外形標準課税のQ&A

Q1 外形標準課税とは

Q
 外形標準課税とは、どのようなものですか。


A
 外形標準課税とは、所得を課税標準とする「所得割」に加え、付加価値額を課税標準とする「付加価値割」及び資本金等の額を課税標準とする「資本割」によって法人事業税を課税するもので、対象となる法人は資本金の額又は出資金の額が1億円を超える普通法人です。

Q2 未払い給与等の取扱い

Q
 当法人は、3月決算ですが、4月に従業員に支払っている3月分の超過勤務手当は、どの事業年度の報酬給与額とすればよいのでしょうか。


A
 超過勤務手当が3月期に未払給与等として計上され、法人税の損金の額に算入される場合には、未払給与等として計上した事業年度の報酬給与額に算入します。ただし、法人税で翌期の損金算入が認容されている場合は、翌期の報酬給与額に算入します。

Q3 通勤手当・在勤手当の取扱い

Q
 通勤手当や在勤手当は、報酬給与額となりますか。


A
 通勤手当や国外の支店等で勤務する社員等の在勤手当は、実費弁償的性格を有することから、報酬給与額には含まれませんが、この場合、通勤手当や在勤手当のうち報酬給与額とされないのは、所得税において非課税とされる額に限られます。
 したがって、所得税の非課税限度額を超えて支払われる通勤手当や在勤手当は、報酬給与額となります。

Q4 従業員が死亡した場合の報酬給与額の取扱い

Q
 従業員が死亡し、その遺族に対して支払う弔慰金は、報酬給与額に含めますか。


A
 遺族に対して会社が支払う弔慰金が死亡した従業員に係る給料・退職金等に該当する場合は、その性質が給与としての性質を有すると認められることから、所得税において給与所得又は退職所得とされない場合であっても、報酬給与額に含めます。

Q5 ストックオプションが権利行使された場合の取扱い

Q
 ストックオプションは、報酬給与額に含まれますか。


A
 ストックオプションとは、法人が従業員等から受けた役務の対価として、当該従業者等に対して新株予約権(予め定められた価額で株式を取得する権利)を付与するもの等をいいます。
 ストックオプションが従業員等の労務提供の対価として付与され、これが権利行使された場合に、法人税の所得の計算上損金の額に算入されるストックオプション費用は、給与等として報酬給与額に含めます。

Q6 名目上の請負契約の取扱い

Q
 請負代金であっても注文法人の報酬給与額となるのは、どのような場合ですか。


A
 請負契約に係る代金は、労務の提供の対価にはあたらないことから、原則として業務を注文した法人の報酬給与額には含まれません。
 ただし、自己の業務の一部を他の法人に行わせる形態であるにもかかわらず、その業務の全部又は一部を注文法人自らが行っていると認められる契約又は雇用以外の方法により人材の提供を受け、この人材を自己の業務に従事させるもので、地方税法第72条の15第2項に規定する労働者派遣法等に基づく契約以外の契約は、「名目上の請負契約」にあたりますので、請負代金の全部又は一部は報酬給与額に該当します。
 なお、上記の実態があるときは、契約の名称の如何を問わず、「名目上の請負契約」となりますので、この契約に基づく代金のうち労務提供の対価となる部分は報酬給与額に該当します。

Q7 派遣労働者に関する報酬給与額の取扱い

Q
 派遣労働者に関する報酬給与額は、どのように計算するのですか。


A
 労働者派遣契約に基づく派遣先法人の報酬給与額については、各事業年度において、派遣先法人が役員又は使用人に支払う給与等の額に、派遣先法人が労働者派遣をした個人や法人に支払う派遣契約料に75%を乗じて得た金額を加算して算出することとされています。

Q8 企業年金の事務費掛金の取扱い

Q
 企業年金の掛金に関して、年金基金の事務費にあてるための掛金は、報酬給与額に含まれますか。


A
 企業年金等の事業主掛金に含まれる事務費相当額(付加保険料等)は、報酬給与額には含まれません。

Q9 退職給与負担金の取扱い

Q
 他社からの出向者について、出向期間に係る退職給与負担金を出向期間中に出向元に支払っていますが、退職給与負担金は、報酬給与額に含まれますか。


A
 出向者に係る退職給与は、形式的支払者となる法人の報酬給与額とされています。

Q10 受取利息の取扱い

Q
 預貯金の利息に対し課された所得税等は、受取利子に含まれますか。


A
 金融機関等から受け取った預貯金利息は、受取利子に算入します。このとき、金融機関等から受け取った預貯金利息に対して所得税や住民税利子割が課されている場合、純支払利子となる受取利息は、所得税等が控除される前の金額となります。

Q11 ファクタリング費用の基本的取扱い

Q
 売掛債権をファクタリング会社に譲渡したときのファクタリング費用は、支払利子に含まれますか。


A
 売掛債権を譲渡したときの債権金額と譲渡価額の差額は資産の譲渡から生じるものであって、負債から生じる利子とは性質が異なるため、原則として、支払利子には該当しません。
 ただし、譲渡の対象となる債権に償還請求権が付されているときは、支払利子に該当します。

Q12 売買とされるリース取引に係る純支払利子の取扱い

Q
 リース会社から設備をリースしており、そのリース契約書には、リース資産の取得価額と利息相当額の区分は明記されていませんが、会計上は、リース資産の取得価額と利息相当額を区分して計上しています。この場合、各事業年度の支払利息相当額として費用計上した金額は支払利子に含まれますか。


A
 当該リース取引が法人税法64条の2第1項の規定によりリース取引の目的となる資産の売買があったものとされるリース取引に該当する場合には、賃貸人による取得価額と利息相当額が明確かつ合理的に区分されているときに、当該利息相当額が支払利子又は受取利子となります。
 このとき、契約書に利息相当額の区分がない場合でも、会計処理において、合理的な見積もり金額により、リース資産の取得価額と利息相当額を区分し、会計処理に沿った法人税の取扱いにより利息相当額が区分され、損金の額又は益金の額に算入される場合には、支払利子又は受取利子に含まれます。

Q13 グループ企業間で資金の移動を行った際に生じた利息の取扱い

Q
 企業グループ全体で資金管理を行っており、過不足する資金を融通する際に生じた利息の受払いを行っていますが、この利息(CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)利息)は、純支払利子に含まれますか。


A
 CMSに基づき、グループ企業間で資金の移動を行った際に生じた利息は、支払利息又は受取利息の性質を有することから、純支払利子に含まれます。

Q14 支払賃借料の対象について

Q
 ウイークリーマンションを1週間単位で賃借し、結果として1月以上になった場合、支払った賃借料は、支払賃借料に含まれますか。


A
 支払賃借料とは土地又は家屋の使用を目的とする権利で、その存続期間が1月以上であるものの対価として支払う金額をいいます。
また、土地又は家屋を使用できる期間が契約上連続して1月に満たない場合であっても、実質的に使用できる期間が連続して1月以上となっているときは、支払賃借料に含まれます。
 したがって、設問の場合は、支払賃借料に含まれます。

Q15 共益費、管理費等の取扱い

Q
 法人がビルを賃貸借する場合において、その契約にビルの共益費や管理費用を支払うことが含まれている場合、共益費や管理費等は、支払賃借料に含まれますか。


A
 土地、建物の賃貸借契約等において、共益費、管理費等の額が明確に区分されているときは、支払賃借料に含まれません。

Q16 保管料の支払い又は受取りの取扱い

Q
 倉庫会社等と荷物の保管契約を結んでいますが、保管料は支払賃借料に該当しますか。


A
 倉庫会社等に荷物を保管してもらう場合の保管料は、通常、一定の土地又は家屋を使用していると考えられることから、契約等において1月以上荷物を預けるものであれば、支払賃借料に該当します。
 この場合の1月以上とは、個々の荷物の保管期間ではなく、契約等によりいつでも保管できる状態にある期間をいいます。
 なお、契約書等において、保管料と出入庫料等の役務の提供の対価の額が明確かつ合理的に区別されているときは、その役務の提供の対価の額は支払賃借料に該当しません。

Q17 収益・費用の相殺があった場合

Q
 当社は、A社と業務委託契約を結び、A社の業務の一部を受託しており、その受託業務は、委託元であるA社の事務所の一部を賃借して行っています。会計処理は、業務委託料収入を収益とし、事務所賃借料を費用として計上するのではなく、業務委託料収入と事務所賃借料を相殺した後の金額を収益として計上していますが、この場合の当該事務所の賃借料は支払賃借料に含まれますか。


A
 収益配分額は、原則として法人税の所得計算上損金の額又は益金の額に算入されるものに限るとされています。
 この場合の「算入されるもの」とは、実際に損金又は益金に算入された金額ではなく、損金又は益金の額に算入すべき金額を指します。
 業務委託の対価と事務所賃貸借の対価を別に定めており、公正妥当な会計処理に基づき、それぞれを収益・費用と認識すべきものであるときは、当該事務所賃借料は支払賃借料に含まれます。

Q18 河川占用料

Q
 河川、港湾及び海岸の占用料は、それぞれ支払賃借料の対象となりますか。


A
 河川、港湾及び海岸の占用は、土地の使用にあたりますので、河川、港湾及び海岸の占用料は、土地の使用を目的とした権利の対価として支払賃借料の対象となります。
 なお、公有水面の利用は純支払賃借料の対象外ですが、土地・水面双方の使用を対象とし、かつ、その金額区分がないものについては、全額が支払賃借料となります。

Q19 建設協力金に係る支払賃借料・受取利子の取扱い

Q
 現在建設中のビルに入居する予定で、家主となる建築主に建設協力金を預託しており、支払家賃と預託金の受取利息を計上していますが、これらは支払賃借料及び受取利子に含まれますか。


A
 建設協力金とは、建物の建設に際し、入居予定者(貸借人)から建築主に出資される建設資金で、差入預託保証金の一種であり、一般的に、一定期間据え置かれた後に、低利の金利が付されて分割返済されます。
 建設協力金は、金銭債権として時価評価した額が実際の支払額を下回る場合のこの差額は「長期前払家賃」として計上し、預託期間の各事業年度の費用として配分され、法人税の所得の計算上、損金の額に算入される事業年度の支払賃借料となります。
 また、建築主から返還される額の合計額と、当初の時価評価額との差額は「受取利息」として各事業年度に収益計上し、各事業年度の受取利子になります。

Q20 自動販売機設置料の取扱い

Q
 自動販売機を土地又は家屋に設置するときの設置料は、支払賃借料及び受取賃借料に含まれますか。


A
 自動販売機を設置して販売を行うものは、自動販売機を設置する土地又は家屋を使用又は収益する権利を有しているため、設置料は純支払賃借料の対象となります。
 なお、設置料と認められる場合には、販売手数料、販売協賛金、ロケーションコミッション等、名称の如何を問わず、対象となります。

Q21 単年度損益がマイナスの場合

Q
 単年度損益がマイナスの場合には、どのように付加価値額を計算するのですか。


A
 単年度損益がマイナスの場合には、その事業年度の収益配分額から単年度損益の金額を減算して計算することとなります。
 したがって、単年度損益の損失が大きい場合には、付加価値額がマイナスとなることがあります。この場合、その事業年度の付加価値割はゼロになりますが、付加価値額はその事業年度における事業活動の規模を表すことから、付加価値額のマイナス分は翌年度以降に繰り越さないこととなります。

外形標準課税に関するお問い合わせ先

 法人事業税の外形標準課税に関するお問い合わせは、札幌道税事務所税務管理部へご連絡ください。

 〒060-0003
 札幌市中央区北3条西7丁目 道庁別館2階

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