他産地・他産業と連携し、農繁期に安定的に人材を確保する
北海道では、春から秋にかけて多くの労働力を必要とする一方で、冬には仕事量が減ることから通年雇用が少ない傾向です。しかし、働き手は、安定した生活を送るためにも通年での仕事を必要としています。
期間限定で人材を確保したい「農業経営者」と通年で仕事を得たい「働き手」の雇用に関するギャップの解消方法として、他産地や他産業と連携する取組を紹介します。これらの取組によって、農繁期に安定的に人材を確保することが期待できます。
産地間連携
産地間連携とは、繁閑期の異なる他産地と連携することで、それぞれの農繁期に労働力を確保する取組です。
産地間連携の事例(JA 等)
JAふらの((株)アグリプラン)
連携先:JAにしうわ、JAおきなわ 等
取 組:JAふらの、JAにしうわ、JAおきなわの3つのJAで働き手をリレーして、1年間仕事を
確保する取組です。
産地をリレーして仕事をすることで、働き手は1年中仕事を行うことができます。
【4月~10月】JAふらので「スイカ」・「メロン」・「ミニトマト」等の作物の
管理・収穫作業や工場内での出荷準備作業
【11月~12月】JAにしうわで「みかん」の収穫作業
【 1月~3月】JAおきなわで「さとうきび」の製糖工場と収穫作業
株式会社 小清水農業振興公社
連携先:JAにしうわ 等
取 組:農繁期の異なるJA(JAこしみず、JAにしうわ)で労働力不足の解決を目的とし、
互いに支援作業員を融通することで必要な労働力をより効率的・安定的に確保する取組です。
石狩市
連携先:石狩市、和歌山県海南市、高知県東洋町、沖縄県国頭村、JAさっぽろ 等
取 組:「石狩アグリケーション」と「アグリ・ブリッジ」
<石狩アグリケーション>
アグリ(農業)と休暇(バケーション)とを組み合わせた造語です。
原則、週に4~5日間のアグリワーク(農作業)を行い、それ以外の時間は
バケーション(休暇)としてローカルライフを楽しんでもらうプログラムです。
<アグリ・ブリッジ>
石狩アグリケーションの参加者の中から、他の地域の作業を紹介し人材を融通する
システムです。
(例:千葉県在住の方が石狩アグリケーション終了後、高知県東洋町で農作業に従事)
産地間連携を実施してみませんか?(北海道と鹿児島県との連携)
【参考】鹿児島県徳之島の海
道では鹿児島県徳之島との繁閑期の違いを利用した労働力の産地間連携を検討しています。
夏期に鹿児島県から人材を受け入れ、冬期に人材を送り出せるという地域や農業法人、コントラクターの方がいましたら、ぜひご相談ください。
●○【参考】鹿児島県徳之島のご紹介○●
・徳之島は、南西諸島の奄美群島に属する周囲約80kmの離島。
・島内は、海・山・陸ともに、昔ながらの時間と自然のままの空間を感じることができる見どころが
満載です。
・亜熱帯気候に属し、希少な動植物の宝庫であり、鹿児島県内で唯一、闘牛文化が残された島でも
あります。
・産業面では、農業が中心で、さとうきびを基幹作物に、馬鈴しょ、石川さといも等の野菜や、
肉用牛との複合経営が行われています。
※ 【参考】鹿児島県徳之島の夕日
農業における産地間連携のサポート
当課では、農業における持続的な労働力の確保に向けて産地間連携の取組を支援しております。
●○他産地との連携についてご興味ある方は、下記までご連絡ください○●
【連絡先:道農政部農業経営局農業経営課 農業経営・企業連携サポート室 TEL:011-206-7364】
産業間連携
特定地域づくり事業協同組合制度とは
地域人口の急減に直面している地域において、農林水産業、商工業等の地域産業の担い手を確保するための特定地域づくり事業を行う事業協同組合に対して財政的、制度的な支援を行う制度です。
本制度を地域内の他産業と連携しながら活用することで、農繁期の人材確保につなげることができます。
制度のメリット
・1年間を通じた仕事を創出し、安定的な雇用環境や一定の給与水準を確保。
・必要な時期に必要な人手を確保、人手不足の解消。
・半農半Xなどの多様なライフスタイルの実現に貢献。
・地域内外からの若者等を呼び込み、地域の担い手を確保。
・地域事業者の事業の維持・拡大を推進。
道内の取組事例
◆ 特定地域づくり事業協同組合制度は、農業分野の労働力不足に対しても活用されています。
ここでは、道内で実際に活用されている2市の例を紹介します。
・石狩市:地域密着型で人手不足を解消 浜益のマルチワーク「浜ワーク」
(浜益特定地域づくり事業協同組合)
・名寄市:JA主導の組合立ち上げ 地域の雇用の受け皿へ(なよろ地域づくり事業協同組合)
国の支援内容(令和6年1月現在)
◆地域の事業者が設立する特定地域づくり事業協同組合に対し、組合運営費の一部を
「特定地域づくり事業推進交付金」により支援します。
・対象経費(組合運営費):①派遣職員人件費、②事務局運営費
・対象経費の上限額: ①400万円/年・人 、②600万円/年
・交付額:対象経費の1/2の範囲内で市町村が支援した額の1/2(対象経費の1/4の範囲内)
・特別交付税措置:本交付金に係る市町村の負担について、措置率1/2
(市町村などの実質負担は1/4)等の特別交付税措置あり