北海道苦情審査委員に関する条例
平成10年12月17日公布 北海道条例第45号
(最終改正 平成29年3月31日 北海道条例第15号)
(目的)
第1条 この条例は、北海道苦情審査委員に関し必要な事項を定めることにより、権利利益の救済等の諸制度を補完し、簡易迅速に道民の権利利益の保護を図り、もって開かれた道政を一層推進するとともに、道民の道政に対する信頼の確保に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「道の機関」とは、知事、教育委員会、選挙管理委員会、連合海区漁業調整委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、公営企業管理者、病院事業管理者若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律若しくは条例上独立に権限を行使することを認められた職員をいう。
(設置)
第3条 簡易迅速に道民の権利利益の保護を図るため、北海道苦情審査委員(以下「苦情審査委員」という。)を置く。
(所掌事項)
第4条 苦情審査委員の所掌事項は、次のとおりとする。
(1) 道の機関の業務の執行に関し、審査をすること。
(2) 道の機関の業務の執行に関し、是正又は改善の措置を講ずるよう勧告し、及び制度の改善を求める意見の表明をすること。
(3) 勧告、意見の表明等の内容を公表すること。
(苦情審査委員の責務)
第5条 苦情審査委員は、公正かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
2 苦情審査委員は、その職務の遂行に当たっては、道の機関と有機的な連携を図るとともに、権利利益の救済等の諸制度の趣旨を損なうことがないよう配慮しなければならない。
3 苦情審査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
4 苦情審査委員は、その地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
(道の機関の責務)
第6条 道の機関は、苦情審査委員の公正な職務の遂行が図られるよう、これに積極的に協力しなければならない。
(定数等)
第7条 苦情審査委員の定数は、2人とする。
2 苦情審査委員は、人格が高潔で、行政に関し優れた識見を有する者のうちから、知事が委嘱する。
3 苦情審査委員の任期は2年とし、1期に限り再任されることができる。
(解嘱)
第8条 知事は、苦情審査委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は苦情審査委員に職務上の義務違反その他苦情審査委員たるに適しない非行があると認めるときは、これを解嘱することができる。
2 苦情審査委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して解嘱されることがない。
(兼職の禁止)
第9条 苦情審査委員は、衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員を兼ねることができない。
2 苦情審査委員は、道と特別の利害関係を有する法人その他の団体の役員を兼ねることができない。
(苦情の申立て)
第10条 何人も、苦情審査委員に対し、道の機関の業務の執行に関する苦情を申し立てることができる。
(苦情の申立手続)
第11条 前条の規定による苦情の申立てをしようとするものは、次に掲げる事項を記載した申立書を提出しなければならない。ただし、苦情審査委員が当該申立書の提出ができない特別の理由があると認めるときは、この限りでない。
(1) 氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、名称、事務所又は事業所の所在地及び代表者の氏名)
(2) 申立てをしようとする苦情の内容
(3) 前二号に掲げるもののほか、審査に当たって参考となるべき事項
(審査)
第12条 苦情審査委員は、前条の苦情の申立てがあったときは、速やかに当該苦情の申立てに関する審査をするものとする。ただし、当該苦情の申立てが次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、審査をすることができない。
(1) 判決、裁決等により確定した権利関係に関するとき。
(2) 裁判所において係争中の事案及び行政庁において審査請求の審理中の事案に関するとき。
(3) 監査委員又は外部監査人に監査請求を行っている事案に関するとき。
(4) 前号に掲げる場合のほか、監査委員又は外部監査人において現に監査を行っている事案に関するとき。
(5) 議会に請願又は陳情を行っている事案に関するとき。
(6) 職員の自己の勤務条件に関するとき。
(7) 苦情審査委員の行為に関するとき。
(8) 苦情の申立てをしたもの(以下「苦情申立人」という。)の自己の利害にかかわらないとき。
(9) 苦情の申立てに係る事実のあった日の翌日から起算して1年を経過しているとき(正当な理由があるときを除く。)。
(10) 虚偽その他正当な理由がないとき。
(11) 前各号に掲げる場合のほか、審査することが適当でないとき。
2 苦情審査委員は、前項ただし書の規定の趣旨を踏まえ、必要に応じ前条の苦情の申立てに関連する道の機関の業務の執行に関し審査をすることができる。
(審査に係る通知)
第13条 苦情審査委員は、前条第1項又は第2項の審査をするときは、関係する道の機関及び監査委員に対し、その旨を通知しなければならない。
2 苦情審査委員は、前条第1項の審査をしないときは、速やかに苦情申立人に対し、その旨及び理由を通知しなければならない。
3 苦情審査委員は、前条第1項の審査をした場合において、当該審査を中止したときは、速やかに苦情申立人並びに関係する道の機関及び監査委員に対し、その旨及び理由を通知しなければならない。
4 苦情審査委員は、前条第2項の審査をした場合において、当該審査を中止したときは、速やかに関係する道の機関及び監査委員に対し、その旨及び理由を通知しなければならない。
5 苦情審査委員は、前条第1項の審査を終えたときは、速やかに苦情申立人並びに関係する道の機関及び監査委員に対し、その結果を通知しなければならない。
6 苦情審査委員は、前条第2項の審査を終えたときは、速やかに関係する道の機関及び監査委員に対し、その結果を通知しなければならない。
(調査等)
第14条 苦情審査委員は、第12条第1項又は第2項の審査のため必要があると認めるときは、関係する道の機関に対し、必要な説明を求め、関係する書類等の閲覧若しくは提出を請求し、又は実地に調査をすることができる。
(勧告及び意見の表明)
第15条 苦情審査委員は、第12条第1項又は第2項の審査の結果必要があると認めるときは、関係する道の機関に対し、当該機関の業務の執行に関して是正又は改善の措置を講ずるよう勧告することができる。
2 苦情審査委員は、第12条第1項又は第2項の審査の結果必要があると認めるときは、関係する道の機関に対し、当該機関の業務の執行に関して制度の改善を求める意見の表明をすることができる。
3 道の機関は、第1項の規定による勧告又は前項の意見の表明があったときは、これを尊重するものとする。
4 苦情審査委員は、第12条第1項の審査に係る第1項の規定による勧告又は第2項の意見の表明をしたときは、速やかに苦情申立人に対し、その旨を通知しなければならない。
(措置の状況の報告)
第16条 苦情審査委員は、前条第1項の規定による勧告をしたときは、関係する道の機関に対し、その是正又は改善の措置の状況について報告を求めるものとする。
2 前項の報告を求められた道の機関は、当該報告を求められた日の翌日から起算して60日以内に、苦情審査委員に対し、是正又は改善の措置の状況について報告するものとする。
3 苦情審査委員は、第12条第1項の審査に係る前項の規定による報告があったときは、速やかに苦情申立人に対し、その旨を通知しなければならない。
(勧告等の公表)
第17条 苦情審査委員は、第15条第1項の規定による勧告若しくは同条第2項の意見の表明をしたとき、又は前条第2項の規定による報告があったときは、その内容を公表するものとする。
2 苦情審査委員は、前項の規定による公表をするに当たっては、個人情報等の保護について十分な配慮をしなければならない。
(活動状況の報告等)
第18条 苦情審査委員は、四半期ごとに、その活動状況に関する報告を知事に提出するものとする。
2 知事は、前項の規定による報告の提出があったときは、これを公表するものとする。
(専門調査員)
第19条 苦情審査委員の職務の遂行を補佐するため、専門調査員を置く。
2 専門調査員は、行政に関し優れた識見を有する者のうちから、知事が委嘱する。
3 第5条、第8条及び第9条の規定は、専門調査員について準用する。
(知事への委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。
この条例は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
附 則(平成28年3月31日条例第30号)
〔行政不服審査法の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の附則〕
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
2 この条例の施行前にされた処分その他の行為又はこの条例の施行前にされた申請に係る不作為に関する
不服申立てについては、なお従前の例による。
附 則(平成29年3月31日条例第15号)
〔病院事業条例の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例の附則〕
1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。
2 (省略)