概要
令和6年(2024年)年7月10日(水)~11日(木)、畑地かんがい試験研究会を開催しました。
本研究会は、畑地かんがい推進モデルほ場設置事業(以下、「モデル事業」という)により行われる畑地かんがいに関する試験・調査を効果的に推進し、これに関する情報を関係者間で共有することで畑地かんがいによる水利用技術の確立とその普及を図っていくことを目的としています。
1日目は、渡島総合振興局講堂(函館市)で試験研究会を開催し、2日目は、同管内北斗市で現地検討会を開催しました。
当日は、地方独立行政法人北海道総合研究機構各農業試験場の研究員をはじめ、北海道開発局、関係開発建設部、関係(総合)振興局、関係農業改良普及センター、北海道農政部のほか、一般財団法人北海道農業近代化技術研究センターから総勢97名が参加し、調査結果報告及び意見交換を行いました。
【主な内容】
(1)各地区報告
「網走川中央地区(大空町)」の取組(オホーツク総合振興局東部耕地出張所)
(概要)
大空町女満別地域は、網走川により形成された河岸段丘を境に、畑作や畑酪経営が主体の「高台エリア」と、水稲作付を中心とした網走川流域の「低台エリア」に大きく分けられ、本地区は「低台エリア」に位置している。低台エリアでは、水稲作付を前提とした用排水施設および大区画化等の整備が行われてきたが、現状では作付のほとんどが畑作へ転換されている。しかし、畑地かんがい施設は未整備であり、野菜類の安定生産が見込めないことから、高収益作物への転換が進んでいない。
近年の地域農業の動向を踏まえると、地域の営農体系に適応した畑地かんがい技術を導入することは、露地栽培における干ばつによる減産を抑える効果に加え、地域の高収益作物であるタマネギ、葉菜等のかん水の有効性が高い作物において、農業経営の合理化や土地利用の高度化などを図るうえでの有効な手段となる。
事業実施期間中であるR3年度6月上旬~8月上旬に発生した記録的な干ばつ時において、畑地かんがいを実施した結果、タマネギは干ばつによる水分ストレスが軽減されたことで、無かん水区と比較し、規格別収量で28%の増収となった。またレタスは無かん水区と比較し、球重で81%の増収となった。
上記地区のほか、道内5地区(芽室びせい、美瑛、上磯、南幕別、赤井川)でも地域農業に適合した水利用技術の確立とその普及を目的にモデル事業を実施しており、その調査結果の報告について意見交換を行いました。
今後とも、本研究会を通じて、畑地かんがいの技術を普及していくこととしています。
<研究会の様子(函館会場)>
(2)現地検討会
2日目は、畑地かんがいモデルほ場設置事業 帯広かわにし地区の試験ほ場を見学し、かん水による作物の生育状況について確認しました。