地元「ものづくり」関係者からの声
これまでの意見交換の場で、当学院に寄せられた各方面の意見等を掲載しますので、参考にしてください。
【建設業関係団体】
建設業界は、少子高齢化のため、若い人がなかなか来ないのが現状で、皆が一番頭を抱えている。『北見学院で技術を習得してから業界に就職』という投げかけが必要なのかなと思うところもあり、ぜひ頑張ってほしいと思っている。
土木でも建築でも、資格者が優先される時代になっている。「知識はあるが資格がない」では、現場を任すことができないのが今の業界の現実。
しかし、北見学院で勉強すれば、早く資格が取れるとか、資格を取る際に大変有利だというのであれば、設計・管理が訓練内容になると良いと思う。
設計は、設計事務所の代表者が資格を持っていれば、社員がCADで図面を描くという仕事はあると思うが、管理は、資格を持っている者が管理をしないとダメ。公共事業の仕事では認められない。
【木工業関係団体】
木工業界は、50~60代が多く30代はほとんどいない。全国でも木工職人が少なくなってきている。
北見では、組合で受注して、それを組合員の事業所に振り分けて対応しているが、我々も若手の「ものづくり」人材を育成していかないと、日本からものづくりや木工の技術が消えてしまうのではないかと危機感を持っている。
北見では、毎年、造形デザイン科から人材が木工業界に入って来るので、北見学院の存在は本当にありがたいと思っている。
札幌では、跡継ぎの息子以外は、新卒者はほぼ入って来なく、若手で40代50代という状態で、後十年もすると、造形デザイン科があるところの木工屋とない所の木工屋では大変な差が出てくると思う。
工業高校や普通高校の新卒者が就職しても1カ月持たないことが多い。50代の先輩と10代20代の若者で世代ギャップもあるのだと思うが、教える方も大変。また、機械や刃物を使うため、怪我をしないよう安全な取扱い方などを教えているうちに、辞めてしまうのが実情。
広報活動で良いと思うのは「オープンキャンパス」。学院を開放して小中学生に実際の作業の様子を見せられる。今のご時世では、子どもが自由に工場に入れないから、工場内の「ものづくり」は全く見られない。
北見学院みたいな場所は、様々な職種の様子を見せられるし、親も来るので、小さな時からもっと「ものづくり」を見せてあげてほしい。
【自動車整備関係団体】
業界の課題は人材不足に尽きる。自動車整備士を目指す人が少なくなってきたこともあり、国土交通省が主体となり高校訪問を行ったが、高校の反応は薄く、今は、高校に入る時点で進路が決まっており、業界のPRをしても遅いと感じた。
商工会議所が主催する「職業フェア」イベントに参加し、小学校や中学校の生徒を対象にPRしたところ、「こんなおもしろいことやるんですか。」とか「できれば自動車業界に進みたい。」と言ってくれた中学生もいたので、北見学院の自動車整備科を紹介した。
【建築業関係団体】
今の建築士は50~60代が多く、現場では20~30代の若い人を先に帰して、夜遅くまで仕事をしている。要するに「残業はしたくないがお金も休みもほしい。」という風潮が流れているため、募集してもほとんど集まらないのが現状である。
ほとんどの設計事務所が高齢化している状態だが、設計の仕事は衣食住の「住」の部分なので、当然、これからも大切な仕事である。
学院の魅力は、最低限でも2級建築士の資格が取れること。
2級の資格を取るためには、就職してから2年ぐらいの実務が必要だと思うが、現在、建築士会で資格取得の条件を緩和するよう国に要望しているので、業界に入ってすぐにCADができる人材に育て上げていただけると、業界としては助かると思う。
女性は、設計に向いている職種で、私の職場でも女性は増えてきており、建築士会でも女性のパワーは非常に高いので、是非、女性への設計訓練を取り込んでいただきたい。
【鉄鋼業関係団体】
我々の業界でも、人手不足の問題があり、求人を出してもなかなか人が来ない。北見工業高校から就職される生徒がいるが、たぶん自動車業界などとの取り合いになっている思う。
機械と言っても、溶接工、旋盤などの機械工、組立工がいて職種はまったく違うと言ってもいい。溶接工は、最近の溶接機械が操作しやすく改良されてきたので、素人でも訓練を受ければ半年くらいで使えるようになる。困っているのは、機械工や機械組立工などの技術者で、訓練に相当時間がかかることもあり定着率はよくない、育たないという状況になっている。
ハローワークに求人を申し込むと未経験者の応募が結構あるが、未経験者はなかなか採用できない。できれば基礎知識を持った北見学院の修了生を採用して育てていきたい。
【高校関係団体】
本校は、毎年のように1人2人が北見学院にお世話になっている。2年間しっかり勉強し、資格を取らせていただき、きちんと就職をさせていただいており、就職後も辞めないで頑張っていると聞いている。
高卒で就職すると半年ぐらいで辞めてしまう子が多い中で、北見学院では職業に対する意識などを含めて、しっかり勉強させていただいているんだと思い感謝している。
中学生や高校生の段階で、世の中の色々な職業を知るための勉強を行うので、インターンシップ、出前授業、体験型学習などで中学校や高等学校と連携していただければと思っている。
【ハローワーク】
我々も、人材不足やミスマッチ解消のため日々努力しており、北見学院の職業訓練、機動訓練(学院外委託訓練)の受講指示や斡旋等も行っている。
雇用保険受給者限定だが、通常は所定の給付日数しか受けられないものが、1年・2年の職業訓練を受ければ、訓練の終了まで雇用保険を受けられる制度になっている。また、機動訓練にも雇用保険の受給期間が延長される制度があるので、これを積極的に推奨して、活用を広めたいと考えている。
【認定職業訓練校運営団体】
かつては、中学校の技術家庭科の授業で「本立て・ちり取り」づくりなどを習った時代があったが、今は、技術家庭科の時間も3分の1程度に減ってしまい、専任教員も非常に少なくなってしまった。
子ども達が多感な時期に、技能や技術、いわゆる「ものづくり」のイメージを持つことができるよう、中学校の技術家庭科の時間が少しでも増えるといい。
厚生労働省事業として「ものづくりマイスター制度」を実施している。
建築大工、家具・建具など11業種で「ものづくりマイスター」28名が登録され、それぞれ地域で活動している。
この事業は、出前授業やものづくり教室と合い通ずる制度であり、子ども達に少しでも知ってもらい、経験してもらうことで、将来の職業選択に非常に貴重なものになると考えており、少しずつではあるが、中学校からの体験や出前授業の依頼が増えてきている。