道民のご意見を聴く会(札幌市会場)(環境・エネルギー室)
平成12年9月
北海道経済部資源エネルギー課
道民のご意見を聴く会の開催状況
1 開催年月日
平成12年8月13日
2 開催場所
かでる2.7
3 参加者数
226人
4 意見陳述応募者数
109人
5 意見陳述者数
20人(1人欠席)
6 意見記入用紙提出件数
62件
7 皆様からいただいたご意見等の内容
別添のとおり
1 意見陳述者からの意見等
2 意見記入用紙による意見等
3 意見陳述者以外の応募者からの意見等
4 会場参加者との質疑等
【札幌市 佐藤 正知】
清田区の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。私は、九州大学で11年間、そしてまた北海道大学で同じく11年間、高レベル放射性廃棄物処分に関する実験的な研究を行ってまいりました。その研究をもとに今日は深地層研究所の必要性の意味ということについてお話をさせていただきます。20世紀初めに18億人であった世界の人口なのですが、この100年間で3倍以上の60億人に達しました。もちろん1人当たりの消費量もかなり伸びましたものですから、世界のエネルギー消費というのはこの100年間で10倍以上になりました。現在中国だとかインドの経済成長率が年率にして7%ぐらいでありまして、今後の数十年で世界のエネルギー消費量というのはさらに倍増するというふうに言われております。石油の枯渇が心配されて、同時に地球規模での環境負荷が問題となっております。経済大国、資源小国日本のエネルギーと環境の問題は、決して楽観できないというふうに考えます。そこで、当面は原子力が必要であると、したがって高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全確保に関する研究開発がどうしても必要であると、そのためには深地層研究所は欠かせない研究施設であ るという立場で意見を述べさせていただきます。まず、なぜ地層処分をするのかについてですけれども、将来世代に現世代が残した放射性廃棄物という負の遺産を管理させることがないように、厚い地層だとか、あるいは岩盤というもので生活環境から隔離して、処分後の長期的な安全性を確保するという意味で、地層処分が適していると思います。処分後の長期的な安全性を科学的に評価するということでありますけれども、これは長い時間の研究の中でその見通しがあるというふうに考えます。それから、廃棄物を発生する国の領土の中で実施が可能であるということであるとか、多分そういうことはないと思いますけれども、あるいは万一問題が生じたときに再取り出しが不可能ではないと、そういうことで地層処分が最も今のところ適しているのではないかと考えます。この点については、欧米にもいろんな国がありまして、それぞれ深刻な問題と受けとめて研究開発をしておりますけれども、そういうところで従事している研究者との間で共通な認識があると理解をしております。高レベル放射性廃棄物処分の安全性についてなのですけれども、高レベル放射性廃棄物処分の長期的な安全性というのを正 確に予測するというのは、これは自然が極めて複雑な体系であるということで困難です。その一方で、処分後の安全性に関する評価法というのはいろんな試みがなされまして、次第に進歩しておりまして、安全確保はかなり有望というふうになりつつあります。例えばガラス固化体の科学的耐久性なのですけれども、これは地下水と接触してもほとんど溶けないと。例えば我々の周りにある窓ガラスなんかに比べますと、かなり性能のいいガラスでありますし、化学実験で使うようなパイレックスガラスに比べますと性能は少し劣りますけれども、それでもかなりいい性能を示します。次に、ガラス固化体を封入している金属製の封入容器というのは、これは粘土に包まれた深地層の環境の中で1,000年とか2,000年という期間であれば十分その機能を維持する可能性が高いと言っても過言ではありません。それについては、例えば考古学的な事例とかそういうことをちょっとお考えになってもわかるかと思いますが、これはいつもそうであるというわけではありませんが、きちっとケアをして、条件を設定した中で処分すればそうなるということであります。金属製の封入容器を包み込む、先ほどお話に もありましたけれども、厚さ50センチ程度の粘土というものがあります。これを我々ベントナイトと呼んでおりますけれども、これの透水性といいますか、水の透過性を測ってみますと、非常にこれは透過性が低くて、放射性核種の拡散というのが非常に単純な過程で、拡散過程で進むということが明らかになっておりまして、長期の評価の信頼性を高めるということが可能でございます。それから、処分場近傍の岩石を構成する鉱物なのですけれども、鉱物はイオン交換樹脂と我々はよく使いますが、それほどの特性はないのですけれども、同様の性質がありまして、しかも膨大な鉱物がございますので、イオンとして溶け出す放射性核種を吸着して、周囲の深地層の環境への移行を著しく遅くする特性を有しております。したがって、高レベル放射性廃棄物の安全性に関し、少なくとも数千年ぐらいは我々の生活環境に問題を与える可能性は極めて低いというふうに受けとめております。海外には既に幾つか深地層の研究所がありまして、例えば欧米各国では放射性核種の移行過程だとか、これに基づく評価モデル、あるいはそれに基づいてつくりました計算コードというものの妥当性を実際に確かめるとい うことが必要になりまして、それで深地層の地下研究施設で研究を進めているというところでございます。例えば既に今から35年前になりますけれども、当時の西ドイツ政府が1965年にアッセの岩塩ドームというものを買い取りまして、研究を始めました。スウェーデンは、1978年からストリパ鉄鋼床というものがありましたけれども、それに隣接する花崗岩層の岩盤に地下研究施設を設けて、国際協力研究を始めました。続いて、そういうところではだめで、全く新しいところに掘らなくてはだめだというふうに認識しまして、1995年には新たに地下450メートルの地点にエスポ岩盤研究所というのを完成させて、研究開発を進めております。ベルギーは、1978年にモル国立研究所の地下の粘土層に地下研究施設をつくっておりますし、カナダはマニトバ州の花崗岩中に、そしてまたスイスは1985年にアルプスの地下の花崗岩の岩盤にグリムゼル研究所というのを設けて、それぞれ研究開発を進めております。米国は、ヤッカマウンテンの深地層を高レベル放射性廃棄物処分場の候補地として、その妥当性に関する調査研究を続けております。こういう中で欧米の各国は進めているので すけれども、我が国には深地層の研究所がないために海外の研究所を借りて研究協力を進めているというところで、研究がなかなか進まない面が出ているということが問題であります。深地層研究所の必要性と期待される研究についてなのですけれども、放射性核種は地下水を媒介にして移動します。そのために深地層中の地下水の流れる挙動というのを十分調査する必要があるのですが、これまでは多く実験室でやっていたのですが、実際の現場でやっぱり研究をしないとだめだということであります。地層や岩盤中に存在する大小の亀裂の分布だとかそういうものの特性ということをきちっと明らかにしなければならない。また、放射性核種というのは地下水の水質に応じて化学形態、存在形態が変わってまいりまして、それに依存して鉱物に対する化学的特性が変化してまいります。それがまた核種、あるいは化学物質の移行挙動を支配するということになりますので、したがってその地下水の化学といいますか、水質を詳細に検討する必要があるということで、こういうことの一連を1カ所、例えば深地層研究所で一連のデータを一括して集めるということが非常に必要だということです。我が国は花崗岩 だとか堆積岩なんかが広く分布しておりますけれども、少なくともそういう幾つか、そのほかにももちろん調べられる場合はその方がよろしいのですが、そういうところについて研究開発を進める必要があると、そういうことで深地層研究所が少なくとも必要であるということでございます。以上、それではまとめさせていただきます。経済大国で資源小国の日本というのは、将来のエネルギーを安定的に確保するために当面は原子力は欠かせない、したがって高レベル放射性廃棄物処分の長期安全性に関する研究というのはどうしてもやらなくてはならない、そのためには深地層の研究施設での研究がどうしてもその基礎として欠かせないというふうに考えます。以上でございます。どうもありがとうございました。
【札幌市 林 武司】
手稲の林です。後で質疑の時間をとるという配慮から、少し簡単に自分の思っていることを述べていきたいと思います。まず、今回の深地層試験の計画ですけれども、以下のハードルの高い条件をクリアするということが前提で条件を言ってみたいと思います。まず、放射性廃棄物が持ち込まれることが本当にないのか、さらには貯蔵や処分地につながらないのか、このことで道民の合意が得られないというのは、そこのところが非常に明確でないということと情報公開がきちっとされていない。この公聴会自体も入り口のところから抽選のやり方から含めて、いろいろ疑惑を持たれているようですけれども、やり方としては選ばれた僕もある意図をもって選んでいるのではないかという気がするわけです。今までの貯蔵工学センターの発表以来15年間、このことのずっと繰り返しが行われてきて、結局何か建設的なものが生まれてきたのかと、本当に不信と対立しか生まれてこない中で、またぞろこの問題についてのこういう進め方もみんながすっきりした形に落ちつくということに本当になるのか。そういう意味で僕は3年前に機会があって、ヨーロッパの核廃棄施設だとか発電所を回ってきました。非 常に印象的だったのは、フランスを除いて各国の施設というのは僕らの訪問団を施設の中枢部分まで入れていただいて、説明をすることはおろか、ビデオやカメラの持ち込みまで許していただいた。そして、僕もスウェーデンの一番下の450メートルまで行って見てきましたが、12億年前につくられたバルト海の岩盤のところでも地表に分裂層があるということで、これは研究所にはするけれども、処分場にはできないと明確に情報公開して、すごく高いハードルの基準を合意のもとに判定して、それで処分場にはしないという結論を出しているのです。スウェーデンについてはいろんな問題がありますけれども、やっぱりハイテク工業立国ですから発電というのは必要ですけれども、日本の場合もそうですが、省エネの問題にちょっと移りますけれども、民生用の電力というのが伸びていて、工業用の電力というのはもうかなり節電が行き着くところまで行っているのです。そうなると、今の200ボルト電化住宅だとか、10畳間に36インチ、40インチのテレビが本当に必要かという政策をきちっと見詰めていくということが、北海道もそういう省エネの政策というもの、それから啓発というものを行 わなければならないと思うのです。そういったことも行わない、そして今コ・ジェネレーション、本当にクリアな天然ガスを使って80%の効率で発電と冷房、暖房ができる、まさに北海道にうってつけなエネルギーシステムが出てきているのですけれども、このところの宣伝はしないで、一方の原子力発電の有効性ばかり言う、だけれども原子力も60%は廃熱で投げられているし、安全、クリーンだというけれども、二酸化炭素は出さないけれども、核廃棄物が出たり事故の可能性があるということ、こういうバランスのとれた情報公開が必要だと思うし、僕の観点から見てもそこは偏っているなと思っております。岐阜県の東濃地区だとか青森の六ケ所村もそうですけれども、至るところで原子力行政に対する不信からいろんな意見や対立が渦巻いております。ぜひこの公聴会も泊原発の二の舞にならないように、きちっと出された意見を集約して、形だけのセレモニーにならないようなことを願って、簡単ですけれども2番目の意見陳述人の意見とします。それから最後に、僕はヤジを飛ばされるのは慣れていますけれども、どんな立場の人が意見を言っていても、最後まで静かに聞くというのは民主的な 開催のルールを求めている以上、皆さんも聞くだけは聞くという態度は必要だと思いますので、それだけ述べて終わります。
【門別町 佐藤 昭弘】
私は、日高管内門別町の小学校で勤務をしています佐藤と申します。今日は、これまでの原子力関連企業及び行政に対する不信、それと子供たちが放射能被害に悩まされる世の中をつくってはいけないという、大きく二つの観点で反対の立場で意見陳述を行いたいと思います。核燃料サイクル開発機構は、幌延町に計画している深地層研究所に対して研究が目的であり、処分場につながるものではない、また放射性廃棄物を持ち込まないという協定を北海道と結ぶ用意がある、協定は法的にも実効性があると述べています。しかし、私はそのとおりには受け取れません。核燃料サイクル開発機構は、1998年10月1日に動力炉・核開発事業団から改められた組織であります。旧動燃時代の1995年12月、もんじゅでナトリウム漏れ事故が起きました。事故発生当初、ナトリウム漏れ事故の様子を撮影したビデオがあるにもかかわらず、動燃はそれを公表しませんでした。また、2年後の97年3月には、東海村にあるアスファルト固化処理場で事故を起こした際、放射能漏れが3時間近くも続き、37名の方が被曝しました。消火確認をしないまま確認したという虚偽の報告もしております。こういう 事故を隠そうとしたり虚偽の報告をしようとする体質が組織を改めたからといって変わったのでしょうか。動燃が組織を改めた直後の10月12日、理事長は幌延は処分場になることはないと記者会見で発表しました。ただ、その直後、中間貯蔵処理施設の立地に含みを残すように表現を変えています。私たちは、この北海道にこの施設がつくられるかどうか重大な関心事でありました。にもかかわらず組織をすぐ変えて、そういうことが訂正されるような、そういう組織でありました。ちょっと視点を変えたいと思います。堀知事は先月7月14日、泊原発3号機増設を容認しました。堀知事は選挙の際、エネルギー政策に関して、泊原発3号機の建設については有識者等の検討を踏まえて道民意向を十分に配慮しながらしますと公約しました。世論調査では76%が反対であり、道民投票を求める署名にも78万人の署名が集まりました。そして、JCOの臨界事故が起きたとき、私たちはみんな、やっぱり原発は危ないのではないかという不安に駆られたと思います。そういった中で堀知事は公約を破ったと私は思います。先月アメリカの公文書図書館で、1968年、アメリカから日本に返還された小笠原 諸島のことが出ていました。小笠原諸島における核兵器の有無については不問に付すという内容が書かれた秘密文書が見つかったそうです。日本は非核三原則を国是としています。その国が返還当時保有を暗に黙認しているという文書が見つかったわけです。また、1991年、廃船になりましたが、原子力船むつ放射能漏れ事故を起こした船ですが、この船をめぐっても、こちらに今日も科学技術庁の方がいらしていますけれども、当時の政務次官だった今の建設大臣の扇さん、彼女は「むつは実験船だから事故は当然」と、そういう発言もしています。何点かにわたって私は堀さんのことにしてもそうですし、今のことについても述べましたけれども、やっぱりどう考えても信じられないというのかな。現時点では、核燃料サイクル機構と道は核抜きというお題目で幌延に研究所をつくる方向で動いているのだなというふうに思います。現在日本では50カ所以上の原子炉があります。そこからは大量の使用済み燃料が毎日生み出され、そして再処理されて高レベルの廃棄物が次から次に出ています。そういう現状である中、実験施設をつくっておいて、それをそのままおしまいと本当になるのでしょうか。そ こがやっぱり不安でなりません。重要電力等立地推進対策補助金という名目でしたか、正確な名前はちょっと覚えておりませんので申しわけありませんが、そういう名目の交付金をちらつかせながら、そして高度の政治判断ということで幌延に核のごみが持ち込まれるということは本当にないのでしょうか。反対理由の二つ目に移りたいと思います。私は一昨年から広島を訪れております。慰霊碑をめぐり、手を合わせ、そして写真を撮って、今学級にいる子供たちと平和について考えております。この夏は小学校5年生になる娘と広島を訪れ、一つ一つ慰霊碑をめぐって歩きました。そして、碑文を読んで歩きました。一人一人の名前も読んで歩きました。4日間で45カ所を回ったのですが、その回っている間、娘は一生懸命ついて歩いているわけですが、汗を流したりもします。その娘に帰りの飛行機の中で「どうだった」と聞いたら、ぽつんと「かわいそうだ」と、それ以上何も言いませんでした。彼女は彼女で何かを感じたのだなというふうに思います。皆さん、佐々木禎子さんという名前を耳にしたことがございますでしょうか。広島の平和公園に原爆の子の像というものがあります。原爆が投下され てから10年後に白血病に見舞われて、千羽鶴を折れば自分の病気が治ると信じて、亡くなるまで折り続けたのが佐々木禎子さんです。広島には200近くの慰霊碑や平和を願う碑があります。そのうち原爆の子の像を初めとする学校に関する慰霊碑は約30ほどございます。その30ほどの慰霊碑、どこにも千羽鶴だの、子供たちがつくった貼り絵だの、平和を書いたメッセージなどがあります。それを一つ一つ見るたびに本当に胸に詰まされるものがあります。広島、長崎に原爆が投下されてから戦略目的で核兵器が使用されたことはないことになっています。しかし、核実験や原子力発電所で被曝した人はどれだけいるでしょうか。この10年間だけ見ても原子力事故、原子力発電所の事故はたくさんあります。91年2月の美浜原発、95年12月のもんじゅ、97年3月のアスファルト固化処理場、4月のふげん、8月の東海村ウラン廃棄物処理施設、99年3月ふげん、9月東海村JCO、そして先月の福島原発、この中で最も重大な事故はJCOの臨界事故であります。この事故で2人の方が残念ながら亡くなられました。ただ、それで済んだと私は思っていません。事故の際、近くにあった小学校 では事故の発生の連絡が遅れたため、長時間にわたって私が普段日常行っているように教室の窓を開けて授業を続けていたそうです。この子供たちに将来何の影響も出なければいいなと私は願っています。放射性廃棄物の毒性が弱まるのに1万年以上もかかるということを聞いたことがあります。1984年に動燃が貯蔵工学センターの発表をしてから、専門家がそんなに長い間地層が安定しているとは考えられないだとか、ガラス固化体が水に溶けて出るのではないかとか、そういう指摘を何度も聞いたことがあります。一度事故が起きれば防ぎようのない放射能です。色もなければにおいもない、おまけに事故を隠そうとする体質があって住民への連絡がおくれる、どうやって私たちは自分の身を守ればいいのですか。核燃料サイクル機構は核抜きと言っていますが、深地層研究の受け入れが放射性廃棄物の処分場につながるという不安はぬぐい去れない以上、この計画を中止していただきたい。今から14年前の4月になります。チェルノブイリの発電所で事故が起きました。たくさんの人が亡くなりました。余りにも大きな事故だったため、危険だと知りつつそこで暮らさなければならない人たちが今も大 勢います。今年もチェルノブイリから子供たちがやってきました。大人も放射能の影響を受けますが、子供は毎年何センチかずつ成長する、体重も増える、それと同時に放射能に汚染されれば大人よりも影響を受けるのです。子供たちの笑顔を私たちは奪っていいのでしょうか。100年、200年、1万年と簡単に言います。でも、その一人一人の子供には未来があるわけです。最後にします。私は、この研究所の建設を断念するのはもちろんですけれども、人間と核とはやっぱり共存できないと思います。稼働している原発は即時、私は動かすのをやめるべきだと考えます。そして、原子力に頼る電気エネルギー政策をやめた上で、放射性廃棄物、今あるものをどうするべきか論議するべきでないかなというふうに思います。ここで私の意見陳述を終わりたいのですが、1点道にちょっとお願いがあります。非常に不愉快なのですが、2番目の方、今一生懸命メモを取られていますけれども、まことに失礼ですけれども、あなたのこのメモ、私後ろなものですから目に入ったのです。そうしたら、意見陳述人、私2番目ですけれども、私のところに×印がついておりました。少なくても意見を聞いてから×をつ けてください。余りにもセレモニーじゃないですか。非常に不愉快です。以上で終わります。
【旭川市 大西 一男】
私は、道北の地、旭川から来ました大西といいます。まず、今日のこの会を催すに当たりまして、北海道が主催をしていますこの「道民のご意見を聴く会」について、北海道、堀知事はどのように押さえているのか、非常に道民にはわかりづらい開催内容になっているのではないかと、先ほど来そういうご意見もかなり出ておりますが、私もそのように考えております。それは、泊原発3号機の計画のときにも「道民のご意見を聴く会」、道内多分5カ所でなかったかと思いますが、道は開催しました。その結果は、さっき前者も申し上げておりましたが、7~8割の方々の意見が反対、慎重であったと、このように私どもは報道や何かを通じて聞いております。しかし、さきの堀知事の3号機増設に対する発言は、意見を聴く会での結果は余り知事判断材料にはしていないのだと、このような表現をされていたのではないかと思います。さらに、堀知事はさきの2回目の知事選挙のときに160万人からの道民の支持を得たと、こういう表現も言いながら、その支持された方々の意思というものも判断材料にしたと、このようにも私は受けとめました。ですが、私も2回目の知事選、堀さんを支持した160 万人の一人でございます。その支持した私を含め、多くの支持者が深地層施設に反対あるいは慎重、こういう立場をとっているわけですから、堀知事はこうした状況を十分に踏まえ、ひとつ賢明な判断をしていただかなければならない。こういうことになるのではないかと思います。今回の「意見を聴く会」が泊3号機と同じように扱われるとなれば、これはまさに道民を愚弄するものであり、単なるセレモニーとなるのではないかという疑念が持たれます。聞き流しの会とならないよう、陳述者の意見が十分反映されることを要望しておきます。私は、幌延問題については道北に暮らす者にとって、貯蔵工学センター時代、この計画のときから反対の立場ということでまいりました。そして、今度は深地層研究所建設計画が新たな提案として出されているように見えますが、この深地層研究所計画は当時の貯蔵工学センター計画の中に初めから入っていた研究施設というものでした。このようなことから、私は次の点について深地層研究所の建設については反対と、こういう立場で申し上げておきます。まず、一つ目としましては、北海道、特に道北は全国的にも酪農を初めとする食糧基地です。さらに、国立公 園を持つ北海道有数の観光地でもあり、道内外から多くの人々が訪れる地域です。ここに核燃サイクル機構が建設を予定しています深地層研究所ができれば、これはまさしく風評被害、さらには道北、北海道のイメージダウンになることは間違いありません。これらから地域経済に与える影響ははかり知れないものがあります。いかに核抜きといえども、その前提にあるのが原発から出される核廃棄物の処分の研究施設、こういうことからいってもイメージダウンにつながる、このように考えます。今全国の地方自治体は、国が進める事業、公共事業を含め、どんな事業でも誘致、奪い合い、こういうのが現状でないかと思います。今回の深地層研究施設は、核燃機構といえども国家的なプロジェクトではないかと思います。その事業を全国の自治体が手を挙げない、誘致をしない、こういうことはどういうことかと、これはもう言うまでもないかと思います。次に、計画では中間貯蔵施設あるいは処分場とはならないと、このように言っておりますが、今年5月12日付の毎日新聞によると、幌延町議会で研究所受け入れに当たっての条例が可決されました。最大の焦点となっていた中間貯蔵施設や処分場が含ま れるか含まれないか、これらについては非常に曖昧なものとなっている、このように報じられておりました。また、幌延町は研究が終われば施設をもとに埋め戻すと、このようにも言っておりますが、町は引き続き施設を利用するようにという提案もしているようでございます。このような状況から、研究所施設から中間所蔵施設、最終処分場につながるおそれは十分に考えられる。こう考えるところでございます。最後に、堀知事の公約の関係であります。最初にも若干触れましたけれども、堀知事の公約は「放射性廃棄物の貯蔵、処分にかかわる研究施設の立地については全国的見地で調査し、選定すべきであり、幌延計画を白紙に戻すことを国に求めていくと、あらためて国から研究開発施設計画の提示があれば道民の合意を得ることを前提に検討を進める」と公約をしています。さきにも言いましたが、貯蔵工学センター計画の中に深地層研究計画があり、これは分離、先行立地の何物でもないと、このように考えます。堀知事は、道民に約束したとおり道民合意を得ると言っています。道民が納得できる判断を求めるため、ぜひ道民投票、住民投票を早急に実施することを私は強く求めます。以上で終わ りますが、私は子々孫々これからも北海道に暮らして本当によかったと言える、禍根を残さない道北、北海道をつくるためにも、深地層研究所計画については反対の立場で意見陳述を終わります。以上です。
【岩見沢市 溝上 領人】
溝上と申します。発表させていただきます。まず、今回のテーマの深地層計画について話す前に一言、先ほどの方もありましたが、エネルギー問題が今大変注目されて、我々が一番考えないといけない問題だと思いますので、それについて述べた後に本題に入らせていただきます。今世界的にも、また国内、また道内におきましてもエネルギー問題については大変騒がれておりまして、私どもの暮らしが豊かになればなるほど大量のエネルギーを消費しておりますが、そのエネルギーの供給手段として道内でも原子力発電に一部頼っているのが現状だと思います。しかし、私は基本的に原子力発電については反対でございます。過去にも戦争で、先ほど広島に行かれたということでいろいろしゃべった方もいらっしゃいましたが、原子力の恐ろしさを痛感して、また先日茨城県の方でも大きな事故が起きております。我々は、もう少し早い時期に今注目されています風による風力発電ですとか、太陽エネルギーを使った発電、あと畜産のふん尿等を利用したバイオガス発電ですとかその他発電方式についてもっともっと研究、勉強して、早い時期にその発電方式を実用化できるよう進めるべきではなかったかと 思いますし、これからでも間に合うと思うので、そういう研究をどんどん進めて、新しい発電方式を使う方法を研究すべきだと思います。そうすれば原子力発電に今のように頼ることがなくても済んだかもしれないと思っています。また、国民並びに私たち道民は、一部の人だけではなくて、全員といっても小さい赤ちゃんというのは無理なのでしょうけれども、本当に全員がエネルギー問題、省エネ問題についてもっと真剣に考えて、またメーカーの方々も現在取り組み中と思いますけれども、省エネ製品のシステム開発ですとか製品開発をしていただいて、また道庁さんを初めとしまして行政機関には今まで以上に国民のみんなに対してエネルギー問題に対しての大切さ、また省エネについてやるべきだということをマスコミを通してもっともっと啓蒙すべきではないかということで、やはり日本全体でエネルギー問題について考えて、省エネを実践する時期だと考えております。本題に入りますが、先ほど述べたように道内でも原子力発電が既に存在していることは事実であり、そこから出る廃棄物が発生しているのも事実でございます。これらを我々が知らぬ振りをするわけにはいかないで、いかにしたら いいかということはやはりよく考えなければいけないということで、これから研究を行って将来に向けて安全性を確立させて、処理する道筋をつけることが大切ではないかと考えます。カナダですとかアメリカ、他の国々でも研究所はありますけれども、よくよくその研究所の方とお話し合い、また岐阜県の研究施設がございますが、よくそちらの施設とタイアップすればいい研究になるのではないかと思います。また、今三宅島の方で地震が頻発しておりますが、地層研究だけではなくて地震等の研究を関連して進めると地震の予知にも役立つのではないかと思います。最後になりますが、先ほど核燃料サイクル開発機構さんからもありましたが、本当に処分場の立地はしないと、それから放射性廃棄物も持ち込まないということを約束いただきまして、将来のため研究を推進すべきではないかと考えます。ただし、研究施設で放射性廃棄物を持ち込まないということもございましたが、研究を進めるに当たって安全性がやっぱり大事で、100%確保されない不安要素も、コンマ1%でも何か迷惑をかけるのではないかというような不安材料が出てきた場合は、これは中止もやむを得ないと思いますので、その 辺関係者の方含めてよく議論を交わし、また最終的には住民の皆様のご意見、理解が得られないと絶対これは成功しないと思いますので、よく住民の皆様と理解を得られた上で最終決定を最終的にしていただきたいと思います。以上で発表を終わらせていただきます。
【旭川市 鈴木 樹悦郎 本人欠席のため別途提出の発言メモを代読】
「幌延町における深地層研究所(仮称)計画に関する道民の意見を聴く会」に対する意見。旭川市、鈴木樹悦郎。私は、以下の理由から幌延町における核燃料サイクル機構の計画する深地層研究所(仮称)の受け入れに強く反対します。1、地元の同意を必要としない「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律。6月7日に公布された特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律では、処分場の概要調査区域などを定めるときには地元の都道府県知事及び市町村長の意見を聞き、これを十分尊重しなければならないとしていますが、地元の首長の同意が必要とはなっていません。また、地域住民の意見を聞くシステムもなければ、住民の意向調査も一切記されていません。今日本国内でいかに地元にさまざまな名目の交付金等を落とすなどとの国の甘いえさを示したとしても、高レベルであれ低レベルであれ、放射性廃棄物の最終処分場や中間貯蔵施設の建設に同意する自治体などあるはずがありません。国が原発建設推進の政策を改めない限り、放射性廃棄物や使用済み核燃料は今後ますます増え続け、国として是が非でも処分場建設に走らなければならないことは火を見るより明らかです。最終的には地元 自治体の意見は聞いたが、国の政策執行であるとして建設を強行することは誰でも予想ができます。この法律は、こうした状況を予想しての内容になっていると言えます。したがって、道はこの法律を処分場建設拒否の担保になるかのような幻想を持っているようですが、それは誤りです。2、核燃料サイクル機構との協定は処分場にまで及ばない。幌延の深地層研究所計画は、岐阜県東濃地区で建設が予定されている超深地層研究所と同様、高レベル放射性廃棄物の処分場建設のための研究施設ですから、この研究所での研究の成果が処分場建設に生かされることになるのは当然のことです。深地層研究所の研究計画は20年間となっていますが、一方最終処分場建設に関する国の計画では2000年に事業主体を設立し、10年程度で処分場予定地の選定、さらに10年程度で処分地の選定、決定となっています。つまり深地層研究所の研究成果をもとにして処分場を選定するのではなく、研究と処分地選定は並行して行われることになっています。このことから研究所の研究成果をより有効に、効率的に、しかも速やかに生かすためには、研究所に類似した地層の地域を処分場にすることです。常識的に考え れば、深地層研究所に立地地点の周辺地域が最終処分場の最有力候補地になると考えるのが当然の結論です。こうした可能性があるから、私は深地層研究所計画の受け入れに反対するわけです。また、多くの道民が不安に思っているのもこの点です。科技庁は、北海道が処分場にならないとしていますが、科技庁は12月になくなる省庁ですし、そもそも処分場建設を所管する省庁ではありません。所管は通産省です。通産大臣の姿勢は、北海道を最終処分場候補地から除外すると言っていません。全国的見地から検討するというのがその姿勢です。科技庁立ち会いのもと、道及び市町村と核燃サイクル機構との協定では、処分場建設拒否までは及びません。また、核燃サイクル機構の前身である動燃は、岡山県と結んだ人形峠のウラン残土撤去協定を10年間もほごにし続け、いまだにウラン残土を放置したままです。このような組織と協定を結んで果たして信用していいものかどうか極めて疑問です。百歩譲って核燃サイクル機構と道が示している内容で協定を結んだとしても、研究施設に核物質は持ち込まないかもしれませんが、中間貯蔵施設や最終処分場建設が幌延町周辺や道内に建設されないという保障 はどこにもありません。むしろ一旦研究計画を受け入れてしまうと、周辺地域が処分場候補地になる可能性が極めて高いと言えます。したがって、道が担保措置として考えている核燃サイクル機構との協定では、処分場建設拒否までは効果がありません。最も有効なのは、北海道は研究所でさえ一切受け入れないという強い姿勢を国に対して明らかにすることです。それとあわせて、原子力関連施設の建設については道民投票により決定するという条例を制定することです。3、知事公約の道民合意を得るために道民投票の実施を求めます。知事は、泊原発3号機増設についての「道民の意見を聴く会」で、あれだけ多くの道民が反対し、または慎重な対応を求めていたにもかかわらず、その道民の意思を無視して建設容認の姿勢を示しました。今回の深地層研究所の問題も同様に、意見は聞いたが結論は別との姿勢を再びとるのではないかという不安と不信を私は持っています。知事が本当に道民合意を得ることが重要と考えるのであれば、道民投票を実施すべきです。以上でございます。
【小樽市 坪谷 万里子】
小樽から参りました坪谷でございます。先ほどから意見を述べられた方と大体同じような考えを持っておりますけれども、私がまず第1番に申し上げたいことは堀知事の政治姿勢についてです。先ほどもありましたけれども、知事は道民の負託を得て160万の票をとって知事になった方です。しかし、泊3号機の問題については先ほどからお話がありましたように、道民の意見どころか、例えば神原教授のような学者の先生方が3年間は凍結して状態を見たらどうだというような提言があったにもかかわらず、全く無視の態度をとっているわけです。こんな道民の多くの声を無視している知事の態度に、私どもは大きな失望と怒りを禁ずることができません。そして、本日のこの幌延問題についての「意見を聴く会」でございますけれども、皆さん、本当に知事が真剣に皆さんの意見を聞きますよという態度を持っているとお思いになりますか。今日8月13日は、私どもの生活ではお盆の墓参りの日でございます。私も日ごろひとり暮らしでおりますから、子供たちが夕べから家に集まりまして、みんな和気あいあいと今日の一日を楽しく過ごそうと楽しみにしていたわけです。道民の多くの方は、本当に お盆休みというものは家族団らん、祖先への供養、そういうことで集まってくる時期でございます。この時期になぜ札幌市だけで、道北以外の自治体を除いた全部の人たちが札幌市に集まって意見を述べることができると思いますか。これは全くおかしいと思います。私の友人たちも渡島の方、函館の方、帯広の方は「どうしてこんな日にするの。私も意見を出したいけれども、とても行ける状態ではないでしょう。何考えているのですか」と私に電話をよこしました。私は何と答えたらいいのでしょう。それに、遠くから来る方には旅費もかかるわけです。泊まらなかったら札幌に来ることができないという方もいるのです。そういう方たちの意見も全く無視されて、札幌一極集中というのはどういうことなのでしょうか。本当に意見を聴く気持ちがあるなら、私は知事が普段公務多端で忙しいから、このお盆の1日だけゆっくりと皆さんと意見を聞きたいというのだったら、まあ仕方がないかと納得できるかなと思ったのですけれども、しかし知事は12日から夏休みをとって、ゆっくりとのんびりどこかで休養なさっているということです。なぜ私たちだけこのお盆の忙しいときにはるばる出てこなくてはな らないのですか。これが道民の意見を聴くということになるのでしょうか。やっぱりこの姿勢は、私たちの方を向いていないということをはっきりと示したと思います。さらに、他の自治体の中には前の貯蔵工学センターのときに、幌延といえども道内に核廃棄物を持ち込むことはできないという決議をしている自治体も各地にあるわけです。ですから、こういうそれぞれの自治体、あるいはその地域に住む人たちの考えや思いを無視する態度は許されるものではありません。さらに、道の示した先ほどの基本的考え方について私の納得いかない部分を申し上げたいと思います。先ほどからいろいろ皆さんが述べられているように、政府のエネルギー政策については多くの国民から意見が述べられていると思います。世界の脱原発の流れに決して沿うものではありません。しかも、さらに原発を増やそうというのですから、世界の人たちが日本って何を考えている国なのだというふうに思っているわけです。私は、この20世紀を70年間生き抜いてまいりまして、国策に沿った戦争にも巻き込まれました。上意下達の社会の中で私たちの声は全く無視されて、あの無謀な戦争が起きたわけです。そういう苦い経験 を私たちの全体の反省から新しい日本の国をつくり上げようというふうにして、民主的な国が生まれたはずなのです。ですから、私どもは自分の意見を国に反映させるべきいろいろな権利を持っているわけです。そういう中で、道はそういう一人一人の道民の考えや気持ちを逆なでするように、何でも国策遂行だという一本やりでエネルギー政策を推進するような立場に立っていると、こういうことには私たちは納得がいきません。私たちが望んでいるのは、先ほどから言われているように脱原発の流れをつくること、この豊かな北海道で自然エネルギーを開発し、あるいは豊かな緑を大切にしたいろいろな施策をしてもらうことが私たちの願いであります。先ほどから核燃の方やら科技庁の方が安全だ、安全だと大きな声で言えば言うほど、私たちはこの安全さがどうも当てにならないなという感じがするのです。しかも、先ほど道は有識者懇談会を開いていろいろご検討いただきましたと言われていますけれども、北海道にはいろんな科学者の研究者グループの方々が幌延問題については待ったをかけている状態です。それぞれの専門的立場からいろいろな疑念を出して、道にも声明を出しているはずなのです が、そういう意見は全く取り上げようとしません。これは国の態度も同じだと思います。例えば先ほどから言われております第2次核燃の取りまとめの案にしましても、それから今度新しくできた法律にしましても、常に賛成側の学者の意見が尊重されて、この取りまとめに対してさまざまな批判、検討を加えた指摘が公表されているにもかかわらず全く無視されている状態です。こんな中で進められている国のエネルギー政策については、知事はもっと真剣にいろいろな情報を集めて、国に対してエネルギー政策の転換を求めるというくらいの姿勢が必要ではないでしょうか。それこそ私たち道民のための知事ではないでしょうか。先ほどから何千年、何万年先の地層処分の話が出ていますけれども、私たちは20世紀にこうした子供たち、子孫への負の遺産をそのまままた土の中に埋めて譲り渡すということはできないと思います。もっと真剣にこの地層の問題、あるいはガラス固化体の問題、多くの学者の論議を経て、あるいはいろいろな立場の方たちの論議を経て、そして納得のいくような研究が進められるように私たちは望んでいるわけです。知事の姿勢は、何か常に権力にすり寄ったような態度にしか 見られないことは非常に残念です。私は科学者でもございませんし、学者でもございません。細かいこと、あるいは科学的なことを述べる立場にはございませんけれども、多くの方たちの意見をお聞きして、私は今の段階で絶対に幌延に研究施設を持ち込むということには反対をせざるを得ません。泊のときは何か上の方にいらしたのですけれども、今日は道の方が下におられますので、知事に対して私どものこういう願いをきちんと報告していただきたいと思います。どんな報告をしているのかも明らかにしていただきたいと思います。そして、泊3号機のようなあいまいな態度ではなくて、道民の意見がどのくらい真剣で切実なものかということを伝えていただきたいと思います。皆さん、これからもこういう問題について一人一人がきちっとした考えを持って、民主的な日本をつくり上げていこうではありませんか。どうもありがとうございました。
【札幌市 村井 秀一】
北海道労働組合総連合、道労連と原発問題全道連絡会の役員をしています村井といいます。意見を述べる前に最初にお断りをしておきたいと思います。道にかわって弁解するつもりはありませんが、個人としてこの意見陳述に申請をいたしまして、選ばれました。しかし、泊原発3号機問題の意見陳述のときには、私どもの仲間はすべて排除されました。つまり先ほど意見もありましたけれども、公開されたところでみんなが納得いくような選び方をぜひしていただきたい。今後もこの種の問題はいろいろあると思いますけれども、そういう立場でぜひ道がやっていただきたいということをまず述べたいというふうに思います。それから、今坪谷さんからお話がありました。私も実は勤めは札幌でありますけれども、家が小樽です。この墓参りの大変な時期、この時期になぜこんなことをやるのかという率直な疑問を持っています。原発のときは、電調審に知事意見書を早く上げると、逆算的に日程を決めたというふうに僕は思っていますが、この時期に各地域でこの種の問題をやるというのはどこに意味があるのか、ちょっと僕は納得できないので、これは何らかの機会にご返答をいただければと思っていま す。意見を述べます。道は平成12年6月、「幌延深地層研究所計画に対する基本的な考え方について」という文書を発表し、道の基本姿勢を担保にするための措置について触れ、道民の間にはなおなし崩し的に処分場になるのではないかなどの不安や懸念があることや、持ち込まないとしている地域が研究実施区域に限られていることから、深地層研究所を認める場合は放射性廃棄物を持ち込ませない担保措置方策等が必要であるというふうに述べています。果たしてそれで十分でしょうか。幾つかの会場で意見を聴く会が行われていますが、どの会場でも核抜き担保なるものが極めて不明瞭との意見が出されています。道は、まずこの疑問に答えるべきだというふうに私は思っています。私どもは、知事がこうした疑問に答えず、「意見を聴く会」で反対意見が多くあるにもかかわらず、容認の態度をとるのではと危惧をしています。知事は、泊3号機問題で多くの建設反対の意見が出されたにもかかわらず、道民の意向を十分配慮しながら対応するとの態度をかなぐり捨てて、建設容認の態度を明らかにしました。したがって、知事に問いたいのは、意見を聴く会の扱い、位置づけについてです。この意見を 聴く会は単なるガス抜きではないかという声がちまたではあります。そうではないというのであれば、ここで明確にしていただきたい。反対の意見、賛成の意見を踏まえて知事がどういう対応をするのか、そのことを明確にしていただきたいというふうに思っています。テレビの報道で、幌延の住民の方を初め計画に反対する市民団体の皆さんが知事室前で座り込みを行い、知事との面会を求めていました。私が見た限りでは、道の部長クラスの方だと思いますが、知事が公務出張中ということで会わないというような対応をされたというふうに思っていますが、知事が本当に理解を得るのだとすれば、「意見を聴く会」だけで済ますのではなくて積極的に対応すべきではなかったかと、知事がいなければ副知事が対応する、意見を聴くと。幌延から来る、道北から来る、遠いところからわざわざ来て、座り込みされている皆さん方に率直に耳を傾けると、こういう姿勢があってもよかったのではないかというふうに思っています。例えが悪いですけれども、自己破産を申請する会社の社長が自己破産申請が認められるまで行方不明になるというケースが間々あります。これは、私が中小企業労働組合をやっている 関係でそういうケースが間々あるわけですけれども、どうも知事の態度はこの意見を聴く会が終わるまではとんずらするという姿勢ではないのかというふうに私は思っています。そういう点で私の意見が間違っているのであれば、そうではないのだというふうな明快な態度を示していただきたい。「意見を聴く会」の意見を重視しているというのであれば、反対意見が大勢であればその意見を尊重し、従うと明確にしていただきたいというふうに思います。そのことを曖昧にすれば、「意見を聴く会」はガス抜きのために開催したのだと言わざるを得ないというふうに思います。それから、幌延の深地層研究所計画問題は、幌延という一地域だけの問題ではありません。北海道民全体の問題であり、たまり続ける核廃棄物の処理に直結する問題であり、曖昧な対応は避けるべきです。そうした点では、道議会での議論で結論で出すべきではなく、道民投票を実施し、道民の意思を問う性格の問題だと私は思っています。この間、北海道新聞に深地層研の計画反対論を起こす議論という図書が載っていました。将来にわたって核のごみに苦しまないように、関連する調査や研究を徹底的に行うのが現世代の役割だとい う主張です。私は、そうした意見を頭から否定するものではありません。今日の事態を招いたのは、トイレなきマンションをつくった国であり、電力会社だというふうに思いますが、そこを批判してみても問題の解決にはならないというふうに思っています。ですから、そういう意見もあるのだということは理解いたします。しかし、そういう考え方にはくみできません。なぜなら、先ほど核燃料サイクル開発機構の部長さんが動燃の不祥事についてもお話をされました。私は、動燃がどういう対応をしてきたのかということ、過去にも原発についても原発ができる前から現地調査を行いましたし、幌延に行って動燃の担当者とも要請行動をしてきました。動燃がきれいな分厚いパンフを多額の金を投資してつくって、それを各家庭にばらまく、私たちの話し合いには誠意ある態度を見せないと、こういうことに何回かぶつかってきました。それだけではなくて、既に旧動燃が85年から88年の3年間にわたり地質調査を行って、88年4月に最終報告として取りまとめを発表していると、あとは最終処分建設地に向かうだけの条件を事実上整えているからだと、つまりいつでもそういうふうに切りかえられると いう不安があるわけであります。組織がかわったから今までのやつは白紙なのだということではないだろうというふうに私は思っています。日本科学者会議が第1回の原子力発電のシンポジウムを岩内で72年に行いました。そして、11年前の89年にこの札幌で第15回のシンポジウムを行って、この取りまとめについて厳しい批判をしています。動燃からは、明確にこれに対する反論はありませんでした。ですから、私はそういう点で最終処分地にかわるのではないかという不安を今も持っています。そういう立場からも反対です。それから、加えて日本は世界有数の地震国、火山国だという点があります。北大の地質の先生にも直接出向いていただいて、幌延の調査も行いました。不的確というふうなことがもう10年前から言われています。なのにそういうところにつくるのは何なのかという点があります。知事は、政治決着による解決ではなくて、道民の意見を尊重するという知事の公約の立場に立って、この問題の解決を図るべきだというのが私の主張であります。あくまでも担保措置にこだわるなら、推進勢力と容認の立場に立つ者との共同でよしとするのではなくて、これに疑問を持つ近隣町村 や住民団体なども加えた協定をすべきだというふうに思います。これは、あくまでも知事が「意見を聴く会」の意見を踏まえているとはいえ、結果として泊原発3号機増設問題と同じような対応をするのではないかというふうに思うから述べているのであって、私どもの立場は冒頭述べたとおり、深地層研究所計画に反対の立場であるということは変わりがありません。ここにこの間行われてきた各地域の結果が出ています。幌延と猿払を除けば圧倒的に反対意見が大勢を占めています。ここの結果はわかりませんけれども、にもかかわらず知事はその意見を無視して、道議会の一特定党派の圧力に屈してそういう態度をとるのか、明確な態度をしていただきたい。私たちは、この計画が白紙撤回されるまで奮闘する決意を述べて、発言を終わります。
【江別市 佐々木 忠】
江別市から参りました佐々木といいます。発言をいたします。幌延町で計画されている深地層研究所は、高レベル放射性廃棄物の地層処分のための研究でありますが、今回のこの地層処分計画は重大な問題を抱えており、私は反対するものです。ガラス固化体による処分、あるいは深地層による処分、これらに関する技術はいずれも未完成であり、多くの問題を抱えたものであり、もちろん実証的な裏づけがあるわけではありません。とりわけ日本は四つのプレートがぶつかり合い、地震大国とも言われている国でありまして、数千年、数万年にわたる安定的な地層は存在しないというふうに専門家からも疑問視されています。今回の出された意見書の中でも北大名誉教授の八木健三先生が86年、天然ガスその他の地層、活断層、その他の問題を指摘され、不適格地層であるということを提起されていることからも明らかであります。核燃サイクル機構は、地層処分に関する危険性をこう例えています。肥満の方がパンを一切れ余計に食べるリスクというふうに、さまざまな危険性の比較というのを出されているのですけれども、これは甚だしく不適正な表現である。地層処分の危険性を軽視するばかりでは なくて、この計画に懸念をいただき、真剣にこの問題を考えて、また憂いている人たちを愚弄する例えだと言わねばならないと思います。第2番目は、日本は使用済み核燃料を再処理したプルトニウムを取り出す核燃料サイクル路線をプルトニウム路線に固執している世界でも異常な国であります。そのときに発生する高レベル放射性廃液をガラス固化し、地層処分することにしています。しかし、この使用済み核燃料の再処理技術も安定的な技術とは、確立したものとはとても言えないと考えます。第3に、高レベル放射性廃棄物の処分方法自体の基礎研究、例えば群の分離消滅処理の技術研究を含め、安全な、しかも可能な限り現世代で責任の負える処理方法の研究はきちんと尽くす必要があると考えます。この点、日本においては長年にわたり基礎研究が軽視され、放置されてきたことは極めて重大なことだと考えます。技術と安全性の未確立なガラス固化体、地層処分を性急に選択し、そのための深地層研究を進めることは大きな問題を抱えていると考えます。フランスでは、核種の分離あるいは消滅の処理、二つ目には地下研究施設での深地層処分研究、三つ目には地上施設での長期貯蔵研究の3種類の 研究を進め、それらの成果を踏まえて、2006年に議会でも最終処分の対策、方向というものを決めるというふうにしているそうです。にもかかわらず、あたかも地層処分が諸外国で既に選択され、これが唯一の処理方向であるかのように描き出すことは適当ではないと考えています。次いで、道知事の態度に関連して申し上げます。知事は、中間貯蔵施設や処分場を受け入れないということの基本姿勢を明らかにしているわけです。ということは地層処分技術の安全性には不安があるということなのでしょうか。私は、昨年11月に核燃が出した処分開発研究の第2次取りまとめについて、道としてきちんとした分析と点検をされることが必要であるだろうと思います。そして、そういうふうにして安全性に疑問があり、道民にまだ理解が得られていない地層処分の実用化のための研究である深地層研究所と認めないということが最も道民の理解を得られる選択の道ではないかと考えます。それで、今専ら処分と研究を切り離して、研究は必要と、だから核抜きや最終処分化が図られるのであれば、つまり担保措置がとられるのであれば受け入れてもいいという見解がしきりに出されているわけです。しかし、 それが本当に担保に値するものなのかどうかをやっぱりよく考えてみる必要があるのではないかと思います。協定の当事者として、私がもし進める立場に立ったとしても、核燃サイクル機構はその任に値しないと。それは、現に先ほどお話しいただいたように核燃自身がそういう計画を持っていないとおっしゃるわけですから、そういうところは私は協定の当事者たり得ないと、強いて協定の当事者として誰が適当なのかといえば、総理大臣なのか通産大臣なのかわかりませんけれども、そういうことではないかというふうに思うわけであります。それから、協定について10項目の内容を例示しているわけですけれども、これについては協定の当事者の中から埋め戻しについて、研究終了後の有効活用を求める意見が今でも出ています。本当に有効な協定になるのか、将来にわたって協定の変更がないのか甚だ疑問であります。つまり協定や条例というものは、ほとんど担保能力がないと見なければならないと思います。ぬか喜びという言葉があるわけですけれども、私はもし協定や条例をつくってこれを受け入れたとしても、それはぬか喜びにすら値しないというふうに思うわけであります。ここで一つの提案 をしたいと思います。道が言われる協定あるいは条例の案というものができた段階で、私は再度道民の意見を聴く会を開くことが必要ではないかと考えるものです。そして、その場所には知事自らが出席し、道に対する質疑応答も受け付けるという場を少なくとも設定していただきたいというふうに思うわけであります。それが道民参加をうたう知事としての最低限とるべき姿勢ではないかと思います。最後に申し上げたいことは、今日の地方分権時代にふさわしい住民の参加、住民との合意という問題であります。今日核燃と科学技術庁から説明をいただいたわけですけれども、残念ながら理解とか協力という言葉はありましたけれども、住民との合意ということを言われた方はおりませんでした。現に平成10年6月の原子力委員会の決定も、これは地元の理解を得て推進すると、だから地元の合意なしにはやらないのだということが原子力委員会の正式の決定になったことは全くないし、政府としてもそうだと思うのです。だから、今日聞いていて一番感じたことは、住民に情報提供をするとかいろんなことをおっしゃられましたけれども、私はいろんな行政の方とお話ししてきて、ただの一度として行政の 側から住民が求める情報に対して的確にその説明がなされたことはないので、それについては甚だしく疑問に思います。時間ですので、以上で終わります。
【旭川市 松山 伸】
どうもご苦労さまです。旭川市から来ました。先ほど女性の方も言われましたが、今日は盆の入りの13日であります。私も母が墓参りに連れていけというのをやめまして、今日ここに来たわけなのですが、道は「道民のご意見を聴く会」を性急に今行っています。これはどういう意味かなというふうに考えますと、さきの道議会でも道民の意見は道議会にありとした堀知事の官僚上がりの知事というその性質があらわれているのでないかというふうに考えています。きょうの会も「道民の意見を聴く会」と言いながら、結局意見を聞き流す会の性質しかあり得ないのでないかというふうに考えております。泊原発のときもそうなのですが、いろいろ反対意見は多く出ました。新聞報道でしかよくわかりませんが、堀知事の言っていることは、こういう会は結局結論ありきのセレモニーでしかないのでないかというような結論であります。なおかつ泊3号機のときは、あのときは旭川市でも公聴会が開かれました。今回は、より近い幌延の地に行われるのに旭川市では開催されないというのは、道はどのように考えているか後ほど聞きたいというところであります。本題に入りたいと思います。冒頭に動燃、そ れから科学技術庁、動燃は核燃サイクル機構と相撲のしこ名みたく改めましたけれども、最近になって原発を語るとき、昔は我々認識したころは、原発は火力発電に比べて安いのだと、コスト論でずっと言ってきたのが、最近になって廃炉の費用だとか周辺対策の事業の費用だとかということを言われますと、CO2の問題を出してきました。私も余り詳しくないので、これをしゃべる前にイミダスでちょっと調べてみました。ちょっと読ませていただきます。産業革命が起こる前、18世紀半ばの地球は大気中の炭酸ガス濃度はおよそ280ppm、1ppmが100万分の1の割合であった。それがその後200年間で30ppm増加し、さらにその後50年間で50ppm増加して、現在では360ppmとなっている。そして、それが700ppm程度になると地球の気温が2~3度上昇し、気候の変動が起きるのではないかと危惧されている。そのため炭酸ガスを放出する火力発電より原子力発電の方がクリーンであるとの主張がある。100万キロワットの火力発電所が1年間動けば、設備利用率80%、およそ550万トンの炭酸ガスが放出され、その半分が大気中に残るとすれば、大 気中の炭酸ガス濃度はおよそ0.00003ppm増加する。したがって、大気中の炭酸ガス濃度が700ppmに達するまでには、今後100万基に相当する石炭火力発電を運転することになる。そんなことになれば炭酸ガス以外の要因で環境が破壊されることも当然であると。要するに、冒頭言っているのは火力発電所が炭酸ガス濃度の上昇の要因でないということであります。炭酸ガスの主な上昇の要因は、それ以外の産業活動、さらに自動車の発展と、そういう部分の要素が多いということでありまして、別に火力発電所の炭酸ガスは主たる問題でないというふうに書いてあります。それから、第1番目の陳述者もそうですが、動燃も核燃料サイクルも科学技術庁も安全な地質を二つ選んで調査すると言っていまして、欧米各国でもそのようにやっていると言っていましたが、欧米各国は全部の箇所とも結晶岩盤のところを選んでやっております。日本だけが何で堆積岩の層の水の出るところで調べなくてはいけないのか。当然埋めるなら結晶岩のところで埋めるべきであって、なぜ堆積岩層で埋めるのか理解できないということであります。それから、最初の人にちょっと皮肉を言いたいところなのです が、泊原発ができたときは北大の原子力工学科のたしか熊田という助教授が盛んに安全神話を振りまき、北電のスピーカーという形でやっていたことを思い出しました。そういうことの中で安全に管理すれば大丈夫だ、安全にすれば大丈夫だと言いますが、常に安全だ、安全だと言っていたのが安全でなかったというのが、今週ちょうど御巣鷹山のジャンボが落ちたときから15年目になりますが、ジャンボもあの油圧系統も4系統だとか、全部安全だといったのが突如ああいう結果になってきました。我々にとって安全神話というのはもはやあり得ないのだということを基本的に認識しながら、こういうことは進めていただきたいというふうに考えております。本題に入らせていただきます。さきの国会で成立した特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律では、地元の合意規定があいまいで、単に協議すれば事足りるような内容である。このような状態で原発の使用済み核燃料、いわゆる核のごみ捨て場として適地かどうか研究するという施設が先ほどの資料は250億円ぐらいでしたか、実際は私の考えでは1,000億円を超えると思います。巨額の税金を投資して単に研究施設で終わるとは当然考えられ ません。昨年STVの深夜番組のドキュメンタリーでアメリカの核廃棄物処理施設をやりましたが、そこの職員はこんな立派な施設で、研究施設だけで終わらすことは絶対あり得ないというふうに言っておりました。使用済み核燃料プールの容量もあと10年と言われる中で、万が一施設ができ、貯蔵実験を行う場合はどうなるでしょうか。先ほどトレーサーはしませんと言っていましたが、人工的に発熱体をつくって地下で研究するでしょうか。そんなことはしないはずです。実物のガラス固化された高レベル廃棄物のキャニスターを運び込むはずであります。そして、研究が終わっても一たん運び込まれたものは二度ともとの場所には戻せなくなるのです。そのときより核のごみ捨て場になるのであります。このことは、よく産廃で問題になるとき、産廃業者が砂地ダストだとかタイヤを野積みして道の保健所だとかに注意されると、いやいや、これはごみではないのだと、有価物だと、有価物はごみではないのだと、そのような論理を振りかざしてきます。当然動燃、核燃もこの論理を多分振りかざしてくるのではないかと思います。これは核廃棄物ではないと、実験物だと、だからいいのだと、それは目に 見えてくるはずです。核燃改め動燃は、北海道では日曜午後1時より放映されているTBSの「噂の東京マガジン」で、動燃が岡山の人形峠でのウラン燃料加工に伴うウラン残土の撤去協定の締結にもかかわらず放置しており、地元住民の動燃に対しての約束を全く履行していないということに対しての怒りを取り上げてきました。このテレビを見た方もいるかもしれませんが、そのときも動燃の対応は全くふにゃふにゃで、私には責任がないだとか、隣町が反対しているから動かせないみたいな、責任が私にはなくて、よその町にあるようなことをずっと終始言っておりました。このような番組一つとっても、いかに動燃と核燃が信用できない組織であるかということがわかります。高レベル放射性廃棄物を核変換、または核消滅することは技術的、コスト的にも不可能とされています。核のごみの処分方法がないことを知りながら国民にはよいことだけを宣伝し、原子力を発電してきた通産省、科学技術庁の罪は深いと言えます。地下に物を埋めるのは、臭いものにふたの思想であります。一旦予想もしない事態が起きたらどうなるでありましょうか。北海道では、二十数年前の北炭大夕張の事故を思い出すべ きでありましょう。100名近くの人が死亡しているとは推定されましたが、そのまま地底に葬り込まれたことを忘れるべきではありません。この北炭夕張は別にそのままでありますが、核廃棄物はそのままどのような影響を出すのか予想もされないまま永遠に続くわけであります。私たち文明の年数を超えています。例えば第2次世界大戦の天皇の玉音放送なる言葉を今の人は何人聞いて理解できるでしょうか。また、100年前の書物を読んで理解できるでしょうか。私も一応中学校で理科を習いましたが、リトマス試験紙が酸性に色をつけると赤になるのだったか青になるのだったか、この簡単なことでさえ記憶がおぼろげになるわけであります。1,000年も後の我々が書いた、記録に残したものが引き継げるかどうかというのは全く保証がないわけであります。最後に、幌延の住民の人たちにお願いであります。道内は札幌以外どこでも人口減少に悩み、地域振興に心血を注いでいる中で、核のごみで自分のまちだけはと考えているようでありますが、原子力で地域振興といった泊村を見てください。原発2基もつくってどうなったでしょうか。人口が増え、まちが栄えたでしょうか。工事期間だけの 需要ではなかったのではないですか。それゆえ3号機の工事が必要なのではないでしょうか。これからも原子力発電を各電力会社は進めるならば、最低限産業廃棄物の排出者義務の責任を明らかにすべきであると考えます。以上。
【江別市 西山 尚宏】
江別市に在住する西山と申します。私は団体役員ですが、北海道一円に組合員を有している労働組合の役員でもあります。幌延町への深地層研究所計画について、計画に賛成の立場並びに立地する側の道としての考え方の一部に意見を付す形で、基本的に推進との立場で意見を言わせていただきます。この深地層研究所計画について賛成の立場と申し上げましたが、研究所の必要性といいますか、私の考え方についてまず述べたいと思います。会場の皆さんもご承知のことですが、深地層研究がなぜ必要か、なぜ立地するのかといいますと、我が国のエネルギー政策の根幹はエネルギーの安定供給、経済の中長期的発展、そして環境との調和であり、政府はエコノミー、エネルギー、エンバイロメントの三つのEの同時達成であるとしています。この政策というと原子力ありきという人もいますが、私は本当に資源のない国として、被爆国でありながらも冠たる先進国日本の技術をもってして十分やっていけるということで原子力を選択したと思っています。そして、原子力発電が全国で50基程度運転され、国策として30%程度を原子力に頼っています。私は、この「頼っている」という言葉より、30% を化石燃料や水力ではない、人間の英知で開発した原子力で電気をつくり、人類は豊かさを享受していると自負すべきと思っています。また、この寒冷積雪の気候からエネルギーとのかかわりは切っても切れない関係にある北海道においても同様なことであり、北海道も北電が勝手に原子力をつくり、電気を送っているのではなく、北海道、道民として将来のエネルギーはどうするかとの視点で考え、泊発電所からの使用済み燃料と廃棄物はどうするのかを明確にすべきと思います。当然ですが、このエネルギー政策は原子力のみならず今後は地球環境問題も含め、化石燃料に頼れないわけですから、新エネルギーへの追求も国としてしっかりやっていただきたいと思います。申し上げたこの50基の発電所から出る使用済み燃料からプルトニウムと燃え残ったウランに再処理し、この過程で高レベル放射性廃棄物が出ることになります。これをガラス固化体にして、現在青森県六ケ所村で貯蔵しています。青森の貯蔵は、このガラス固化体を冷やすために貯蔵していると聞いており、処分する必要があります。この処分を確実に、そして安全にしなければならないわけであり、そのために幌延での研究を行うこと が必要であります。次に、この研究所は幌延町に立地されるわけですが、研究実施地域において研究中はもとより、終了後においても放射性廃棄物を持ち込まないとした国及び核燃料サイクル開発機構の態度がしっかり担保されなければならないと思います。この持ち込まないは、過去の経過で工学センター構想を白紙に戻し、核廃棄物を持ち込まないことを前提とした取り組みの中で、それぞれの立場で責任を持って仕切り直しをしたわけですから、信用するとかできないでは結論が出ないわけで、行司役としての北海道として今回の基本的考えの中で、埋め戻しなど10項目にわたる協定内容を主な担保として考えられていますが、私の考えと若干違う部分もありますが、これまでの経過をたどればおおむねの理解のもとに基本的に賛成いたします。したがって、科学技術庁、核燃料サイクル開発機構、北海道、幌延町との間で協定、覚書、確認書などの締結を行い、担保措置を講ずることは必要であると判断されます。私は推進の立場ですから、本当は要らないと考えたのですが、やはり個人的にも過去の経過が経過だけに、やむを得ないと考えました。さらに、これまでの経過、現状を総合的に勘案して、 研究実施地域以外の周辺地域においても履行されることが重要であり、当該地域においては放射性廃棄物の持ち込みが行われないための条件整備にも配慮していく必要があります。今回の研究所計画の申し込み段階で事前に提出した意見についてのポイントは以上で述べましたが、追加的に意見を述べたいと思います。国に対して要望があります。幌延の深地層研究所は、今後の高レベル放射性廃棄物処分に向けた重要な施設です。国民が注視して、研究結果を期待しています。どうか情報の公開との視点で研究成果はもちろんのこと、道民が求める内容に迅速に対応して、開かれた研究所にしていただきたいと思います。もう一つは、研究所は幌延に立地します。この研究所の研究員は東京の人が多いと思います。冬の稚内は東京便がなくなってしまうのです。幾ら研究所を立地しても交通アクセスが不便ではどうにもなりません。空を含めた交通アクセスを万全に整備していただきたいと思います。次に、先ほど申し上げた研究終了後の埋め戻しは、大きな担保措置とした道の基本的考え方は理解しつつも、この埋め戻しの道の考えは私なりに考えると周辺の町村への過去の経過からくるものと判断しましたが 、個人的には核廃棄物は持ち込まないことは当然ですから、道なりがこの施設の有効利用を考えるべきではないかと思います。先週のテレビで雪を堆積させて夏に利用するとのエネルギーの要らないクーラー施設ですとか、国際的な地質研究所など20年経過すればまだまだ出てくると思います。どうか埋め戻す費用で北海道のために何かを考えてみてはよいのではないかと思います。このことが将来の北方圏、極東の学術研究の国際交流拠点としての機能を持たせていけば、最終処分場にさせない担保になるのではないかと考えます。幌延の研究所立地に関する件が大都市の札幌で開催されていますが、私はなぜ幌延町が研究所を誘致したのかを道民全体で考える機会ではないかと思います。ご承知のとおり北海道はこの札幌圏に一極集中の形で、人口も、また働くところも、そして文化的な施設も集中しています。212市町村で過疎に悩み、働く場所がないとの悲痛な叫び声がどれほど多いことか、私は自分の仕事柄、日ごろから痛切に感じております。今日は13日、お盆です。札幌に居住する者のほとんどが今ふるさとに帰郷しています。北海道が何をして、どのように自立するのか、本当に問われてい る時代だと思います。以上が私の意見です。
【札幌市 連合北海道・政策調査部長 浅田 明廣】
連合北海道で幌延問題を担当しております政策調査部長の浅田でございます。科学技術庁、サイクル機構からの幌延町への深地層研究計画の申し入れに対しまして、道は昨年1月より庁内検討組織を設置しまして、その後有識者の意見などを踏まえ、本年6月26日に道民に対し、道としての基本的な考え方を案として提示されましたので、これに対する連合北海道としての意見を申し上げ、堀知事がこの問題の最終判断に際しては必ず反映していただくよう求めたいと考えます。まず、私ども連合北海道の貯蔵工学センター計画撤回後の基本的スタンスは、放射性廃棄物を持ち込まない研究開発計画については検討の対象とします。しかし、廃棄物を持ち込んだり、あるいは将来貯蔵や処分場につながる計画内容であれば反対するという方針でございます。これにかかわる国及びサイクル機構の見解方針は、要約すると幌延町の研究実施区域においては放射性廃棄物を持ち込んだり処分場にすることはないとの見解を示し、それ以外の区域、とりわけ不安や懸念を多く抱いている周辺地域については、地元が受け入れない意思のもとでは処分場の立地場所になることはないとの見解であり、さきの国会で制定 されました「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」によって、処分地選定に際しては知事や市町村長の意見を聞き、これを十分に尊重していくとの方針であります。これに対する道の考え方は、深地層の研究実施区域については将来にわたって放射性廃棄物を持ち込んだり最終処分場としないための担保措置としてサイクル機構、道及び地元の間で協定を締結し、その約束を守らせるという考えを示してございます。連合北海道としても研究実施区域に対する措置内容方式としては、現行法制度の中で考えた場合、協定を締結する方策が有効であり、これに賛成いたします。しかし、協定の地元側の当事者について幌延町に限定することには賛成しかねます。私は、去る8月7日より3日間かけまして、周辺自治体の市町村長さんや議会議長さん、そして地元の連合の仲間の皆さんに、連合北海道のこの問題に関する見解方針を伝えるとともに意見交換をしてまいりました。この中で周辺自治体の地域住民の中には、なお協定内容が履行されない不安があるという声を踏まえて、幌延町のみならず核廃棄物持ち込みに反対している周辺自治体もこの協定に参画することを検討していただきたい、参画の形式は 直接もしくは間接の方式があるが、何らかの方式でかかわっていただきたい旨提案・要請してまいりました。即賛意をいただいた町長さんもいらっしゃいました。道の方針案では、地元の範囲については今後協議するとの考えですが、周辺自治体の住民の不安や懸念を協定に直接、間接にかかわることにより不安を払拭し、かつ担保をより重く、より大きくする視点から、周辺自治体と協議の上、全体自治体が参加していただくよう求めます。次に、幌延町の研究実施区域以外の地域の措置ですが、これについての道の考え方では、知事が既に表明している方針、すなわち道内の放射性廃棄物を持ち込ませる意思がないこと、中間貯蔵や最終処分場を受け入れないとの意思を、すなわち道内全域を認めないという意思を内外に明らかにするため、条例や宣言、声明などに取り組んでいくことが必要であるとしています。私ども連合北海道としては、措置の方策は限定いたしませんが、堀知事の方針としてだけではなく、北海道の意思、道民の意思として固め、確定し、仮に最終処分法に基づいて本道に概要調査地区の調査要請が来ても、直ちにその条例等の措置により拒否するよう求めるものであり、知事の方針が 道議会の場においても確立し、同様となるよう知事のリーダーシップの発揮をあわせて求めるものであります。また、この措置を講じる時期については、道は概要調査地区選定段階までと述べておりますが、これには反対でございます。私ども連合北海道は、幌延町における深地層研究所計画に関する対応と協定の対象外地域に対する措置は密接不可分の関係にあり、最終処分場につながらせない措置として条例、宣言、声明などの措置は絶対必要条件でございます。したがって、協定の締結とあわせて速やかにこの措置を講じるよう求める次第でございます。なお、協定の対象外地域にかかわる見解方針として、科学技術庁長官が知事に対し、地元が中間貯蔵施設及び処分場を受け入れない意思を表明しているもとでは、道内が立地場所になることはないものであるとの回答を示しているが、処分場にかかわる権限責任は通産大臣にあり、実施主体は原子力発電環境整備機構とされています。したがって、道として通産大臣に対し、通産省としてもこれまでの科学技術庁長官の回答の方針に変更があるのか、省庁再編後の経済産業省に引き継ぐのかを明確にさせ、確認書を取り交わすよう求めます。最後に、道は 今後の手順、手続として地元や道民などから意見を聴取し、道議会議論を踏まえて、国等からの申し入れに対して総合判断するとしております。その総合判断の際、必要不可欠な措置について今意見を申し上げさせていただきました。しかし、今なお道民の中には貯蔵工学センター計画時代における科学技術庁の姿勢、対応、旧動燃の言動、もんじゅの後の事故で明らかになった組織の密室性、JCO事故を招いた科学技術庁の安全審査、検査の体制等から、科学技術庁や改組されたサイクル機構に対しての不信感は極めて大きいものがあります。役所やサイクル機構の方々は二、三年でポジションがかわり、忘れることはできても地域道民の受けた傷は大きく、絶対忘れることはできません。深地層研究所計画を申し入れている科学技術庁やサイクル機構は、引き続き信頼回復に全力を挙げるとともに、知事は既に示している基本方針を堅持し、地域道民の不安や懸念の声に誠実に耳を傾け、国等に対しては協定内容や確認行為について求める回答がなければ返上するとの強い決意で臨まれるよう求めます。160万を超える道民の支持を得たからといって、個々の知事の政策判断を支持しているわけではありま せん。我々連合北海道は、この深地層研究所の是非の判断は今述べた担保措置に加えて、少なくとも周辺自治体の理解が得られなければ道民合意を得たとは言えないと考えております。このことを最後に申し上げて、連合北海道の意見にさせていただきます。ありがとうございました。
【札幌市 西塔 聡】
札幌市厚別区におります一市民の西塔と申します。本論に入る前に少々前置きをさせていただきます。私は北海道生まれで、北海道で育ちましたが、学校卒業後は仕事の関係でしばらく内地におりました。希望がかない、5年半ほど前に札幌に帰ってくることができた、いわゆるUターン組です。久しぶりに北海道へ帰り、生活しますと、内地と比較するからか、以前北海道で暮らしたときには感じなかったことを幾つか感じました。そのうちの大きなものとしては、北海道の経済基盤が非常に弱いと感じたことでした。そんな思いを持っているときに、私が北海道の銀行として慣れ親しんできた拓銀が倒産するというショッキングがことが起きました。今は日本経済も上向きに転じつつあるようですが、北海道の状況は他県と比較し、よい方とは言えないようです。早く北海道経済が好転し、産業基盤が確立され、北海道が経済的に自立できることを強く望んでおります。この厳しい北海道経済の中にありまして、エア・ドゥの発足は他の航空会社も含め、千歳-羽田間の航空運賃の低料金化を実現し、北海道経済に大いに貢献していると思います。さて、これから本論を申し上げますが、結論としましては 幌延町に深地層研究所を建設すべきであると考えております。それは、日本のエネルギー事情、また北海道の経済振興と科学技術振興より必要と考えるからですが、次に具体的に申し上げたいと思います。国の発表によりますと、平成10年度の日本の発電電力の構成は、原子力が36.8%、石炭石油火力が25.7%、LNG火力が24.6%、水力が10.7%、その他が2.2%になっております。現状では電力の3割以上を原子力発電に依存しております。一方、風力発電、太陽光発電などの環境に優しい新しい発電技術が実用段階に来ており、これらの一層の普及、拡大が望まれますが、火力発電や原子力発電にとってかわるには経済性、規模、確実性に問題があると考えます。したがいまして、現在の経済活動と生活レベルを維持するために、まだ当分の間原子力発電に頼らざるを得ないと考えます。原子力発電を中心に大量かつ安定的に生み出される電気を私たちは毎日享受し、それが快適な生活のベースとなっているわけですが、一方原子力発電から高レベル放射性廃棄物というありがたくないものが出てまいります。そこで、私たちは自分たちで出した高レベル放射性廃棄物というごみを自分 たちで片づける必要があります。今の私たちの豊かな生活は、進歩した科学技術によってもたらされたものですが、高レベル放射性廃棄物も高度な科学技術をもって、より安全に処理、処分されなければなりません。高レベル放射性廃棄物の処分方法については、宇宙や海洋への投棄のほか、いろいろな方法の可能性について検討されましたが、現在は日本も含め、国際的にも深地層への処分が最適な方法と考えられております。そして、海外の原子力発電を行っているほとんどの国では深地層に処分する方針がとられ、必要な研究開発が積極的に進められております。そして、日本においても深地層処分が実現可能であることを科学的、技術的に明らかにすべく深地層研究所計画が進められようとしております。さて、幌延町に深地層研究所を建設することが将来幌延町に高レベル放射性廃棄物の処分場が建設されるのではないかと危惧されている方もおられますが、処分場の選定については「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に定められており、深地層研究所の建設とは別次元で処分場が選定されます。また、道は道内に放射性廃棄物を持ち込ませる意思がないことを国に示しており、幌延町も放射 性廃棄物の持ち込みを認めない旨条例を制定しました。したがいまして、本研究所の建設により放射性廃棄物が持ち込まれることにも、また最終処分場になることにもならないと考えます。一方、深地層研究所が幌延町へ建設された場合の利点について考えますと、次のようなことが言えると思います。一つ目は、直接的及び間接的経済効果です。研究施設の設計建設に310億円、調査研究に毎年35億円、国際交流施設等に30億円が投じられる予定です。これによる幌延町、北海道への直接的、間接的経済効果としては相当なものが期待できると考えます。特に調査研究として約20年間にわたり毎年投じられる35億円、総計にして700億円は極めて大きいもので、我々北海道側の取り組み方によっては大きな2次的効果も期待できるものではないでしょうか。二つ目は、科学技術の向上です。本研究では、約100名もの研究者が初めて本格的に地層科学研究、地層処分研究、地震に関する研究、地下空間を利用する研究を行うものと聞いております。北海道での研究という地の利を生かし、北海道の企業、大学等が積極的に参加することにより、北海道における深地層研究に関連する科学技術のレベ ルは飛躍的に上がると思いますし、さらに多方面にその成果が生かせるものと考えます。また、本研究所は国内のみならず国際的研究拠点となることを目指しております。国際共同研究の実施や研究者の奨励を積極的に進めようとしておりますので、これらの国際交流から学術的にも意義ある成果が得られると思います。以上申し上げましたとおり、私は幌延町に深地層研究所が建設されることは地元と北海道にとって有益であると考えますが、この陳述の機会に何点か要望事項も申し上げたいと思います。1点目は、処分場の選定についてですが、先ほど申し上げましたように処分場は「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づいて選定されるわけですが、選定までの各段階で情報を公開していただき、経緯が明確にされ、国民が納得できるようにしていただきたいと思います。2点目は、深地層研究所での研究内容を明確にし、研究推進の各段階で研究成果の情報公開をお願いします。3点目は、本研究所と施設の研究終了後の措置についてですが、研究終了後は研究施設を埋め戻すというご意見がございますが、他の分野の研究施設として利用できないか、例えば地震研究所として引き続き利用す るとか積極的な活用を検討していただきたいと思います。本研究の施設は我々の税金で建設されるものですから、できるだけ有効な活用をお願いします。最後に、この深地層研究で培われる科学技術と研究者との交流が明日の北海道につながる科学技術の向上と産業の発展に役立つような取り組みを道と幌延町にお願いしまして、私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。
【札幌市 山口 たか】
私は、幌延町に誘致されようとしている深地層研究所計画の反対の立場から4点申し上げたいと思いますが、これまで述べていらした方と重複する部分がありますので、随時割愛をさせていただいて、予定原稿にない部分をつけ加えさせていただきたいと思います。初めに、先ほど科技庁と核燃の方からご説明がございましたけれども、一番私が怒り心頭に達したのは、皆様にも配られております幌延町における深地層の研究という美しいパンフレットです。これは、私たち今道民が受け入れるかどうかを検討しているにもかかわらず、なぜこのようなものができて既に配られているのか、これは私は役所の態度として道民の感情を逆なでする、あるいは全然理解をしていない、大変失礼な態度であるというふうに思います。そのことをまず指摘しておきたいと思います。このようなことが随所に見られるのが核燃であり、国のやり方であるということをまず指摘したいと思います。では、申し上げていきます。1点目ですけれども、初めは貯蔵工学センター計画が白紙になっていないという点です。98年、科技庁からこれまでの貯蔵工学センター計画を白紙にして、改めて深地層研究所の立地の申し入れが ありましたけれども、しかしこの新たな提案は本当に貯蔵工学センター計画と別物なのかということが一番焦点だと思います。地元道北の方たちから何度も指摘されておりますが、現実には核燃幌延事務所のリース契約は貯蔵工学センター時と同様に継続されていること、それからボーリング調査時点のバリケードの24時間警備も継続していること、センター宣伝のためにつくられたおもしろ科学館が科技庁予算で継続していることなど、センター計画は白紙になったとは到底言えない状況でした。白紙なら、なぜ幌延が再び候補になるのか、全く別な地域にならないのはなぜなのか、道はそのことをもっと検証すべきでした。スタートが間違っています。それを知りながら問題にせず、白紙になったとする道の態度は大変大きな問題だと思います。そこで、2点目に道の検討作業の問題点について申し上げます。98年10月に核燃理事長が高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設立地の可能性を示したことから、一たん堀知事は計画を返上いたしました。しかし、科学技術庁が知事に対して知事や地元が中間貯蔵施設や処分場を受け入れないと表明しているもとでは、道内はこれらの立地場所にはならないと説 明したことから計画返上を撤回し、99年1月には道庁内部の深地層研究所検討委員会を発足させました。公開を求め続けた市民の声にもかかわらず非公開で進められた検討会ですけれども、では何が議論されたのでしょうか。議事録によりますと、2月10日と3月19日の2回、科技庁と核燃から説明を受けています。その中で重要な質疑がありました。ある委員が、「なぜ幌延か、深地層計画はどのような手続で選んだのか」との質問に対し、「全国的に絞り込んでいくという手続ではありません」と答えています。また、「貯蔵工学センター計画の深地層試験場の場合と今回の場合は同じか」との質問に対しては、「研究の場としての選定にかかわる基本的要件は変わっておりません」と答えています。放射性廃棄物の貯蔵、処理、処分にかかわる研究施設の立地については全国的に調査し、選定すべきであるというふうな知事公約との整合性がないばかりか、決して白紙に戻っていないことがこの答弁からもはっきりしています。しかし、検討委員からはそれ以上の追及も深い議論もありませんでした。また、4月16日の第4回検討委員会では、計画を認める場合の措置という項目が提示されました。 道と地元と核燃の間で協定を締結する内容であり、受け入れを前提とした提案です。もともと検討委員会は専門家の集まりではありませんから、昨年6月、知事選後の人事で1人を除き全員が異動し、メンバーが一新されてしまいました。その結果、事務局である経済部が主導で検討作業が進められ、2月には核抜きの担保は協定が有効であるとする報告書をとうとう発表してしまいました。さらに、その後設置された有識者懇談会は、もっと露骨にアリバイづくりの色彩が濃厚なものであります。私も傍聴いたしましたが、検討委員会報告書発表後、わずか6日後に学者などによる有識者懇談会を発足させ、1カ月で4回という猛スピードで終了しました。中には年度末で学生の試験があり、忙しい、日程が合わないと述べている学者の方がいるにもかかわらず、あらかじめ決めておいた日程を強行しました。通常考えられない運営であり、初めに結論ありき、年度内予算消化、アリバイづくりの懇談会と言っても言い過ぎではないのでないでしょうか。さらに、道の内規に触れる道庁OBでありながら座長に就任した傳法委員は、高レベル放射性廃棄物は原発から出る使用済み燃料と勘違いしているかのような 発言、先ほど来も何人かの方がおっしゃっていますが、原発から出るのが高レベル放射性廃棄物ではないのです。そのような発言をし、原発の恩恵を受けている以上、廃棄物も受け入れざるを得ないという趣旨の発言をしています。懇談会終了後、私がそのことを指摘したところ、傳法座長は、「自分は医者であり、あなたよりずっと命のことを真剣に考えている」と激怒したのであります。高レベル廃棄物は、使用済み燃料を再処理し、プルトニウムやウランを取り出した後の廃液をガラス固化体にしたものであります。再処理をしなければ発生しないものです。人類がつくり出した最も危険で、処理が困難なものであります。経済性、安全性からもこのようなガラス固化体を地層処分すること自体非現実的な計画であり、再処理をやめる、核燃料サイクルをやめることが21世紀に向けた選択であるべきなのです。また、先ほど最初に発言された学者の方が地層処分を評価されて、数千年は大丈夫というふうにおっしゃいましたけれども、このようなものは1万年以上にわたって監視しなければならないものであり、数千年で大丈夫ということは全く納得できるような話ではありません。さらに、ユッカマウン テンでも行われているような発言が先ほど科技庁の方からありましたが、これも地元や州知事は反対をしております。それにもかかわらず強行しているという現状がある、それを発表しないで、あたかも地層処分が世界的傾向であるかのような発言というのは、やはり道民を愚弄するものであるというふうに言えると思います。以上、道の検討作業は専ら核抜きの担保措置の検討に集約されているのですが、3点目に担保はあり得ないということを申し上げます。2月に連合北海道が科技庁に対し、幌延が処分場の除外地域になるか否か照会しましたが、それに対し科技庁は、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に定めたプロセスを踏んで判断していく」と回答しているだけで、除外するというふうには言っていません。また、核燃も研究実施区域に放射性物質を持ち込まないとしているだけであり、研究区域外に持ち込むことを否定はしていません。さらに、核燃と核抜きの協定を結んでも、処分の主体となる法人、原子力発電環境整備機構はこれから設立されるところであります。また、処分の調査地区選定において調べなければならない事項などは、これからつくられる施行令や施行規則にゆだねら れることになっています。以上のことから核抜きの担保というのは実効性がなく、研究所がその後処分場になるのではという不安、危惧は根拠があり、可能性が十分に高いことなのです。道は、5月に成立した最終処分に関する法律などをもう一度検討し、検討委員会を設置し、この間に出した基本的な考え方というのもやっぱり撤回すべきであるというふうに思います。最後に、知事公約である道民合意について申し上げます。知事は、核抜きの担保とともに道民合意を受け入れの条件としています。しかし、最も重要なこのことについて何をもって合意とするか示すこともなく、市民団体から提案の道北での意見交換会やアンケート、あるいは住民投票の実施などについても何ら検討していません。8月3日から本日までの「道民の意見を聴く会」で終えようとしているのは公約違反であり、情報公開と説明責任、これからの自治体に求められているディスクロージャーとアカウンタビリティに反するものであります。私は現在札幌で市議会議員をしておりますが、堀知事の1期目の選挙のときには支援をしまして、知事とともに立会演説会にも出席をさせていただきました。大勢の市民の前で私は幌延問題に ついて白紙撤回をし、これ以上北海道を惑わせないでほしいということを申し上げ、知事もそれに同意されたのです。あれから5年間、時のアセスメントなど全国から注目される取り組みをされ、泊、幌延問題に慎重だった知事と今の知事は同じ人なのでしょうか。私は、このことは絶対知事に伝えていただきたいということを改めて申し上げます。道北の住民団体が98年に行ったアンケートでは、65%が貯蔵工学センター計画は白紙撤回されていないと答えておりますし、73.8%が深地層研究所に反対しています。また、猿払村、浜頓別など近隣自治体も立地に懸念を示しています。道議会の意見だけが道民の意思ではありません。また、生活クラブなど消費者団体のメンバーは、11年間にわたり毎年幌延町を訪れて、道民の意見を聞いています。そのようなことを総合的に考えても、現在道民合意はなされていないということは明白であります。幌延問題は20年近くにわたり北海道、とりわけ道北地方に混乱と不安を与え続けてきました。酪農や漁業を基幹産業としてきた北海道にとって何より大切なことは、汚染されない豊かな自然、安全性の確保であり、そのことはこのたびの雪印乳業の事件 でも明らかです。さらに、知事がこれから進めようとしている観光振興の面からも不可欠です。きれいな水、空気、土のもとで暮らしたい、この願いはぜいたくでしょうか、大それた望みでしょうか。どうか堀知事は、道民のこのささやかな望みを酌み取り、国、核燃に対し計画のすべてを返上することを表明してくださることを申し上げ、私の限られた時間での発言を終えたいというふうに思います。お聞きいただいて、ありがとうございました。
【札幌市 藤原 正巳】
私は、札幌の手稲から参りました藤原でございます。私は、深地層研究所の計画に一応賛成という立場から意見を述べさせていただきますが、ご存じのように日本は資源が乏しいということで、エネルギーの大半は外国からの輸入に頼っているということは皆さんご承知のとおりであります。特にエネルギーの大きな発電ということに関して申し上げれば、燃料は石炭、石油、それからLNG、それから今原子力のウラン等がありますが、ほとんどすべて輸入されているというのが現状でなかろうかというふうに思います。そのような背景から、私は私たちが今使っている電気の燃料から考えてみて、水力、火力、原子力発電と、今のところはバランスよく組み合わせて電気が供給されているというふうに思います。それでは、日本の電力はどうなっているかと。先ほどもどなたか申し上げておりましたが、私が調べたところでは平成11年3月末現在では、発電設備の総出力が約1億9,153万キロワットということで、そのうちの水力が17%、火力、これは石炭、LNGを含めての構成でございますが、61%、原子力は設備で22%となっているというふうに文献に載っております。この中で燃料の 安定性からということで火力と原子力が今選定されているわけなのですが、輸入先が国情の安定しているカナダ、それからオーストラリア等がありまして、燃料が安定的に供給されている、これから価格も安定しているということで、エネルギーである電力がベース電源ということで運転されている。そういう観点から、原子力も確かに出てくる廃棄物は負の遺産というふうになるわけでございますけれども、燃料の輸入ということも含めると、再処理して再利用するということも大事でなかろうかというふうに思います。したがって、原子力発電は先ほどの科技庁の説明にもありましたが、発電電力量では約三十数%から40%というふうな電力量を占めております。私たちがそれでもって電気を供給され、それで生活しているということを考えると、排出される放射性廃棄物をどのように処分するかということがやはり大事なのではなかろうかというふうに思っております。さらに、今全国で原子力発電は先ほど50基とありましたが、私調べたところでは51基、約4,490万キロワット以上の設備を持っております。これを早急に代替エネルギーでかえていくには、まだまだ技術的に無理があるのでなか ろうかというふうに思いますし、さらに今建設中が5基ございます。それから、泊も含めて準備中ということになりますが、3基というふうになっております。これらから出る廃棄物というものの処分は今から研究しておく必要があるのではなかろうかと、どのように処分するかをこれから研究するということは、私は大事なことではなかろうかというふうに思います。今からそういうことでどのように処分したらいいのか、どういう研究をやって、どういう成果が出るのか、きちっとやる必要があるというふうに考えます。それから、核燃料サイクル開発機構さんのスケジュールでいきますと、2040年の操業ということを想定されているようですが、それにこだわることなくきちっとした研究をぜひやっていただきたいというふうに思います。それと、論点の大きなものは、放射性廃棄物を使用しないで研究開発するということですが、それらの担保をどうするかということで行政に対する不信感もたくさんありますが、それらをどのようにしたらお互いに信用、信頼の上で構築できるのか、それらも道民合意の上で考えていく必要があるのではなかろうかというふうに思います。これらの研究を進めるには 地元の方々の同意は得る必要がありますし、そのためには私は私なりに環境アセスメントもきちっとやって、環境破壊につながらないということとか、情報公開をきちっとやっていただきたい。例えば今日のようなこういう「道民の意見を聴く会」というものも新聞にちょっと出るぐらいで、きちっとマスコミを通して公開されているかというと、その気になって調べないとなかなかいろいろなデータが出てこないというふうに思います。地元の同意を得るためには、マスコミを使いながらもきちっとした公開、これをやる必要があるのではなかろうかというふうに思います。それから、当然ながら先ほどの11カ条の契約条項にもありましたけれども、やはり随時みんなが立ち入りできて、見たいものをきちっと見れるということを徹底していただきたい。それから、危機管理の徹底を図って、研究施設が常に安全であることを実証してほしい。それから、大きな論点であります放射性廃棄物を持ち込まないこと、それから廃棄物の処分場としないということをいかにして守らせるか、それを条件に私は賛成したいというふうに思います。それから、実際に研究施設ができた場合に、その監視ということで住民参 加の監視委員会もしくは調査委員会、名称はどうであれそのような機関をつくって、常に監視するということを条件に私は研究所の計画に賛成いたします。以上でございます。
【札幌市 市川 恒樹】
私は大学で放射線の安全管理とか、それから放射線が引き起こす化学反応とかそういうことの研究に携わっている者なのですけれども、現在幌延町に深地層研究所、基本的には高レベル放射性廃棄物の処理、処分をすると、そういうことについての記事がずっと載っていたわけで、そういう意見をいろいろ見て、いろんなことを考えてみますと、結構放射線は安全管理上、それで安全かという意見が随分あるわけでして、そういうことからこの席で放射線の安全管理をするにはどうしたらいいかと、高レベル放射性廃棄物を安全に管理するにはどうしたらいいか、もう既にあるわけですから管理しなければいけないわけです。そういう観点で意見を述べたいと思います。エネルギーをどうするかとかそういうことについてはいろんな意見があって、私自身どうするかということは迷っているわけですけれども、そうではなくて放射線の安全管理ということについてのみ論点を絞ってお話ししてみたいと思います。皆様ご存じのように、高レベル放射性廃棄物の最終処分というのは原子力利用の上で最後に残された技術的課題です。今日のお話を伺っていますと、結局放射性廃棄物の処分を研究する研究所をつく るということはそこを処分地にすることにつながるのだから、あるいはどこかに放射性廃棄物を深地層処分することに結局はつながるのだから、研究所自体をつくるなと、そういう意見が結構多い。新聞何か見てもそれが非常に多いわけです。研究をやめさせればそれで処分もできなくなってと、それで安全ではないかと、そういう図式になってくるわけです。しかしながら、最終処分の研究をストップさせて、最終処分技術に関する安全性の確認がなされる前に放置するということは、既にもう放射性廃棄物はあるわけですから、高レベルであろうと、先ほどおっしゃっていましたけれども、それは使用済み核燃料であろうとも非常に高レベルであることは間違いないわけですから、それを長い間人の中に放り出すと、そういうことに等しくなります。ですから、放射線の安全管理上これほど危険なことはありません。そういうわけで、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、あるいは使用済み核燃料でもいいわけですけれども、とにかく最終処分についての研究はぜひとも必要という具合に考えております。そうしますと、そのような研究を日本でしなくたっていいじゃないかと、そういうことにもなりま すけれども、高レベル放射性廃棄物を外国に置かせてもらうとか、それで管理を頼むというのは、原子力によって生み出された電力をもう使用している私たちの責務であろうと考えています。当然そういうような外国に任せるというのは、もう今の国際情勢では基本的には倫理的にも当分、そのような意味で国内で高レベル廃棄物の処理を確立するということは必要だという具合に考えています。最終処分技術の確立が必要ということになりますと、次にどのような最終処分方法がよいかということが問題になるわけです。先ほど出ましたけれども、核反応を人工的に起こして放射性物質を無害化するという研究もあることはあるわけですけれども、どこを突っ込んでどこを減らすという技術ですから、なかなか現在のところは実用化レベルにはないということは明らかなわけです。将来的にはわかりませんけれども、とにかく現在のところでは非常に怪しいと。最終処分法としては、核燃料サイクル機構とか科学技術庁のオウム返しみたいなことにはなりますけれども、結局安全なところに長期間保存して、放射能が減るのを待つのが安全で現実的な方法だと。放射能を持った原子というのは、ほうっておけばあ る瞬間に放射線を出して、普通の原子になってしまうわけです。ですから、危険な放射線を出していることはとりもなおさず安全な物質に変わるということですから、長期保存管理というのはこの性質を利用したものです。長期保存管理が必要ということになりますと、次にどのような保管管理法をとるかということが問題になります。放射性廃棄物の管理については、廃棄物を人の手の届きやすいところに置いて分散管理するという方法も考えられます。しかしながら、一般に放射性廃棄物に限ったことではありませんけれども、安全管理という点では1カ所に集めて集中的に管理するという方法が優れています。分散管理しますと、いろいろ途中でわけがわからなくなる機会が増えるとか、そういうことが多々あります。我々が使っているような微量の放射性物質の場合でも同じことです。また、すぐに再利用する計画がない限り、人の手の届きにくいところに保管すると、こういう方が人為的ミスも防げるということで安全です。とにかく人為的ミスというのが一番危ないわけです。廃棄物の量を少なくして、狭いところに閉じ込めて、幾重もの安全策を施して集中的に管理するというのが一般には放射性管 理上ベストの方法です。放射性物質の安全管理の基本というのは、放射性物質を人間の生活圏、それとの間に多量の物質を置いて、物理的に放射線から人体を隔離することです。一般に遮蔽といっていますけれども、そういう技術です。時間がたったら遮蔽した物体が崩れたり、放射性物質が人の生活圏に移動してきて放射線が人に当たると、そういうことでは何もならないわけですから、人と放射性物質の間にたとえ厚い壁をつくっても、そういう状態を長期的に置いておいて地震で倒れた、それでは非常にまずいわけですから、そういうことは長期保存の観点では非常にまずいということになります。地層処分では、先ほどの話にありましたようにガラス固化体をさまざまな材料で幾重にもパックして、イオン交換体でその周りを覆って岩盤の中へ埋めるということですから、一般にはそのようなことは起こりにくくなります。起こりにくくなるということは、技術は何でもそうですけれども、パーフェクトということはないですから、それはそれでベクトルの方向としてそっちの方がいいということであって、それだけで完成した技術というわけではありません。ですから、放射線安全管理の立場からいいま すと、深地層処分を重点的に研究するということは、現在そういう放射線消滅技術ということではなくて、ぜひ必要と、緊急を要する研究課題だということになります。深地層処分が最も安全な高レベル放射性廃棄物の管理法としますと、その安全性をさらに高めるためにはどうしたらいいかということが問題になるわけです。先ほど言いましたように技術はパーフェクトではありませんから、そういう問題を解決するにはどうしたらいいかということでは、やはり研究所をつくって研究するということが必要になります。放射性物質を扱っているときに、よく我々は危険を減らすためにコールド実験というのをします。どういうことかというと、放射性物質を扱わないで放射性物質を扱っているのと同じことをすると。それによっていろんな操作の問題点とか管理の問題点を明らかにして、そういう中で本当に放射性物質を使ったときにどうなるかということの問題点というのを研究すると、そういうことをよくやるわけですけれども、そうするために深地層研究所というものをつくって、そこで研究するということは必要になります。当然処分する途中で実際に本当に放射性物質をどこかに地層処分をすると、 そういう場合に処分する途中で放射性物質が生活圏に漏れていないかどうか、あるいは深地層に設置された放射性物質が地中を移動して生活圏に到達しないか、そういうことを研究しないと危ないわけです。一般に深地層の環境というのは基本的には重力で物がぎっしり詰まった状態ですから、地表に比べると物理的には非常に安定しています。科学的にも保存能力に優れた環境です。しかしながら、深地層処分をする途中とか処分した後の放射性物質の生活圏への影響を評価して、それが無視できることを証明するにはさまざまな実験を行ってデータをとると、あるいは理論モデルを構築して、1万年は無理ではないかという意見もありましたけれども、それで外挿をしていくという研究が必要になってくるわけです。つまりそのためには深地層処分を模擬した穴を実際に掘って、深地層における地下水の成分とか流れ、及びそれらを支配している地質の物理的構造などを知る必要があります。また、昨日か何か新聞に出ていましたけれども、そういうところでの生物の状況とかそういうことも知る必要があります。これまで述べましたように、深地層研究所というのは放射性廃棄物の安全管理を図る上で非常に 必要な研究施設です。しかしながら、今ずっとお話をお伺いしていましたけれども、放射性廃棄物の最終処分場になるのではないかという懸念が非常に大きいということがあります。これについては私の専門でも何でもありませんので、それは反対する人と、あるいはそういう懸念を持っている人と当事者間できっちりした契約を結んでほしいと考えています。最後になりましたけれども、昭和30年に制定されて原子力開発の基本方針となっている原子力基本法の第2条について述べていきたいと思います。この条項は、原子力に関連するさまざまな人々が、賛成の人でも反対の人でもその立場を超えて論議した結果を成文化したものです。その中では、「原子力の研究開発及び利用は平和の目的に限り、安全の確保を旨として民主的な運営のもとに自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」ということをうたっています。深地層研究所で実施される研究の成果については、基本法の精神にのっとり、その内容が深地層処分について肯定的であるなしにかかわらず、やはり全面的に公開されることを望みたいと思います。以上です。
【札幌市 斉藤 敏夫】
私は、札幌市豊平区から来た斉藤といいます。私は、同時に原発問題全道連絡会の役員をやっております。先ほど意見陳述者の選び方について道の発表がありましたが、透明性を確保するためにいろいろもっときっちりとしなくてはいけないなという印象を持っております。さて、私の意見ですが、結論を先に言いますと、深地層研究所計画はきっぱりと返上すべきだということです。なぜかといいますと、それはまず原発の使用済み核燃料を再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物を地中深く埋設し、その放射能を人間社会から隔離するという国の地層処分の方針が有効であるということを明らかにする実証研究を行う、これが深地層研究所の目的であって、高レベル放射性廃棄物の処分方法自体の基礎研究ではないと、それが目的ではないということだからです。高レベル放射性廃棄物は長期にわたり放射能を持続しますから、10万年から20万年にも及ぶ超長期にわたり、人の社会から隔離しておかなければなりませんが、歴史的に考えてみれば縄文時代でせいぜい5,000年前というように、人類がこれまで何万年という単位で物質を閉じ込めて保管するようなことを経験したことがございませ ん。地層処分にしても果たして何万年も放射能を安全に隔離しておくことができるかどうかについては、いろいろな疑義が出されております。それを可能だとするのが国の地層処分の方針であって、科学的に考えたら無謀だとしか言いようがないからであります。サイクル機構の第2次取りまとめでさえ高レベル放射性廃棄物の放射能存続期間を考えると、このような期間にわたり有効であり続けた社会制度の例もないと指摘をしているのであります。今大事なことは、いわゆる放射能の群分離、消滅処理技術等の研究開発、こういう基礎研究を進めることこそ必要であって、それが求められているのだと思います。次に、この問題の根源には国の原子力政策があるという問題であります。国は、エネルギー確保のためとして使用済み核燃料を全量再処理し、回収したプルトニウムを利用する核燃料サイクル路線、プルトニウム循環路線に固執しております。本来放射能をどう処置すべきかということを十分検討してから原子力の利用を始めるべきだったのに、トイレなきマンションという批判をよそに開発を急ぎ、原発を増やし続けたために、たまり続ける放射性廃棄物の処理、処分の方策は今に至るもなお見通 しも立っておりません。高速増殖炉もんじゅ、使用済み燃料再処理工場での事故、そして核燃料工場JCOの臨界事故など、一連の重大事故が国の原子力政策の軸をなすプルトニウム循環方式の主要施設で相次いでおります。国際的にもプルトニウム循環路線から撤退する国が相次いで、日本の突出は際立っております。こういうもとで、私は国がこれまでの原子力政策を根本的に転換しなければならないと考えます。そして、少なくともまず放射性廃棄物を生み出す大もとの原発の新増設はしないこと、また高レベル放射性廃棄物をつくり出す使用済み核燃料の再処理をやめること、そして当面暫定的な保管をすること、これが最も現実的であると思います。その暫定保管の間に、さきに述べた放射性物質の無毒化などの基礎研究を初め必要な研究を進め、万全な技術の確立を図っていくべきであるというふうに思うわけであります。道は、深地層研究所をつくっても処分場は受け入れないとしておりますが、処分場になるのではないかという不安、懸念があることは道も否定しておりません。この不安や懸念を打ち消すために、道は核抜き担保措置をとるというのであります。今日深地層研究所計画問題の焦点 は、この核抜き担保措置の問題にあるかの論が道や一部団体で喧伝され、マスコミもしきりに取り上げています。しかし、問題の核心はそこにあるのではないと思います。技術と安全性の全く未確立な高レベル放射性廃棄物の地層処分を是とする実証研究を行う施設である深地層研究所、これを認めるのか認めないのか、ここにこそ問題の核心があります。これを認めれば当然処分場への一里塚となることははっきりしております。全国的に処分場がつくられていないという今日の状況のもとではなおさらであります。このことを明らかにした上で、サイクル機構や道などが深地層研究所の計画と処分場の計画は区別して進めるとしていることについて述べたいと思います。サイクル機構の地層処分研究開発の第2次取りまとめによりますと、処分場のサイト選定のプロセスを1、処分候補地の選定段階、2、処分予定地の選定段階及び3、サイト特性調査の段階という三つの段階としてとらえ、1の段階では文献調査が主体となり、2では現地調査が実施され、3では地下施設を利用した総合的な調査試験が実施されるとしております。これらのことは、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律にも多少の表現 の違いはあるが、書かれております。これに照らしてみますと、幌延では既に旧動燃の時代に文献調査と現地調査が実施されており、もし深地層研究所がつくられるならば、それは先ほど述べた3の調査試験のための地下施設の役割を果たし、処分地になるための準備作業はすべて終了ということになります。とすれば、調査研究に基づき処分場の提案がされるということは十分考えられることではないでしょうか。そのような状況に対し、果たして担保措置で対処できるのでしょうか。また、仮にそれが有効であったとしても、北海道への核持ち込みはだめだけれども、よその県や地区なら認めていいのかという新しい問題が生まれてくることに対して、どう対処するのでありましょう。こう考えてくると、問題は再び国の原子力政策の根本的転換以外に解決策は見出せないということに行き着かざるを得なくなるわけであります。また、念のため一言つけ加えれば、道は担保措置としてサイクル機構と協定を結ぶとしていますが、最終処分の実施主体は「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」では原子力発電整備機構であって、サイクル機構ではありません。以上申し上げたことから見て、道は住民と滞 在者の安全と健康、福祉の保持という地方自治体の本来的任務からいって、深地層研究所計画を返上する以外にはないと思います。高レベル放射性廃棄物の処理、処分の問題は、その性質上、結局科学の力によりながら、いかに民主的に社会的合意を形成した上で進めるかということにかかっております。現代では、住民合意と自治体の同意なしには原子力施設を立地しないというのが当然のルールになっているからであります。私は、これを契機に十分時間をかけ、住民投票も含め、開かれた民主的に運営される道民的な討論を進めることを強く求めるものであります。以上が私の意見です。
【札幌市 自治労北海道本部・道民運動部長 村上 昇】
私は、札幌の苗穂に住んでおります村上と申します。私の所属する自治労というのは、ご存じの方もいると思いますが、道庁や市役所、町村役場で働く労働者を中心に構成されている自治体の職員組合です。地域の住民、市民の福祉向上、何よりも命と安全を守るということを使命としていますが、その立場でこれまで原発の立地建設には強く反対してまいりました。しかし、原発が現に稼働しているという現実にあっては、万が一の事故はあり得るわけです。万が一の事故に備え、地域における原子力防災の充実と確立を中央本部、地方本部、各単組ともども力を合わせて、国や道や地元自治体等に強く求めてまいったものでございます。そうした立場で、総論や各論に当たって言いたいことは山のようにあるのですけれども、現場の人たちもこういう意見を反映してもらいたいと、そういういろんな声があるのですけれども、時間の制約がありまして、特に3点に絞って発言をしたいと思います。まず一つは、犬も歩けば原発に当たると言われるぐらい、この狭い私たち日本列島に今51基もの原発が現実に稼働し、毎日毎日そこから放射性廃棄物が生み出されているというどうしようもない現実があるの です。僕はこれを認めたくない、でもそういう現実があるのです、好き嫌いにかかわらず。そうである以上、その貯蔵、処理方法の開発、研究、確立、非常に僕は難しいと思いますけれども、それ自体否定するものではありませんけれども、やっぱり一切の放射性廃棄物を北海道には持ち込まない、貯蔵地、処分場には絶対しない、そういうことがなければ研究一般それ自体は否定しませんけれども、そういう前提条件、現場にはいろんな不安があります。今まで批判的なことを言ったのと同じような意見です。でも、そういうものがあってもそういう前提条件がなければ研究それ自体、到底受け入れられるものではないと思います。二つ目ですけれども、ではそこで道は核抜きの担保措置として核燃サイクル、地元の自治体はもちろん、3者による協定を考えているようですが、それにしたっていろんな不安、懸念、心配、山のようにあります。それは、率直に言って今日説明に来られた方ですけれども、北海道十五連、僕も機動隊にがんがん久しぶりに殴られ、蹴られた一人ですけれども、率直に言って協定の相手である国、動燃、核燃サイクル機構、科学技術庁というのはどうも信用できないのではないか、 僕はそう思っております。それが今まで言われてきたことと同じです。やっぱりそういうのがあるのです。でも、どうしたらいいか、それで特に安全神話を振りまいて、繰り返される事故では何とかその場を取り繕って、隠して取り繕って、そういうだけです。かけがけのない国民の毎日の暮らし、命を本当に守るのだと、僕は政府はそのためにあると思っているのです。ところが、残念ながらそういう姿勢が本当にあったでしょうか。今もあるでしょうか、これからもあるでしょうか、それが一番不安です。かつてのさきの戦争、原爆投下しかり、薬害問題しかり、今の原子力行政しかり、現地の人はそこで生きて暮らしているわけです。そういう生活や国民の毎日の暮らし、命を本当に守るのだという姿勢、どうも僕は感じられないのです。何か起これば国民の暮らし、命に影響を及ぼすような重大な政治決定や政策決定をしながら、時には死者をも出すようなことに対して誰も責任をとらない、もうずっとそうです。それで僕の尊敬する、皆さんも御存じだと思いますけれども、そうした日本の政治、重大なことを決めているのです、霞が関や札幌で。誰も結果に対して責任をとらない、そういう日本の政治 、政府の体質を丸山眞男という政治学者が「無責任の体系」という言葉で指摘して話題を呼んだことがありますけれども、本当に重大なことを決めておきながら、その結果起きる結果に対して誰も責任をとらない、そうした無責任の体系というものを今日の国、旧動燃、核燃サイクルもどれだけ免れているのでしょうか。僕は本当にそこが不安でなりません。もって言えば、さきの方も言われたけれども、処分方法が確立していないままに、普通だったらちゃんと物事をこういうふうに後始末しようと、それから物事を始めるのが僕らの日常生活です。ところが、これだけ処分方法を確立していない、学者先生のお話を聞くとこれはもう確立できないというのです、放射能の処分方法は。そういうことをしないで後回しにしてまでひたすら原発を推進して、原発大国の道、それを今真っすぐに突き進んでいるわけです。あと20基、これはさすが東海村のJCOで13基に一部修正しましたけれども、そういう国の原子力政策に本当に一番の疑問、不安を僕は持ちます。現場もそういうことです。幌延とその周辺自治体、北海道に深くかかわるこの問題は、単に一地方、一地区の特殊な問題ではないと思います。毎 日生み出される放射性廃棄物は、通産省の資料ですから間違いないと思いますが、2年前の9月の時点で通産省はこう中間報告しているのです。原子力発電の結果発生した使用済み燃料の量及びそれから発生する高レベル廃棄物は、ガラス固化体本数にして約1万2,600本、そして2015年には約4万本に達するという通産省の報告があります。今何とか海外の再処理や青森県六ケ所村等でしのいでいるようですが、いずれ満杯になると思います。にっちもさっちもいかなくなって、ええい、北海道の深地層、穴に埋めてしまえ、北海道の深地層の穴に持っていけばいいのでないかということにならないでしょうか。僕は、核燃サイクルというのは、日本全体の核燃サイクル、プルトニウムとかあらゆる原子爆弾、原子兵器にも幾らでも転用できる、それをとにかくどんどん開発してしまって、国民を後回しにして、そして安全、安全と言いながら、そういうサイクル機構全体の計画を見るとき、考えるとき、そんな気がしてなりません。実際そうした核燃サイクル推進の国の計画の中で、皆さんがたくさん言われていた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」がつくられていたわけです。その法律で は3段階の選定プロセスを経て、2030年をめどに最終処分地を選定するとしています。北海道がこの処分地選定の調査対象にしない、ならないという保障はどこにもありません。いろんな不安、危惧、挙げたら切りがないのですけれども、とにかくなし崩し的に放射性廃棄物が持ち込まれるのではないか、地層処分につながるのではないかという不安、懸念を私も持たざるを得ません。持ちます。そこで、道は核抜きの担保協定が現実的であり、有効であるとしていますが、原発が国策として進められ、地元北海道にこれだけの不安、懸念がある以上、道はサイクル機構だけでなくて、かけがけのない道民、住民の暮らしと命を守るという地方自治体の責任と権限にかけて、原発の立地計画から処分計画からエネルギー政策全般、これに一番の責任と権限を持っているのは通産省なわけです。その監督官庁である通産省と協定、これはちょっと法的に難しいらしいですけれども、最低限度覚書を取り交わすことがあって僕はしかるべきだと思うのです。というのは、私今年の春、六ケ所村に行ってきまして、びっくりしたのですけれども、六ケ所村では青森県が、旧動燃みたいなものだと思う原燃と安全協定を 結んでいるのですけれども、現地の反対の住民は、当の原燃は安全協定を結んだことをいいことにして、それを隠れみのにしてどんどん搬入しているのです。海外からも今年初めて六ケ所村に廃棄物を搬入させている。それに現地の人が怒って、外国の反核グループもおれたちの海を勝手に通ったのはけしからんと言って、ドミニカのお父さん、お母さんが駆けつけて、日本の国民の皆さん、こんなことを地球上からなくそう、日本で頑張ってくれというアピールを受けたのですけれども、そういうふうにして今の協定を破棄しろというシュプレキコールをやっているのです。それで、僕はやっぱり協定というのは形だけのものをつくってもどうしようもないし、実効性のあるものをきちっとつくらないとだめだと思うのです。青森六ケ所村は北海道とちょっとケースは違うけれども、やっぱり協定というのは本当に実効性のある、守る、守られるものでなければいけないし、そうした意味で国の関与というのは全然見えません、道の協定を見たら。一番の責任と権限、監督官庁の通産省と何らかの、もちろん核を持ち込まない、処分場にしない、主な協定説明もある、あれを全部通産省ともきちっと確約というか な、覚書、それぐらいのものがあって僕はいいと思います。皆さん、覚書といったら単なるメモではないのだわ。僕も学校時代習ったら、中世鎌倉時代に関東御成敗式……だからちゃんとした協定を、せめて通産省とも取り交わすことがあってしかるべきだということを主張しているのです。最後に、国の関与、責任を持たせる、それでも不安はあります。でも、せめて一番責任と権限と監督官庁の通産省とそれぐらいのことがあって僕はしかるべきだと思います。そういうことがもしなければ、本当にこれ以上原発をつくらない、それに尽きると思います。原発を徐々に減らし、なくしていかなければ第2、第3の幌延処分場の押しつけが果てしなく続くだけだと思います。東海村のJCOの事故では、本当にみんなと同じように放射能の恐怖と隣り合わせの生活、人生はまっぴらみんなごめんだと思っています。北海道に放射性廃棄物を絶対持ち込まない、貯蔵地や処分場ともしない、そのことの明確な保障、これが明確になければ多くの道民は納得しないし、道民合意は得られないと思います。私もそれがなければ絶対体を張って反対するつもりです。以上です。
【札幌市 北海道電力総連・政策局長 井田 邦佳】
私は、連合北海道加盟産別の電力総連の井田でございます。幌延町における深地層研究計画に関しまして、大きな期待を抱く団体として賛成の立場で意見を申し上げます。冒頭電力総連の組織を簡単に紹介させていただきます。電力総連は、全国の電力関連産業で働く25万4,000人の組合員で構成され、北海道は1万人の組合員で構成しておりまして、日本のナショナルセンターとしての連合に加盟をしております。また、国際的な労働団体でもあります。国際科学エネルギー・鉱山一般労連を上部機関に持つ団体として、名称のとおり世界の113カ国のエネルギー産業に携わっている組織であります。私ども電力総連は、原子力発電所の職場を直接抱える労働組織として、原子力政策を進めるためのバックエンド対策、そして幌延深地層研究所に対して大きな期待を抱いております。ご承知のとおり原子力政策、さらには原子燃料サイクルの確立に向けてのバックエンド対策は極めて重要なものと認識をしておりまして、高レベル放射性廃棄物の処理、処分問題は健全な原子力の平和利用が進められるためにも必要不可欠な課題であり、かつ難しい課題でありました。その過程としての今般の幌延に おける深地層研究は、まことに有意義なものと位置づけています。高レベル放射性廃棄物の処分問題に対する各国の動向につきましては、先ほどからるる述べられておりますように、1980年代より地層処分に向けて実施主体の設立や事業資金の確保のための法制度が進められるとともに、花崗岩や凝灰岩、さらには粘土層などを対象とした深地層の研究施設が設置され、研究開発が進められています。我が国におきましては、今年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」として法案化され、使用済み燃料の再処理により発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施するために費用の拠出制度、実施主体の設立、拠出金の管理を行う法人等の整備を行うなどの内容で制度化が図られたものであります。さて、高レベル放射性廃棄物の地層処分及び研究について、今では世界共通の認識になっているというふうに考えておりますけれども、その技術的裏づけについて触れてみたいと思います。地層処分の考え方は、先ほどサイクル機構の方から説明がありましたが、私も概括的に申し上げたいというふうに思います。まず、1点目は、地下深部はその地層によって物質を閉じ込め る要素があるということです。2点目は、地下深部は人間の生活する環境から十分な距離がありました。地下水の流れもほとんどないような状態です。この地下水は、還元状態となって酸素の非常に少ないものであります。このことは、高レベル放射性廃棄物の放射能が減衰するまでの十分な時間を稼ぐことができるということを意味しています。3点目は、地層処分の具体方法は先ほどもありましたけれども、人工的なバリアとしてガラス固化体がありますが、ガラスの特徴は皆さんもご承知のとおり、日本のいろんな遺跡から発掘されたガラスの宝飾品は昔のままの姿で出土していますから、地下深部は非常に安定していると言えます。このガラス固化体をステンレス製容器で覆います。ステンレス製の外側に簡単に言うと岩のようなベントナイトという粘土をかぶせ、地下水の侵入を長い期間にわたって防ぎます。この粘土は、相当長い年月がたって仮に放射性物質が溶けだした場合に、この放射性物質を吸着することになります。この三つの人工バリアの外側が岩盤により天然バリアとなります。安定した地質に人工バリアを含む多重バリアシステムを構築するわけです。4点目は、地層処分を行うと火山 活動や地震、そして地殻変動による影響が不安視されますが、そのことについても我が国の地層を分析し、火山や断層を避けることにより日本全体で相当の部分でクリアできる地域があるとされています。5点目は、安全性の評価ですが、最新のコンピューターにより地下深部のガラス固化体から放射性廃棄物が漏れ出し、地下水を通して人間の生活環境への影響の程度を解析した結果、人体に対する放射線の影響は我々が自然界から受ける放射線のレベルを下回るものとなります。以上が地層処分の概括的な考え方ですが、なぜ技術的なことを申し上げたかといいますと、高レベル放射性廃棄物の処分問題については十分な技術的な論議がなくて、処分は地下に穴を掘って放置してしまうのではないかというイメージで論議されているからと判断されるからであります。このような中で幌延の深地層研究は、先ほど申し上げた法律での実施主体が実施するものではなく、核燃料サイクル開発機構が技術的見地から研究を行い、その成果を最終処分技術に役立てるというものですから、処分地選定とは全く次元の違うものでありまして、法律上でも担保されていると解釈すべきと考えています。また、放射性物質を 持ち込む、持ち込ませないとの議論がありますが、過去の研究によって研究そのものには放射性物質を使用しないで済むわけですから、この点も全く問題にならないと判断しています。北海道の研究計画に対する基本的な考え方に対して、これまでの各種団体の議論経過を尊重した上で何点か意見を申し上げますが、資源小国の日本にとって新エネルギーの活用はもちろん必要ですが、当面しばらくは原子力に頼らざるを得ないと考えております。現実に原子力発電が稼働している中でここから出された放射性廃棄物はガラス固化体にして青森県六ケ所村で中間貯蔵を行っています。したがって、放射性廃棄物は安全な処分が必要であり、このために幌延での研究を進めることが必要であります。会場は静粛に願います。しかし、研究実施地域において研究期間中はもとより、終了後においても放射性廃棄物を持ち込まないとした国及び核燃料サイクル開発機構の態度がしっかり担保されなければならないとも考えておりまして、このために科学技術庁、核燃料サイクル開発機構、北海道、幌延町との間で協定、覚書、確認書などの締結を行い、担保措置を講ずることが必要であると考えています。特にこれまでの 経過、現状を総合的に勘案し、研究実施地域以外の周辺地域におきましてもそのことを履行させることが重要であり、当該実施地域においては放射性廃棄物の持ち込みが行われないための条件整備にも配慮していくことが必要であります。したがって、まずは研究施設として幌延に設置していくことが必要と考えておりまして、今回北海道の研究計画に対する基本的な考え方については研究施設に限定したものとすべきとも考えております。原子力発電が日本においても北海道においても電力供給の3分の1を占めており、原子力政策は我が国のエネルギー供給の根幹を支える重要な国策であります。したがって、その推進に当たっては国が全面に立った取り組みが必要であると考えております。最後になりましたが、研究計画は投資額として340億円、そして年間の研究費が35億円、研究施設では100人以上が働くと資料に記載をしております。北海道経済に与える経済的な効果は大きなものがあると考えますから、建設と研究に当たっては地場産業の活用や地場からの雇用などについて核燃サイクル開発機構はできる限りの努力を行っていただきたいと思います。そのことを要望させていただいて、私の 意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【札幌市 勝部 賢志】
私は、札幌市に住んでいる勝部と申します。石狩管内で小学校の教員をしております。このたびの「意見を聴く会」で、このように貴重な発表の機会を与えられました。20人中20番目ということで、私の考えと同様の意見がかなり多く出されましたので、できるだけ重複を避けながら私の考えを述べさせていただきたいと思います。私は、この計画について基本的に反対であります。それは、まず高レベル放射性廃棄物の地層処分自体の安全性と研究そのものに疑問を持つからであります。今年6月に発表した道の基本的な考え方では、高レベル放射性廃棄物の処分方法等については地層処分は我が国の基本方針となっており、国際的にも好ましい方策とされていますが、決してそうだとは思えません。昨年11月に核燃サイクル開発機構が発表した報告書でも、高レベル放射性廃棄物を地下に埋め捨てにしても遠い未来まで安全で、それが技術的に可能であるとしています。しかし、研究そのものが普通の土木建築のように障壁を加えて壊れるかどうかを調べるのと違い、実際に直接安全性を確かめることができないことや、安全性を実証するためには途方もなく時間がかかるため、起こりそうな問題を 計算で予測するしかないという研究であります。間接的に実証するという表現を使っていますが、極めて信頼性を欠く研究でしかないことは明らかであります。地殻変動や計算の数値では予測できなかった事態が起こり得るのも自然であり、不確定要素が多い中で見切り発車的に安全だと言っているにすぎないと考えます。つまり高レベル放射性廃棄物を長期間にわたり地下に貯蔵することについて、今の段階では誰一人として絶対に安全だとは言えないのです。そもそも幌延の問題は、原子力発電そのものについて考えなければならない問題だと考えます。道は、放射性廃棄物の持ち込みにかかわる担保について強調しています。研究施設に放射性廃棄物が持ち込まれるのではないか、また研究終了後なし崩し的に処分場になるのではないかという道民の不安に対して、当事者間で協定を締結するとしています。しかし、問題は放射性廃棄物が持ち込まれるか持ち込まれないか、幌延が処分場になるかならないかという問題だけではありません。極めて処分に難しい核のごみをどう処分するかを考える前に、このまま出し続けてよいのかと考えなければならないのではないでしょうか。つまり、既に幾人の方が述 べられましたように、この幌延の問題は原子力発電そのものについての是非を抜きには考えることはできないのです。私たちは、戦後高度な経済成長を遂げ、工業中心の極めて便利な生活を享受するようになりました。そして、このような便利な生活を支えている一つに豊富な電力があります。そうした豊富な電力を経済的、安定的に供給する電力開発が必要とされ、日本も含め先進諸国で進めてきたのが原子力発電の研究開発でした。しかし、本当に私たちは今のような生活を続けながら、今後も原子力発電のみに頼っていく道を歩んでいいのでしょうか。そのことを道民、国民全体で真剣に考えなければいけないと思います。泊3号機の「意見を聴く会」のときにも多くの方が発表されたように、原子力発電に頼らない電源開発をもっと強力に推進することが必要です。そして、できるだけむだな電気を使わないようにしながら、私たち自身が今のような生活に甘んじることなく、多少の不便さを覚悟で電力の消費を極力抑える努力をしなければなりません。そして、みんなが足並みをそろえて原子力発電から脱却する歩みを始めなければならないのではないでしょうか。しかし、このたびの泊3号機の増設を 認める道の態度は、決して脱原発の方向には向いていません。原発の問題にしても高レベル放射性廃棄物の貯蔵にしても、依然としてこれに頼らなければ今の社会が成り立たないといった考えをお持ちの方がいるのも認識しています。また、現実に原子力発電が稼働している現状では、発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物を長期間にわたり安全に処分するための技術の確立が求められるという点も理解ができなくはありません。しかし、核の問題はそれほど簡単な問題ではありません。事故の危険、廃棄物の処理の問題、これは今生きている私たちだけの問題ではなく、未来にわたって責任を負わなければならない極めて重大な問題です。高レベル放射性廃棄物の安全な処分方法がない現状としては、これ以上原子力発電を続けるべきではないと考えるのは普通ではないでしょうか。事故の危険や廃棄物の問題の重大さに気づいた先進諸国が脱原発の方向に歩み出しているのに、日本だけがそれに気づかず、いや、気づいているのにそれを食いとめることができない極めて愚かな国民に思われても仕方がないのではないかと思います。私は、冒頭申し上げましたとおり小学校で教員をしています。少々話が それますが、今子供たちを取り巻く状況は極めて厳しく、追い詰められた状況にあります。青少年の凶悪な犯罪の急増、いじめやいじめを苦にしたみずから命を絶つ行為、学校に行きたくても行けない子供たち、校内暴力や対教師暴力、そして小学校低学年から授業が成立しない状況などなど、子供たちや、とりわけその子供たちが多くの時間を過ごす学校での課題はまさに山積しています。これは、まさしく大人たちの社会のひずみが子供たちにさまざまな形で反映したあらわれで、大人たちの責任として何としても解決しなければならない問題だと考えています。とりわけ私たち教職に身を置く者としては、その責任の重大さを認識しつつ、何としてでも解決をしたいと日々努力しているところです。そんな中で子供たちを前にして常に思うことは、みずから進む道をみずからの力で切り開き、幸せな人生を歩んでほしいという願いです。そのためにも21世紀を担う子供たちが安心して暮らせる平和で民主的な社会を手渡すのが私たち大人の極めて大きな責任だと考えます。8月6日は広島に、8月9日は長崎に原爆が投下された日です。各地で被爆者の慰霊と平和、反核、核兵器廃絶を求める取り組みが行 われました。原子力発電は核兵器ではありません。しかし、世界唯一の原爆被爆国として原爆の苦しみを二度と味あわせないように考えるのが、被曝の苦しみを二度と味あわせないように考えるのが私たちの責任ある判断ではないでしょうか。8月6日の北海道新聞に道が出した北海道遺産キャンペーンの応募全件を掲載した全面広告がありました。北海道遺産とは、大切に守り育て、次の世代に伝えたい北海道にある、そして北海道にしかない大切な宝物というキャッチフレーズで全道から応募を募り、来年度中に選定するものだそうです。今回約1万3,000件もの応募があったそうですが、大雪山や知床など北海道の自然やナキウサギ、クリオネ、高山植物などの動植物、雪まつりやよさこいソーラン祭り、そしてアイヌ文化、JRの旧駅舎、札幌ラーメン、ジンギスカンなどなど、中には北海道全域、そこに住む人々などというものもありました。自分たちが住んでいる土地を、自然を愛し、文化を守り育て、それを基盤にさらに発展させていこうとしながら生活することは素晴らしいことだと思います。しかし、その多くの記述の中に「負の遺産」という記述がありました。太平洋戦争の跡地など遺産 とは言えないが、しかし厳然として今なお傷跡を残している、そういったものを取り上げての表現でした。泊原発や幌延を将来北海道の負の遺産には決してしてはいけないのです。その判断を今私たちに求められているのです。まとまりのない感想的な発表になりましたが、言いたかったことの1番は、幌延の深地層研究計画がよいか悪いかという論議の前に、原子力発電そのものから脱却していく歩みを始めなければならないということです。そして、今回の幌延にノーという決断を下すことによって、まずその一歩を踏み出そうということです。このことを強く訴えて陳述とします。ありがとうございました。
(敬称は省略させていただいておりますのでご了承願います。掲載内容に誤字、脱字等がありました場合は、ご容赦願います。)
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