知事定例記者会見
・日時/平成27年6月11日(木) 14:30~15:48
・場所/記者会見室
・記者数/32名(テレビカメラ2台)
会見項目
知事からの話題
1 平成27年度2定補正予算について
記者からの質問
1 平成27年度2定補正予算(投資的経費)について
2 平成27年度2定補正予算(財政状況と行財政改革)について
3 平成27年度2定補正予算(重点政策)について
4 ロシア200カイリ水域におけるさけ・ます流し網禁止法案について(1)
5 平成27年度2定補正予算(公約の反映など)について
6 日本創成会議(首都圏問題検討分科会)の提言について
7 平成27年度2定補正予算(外国人観光客などの受入体制の充実)について
8 平成27年度2定補正予算(観光関連予算)について
9 ロシア200カイリ水域におけるさけ・ます流し網操業に係る日ロ政府間協議について
10 釧路石炭火力発電所(仮称)計画について
11 JR日高線について
12 ロシア200カイリ水域におけるさけ・ます流し網禁止法案について(2)
13 交通安全対策について
知事からの話題
平成27年度2定補正予算について
〔配付資料:(資料1)平成27年度予算の概要(第二回定例会) 〕※総務部財政局財政課のページへリンク
〔配付資料:(資料2)平成27年第2回北海道議会定例会に提案する条例案(10件) (PDF) 〕
それでは、私から今日話題としてご提供申し上げますのは、今年度の2定補正予算(第2回北海道議会定例会補正予算)のご説明ということであります。資料1がお手元にあろうかと思いますが、また、昨日(6月10日の総務部長記者レクチャー)計数的なところは総務部長から、今日も同席してますが、ご説明を申し上げたと思いますので、かいつまんで、私からポイントと私自身が認識しているところを中心にご説明をしようというふうに思います。知事選のある年というのは骨格予算をまずはご提案申し上げて、その後選挙を経て、新しい知事が肉付け予算、政策予算を補正予算として提出するという、これまでの慣例に沿う形でやってきたところであります。
資料1の3ページをお開きいただきまして、今回補正予算案として額を提示申し上げますのは、2,731億円で、それを含めての平成27年度の予算額は、2兆8,021億円、これを前年度の当初比でみますと、3.1パーセントの増ということであります。
4ページ、歳入歳出の内訳がございます。相変わらず綱渡りでやってるわけでありますが、これも昨日ご説明したと思いますが、歳出のところで投資的経費、公共事業関係の予算は今回国のほうがなかなか厳しい状況の中で、道議会各会派からなんとか形にしてほしいというご要望もございまして、投資的経費全体で44億円の増ということを考えているところでございます。
それから、義務的経費の中で、保健福祉関係が207億円の増ということで大変厳しい予算編成になりまして、欄外にございますとおり、今年も残念ながら、国直轄事業負担金の計上留保という形でなんとか歳入歳出の数字を整えたということでございます。
計数的なところはこれ以上は申しませんが、15ページ、これまで例外なき項目で費目の見直しであるとか、関係団体、特に職員団体の皆さま方のご協力もいただいて、ここまで歳出削減ということを、3期の間、ずっとやってきたところの中で、おかげさまをもちまして、道債残高としてこの10年くらい前に目標値としておりました、これを5兆円にするということを申し上げてきたところでありますが、それは達成できているところでございますし、それからご承知のとおり、臨時財政対策債というのは、私どもから見れば地方交付税としていただくべき性格のものと考えているのですが、国のご事情によりまして、こういう形になっているものでありますので、これは私どもも全く望んでないものでありまして、事後的にはしっかりとカバーされるという、そういうふうに思っているわけでありますが、そういったことを含めて、道債全体の残高がこういう形で将来推計も含めて、縮小の方向であるということ。それから、昨日もご質問があったように聞いておりますが、実質公債費比率の推移というのが15ページの下にございますが、一定以上の金利ということを前提に試算した場合でも危険水域といわれております25パーセントを下回る形で、これから10年くらいも想定されるという状況になってきているところであります。これも昨日総務部長から申し上げたかと思いますが、万全かといえば全くそういうことはないわけでありまして、引き続きしっかりとした財政再建ということを中長期的にやりながら、メリハリのある政策予算をつけていきたいとこのように考えているところであります。
18ページから予算の中身の具体的な説明に入ります。この4月の知事選で、私が道民の皆さま方に公約としてお示ししたこと、それをご理解いただいたが故の当選という理解でありますので、公約は反映するようにということを4期目の初登庁の日から事務方に指示したところでありまして、そういったことを盛り込んだ形の今回の政策予算になっているということであります。
基本的な考え方は、以前から言っていることに変わりはありませんが、最重要課題である人口減少の危機突破、そして将来への夢や希望を持ち続けることのできる活力ある地域社会、そしてアジアの先進拠点としての世界に輝く北海道の実現を目指す。基本姿勢として、「地域と一体」、「世界に飛躍」、「大胆に挑戦」の三つを掲げ、また重点政策分野として、「経済・活力」、「子育て・安心」、「人財・継承」こういった3本柱の下に今回の予算を整理したところです。
18ページの左の「経済・活力」に網掛けのところに道産食品輸出1,000億円、外国人観光客300万人という目標がありますが、分かりやすい数字だということもあって、公約で注目をされた部分の一つであり、こういったことの実現に向けてもしっかり取り組んでいきます。それから下にございますとおり、その政策の実現に向けては、「地域・自律」ということを掲げさせていただいておりまして、14ブロックごとの振興局とそれぞれの市町村の総力で挑む、オーダーメイドの地域づくりということを頑張っていきたいというふうに考えております。
三つの重点分野の一つ目、19ページをお開きいただきまして、左上、「経済・活力 世界にはばたく活力ある経済社会づくり」ということでありまして、まず、「海外成長力を活かした力強い経済の構築」ということであります。これはいろいろなところで言っていることではありますが、一つはASEANやロシア極東との経済交流の拡大ということで、シンガポールに交流拠点を設置する関係予算も計上しておりまして、できれば私は経済部に年内に拠点を作ろうということを言っておりまして、うちの職員も、足で向こうに行っていろいろリサーチをして、良いパートナーを見つけてくれたようでありますので、詳細のご案内はまたちょっと後になるかと思いますが、これはしっかりやっていきたいと思っております。また、ロシア、サハリン・ウラジオストクなどとの交流拡大、それから、「道産品の販路拡大の取組強化」ということ、道産機能性食品ヘルシーDo(ドゥ)のさらなるレベルアップであるとか、それから中東地域をターゲットとしたハラール対応などもしっかりやろうと思っております。まだこれは最終確定はしておりませんが、今年中にも私自身、中東を一度訪問することを検討するように事務方には指示をいたしております。それから、「道産食品の高付加価値化」、「新HOKKAIDOブランドの発信」、こうした取組を踏まえて2018年度までに道産食品輸出1,000億円の目標を達成する。そのために今年度中に「食の輸出拡大戦略」を策定いたしまして、輸出支援体制の確立、商流・物流網の整備などの取組をしっかりと進めていきたいと考えております。
20ページの右上のほうでありますが、「経済・活力」の二つ目の柱、「世界が憧れる観光立国北海道の実現」ということであります。まずは、「北海道新幹線の開業効果の最大化」ということで、さまざまなことをやってまいります。誘客プロモーション、交通ネットワーク、2次交通等の整備、いろいろなことをやります。
それから、「外国人観光客などの受入体制の充実」ということ、それから「滞在交流型観光や多彩なツーリズムの推進」、「戦略的なMICE(マイス)の誘致・開催の推進」にも取り組んでまいります。こうした取組に必要な予算のうち、観光関連予算につきましては、平成26年度の補正予算を一部繰越明許という形にして、今年度使える形にしておりますものも含めますと、総額で今回の補正予算案も含めて約29億円、これは前年度当初予算との比較において5倍程度の拡充ということで、北海道観光振興機構とも一体となって本道観光の推進に努めてまいりたいと考えております。
さらには、東京オリンピック・パラリンピックに向けてのさまざまな取組をやっていくわけでありますが、2020年度までに外国人観光客300万人の目標を達成をするということを申し上げておりまして、北海道観光のくにづくり行動計画の見直し、そして訪日外国人来道者数の目標拡大を行い、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。先般、国土交通大臣のお時間を頂戴できましたので、国のほうの予算で広域観光ルートの形成事業というものも、ひがし北海道の観光振興ということで提案もしてまいりました。道の予算ばかりではなく、国の予算も徹底的に活用しながら北海道の観光づくりをやっていきたいと考えております。
それから、19ページの下のほうに一次産業の項目がございます。一次産業は北海道の基幹産業でございます。これを強めていくと成長産業化をしていくということで、まずは、「生産性・収益性の高いチャレンジング農業の推進」ということで、6次産業化であるとか、ドローンとかもいろいろ言われましたが、ICT技術を活かしたスマート農業の推進などがあるわけでありますが、畜産経営体に対する施設整備等の支援、今、酪農家の数が減ってきているということも大きな問題でありまして、こういうこともしっかりやっていくと。それから、漁業の分野では以前から申し上げておりますとおり、日本海漁業の振興などを柱としながら、稼げる漁業・漁村の確立ということをやってまいります。林業の分野では、森林資源の循環利用の推進、これをさらに拡充をしていくと。クリーンラーチという、これは2008年のG8サミットのときに私も各国首脳の方々とともに植樹をした、北海道が開発したCO2の削減能力が大変高い種類の樹木でありますが、この増産等もやっていくと。
その右側の「経済と雇用を支える地域産業力の底上げ」については、「ものづくり産業や中小企業の競争力強化」、「地域の商店街の活性化」、「本道の立地優位性を活かした企業誘致の推進」こういうことをしっかりやっていきたいと考えております。
また、「地域産業への人材誘致・確保」それから、「安心して働くことのできる雇用環境の改善・確保」、非正規雇用者の方々の処遇改善、正社員化の促進などしっかりとやっていかなければならないと考えております。
そして、20ページの右下のほうは、「新たな可能性に挑戦する次世代先進モデルの創造」ということで、「ICTなど先端技術の活用によるサービス・産業の展開」、それから、「ヘルスイノベーション拠点の形成や航空宇宙関連の研究開発の推進」。ヘルスイノベーションは、食を切り口としての健康医療づくりと、北海道大学のそういった熱心な取組もございます。先般もフード&メディカルイノベーション国際拠点のお披露目にも行ってまいりましたけれども、一方、北大ばかりではなくて札幌医科大学のほうは再生医療と、これもやはり健康に資する、あるいは医療のレベルの向上に資する、こういった二大医育大学等ともしっかり連携をしながら、ヘルスイノベーション拠点の形成ということをやっていかなければなりませんし、また十勝管内大樹町を中心に航空宇宙関連の研究ということに大変ご熱心でございます。こういったことも進めてまいりたい。それから水素への関心も高まっております。このことも進めてまいりたいと考えております。
重点政策の大きな二つ目の柱、「子育て・安心」に移ります。21ページの上のほうであります。「子育て・安心 安心の絆が広がるふるさとづくり」というふうに命名しておりますが、まず子育ての前に、結婚から私どもが調整、仲介をしていかなければならないというのが現状認識でありますので、結婚サポート、「結婚を希望する独身男女へのサポートの推進」、おせっかいかもしれませんがここから始めていくと。そして、「安心して妊娠・出産ができる環境づくり」さらには、「仕事と子育ての両立支援の充実」さらには、「地域全体で子どもを見守り育てる社会の形成」というようなことを順次やってまいります。
そして、その下に、「安心して健やかに暮らせる社会の形成」ということ。「地域医療の充実」、「救急医療・高度医療提供体制の充実」、そして「高齢者や障がい者が健康に暮らせるユニバーサル社会の形成」という形につながっているところであります。この一環といたしまして、これも道議会の会派からのご要請でございました、旭川市にございます道立の肢体不自由児総合療育センター、この全面改築に向けて、まずは設計費を今年度計上させていただいておりまして、平成31年度の供用開始を目指すことといたしております。
21ページの中段、「質の高い暮らしを実感できる住まいる北海道づくり」、「若者や働く世代の地域への移住・定住の促進」ということを言ってまいりました。ふるさと移住定住推進センターの設置、地域おこし協力隊のさらなる充実、それから「地域交通の維持・確保」、まちなかへの居住の促進などなどをしっかりとやってまいります。
その下、21ページの下のほうであります「安全で強靱な北海道づくり」。ここでは、「徹底した防災・減災対策の推進」、「バックアップ拠点機能の強化」、土砂災害警戒区域の指定に向けての調査をしっかりやっていかなければならないと考えております。それから、「特殊詐欺などの犯罪防止及び危険ドラッグの撲滅」。危険ドラッグ撲滅に向けての条例の提案もこの2定議会(第2回北海道議会定例会)に予定いたしているところでありまして、東京での死傷事故も含めて大変な危機感が出てきたのはちょっと前のことではありますが、道警との調整など事務方も最大限頑張ってくれて、この2定への提案の運びになったところであります。
国の薬物指定というのが政令指定ということもあって、われわれから見ると、なかなかスピード感がない、それを国の指定を待つことなく知事指定の形で薬物を指定してしっかり規制をしていくということ。あるいは、これは他県の条例の中ではないわけでありますけれども、全てが店舗を展開して危険ドラッグが扱われているということだけではなく、店舗自体が地下に潜っているという状況なども想定しつつですね、こういう薬物が危険だということ、こういう危険性があるということをわれわれ道庁のホームページを通じて情報提供する、こういうさまざま工夫を凝らす、中身のある条例案を考えているところであります。それから、「児童虐待やDVなど暴力の根絶」、「高齢者など重点的な交通安全対策の推進」、こういったことにも取り組んでまいります。
重点政策分野の三つ目の大きな柱、「人財・継承 未来へと継承する基盤づくり」ということで、これは22ページの右のほうであります。「グローバル人財など多様な人材の育成」ということ、これも私も選挙中からずっと言ってきたことであります。「学校及び家庭、地域の教育力の向上」それから、「子どもの学力・体力のステップアップ」、「いじめ防止など子どもが健やかに成長できる環境づくり」などに取り組んでまいりたいと考えております。今月中には新しい教育制度の下で、私もしっかりと参加をさせていただく総合教育会議を開催をさせていただき、皆さま方とのご議論も踏まえながら、こういった人材づくりということもしっかり進めていきたいと考えております。
「女性・若者が輝く社会の形成」、「女性が活き活きと活躍できる環境づくり」、「女性の起業及び就業促進」、「女性の自立に向けた支援体制の整備」、「若者の雇用の場の確保・創出」などをしっかりとやっていきたいと思っております。
それから、22ページの下半分でありますが、「本道固有の歴史文化の保全・継承」ということであります。2018年、北海道150年マイルストーンづくり、これをやっていきたいと思っております。これはわれわれ自身がこういう方向でというよりも、道民の方々の議論を踏まえていろいろな事業を一歩一歩しっかりとやっていきたいというふうに考えているところでございまして、赤れんが庁舎の発信拠点としての位置付けを強化するといったことを、まずは今年度考えているところであります。また、「北海道ミュージアム構想の展開」それから、「アイヌ文化や縄文文化の発信強化」そういったこともやってまいります。
「世界に飛躍するスポーツ王国北海道の実現」。それから、「アジアの環境首都を目指す取組の推進」。先ほど水素社会のことはちょっと申しましたけれども、それ以外にも、「省エネ・新エネルギーの導入や環境・エネルギー産業の育成推進」、それから「多様な野生生物の生息・生育環境づくり」、そして「エゾシカ・トドなどの適正管理の推進」。知床(世界自然)遺産登録10周年を迎えます。条例をあらためて作ってこの自然の価値というものの認識を共有し、その保全と適正利用ということの方針を示す条例制定などもしっかりやっていきたい、このように考えているところでございます。
23ページのほうに移ります。「振興局と市町村が一体となったオーダーメイドの地域づくり」は、お仕着せではなくそれぞれの地域で考えて、それぞれの地域のオーダーメイドの地域づくりということでありまして、この4月から全振興局に戦略策定支援担当部長の配置をいたしました。国からも人材派遣があったはずでありますので、そういった方々ともしっかり連携しながら地方版の総合戦略の策定もやっていかなければならないと思うわけでありますし、地域戦略プロジェクトに基づく各振興局の独自事業というようなこともやっていきますし、また、地域づくり総合交付金の予算、これは地域の資源と創意を活かした取組の推進を図るために大変重要なものでありますので、若干ではございますが増額ということも考えているところでございます。
それから、その右側、「北海道型地域自律圏の形成」。これも公約でありましたが、これは予算というよりも、仕組みとしてしっかり振興局に働いてもらうと、そして本庁もしっかりバックアップをしていくということをやっていきたいと考えているところでございます。
以上の説明に尽きるのでありますが、24ページ以降は、それぞれの項目と呼応する形で、いくつかの主要な取組事項の掲載がございます。注釈にございますとおり、二重丸、新規等々ということになっているところでありまして、必ずしも予算に限らず条例制定であるとか、赤れんがチャレンジ事業であるとか、民間との包括連携協定など、予算を使わないツールも含めて記載をさせていただいております。
24ページでいいますと、ASEANの経済交流支援拠点整備、それからロシア極東地域ビジネス展開・輸送モデル構築事業。北海道銀行が大変ご熱心ということもございまして、連携しながらやろうと思っております。
ここにあるのは全部主な項目ですので、後から必要があればそれぞれの担当もおりますので聞いていただければと思うのですが、25ページの一番上、イスラムマーケットのハラール対応について記載しております。「道産食品の高付加価値化」でヘルシーDo(ドゥ)、その次、HACCP(ハサップ)などもありますし、その下で、クールHOKKAIDOネットワーク推進事業。それから、26ページに移りまして、「北海道新幹線の開業効果の最大化」ということで、ここも対前年予算でおよそ4倍くらいのいろいろな項目を掲げさせていただいているところであります。27ページ、「外国人観光客などの受入体制の充実」、いろいろありますけれども、下から2番目、ビッグデータ活用型動態・嗜好分析調査事業などもやってまいります。27ページから28ページ、国際観光新商品開発・販売促進事業とかですね、道内周遊活性化事業とかいろいろあります。
28ページの下のほうに、一次産業の成長産業化の「生産性・収益性の高いチャレンジング農業の推進」でありますが、6次産業化もやりますけれど、一番下の畜産競争力強化対策整備事業、これはですね、先ほどもちょっと申しましたけれども、特に畜産よりも酪農のほうで農家戸数が減っていっているというようなことに、私ども自身も、国と同等あるいはそれ以上に危機感を持っておりまして、畜舎の整備であるとか搾乳ロボットなどの施設整備のところを、畜産クラスター計画というものを地域に作っていただいて、それに沿う形で計画的に行う場合に支援をしていくなどの予算を考えております。29ページ、この1の下から2番目のスマート農業推進ネットワーク事業、先ほど申しましたICT活用というようなことも視野に入れながら、GPSの活用とか、無人トラクターとかですね、そういう次世代型の農業展開であります。「日本海漁業の振興など稼げる漁業・漁村の確立」、それから、「森林資源の循環利用の推進による林業・木材産業の振興」のところでクリーンラーチ増産推進事業などもございます。
それから、30ページ雇用関係(4)「経済と雇用を支える地域産業力の底上げ」、どれもこれも重要であります。それから、「地域の商店街の活性化」、31ページ、「本道の立地優位性を活かした企業誘致の推進」をしっかりやってまいります。それから、「地域産業への人材誘致・確保」、UIターン・プロフェッショナル人材誘致推進事業などございます。それから32ページ、「安心して働くことのできる雇用環境の改善・確保」、人手不足分野処遇改善促進事業など掲載させていただいております。
33ページ、「ヘルスイノベーション拠点の形成や航空宇宙関連の研究開発の推進」、ここもいろいろな予算を掲げさせていただいておりますし、「水素社会形成や次世代クリーンエネルギーの開発・活用促進」これも取組促進に向けてやろうと思っております。
34ページは、先ほど申しましたとおり、まず子育て・安心の前段として、「結婚を希望する独身男女へのサポートの推進」、「安心して妊娠・出産ができる環境づくり」、「仕事と子育ての両立支援の充実」、「地域全体で子どもを見守り育てる社会の形成」。35ページは、「医師確保対策など地域医療の充実」、「救急医療・高度医療提供体制の充実」。36ページは、「高齢者や障がい者が健康に暮らせるユニバーサル社会の形成」であります。先ほどちょっと全体の計数のところで言いましたとおり、保健福祉関係の経費というのは、やはり伸ばさざるを得ないのですね。国のほうもですね、いろいろな形で制度の見直し等を踏まえて、社会保障関係費の抑制ということを重要課題としてやっておられるわけでありますが、国の制度と連携するところがあるので、地域としてできることはそんなにはないわけでありますが、例えば、こういう高齢者の方々の対策の中で、健康長寿をしっかり推進する。これは公約にも入れさせていただきましたけれども、そういうことで医療費を抑制するとかですね、それからこれは予算の外でありますけれども、道立病院というのはなかなか収支的にも難しいわけで、この経営のありようを、今ご承知のとおり道議会でも表明させていただいておりますが、地方公営企業法の(全部)適用というようなことも念頭に置きつつ、経営の効率化の議論も内部で詰めているところでございまして、こういったさまざまな政策をやっていかなければならないと考えております。
それから、37ページ、「若者や働く世代の地域への移住・定住の促進」、いなか暮らし応援プログラム推進事業、これは(ふるさと移住定住促進)センターの設置などを想定しております。それから38ページ、「安全で強靱な北海道づくり」の真ん中くらい、土砂災害基礎調査、北海道は広大なるが故にやっていかなければならない調査地点がたくさんあります。粛々とやってまいります。次のページが、「バックアップ拠点機能の強化」、「特殊詐欺などの犯罪防止及び危険ドラッグの撲滅」。40ページに入って、「児童虐待やDVなど暴力の根絶」、「高齢者など重点的な交通安全対策の推進」という形であります。
41ページ、「人財・継承」、「グローバル人財など多様な人材の育成」、「学校及び家庭、地域の教育力の向上」、「子どもの学力・体力のステップアップ」。42ページに入って、「いじめ防止など子どもが健やかに成長できる環境づくり」、それから、「女性・若者が輝く社会の形成」、新規予算、拡充予算など、それぞれ掲載させていただいております。43ページ、「新たな発展に向けた北海道150年マイルストーンづくり」、赤れんが庁舎の整備予算などもここに計上させていただいております。44ページ、「世界に飛躍するスポーツ王国北海道の実現」。そして、45ページ、「省エネ・新エネルギーの導入や環境・エネルギー産業の育成推進」、中小水力(発電)の推進、これもしっかりやらなければならないと前から申し上げているとおりであります。また、木質バイオマスの利活用、こういったことも北海道らしい取組としてしっかりやっていきたいと思っております。46ページ、「知床世界自然遺産など貴重な自然の保全・継承」のところでは、条例の検討事業費、世界にしっかりと、この知床の世界自然遺産を保全をしていくことを発信していくためにも条例制定をしっかりやっていきたいと考えております。
48ページ、最後ですが、地域づくり総合交付金、若干の増額をさせていただいております。
本当に駆け足で恐縮でありますが、私からは以上であります。
記者からの質問
(朝日新聞)
全体的な大きな数字の話なんですが、投資的経費が微増ということで3,000億円台で、10年くらいの推移を見ますと、だいぶ減ってきている中で、3,000億円台くらいを維持しているのかなという感じがいたします。
依然として、道の財政状況は決して良い状態ではないと思うんですけれども、その財政再建とですね、こうした投資的経費のバランスというところを、知事としてどうお考えになっているのかお聞かせ願えますか。
(知事)
分かりました。先ほど申しましたとおり、私が知事に就任して以来、(財政が)大変厳しい状況でバトンタッチされましたので、財政再建に向けて例外なく費目それぞれを精査していくという作業をずっとやってきて、それを計画的にローリングしながらここまできたわけでありまして、その意味では、この投資的経費の時系列を見れば明らかであるように、関係の皆さま方にはご協力を頂いて再建に努めてきたところであります。
そういった中で、国のほうの(公共事業)予算が相当低くなったという中で、(道議会)会派から強い強いご要請もありましたので、私どもとして、本当にぎりぎりのところで、これだけの増額ということで計上させていただいたところであります。これで議会のほうのご理解が賜れるかどうかは道議会での議論を待ちたいと、こんなふうに思っております。
(日本経済新聞)
今の質問に関連してなんですが、財政状況ですね、収支不足がひと頃に比べてだいぶ改善されてきたという状態ですが、ただ、まだ依然として実質的な赤字状態という今の財政状況については、知事はどのように認識されているのかというのと、今後の行財政改革にどのような姿勢で臨まれるのかという点をお聞きします。
(知事)
今の財政状況はこれまでの約10年間にわたる道民各界、各層の皆さま方のご協力の下に少しずつ収支不足額の改善が進んできたと、一番厳しい時が2,000億円強あったわけでありますので、それがもう3分の1ぐらいまでにきたということは、一つの私どもの協力・連携作業の成果として言えるかなというふうに思うわけであります。
その意味では、先ほど観光予算のところでもちょっと言いましたかね、少しやはりメリハリをつけて増やさなければならないと思うような分野については、若干ではありますが、私どもの裁量で増やすということのゆとりが出てきたかなというふうに認識をするまで至ったかなと思う次第であります。
道債残高も順次減ってきておりますし、実質公債費比率の将来展望も含めて、本当に厳しい状況は脱したかと、ちょっと前のこの推計の中では金利の想定によっては(実質公債費比率が)25パーセントを超えるということも想定された中で、今日を迎えたということは感慨深いものがございます。しかしながら、まだまだ気を許せる状況にはないのは、今ご質問の中でも触れられたとおりでありますので、気を抜くことなく、一つ一つの予算費目をやはり例外なく一つ一つ効率的に実施できるように関係各部局にもしっかりと対応してもらうと同時に、総務部にもしっかりと見てもらうということが必要かなというふうに考えております。
(日本経済新聞)
行財政改革について、これからどのような形で取り組むかというイメージはありますか。
(知事)
去年、選挙前ではあったのですが、私の4期目にも跨いだ2カ年の計画ということで、今年度分までは計画をしているところでございますので、まずはそれを粛々とやっていくと。その先についてはですね、2カ年の計画で今年度までということでありますので、その状況をこの年度中にしっかりと把握しながら、次に向けてどういう形でこの行財政改革を進めていくかということ、しっかりと道庁内あるいは議会とも議論を深めていかなければならないと思っております。全く元に戻してということはあり得ないと思うわけでありまして、今の行財政改革の進め方の厳しさ度合いをどれぐらい緩めるのか、緩めないのか、そういう議論になってくるのかなというふうに思っております。
(HBC)
事業がたくさんある中でですね、どれも必要な事業だから予算が付いていると思うんですけれども、知事から見て楽しみな事業というかですね、この新規事業の中で、これは期待をしているとかですね、何か具体的なものがあれば挙げていただきたい。
(知事)
予算のほうはですね、それぞれの項目が重要だと思うからこそ計上しているわけですが、やはり4月の選挙に向けて公約として発表させていただいた、道産品の輸出をぐんと伸ばすという1,000億円プロジェクトであるとか、それから、外国人観光客300万人を目指すという目標であるとか、そのための肉付けの単独の事業費というよりもいくつかの事業費群がありますよね。そういうものを一つ一つ、それぞれの担当部局が進めてもらうことによって、目標達成がしっかりなされるように私としては期待をするところであります。
最初のほうで申し上げたシンガポールの(交流)拠点(の設置)は、私自身、年内にとにかくオープニングのテープカットに出張させてというふうに担当部局に言っていますので、そういうスピード感で担当部局が考えてくれていると思いますので、ぜひよかったら一緒にシンガポールに出張に行きましょう。
(HBC)
もう1点、ちょっと予算とは関係ないんですけれども、ロシアの200カイリでですね、さけ・ますの流し網漁が来年から禁止になる法案が、ロシアの下院で通過しまして、根室市長さんなんかは250億円くらいの影響があるというふうなことをおっしゃるんですけれども、これが本当に法案が成立すると、道内にも非常に大きな影響が出るのですが、これについてどういうふうに受け止めていらっしゃるのか、コメントをお願いします。
(知事)
ロシアの200カイリ水域におけるさけ・ます流し網の禁止の法案、これはやはり大変に私どもも危機感を持っております。
私自身はですね、選挙に入るちょっと前、3月の始め(3月3日)、今、道議会は改選で新しい委員会構成になりましたけれども、その当時の委員長とか議会の方々と一緒にTPPの要請に合わせて、この流し網漁について、日本国政府として最大限ロシア側に働き掛けをしてほしいという、そういう要請を(農林水産大臣へ)行った経緯がございますし、それから、昨日と本日、地域の方々が(外務省や農林水産省などへ要請に)行かれたというふうにも、事務的に報告を受けているところでございます。
そういった中で、(法案が)ロシア国会の下院を通過してしまったということ、ロシア国会のことですから、われわれ地方として、直接手を出せる状況にはないわけでありますが、大変残念であります。科学的根拠がどうかというような議論もあるようでございますが、これから上院に回されて審議が進むかどうか、さらには議会が議了した後に大統領が最終的にどう判断されるのか、いろいろな節目節目があるかと思いまして、私どもの立場としては、それを注視をしていく以外にはないと思うわけでありますけれども、私が3月に林(農林水産)大臣にお会いした時も言っておられましたし、また、昨日と本日、地元の関係者の方々が国に要請に行かれた時も国からそのように反応があったと報告を受けておりますが、国の立場でもしっかりと外交ルートを通じて働き掛けをしたいということでございますので、そういったことにも期待をしつつ、ロシア国会なり大統領の動きというものを注視をしていきたいと、こんなふうに考えております。
(北海道新聞)
まず、今回の予算案ですね、4月の選挙の公約のうち、実際に予算付けできたのは何割になるのかというのを教えていただきたいのと、知事ご自身が今回の予算案についてご自身で自己採点すると何点になるのかなということをお願いします。
(知事)
公約のうち、項目の柱の数でいうと92パーセント、そういうことでありますので、一歩一歩取り組みはスタートしつつあるかなというふうに思っております。ただ、予算だけでできることばかりではありませんので、さらに気を引き締めて、公約実現に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
それから、自己採点は私はしません。これは第三者にしていただくものだと思っております。あえてひと言、言うとすれば、私が4期目に入ってすぐに登庁した直後に、事務方に公約は道民の方々にお約束したこと、それを見た上で道民の方々は高橋を選んでいただいたので、これは道庁に対する、道庁自身がそれを粛々と進めることが求められるので、しっかり予算に反映してほしいということを指示した結果として、92パーセントの項目について反映してくれた、道庁それぞれの部局の職員には心から感謝をしたいと、こんなふうには思います。
(北海道新聞)
日本創成会議がですね、(6月)4日に、地方への高齢者の移住、(東京圏で)医療・介護の施設が不足しているということで移住を促し、北海道も6地域がその中に入っていたんですけれども、知事としてその提言に対して受け止め方を教えていただきたかったんですけれども。
(知事)
報道を通じて見る限りは、結構否定的なコメントをされる識者あるいは自治体のトップの方、知事さん方もそうだったかな、多いような気がするのですが、確かにその目で日本創成会議のレポートを見ますと、高齢者の方が地方へ移住すべしみたいな提言になっていますよね。高齢者といっても幅があるかと思うのでありますけれども、本当に要介護になって動くこともままならないような状態になった高齢者の方々に東京から地方に来いということであるなら、確かにそれは介護なり何なりの負担の押し付けではないかという議論はご批判としてまっとうかなと思うわけでありますが、私はやはり今回の創成会議の有識者のご提言というのは、今、どんどん東京に一極集中が進んでますよね、じゃあ、将来も含めて東京ってバラ色なのかという目で詳細を見ると、そうではなくて、いろいろな課題もあるよと、だからこそ地方も頑張っていろいろと整備をして、東京からの移住を受け入れたらいいんじゃないかというふうに、そういうふうに読むとすればですね、これは私は一つの見識だと思います。
例えば、私も還暦を過ぎましたけれども、定年になった時ぐらいに地方に移住を、そんなに将来の東京が厳しいのだったら早めに移住しようという方もおられるだろうし、また、そこまでいかなくても働き盛りのうちに脱サラで農業をやろうというふうに、そんなに都会が厳しいのであれば今働き盛りのうちに地方に来ようという、そういうふうにレポートを見て思われる東京都民の方もおられるでしょうし、そういう一定以上の年齢の方々が北海道に限らず、長野であるとか富山であるとか、いろいろだと思いますけれども、地方に来られたら、お子さん方も、当然おじいちゃん、おばあちゃんが行くんだったら僕たちも時々は行こうよ、あるいは、いいところだからここに住もうよということもあり得るだろうし、お孫さん方も来られるだろうし、何というか消費拡大とかですね、いろいろな経済効果というと何かレベルが低いような話になってしまうかもしれませんが、効果の部分というのは相当あるかなというふうに思います、率直に。
ただ一方で、確かに、私も含めて、皆さん方も含めて、そのまま年を取っていったら、医療費の問題、介護の問題、そういうのがやはり、ご高齢の方が住んでいる地域の行政の負担にもなってくるわけで、そういった部分の財政負担の増加については、この移住提言の中で実現されることを想定しつつ、どういうふうに国がバランスよく分担をしていくかという、財政負担の議論、社会保障費の増加に係る自治体負担の議論というのは、しっかりやらなければならないと思うわけでありますけれども、あながち今回の日本創成会議の有識者提言というのは、単に、そんなのダメだよというのではなくて、そこに込められている有識者の方々の思いというものを踏まえて地域として何をやっていくのか、何を提案していくのか、そういう形でレポートを捉えるべきではないかな、というのが私の受け止めであります。
(NHK)
ピンポイントで、予算の項目でちょっと細かいところになるんですけれども、27ページの「外国人観光客などの受入体制の充実」というところで、知事、選挙の中でも外国人観光客300万人というのを掲げておられました。その公約の政策的なのを反映してですね、ビッグデータを活用した動態調査だとか、あとは、外国人観光客の受入のための宿泊施設の整備で投資を呼び込むというようなところだとは思うんですけれども、この二つについて、外国人観光客の受入だったり、外国人観光客を増やす上で、何が今課題で、この二つの政策でどういった効果を期待されるのかというのをお聞かせください。
(知事)
課題はたくさんあるのですが、新千歳空港の整備の問題もありますし、道内13空港のバランスあるポートセールスの問題であるとか、山ほどあるんですけれども、そういう中で今回、私からの指示を踏まえて、今検討すべきことについていくつかを個別具体的に予算化してくれたのが、今おっしゃったビッグデータの活用とか投資促進の関係かなというふうに思うわけであります。
それから課題は本当にいっぱいあるのだけれども、それは道だけでできないことも多々ありますので、同時並行でみんなでやっていくのでありますが、それは先ほど申しましたとおり、北海道観光のくにづくり行動計画で、その中でそれぞれの項目ごとに精査をしていくということの中で出していくわけであります。
今回のこの予算の中のビッグデータ活用というのも、投資(促進)も、これは私が事務方にお願いをしたものでありますけれども、まずはビッグデータのほうは、(観光関係者の)生の声というのを聞きますと、いろいろなことを言いますよね。道内の観光関係、ホテルの人でも、お土産物屋さんの方でも、エージェントの方でも、本当にご自身が関与した、経験したその範囲内でこうだよ、ここをこうしたらいいよというお話が多々あるじゃないですか、でも、それは私ども行政が聞いても、もっともだなと思うことも結構あるのですが、考えてみたらこの情報化時代で、ビッグデータって山ほどあるわけで、それを一度活用して、その個別具体の外国人の観光客の方々の動きの中から、何かやはり客観的に得られる情報というのがあるのではないかと、それを踏まえて、じゃあわれわれとして(外国人観光客)300万人、あるいはそれ以上にもちろん持っていきたいのですけれども、やっていく上で、何をすべきかという、そういうことをやってみたらって言ったのが、この予算です。予算的には3,200万円ですけど。
それから、ホテル等への投資促進でありますけれども、北海道の中心都市はなんといっても札幌市でありますけれども、札幌市という190万都市を考えても、例えば、老舗のホテルと言われているようなところでも、結構(施設が)古くなっているというところもないわけではないですし、この前(6月9日)、道市懇(北海道・札幌市行政懇談会)で、札幌市長、副市長ともお話をしたのですが、今の札幌市内のいろいろな観光施設を含めたインフラというのは、前回の(札幌)オリンピックを開催した1972年を契機として整備されたものが多々あるわけですよね。そうすると、施設がもう古いわけですよね、だから、それをやはり新しくしていくということを、観光の魅力アップということを考えた場合に、例えば札幌市だけを取ってもそういう課題があるかなと。もちろん地元資本でやるのが理想かもしれませんけれども、今、株高であるとか、為替動向等で、道外にも利益を上げている企業はいっぱいあるはずでありますので、世界にも視野を広げて、道外の資本の方々に、ぜひ道内のこういう観光関係の施設整備に関心を持っていただいて、投資対象として魅力的であるということを発信をして、投資促進、直接投資を図っていくということは、われわれ観光立国北海道をさらに高めていくために重要ではないかなというふうに思ったというのが一つであります。
それから、私もアジア、中国とか韓国とかいろいろなところへ行って、だいたい北海道人会の方々などとも議論をするのでありますが、いつだったか、「札幌市っていっても本当にビッグネームの、世界的に有名なホテルって1個もないよな」と、率直に言われたことがありまして、もとより外国人観光客の方々それぞれの所得階層によって、どういうツアーをやるかというのは、もちろん幅があるわけでありますけれども、本当のお金持ちの人たちというのは、例えば(ザ・)ウィンザーホテル(洞爺)、1泊何十万円と言われている施設に1カ月くらいずっと泊まり続けるとかですね、そういう人たちも現にいるわけでありますので、そういう方々にアピールする、あるいはミシュランガイドでも評価を受けた北海道、さらには世界にもこういうホテルもあるんだよというふうにアピールをしていくということの意味はあるかなということを、道人会の方々と議論をしていた時に、私自身、深く胸に刻んだことがございまして、そういう中で、ようやくこういう形で予算化したということかなというふうに思っております。大いに期待をしております。
(TVh)
知事、先ほど補正も含めると観光予算、前年度から5倍くらいになったという話でしたけれども、ここまで増やした一番の狙いというのはどういうところになりますでしょうか。
(知事)
観光予算増の一番の狙い、一言で言えば、(外国人観光客)300万人達成ということでありますけれども、ちょっとブレイクダウンすれば、来年の3月に(北海道)新幹線がいよいよ参ります、この(開業)効果を全道に行き渡らせていかなければならない。そして、道外、首都圏、北関東、東北、そしてそれより西の地域の皆さま方にもしっかりとアピールをしていかなければならないなど、北海道新幹線の開業効果をさらに最大化していく必要があるという思いが一つございます。
それからもう一つ繰り返しになりますが、アジアの中で注目を集めているこの北海道のさらなる磨き上げをしていくために、やはり観光資源、インフラ整備、交通ネットワークの整備など、やっていかなければならないことが多々ございますので、そういった意味で北海道観光振興機構としっかり人事面での連携も深めながら、事業を進めていくために予算を大幅に増やさせていただいたところであります。
(北海道新聞)
先ほどですね、ロシア200カイリのお話がございましたけれども、(さけ・ます流し網)禁止法案のほうではなくてですね、今まさに交渉を継続している今年の漁の関係で、日ロ協議が今継続していると思うんですけれども、その進展状況についてですね、知事の現状認識、何かご報告とか受けていましたら教えていただければと思うんですが。
(知事)
なかなかいろいろなことが連動しているということもあるのでしょうか、今年の協議も大変厳しい状況にあるという報告は受けているところでありまして、ただ、水産王国北海道であります、特に地域の方々のご不安が高まってきておりますので、しっかり協議が整うよう、われわれとしても最大限の努力をしていかなければならない、そんなふうに思っております。
(釧路新聞)
釧路コールマイン(KCM)の話をお聞きしたいと思います。今回の政策予算の中でも、炭鉱保安確保のための支援が5,000万円から7,000万円に拡充されています。KCMのほうからは、昨日、火力発電所の建設計画が発表されましたが、エネルギーの地産地消とKCMの経営安定、自立化へ向けての策として地元では期待が高まっています。知事としてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますでしょうか。受け止めをお聞かせ願えればと思います。
(知事)
今年度の国の釧路コールマインに向けての予算の議論の中でもですね、さまざまな、この火力発電所の整備ということも議論に上がっていたわけでありまして、そういったことの延長線上の中で、釧路コールマインが地元釧路市との協議、それから私どもも関与しておりましたけれども、国との協議なども経てですね、今年度に入ってまだ2カ月のタイミングで計画を発表されたということは、本当に良かったなというふうに思っているところでございます。
もともと海外からの研修生の受入研修事業ということと、生産された石炭自体は、輸送コストを多くかけて道外まで運んで消費されていたという中で、今回、近隣に火力発電所が立地するということになれば、輸送コストの大いなる削減ということで、コストダウンにもなるわけでありますし、エネルギーの地産地消ということにもなるわけでありまして、また、当然釧路コールマインの経営の安定にも資するものでありますので、大変に評価をするところであります。
道外のIDIインフラストラクチャーズという投資ファンドの参画も得ることができたというふうに報告を受けているところでありまして、このことが早期に実現するように、私どもとしても、私どもの立場でのサポートをしっかりやっていきたいと、こんなふうに思っております。
(北海道新聞)
JR日高線のことについてお聞きしたいのですが、6月3日に知事が自民党道連(自由民主党北海道支部連合会)の申し入れを受けてですね、三者協議を作る必要があるという発言をされて、その後、国土交通省のほうでも月内にやりたいということで話が進んでいるんですが、その時に三者協議会を呼び掛けた意図というのとですね、それに加えて三者協議会というのは月内にやる方向と聞いているんですが、今後1回目の協議はいつぐらいで、最終的な結論はどのくらいを目指してやるのかというのをちょっと教えていただければと思います。
(知事)
三者協議は、事務的には国と道とJR北海道でいろいろ水面下では議論があったのだと思いますけれども、私が公の場で言ったのは初めてということでしょうか。いずれにしても、この三者協議ということにつきまして、先般、別件で太田国土交通大臣のところにお邪魔した際にも、大臣のほうから、このことはしっかりとやっていこうということをおっしゃられたところでありまして、大変心強く思ったところでございます。
何としても、私どもとしては日高線のあの部分(被災箇所)の復旧を1日も早くやってほしいと、これは多くの署名も集められているところでありますので、住民の方々の気持ちを踏まえて、あるいは地域の首長の方々のお気持ちも踏まえて、しっかりと復旧を早期に実現しなければならないということを思っているわけでありますが、JR北海道のほうは、なかなか5カ年間の安全投資の計画等の実現の中で、やはり今回この一連のことというのは、この日高線ということだけではなくて、安全対策が不十分だったが故に、一連のいろいろな国からの命令を受けたり、第三者機関を設けて大々的に議論をして方向性を出すという、この一連のことの大きな背景は、JR北海道としての安全性に対する意識、そして投資が不十分だったということがあったわけでありまして、そういうこともあって、やはり日高線を復旧するにしても、しっかりとした工事が必要だというスタンスを崩しておられませんし、また、そのためになかなかJR北海道としてもお金は出せないということも言っておられる、そういう中でわれわれの思いとJR北海道の思いと、国は国の思いと、なかなか、なんとなく方向性はやはり早く(工事を)やらなくてはというふうに思っているのだと思うのですが、方法論なり、スピード感なり、いろいろなことで思惑の違いがあるので、まずは三者で事務的な場でしっかりと議論を深めることが重要だろうということを思っているところでありますので、6月中に発足させるということ、(国土交通)大臣がこの前(6月5日)、記者会見でもおっしゃられたということも大変心強く思っているところでございます。
今後のスケジュール感というところまで、まだ三者協議は始まっていない中で申し上げられる状況にはございませんが、北海道はやはり冬場が早く来るわけでありまして、工事への着手ということのタイミングが急がれるということは論をまたないわけでありますので、そういったこともにらみながら、地域住民の方々の思いも踏まえて、われわれとしてはスピードアップをしていきたいと、こんなふうに思っております。
(STV)
2点ございまして、1点は、これまでも他社さんからも質問が出てますが、ロシアの流し網漁のことについてですね、知事は先ほども他国の国会のことでもあり、見守るしかない状況だというようなお話もございましたが、北海道経済の観点から考えますと大変影響が大きなお話でして、これまでもいろんな活動をされているんですが、どうなんでしょうか、できることはだいたい、この時点ではやはり限られているというようなご認識でいらっしゃるのか。併せまして、政府内からはですね、地域の盛り上がりという意味ではですね、昔に比べれば地元がおとなしいようだというような声も上がっているという一部報道なんかもありますが。
(知事)
地域の声というのは、まさに漁業を抱えている地域のことですか。
(STV)
そうです。地元の声です。そのあたりの知事の受け止めといいますか、この後上院の通過、大統領の署名と、折に触れてという話もありましたが、併せてあらためてお聞かせいただければと思います。
(知事)
われわれとしてやれることというのは、まず、私の名前で向こう(ロシア連邦)の農業大臣にレター(書簡)を出させていただきましたし、また、同じような状況にあるサハリン州のほうにも、これはローカル・トゥー・ローカルというか、道庁の名前において働き掛けをしているということ、さらに国は、私どもも確認しておりますが、外交ルートで慎重にということの申し入れを複数回にわたって行ってもらっていると、いうふうに理解をいたしているところであります。
そういったことをですね、これからもできる限り続けていくと、昨日と本日、地元の方々が国に(要請に)行かれましたので、それを踏まえてやはり国として、またアクションを起こしていただけるものと思いますので、そういったことをできる限りやっていくということに尽きるというふうに思う次第であります。
地元が静かというのはどうなんですか。そうなんですか地元は。
(水産林務部技監)
そんなことはないです。根室市長も昨日、今日と(中央要請に)行っていますので。
(知事)
地元は、大変危機感を持って対応をしているということでございます。私どもとしても最大限のことをやってまいりたい、こんなふうに考えております。
(STV)
先週の土曜日(6月6日)にですね、また痛ましい、砂川市で大きな交通事故が発生しまして、連日報道が続いておりますが、どうもこれが飲酒運転がまた絡むような可能性が極めて高いという情勢でございます。知事、まずこの痛ましい事故に関します受け止めとですね、昨日(6月10日)、庁議のほうでも知事が指示を出して飲酒運転の撲滅に向けまして、交通事故の防止に向けまして、その取組の強化を指示されたということですが、このことも踏まえまして、道として飲酒運転(撲滅)に向けての取組と、北海道は交通安全基本条例というのがございますが、道議会の会派の中には飲酒運転の根絶、飲酒運転(撲滅)に特化しました条例の提案の動きというものもあるようですので、その辺も含めまして、道の対策、知事の受け止めをお聞かせいただきたいと思います。
(知事)
分かりました。土曜日の砂川市の国道12号線の死亡交通事故というのは、本当にあってはならない、大変痛ましい事故でありました。特に長男の方が車の外に投げ出された後、引きずられて(事故現場から)離れたところで亡くっておられたということ、本当に胸が痛くなる思いでございまして、亡くなられた方々に本当に心からご冥福をお祈りすると同時に、次女の方が今入院中と、何としても回復していただきたいと、そのことをまず願うということを申し上げたいというふうに思います。
それで、事故原因については連日大きく報道をされておりますが、また、道警のほうで原因究明をしっかりやっていただく必要がありますので、途中段階であまりコメントをすることが適切かどうかということはありますが、今おっしゃったとおり、どうも飲酒が絡まった悲惨な事故であったというふうなことが推察される事案であるということのようであります。そういった中で、月曜日(6月8日)に空知総合振興局において、交通死亡事故多発警報を発表させていただきまして、空知管内における緊急対策を砂川市と周辺の市や町、また、警察署などが連携してしっかりと取り組んでいこうという申し合わせをしてもらったところであります。
そういった中で、昨日の庁議におきまして、これはたまたま空知管内の砂川市、国道12号線は確か日本で一番長い直線道路ですよね、そういうこともあったのでしょうけれども、しかし空知ばかりに限らない、道内どこで起こってもおかしくない事故でありますので、各部長、各振興局長を集めた庁議の場で、私から交通安全に向けて気を引き締めて対応するようにということの指示をいたしましたし、交通安全対策七者連絡会議というものを開催し、それぞれの管内の警察署、関係機関、団体と連携して、全道的な交通事故の防止に向けた取組の強化を図ったところでございます。
そのことをしっかりやるということの中で、今、並行して、ご指摘のとおり、道議会自民党会派の有志の先生方だと伺っておりますが、飲酒運転撲滅に向けての条例をやはり北海道でも作らなければならないというご検討が進んでいるということをお伺いいたしておりますので、私どももしっかりと理事者として、この検討に、私どもの立場でできる参画をしっかりやらせていただいて、こういった条例のご提案が議員の皆さま方からございました時に円滑にその審議が進むような、そういった環境整備もしていかなければならない、そんなふうに思っているところであります。
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