北海道の産業 - 観光
北海道の観光の現状
令和2年度(2020年度)の北海道の観光入込客数(実人数)は、国の「Go Toトラベル」や道の「どうみん割」、市町村独自の宿泊助成キャンペーン等による効果もあり、令和2年7月以降は、旅行需要の回復傾向が見られましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行、拡大が響き、前年度比36.7%減の3,338万人と大きく減少し、現在の基準で統計を開始した平成22年度以降、人数は過去最低、減少幅は過去最大となりました。
訪日外国人来道者数は、観光客に対する入国拒否等の措置を講じていることから、令和2年度は0万人(前年度比100.0%減)となりました。
また、宿泊客延べ数の合計は、前年度比49.5%減の1,830万人泊、市町村における観光入込客数を合計した総数(延べ人数)は、前年度比43.7%減の8,106万人となっています。
観光振興に関する道の施策
本道の観光産業は、豊かな自然環境を背景とした風光明媚な景観や新鮮な食、多彩な温泉、様々な体験メニュー等が楽しめるアウトドアなど豊富な観光資源を活かしながら、これまで道内のリーディング産業としての地位を確立してきました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、インバウンド需要はほぼ消失し、国内需要も減少している中で、観光関連事業者はこれまで経験したことのない極めて危機的な状況に置かれております。
感染症の状況が見通せない中、徹底した感染拡大防止策と社会経済への影響の最小化を図りながら、広大な自然環境を活かしたクリーンな北海道を目指し、新しい旅行スタイルの推進など、中長期的な視点に立って次に進んでいかなければなりません。
2021年度は、世界中が注目する「東京2020オリンピック」の札幌開催や、アジアで初めて世界中のアドベンチャートラベル関係者による国際イベントである「アドベンチャートラベル・ワールドサミット・バーチャル北海道/日本(ATWS北海道/日本)」が開催されます。こうした大きなイベント開催の機会を契機として、感染症に強い北海道を内外に示しながら、ウィズコロナ・ポストコロナを見据え「観光立国北海道」の再構築に向けて、以下の方向性に沿って取組を進めていきます。
1 クリーン×セーフティ北海道
「新北海道スタイル」の徹底などによる安全・安心の提供や広大な自然や密になりにくいアウトドア環境など本道の価値や優位性を再評価し、環境と共生する観光を推進するとともに、積極的な情報発信を行うことにより、『「安全・安心」で選ばれる観光地づくり』を目指していきます。
2 量×質の追求
人口減少や感染拡大防止のための「三密」回避のため量の拡大が難しい状況下において、道内観光の高付加価値化を目指すとともに、観光入込客数の8割を超える道内客からも愛される観光地づくりや、自然環境、食など本道の観光資源のブランド力強化による新規誘客・リピーターの獲得、富裕層向け商品・サービスの充実による質の向上、AI、IoTといった先端技術の導入による低コスト化を実現することにより、観光客のさまざまなニーズに対応できる施策を展開し、「満足度向上と連動した消費単価の向上」を目指していきます。
3 旅行者比率のリバランス
道内観光を支える道民による道内旅行需要を改めて見直すとともに、道外観光客の旅行需要を喚起しつつ、地域偏在や季節偏在などの課題解決につながる取組を進めます。また、訪日外国人来道者については、渡航制限解除等を見据えた海外需要の獲得を目指し、欧米や東南アジアなど東アジア以外からの観光客をより増加させるなど、「感染症の状況に応じた誘客対象の最適化」を目指していきます。
4 新しい旅行スタイルの推進
本道の豊かで優れた自然環境等を活かしたワーケーションの推進や、ATWS北海道/日本を契機に本道の自然・文化等の特性を活かしたアドベンチャートラベルの造成・発進のほか、新たなインバウンドをはじめとする道外からの旅行客の取込方策の検討を進めるなど、長期滞在が促進され、繁忙期、閑散期の差の解消ができ、観光総消費額を増加させる「新たな北海道観光価値の創出」を目指していきます。
5 観光インフラの強靱化
広域観光の拠点としての道内空港の利活用や観光産業を支える人材の確保や育成、災害時等に観光客の安全・安心に資する基盤の強化などで地域における観光インフラの充実を目指していきます。
6 推進体制の強化
施策を推進する体制強化のため、観光関係団体との連携や安定的な財源の確保に向けた検討を進めていきます。
観光入込客数(実人数)及び宿泊客数の推移
出典:北海道経済部(2020年)「北海道観光入込客数調査報告書」
圏域別観光入込客数<2020年度(令和2年度)>(延べ人数)
出典:北海道経済部(2020年)「北海道観光入込客数調査報告書」