、そういったことに着目して、結婚、妊娠・出産、子育て、自立等のライフステージに応じた形での環境整備というものをしっかりやろうということを大変工夫をさせていただきましたし、また、広域な北海道における、高齢者や女性の活躍であるとか、福祉、医療であるとか、生活交通であるとか、コンパクトなまちづくりであるとか、それから移住、定住の促進であるとか、私の思いとしては、こういった分野に重点的に予算計上することを議論させていただいたつもりであります。それはまさに、昨年の10月に「北海道創生総合戦略」というものを策定し、その前提としての「北海道人口ビジョン」をご提示申し上げ、道民の皆さま方とその共有認識を持ちながら、これからの北海道創生をやっていきたいということを申し上げてきました。そのためには、やはり広大な北海道における住民の方々の暮らしのレベルアップをいかに図っていくかということが重要だという思いの中で、こういう予算の形にさせていただいたところであります。  

(北海道新聞)
 先ほど予算説明で最後のほうに説明がありましたTPP関連予算で、1,075億円を計上されたということですが、分かるのであれば、農業、水産業、林業それぞれいくらになっているかということと、それぞれの事業を知りたかったということとですね、TPP関連(予算)で結構、額が大きく付いたなという印象を受けるんですが、どのような思いでこれだけの配分をされたのかというのを、もう一度あらためて伺わせてください。

(知事)
 本体の資料(平成28年度予算の概要)の56ページから59ページに、TPPへの対応という関係事業が並んでいるところがございます。金額をお願いします。

(政策局長)
 農業で772億円、水産業で104億円、林業・木材産業で188億円で、商工業、食・観光関連産業で10億円です。

(知事)
 ということでございまして、(予算配分の)思いについてはですね、やはりこのTPPという大きな激流の中で、全国的には世論調査でも(TPP協定合意に対する)評価が高いようでありますけれども、道内の基幹産業の農業をはじめとする関係の方々は、大変なご不安を持っておられるという事実があるわけであります。そういう方々が、やはり将来に希望を持って営農を続けていただくための環境整備を行っていくということが、私ども道の思いでございます。
 そして、政策の柱として何が重要かということで、56ページからのそれぞれの事業、あるいはそれをまとめている施策、例えば、酪農畜産分野で一番大きな影響が出るというのは、一昨日(17日の北海道TPP協定対策本部で)も確認させていただいたところでありまして、その対策であるとか、それから産地収益力をさらに高めていくための取組、あるいは生産基盤の充実などというふうになっているところでございます。
 もとより、一昨日に取りまとめた影響調査(TPP協定に伴う北海道への影響中間とりまとめ(第2回)(農林水産物の生産額への影響))は、われわれとして、あらためて中間的な影響額調査というふうに位置付けて、出させていただいたところでありまして、生産量に変更がないという前提が、本当にそのとおりになるかどうかというのは、今段階では、私どもとして、見通すだけのいろいろな判断材料を持っていないのが現状であります。しかしながら、経済というのは生き物でありますので、これからTPP協定の国会承認、あるいは米国をはじめとする各国の承認などを経て発効されるまでの間には、いろいろな動きも出てくるでしょうし、また、発効された後もいろいろな動きも出てくるでしょうから、私どもは常に北海道の基幹産業を守るという観点から、影響なり動向を、JA(農協)の皆さま方あるいは関係の方々としっかりと見守りながら、必要に応じて影響額調査ということを再度精査することもあり得ると思いますし、また、そういったところで看過できないような状況になれば、国に対して、毅然(きぜん)として、追加的な政策の要請ということも視野に入れていきたいと、こんなふうに思っております。

(北海道新聞)
 今回の予算ではですね、知事も先ほどご発言ありました、36億円程度ということで、加速化事業枠ですね、ということが特徴的な予算、知事の思いもおありだったかなというふうに思います。今回予算付けされてですね、こういう面で、その思いが果たされたというか、良かったなと、特別枠を設定した効果があったなというふうに思われる点とですね、初年度ということもあって、こういう部分では特別枠予算設定にあっては、課題というんでしょうか、この辺が残ったなと思われる部分というのがおありでしたら、教えてください。

(知事)
 効果はこれからだと思うんですよね。この予算は、われわれ理事者としての案でありますので、道議会で議決いただけるかどうか、しっかりわれわれも説明を行いますが、その後、それを執行する中で、どういう効果が出てくるかということでありますので、私どもとしてはそれぞれの事業が効果があると思うからこそ、計上させていただいたということだと思っております。
 昨日、総務部長からも説明したと思うのですけれども、財政状況は、ひととき前、すなわち、私が前任者から引き継いだ頃は、収支不足額が2,000億円を超えていたんですよね。普通の県の予算でしたら予算編成などできないくらいに厳しい状況にある中からスタートして、本当に申し訳ないと思いながら、削減できるものを徹底的に削減して、ここまでなんとかやってきたわけではありますが、先ほどの資料にもあったとおり、これから2年後、それから5年後の計画期間を見通しても、そんなに余裕がある状況ではないのはご理解いただいているところだと思います。そういった中で、本当に心苦しいのですが、管理職員の方々の給与の独自縮減措置というのは続けざるを得ないという状況の中で、そういったご協力も得ながら、今、おっしゃられた「北海道創生加速化事業」という形で、先ほどのご質問にもお答えしたとおり、子育て支援であるとか、現下の危機的な状況への対処を私どもとしてできる限り目配りをして経費を計上したということかなというふうに思っているところでございまして、この4月からの新年度、道庁一丸となって、そして市町村ともしっかり連携をして、この事業を一つ一つ確実に執行していかなければならないと思っております。

(HTB)
 2016年の予算案に設計費など7,700万円が盛り込まれている道議会(庁舎の改築)の件ですけれども、その方針をお聞かせ願いますでしょうか。

(知事)
 老朽化した大変な厳しい状況の道議会の庁舎について、私が今日、まさにご説明をしております予算案なども、その場でご議論いただく大変重要な役割を果たしている議会でございますので、道議会議員の皆さま方からのご提案もあり、われわれとして、改築整備という方向性を出し、その方向性に沿う形で昨年の12月に考え方(「議会庁舎の整備に当たっての基本的な考え方」)をお示しし、その後、道民の皆さま方のご意見もいただいた上で、このたびの予算の発表のこの日を機に、方向性の確認をし、建設を行う第一歩としての約7,700万円の設計費を計上させていただいたところであります。

(HTB)
 今日発表された意見募集の件ですけれども、民間の資金ですとか、ノウハウを取り入れたほうがいいという意見ですとか、事業費削減を求める声も多かったとのことなんですけれども、これらについての受け止めを教えてください。

(総務部長)
 1月末ぐらいまでに60名の方から意見が来ました。お一人の方が複数意見を述べられているので、95件ということでございますけれども、なかなか賛成、反対という具合に割り切れない部分もございます。
 改築整備、12月に出した道の方針といったものについて納得できるという賛成意見と、あと改築整備を前提として、道産材を使ってほしいといったような意見が3分の1弱ぐらいです。
 また、議会庁舎の改築整備の前に、議会の運営(の見直し)でありますとか、耐震改修だけで済ませるべきだといったような、改築整備に反対といったものが3分の1ぐらいです。
 あと残りは、賛否が明らかではないのですけれども、改築整備といったもの、これだけ古いものですから、理解はするのですけれども、その中で民間の資金を使うような方法を考えられないかとか。事業費等について、もう少し縮減が図れないかといったような、ご意見がありました。
 私どもとしては、民間事業者の整備となりますと、かなり老朽化をして、一昨年には壁も落ちているという状況であり、そうした緊急の対応が必要だという中で、PFIといったような民間資金で造るというやり方ということになりますと、事業整備にあと2年から3年ぐらいかかるという、そうした状況があるといったこととか、民間利用の例としては、豊島区役所で50階建てぐらいのビルの上層部に400戸ぐらいマンションを造って、その下を借りるといったような、そういった方法もあるのではないかといったこともございましたけれども、土地区画整理の関係であったりとか、なかなか実施までに時間がかかるのではと考えております。
 従いまして、道の直接建設方式という考えとしたわけでございますが、ただ、事業費といったものをできるだけ抑えてほしいといったご意見につきましては、やはりわれわれといたしましても、道議会とも協議の上、事業費の抑制を図りながら、事業を実施していきたいということでございます。

(知事)
 今の説明に尽きると思うのですが、民間の資金を活用した整備ということにつきましては、良い点もあるのでありますが、時間がかかるなど、なかなか現状を踏まえた場合に採用は難しい点もあります。ご意見としていただいたことに対しては、心から感謝申し上げるわけでありますが、そういったことも含めて、経費の節減ということをわれわれとして期していきたいということであります。いずれにいたしましても、道民の方々からいただいたご意見、それぞれについての私どもの考え方というものを、ホームページ上で今日からお示しをしたいというふうに思っております。

(北海道新聞)
 同じく道議会庁舎の話なんですけれども、民間からの意見だとか、道民からの意見を、今ホームページ上で見ているんですけれども、かなり反対意見が多いと。先ほど(総務)部長がおっしゃられましたけれども、要するに、単独庁舎、議会専用の庁舎としての計画について反対という人が少なくとも半分以上はいらっしゃるということもあるので、この辺どのように道の施策のほうにですね、それを受けた考え方というのも新たに公開されているのですが、この新たな考え方に道民の意見はどのように反映されているかというのをちょっとお伺いしたいというのが一つ、取りあえずお願いします。

(知事)
 私が受けている報告によりますと、60名の方から95件(のご意見を)いただいて、賛成の方が16名、反対の方が21名、その他が23名というふうに報告を受けておりますが、反対というのが半分あるということでしょうか。

(総務部長)
 それはおそらく、改築整備に当たっては民間活用といったものを考えてみてはどうかといったものを合算すれば、そういった数というのは多くなるのではないかということだと思います。
 本日、道民意見を踏まえた考え方(「議会庁舎の整備に当たっての基本的な考え方」)というものをお示ししたわけでありますが、それにつきましては先ほど申し上げたとおり、民間事業者の活用については、もともと老朽化等を、あと耐震性の確保といったものを早急に取り組む必要があるという中で、民間事業者の活用といったことについては、その事業の実施までに時間を要するといったこと、PFI等の民間資金につきましては、議会庁舎の規模でPFIを採用したとしても、長い目で見ると財政的な効果といったものはそれほど得られないといったことなどによって、道で直接建設する方式でやらせていただくということと、もう一つ、先ほど知事からお話がございましたけれども、事業費の縮減や抑制といったご意見もございます。そうしたことにつきましては、今後設計段階で検討を行いながら、事業費を抑制しながら進めてまいりたいということを今回書かせていただいたということでございます。

(北海道新聞)
 今の件は、単独の議会庁舎でいいのかという話も、焦点になっているので、そういう面で見ると、反対、そこは反対と数えていないのかもしれませんけれども、その数え方に少し違和感を感じるなというふうに所感を持ったことを言っただけなんですけれども。
 それと別件でですね、建て替えの計画について広くあまり知られていないということで、民間の方々が討論会を計画しているという話があるそうです。それでできたら道庁のほうからの出席も求めたいというような意向があるようで、道民の中でも反対の意見もある件ですので、せっかくの機会なので、広く議論してよりよい庁舎のあり方を探るというのは良いことなのかなと思うのですが、こういう討論会への道としての参加の意思というのはいかがでしょうか。

(知事)
 その討論会の存在について全く認識がないので、ちょっとお答えできません。

(毎日新聞)
 財政調整基金の関係なんですけれども、予算編成で、今回、財政調整基金を、(平成28年度予算の概要の)13ページですね、平成27年度末の残高見込みで141億円のうち、今回114億円、結構大きな額を取り崩しておられるんですが、昨日いただいた行財政運営方針(案)ですね、その9ページでは、近年ほぼ枯渇した状態が続いていて、中長期的に、将来的には、おおむね500億円程度の積み立てを目指すということで書いてあったのですが、知事として、この「将来的に」というところ、どのくらいのスパンをみて500億円程度積み立てしたいとかって思いがあれば。

(知事)
 この計画(行財政運営方針(案))につきましては、5年間という期間が一つの区切りだということになっておりますが、補足で説明してください。

(総務部長)
 補足をさせていただきます。
 先ほどご質問のあった行財政運営方針(案)、これについては5年間の計画でございまして、5年間で達成すべき健全化目標を二つ掲げております。一つが、5年経過した後の平成33年度の当初予算編成時での収支均衡ということと、もう一つは、実質公債費比率、これについて、計画期間の5年間は、平成27年度の水準20.8パーセントを上回らないようにしようということでございます。
 ただ、もう少し先の中長期的な課題といったものもあるわけでございまして、その一つとして財政調整基金の確保ということがございます。中長期的に、財政調整基金の積み立てに努めると。今回の予算をご覧いただいたとおり、財政調整基金は、財源を年度間で調整するものですから、財政調整基金を翌年度崩すということは、何らおかしいことではないわけでございます。従いまして、財政調整基金につきましては、そうした観点から、一定額を執行残等も利用しながら積み立てていきたいということです。
  (行財政運営方針(案)の)中長期的な取組の中に、「将来的に」と書いてあるのは、その3.75パーセント相当額の積み立てについては、あくまでも、(計画期間より)もう少し長い先の話ということで、ご理解いただければと思っています。

 


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなど整理し、作成しています。

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