国の実証事業によるスマート農業技術の成果等について

スマート農業技術の実証事業等による成果について

【水田作】令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果

資料の表紙

 農林水産省農林水産技術会議では、令和元年度に採択した「スマート農業実証プロジェクト」での各実証地区の実証データと経営分析結果を、以下のHPで公表しています。

 スマート農業実証プロジェクトと各実証地区の実証データと経営分析結果〔サイト〕

 令和4年8月に公表した【水田作】の2年間の成果(PDF)

この資料では、令和元年度に採択された水田作の30地区の2年間の実証データについて紹介しており、生産工程に応じて自動運転トラクタ、 直進キープ田植機、自動水管理システム、食味・収量コンバインなど様々な技術を組み合わせて導入した。

【労働時間、収量の変化について】

 各実証地区における各農場の平均では、総労働時間は平均9%削減し、単収は平均9%増加しており、実証地区の約3割(慣行区との正確な比較が可能な地区)では1割以上の労働時間の削減効果

 総労働時間に占める割合が高い「耕起・代かき」及び「田植」では、自動運転トラクタ及び 直進アシスト田植機をセット導入した地区だと、平均約18%と大きな労働時間削減を達成

【単収の変化について】

 単収の増加について、センシングデータ等に基づく可変施肥や、それに加えて品種構成・施肥設計を改善した地区においては顕著に表れた。

1.大規模水田作 家族経営のケース

・成果について、自動運転トラクタ・田植機を活用し、代かきや田植作業(いずれも春作業)で18%省力化された。

・収量コンバインのデータに基づき、低収量圃場に重点的に施肥するなど施肥設計を見直し、全体では施肥量を5%低減しつつ、単収増により収入を10%増大

・なお、実証区での利益は5.5千円/10aと、慣行区の14%足らずであるが、これは、実証時はスマート農機の導入面積が小さくて機械費が高額となったが、 導入機器の能力が最大発揮できる規模まで使いきる試算では、 機械費は大幅に低下し、慣行の2割増の水準に抑制され、これに収入増・人件費減が相まって、慣行よりも利益拡大が可能(+1万円/10a)になる見込み。

2.大規模水田作 雇用型法人

・成果について、収量コンバインによる圃場別収量データと営農管理システムを活用し、 圃場別に品種・作型配置を最適化することで、単収が10%以上増大

3.中山間 集落営農法人

・小区画圃場中心の生産基盤でも、高齢者やUター ン就農者等を中心とした人員体制でも、自動操舵農機やドローンを活用することにより、労働時間を27%削減

・実証区の利益は、機械・施設費が慣行区と比べ約5倍弱であるが、シェアリングやドローンの賃借及び受託サービスの利用、遠隔地に限定した自動水管理システムの設置を行えば縮減可能。

4.大規模水田作 転作作物への技術導入

・成果として、水稲及び大豆について、自動運転トラクタ、ドローン等の導入により、 それぞれ労働時間を約2~3割削減

・大豆では、スマート化により、実際に作付面積が22%拡大する中で、 適期作業を可能とし、単収も13%向上(実証前:173キログラム→実証後: 195キログラム)。

・ 枝豆についても、自動操舵システム等の導入により、10a当たりの労働時間を32%削減

5.大規模水田作施設園芸との複合経営

・水稲の全面積(23ha)をスマート化し、播種・移植体系の見直し、防除・水管理の効率化により、水稲の総労働時間を 28.8%削減

・削減した労働時間を、高収益作物のトマトの管理作業(芽かき等)に充て、その適期作業の徹底により、収量・品質が向上し、 トマト部門の収入が1.5倍(422万円→612万円)に増加。

 

 

実証データ

【水田作以外】令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果

表紙(水田作以外)の表紙

実証事例(施設ピーマン 従来型ハウスへの統合環境制御装置の後付け導入)

従来型のハウスに、統合環境制御装置を後付けで導入し、データ等に基づくハウス内の環境を最適に制御し、単収が大幅に増加(+28%)

 

このほかには、「《施設なす》 JA部会員間での優良経営体のデータの共有と活用」、「《ダイコン》 自動操舵トラクタ・自動収穫機による作業効率性の向上」、「《キャベツ》 営農管理システムによる経営者の管理業務軽減、自動収穫機等による作業時間削減」、「《ネギ》 スマート農業技術による大苗栽培」、「《ミカン》 環境・生育データを活用したマルドリ栽培」、「《サトウキビ》 スマート農業技術による水資源の有効活用と労働力確保」、「《飼料》 IoT活用型TMR※調製システムによる経費削減と品質向上」に関する実証成果のデータが掲載されています。

 

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