令和５年度（2023年度）北方領土動画コンテスト入賞作品一覧

最優秀賞

北海道札幌市
八太真央さんの作品
「みんなは…北方領土って知ってる？」

【審査会座長講評】
　「みんなは北方領土を知っている？」というシンプルな問いかけから始まることで、この動画で伝えたいメッセージは何であるかを見る者にしっかりと伝えている。そしてその問いに対して、親しみやすい猫のキャラクターが答えていく展開にしている。シンプルな問いかけとキャラクターの親しみやすさが相まることで、子供から年配の方まで幅広い層に届く良質な動画コンテンツに仕上げている点が絶妙である。さらにコンパクトさと、テンポの良い展開で構成している点においても、秀逸であることを付け加えておきたい。
　北方領土に今まで全く関心のない人たちに対しても受け入れられやすく、更なる興味を喚起するようなコンテンツの構成を、14歳という年齢で作り上げたことに驚きを隠せなかった。

優秀賞

愛媛県松山市
川北輝さんの作品
「何度でも」

【審査会座長講評】
　祖父に再び、北方四島の故郷を見せてあげたかった孫の視点を、優しい口調のナレーションで語っている。白黒で始まるアニメーションと「冷たい北風」や「波が優しく受けとめ」などの比喩的表現で、孫の心情を表現している点については感服してしまった。
　後半、「抗い続ける。何度でも。」というナレーションとともに、白黒のアニメーションがここで初めてカラーになる。ここでも、心情の表現をカラーに変化させることで表現している点に、拍手を送りたい。
　静かな語り口調の中には、取り戻せない悲しい現実を、見る者に一緒に感じさせる。ただ不思議なことに、後半も同じ静かな語り口調であるにも関わらず、これからの未来への希望と使命感なるものを感じさせるものになっている。「表現とは」というものを教えてもらった作品である。

北海道北斗市
北斗市立大野中学校　鍵谷怜恩さんの作品
「北方領土の歴史それから」

【審査会座長講評】
　「国民一人一人の小さな行動が大切である」というメッセージを伝えるために、北方領土問題をその歴史とともに、わかりやすく表現している。故郷が奪われてしまったこの問題は、当事者だけでなく、誰もが自分ごとのように考え、行動することで少しずつ変えれるのではないかということを提起している。
　驚くべきは、これを13歳の中学生が表現している点だ。
　大人になるにつれ、自分のことしか考えなくなってしまっていることに「ハッと」気づかせるこのコンテンツの展開と表現には、素直にならざるを得ない。
　「国民一人一人の小さな行動が大切である」ということを、このコンテストに応募することで実践をしている。作られたコンテンツの中だけでなく、その外にもストーリーやメッセージを感じさせた13歳の行動力に敬意を評したい。

鹿児島県鹿児島市
ねこのほぞ　チームＤさんの作品
「新しい学校の問題ズ」

【審査会座長講評】
　コミカルなアニメキャラクターで、まずは見る者の心をグッと掴んでいる。「北方領土問題では、何をもつことが必要？」という問いかけで始まり、まずは「関心が必要である」という回答で締めている。
　「関心を持つことであれば、私にも出来るかも」と思わせるコンテンツである。そしてしっかりと最後には北方領土問題を検索しましょう！という流れにしている。
　北方領土問題に対して、いきなりすごいことをする必要はない。まずは「関心」を持つということであれば、誰でも出来るのはないのかという作り手の意志がしっかりと伝わってきた。そのメッセージを多くの人に届けという強い思いが、この誰もが目を惹く独自のアニメキャラクターを生ませたのであろう。
　終始映像の中では、次の階段の一歩を上ることは難しくないですよという、作り手の優しさや包容力が滲み出ており、その人間力に頭があがらない。