しれとこ教室

しれとこ教室

世界自然遺産「知床(しれとこ)」を学んでみよう。

世界遺産(せかいいさん)ってなんだろう?

世界遺産とは、世界中の人たちが協力し合って、ずっと守っていかなければならない大切な自然(しぜん)や建物(たてもの)などのことを言います。
北海道には、知床(しれとこ)という地域があります。
その知床が、大切な自然がたくさんあって、みんなで守っていかなければならないということが世界に認められ、平成17年(2005年)7月17日に世界遺産に登録(とうろく)されました。
国や北海道や地元の町などが力を合わせて、知床の海や山や川、そしてそこに住む動物たちをずっと守っていくためにがんばっています。

知床ってどこにあるの?

知床が北海道のどこにあるのか見てみよう。
図の○で囲われた部分を知床半島(しれとこはんとう)と言います。

知床半島の場所

知床半島を大きく見てみると、西側が斜里町(しゃりちょう)、右側が羅臼町(らうすちょう)という町です。
この地図の赤線で囲まれた部分が知床の世界遺産の区域(くいき)です。

知床の広さってどれくらい?

知床はとても広いところです。
端から端までの距離は70キロメートルもあり、面積は約71,100ヘクタール(※1ヘクタールは100メートルかける100メートル)もあります。
この中に海、山、川、湖などの豊かな自然があり、たくさんの動物や植物が生きています。

知床の広さ

名前はどうやってつけたの?

知床という名前には、どんな意味(いみ)があるでしょう。
北海道に昔(むかし)から住んでいるアイヌの人たちは、知床をアイヌの言葉で「シリ・エトコ」と呼んでいました。
「シリ・エトコ」には「地の・突き出たところ」という意味があり、今は知床岬(しれとこみさき)と呼ばれている小さな岬につけられた名前だったようです。
この「シリ・エトコ」が「しれとこ」のもとになりました。

※アイヌ語の参考文献:山田秀三『北海道の地名』、北海道新聞社

知床の動物と植物(しょくぶつ)

知床の動物

知床には36種類(しゅるい)の陸(りく)の動物、22種類の海の動物、275種類の鳥、303種類の魚がすんでいます。
陸の動物にはエゾシカやヒグマ、海の動物にはトドやマッコウクジラなど大きな動物がふくまれます。
鳥の仲間(なかま)では、スズメやカラスなどのよく見かけるものだけでなく、オオワシ、オジロワシ、シマフクロウなど数がとても少なくめずらしい鳥もいます。
知床は海に囲まれていて、たくさんの川が流れています。そこにはたくさんの魚がすんでいて、サケやマスの仲間のように海と川を行き来する魚もいます。

※動物の種類の数は「知床世界自然遺産地域管理計画(平成21年12月22日)」による。

知床の動物

知床の鳥

サケ

知床の植物

知床には82種類の植物が生えています。
その中には白い小さな花びらを持つシレトコスミレ、むらさき色の花をつけるエゾモメンヅルなど、めずらしい花もあります。

※植物の種類の数は「知床世界自然遺産地域管理計画(平成21年12月22日)」による。

シレトコスミレ

ふしぎな生き物クリオネ

知床にはクリオネという変わった生き物がいます。
クリオネは貝の仲間ですが貝がらがありません。透明(とうめい)な体で羽根(はね)のようなものを動かして泳ぎます。その姿(すがた)から流氷(りゅうひょう)の天使(てんし)などと呼ばれます。クリオネは北の海から流氷とともに知床にやってきます。

クリオネ

食物連鎖(しょくもつれんさ)

サケの仲間は、産卵(さんらん)の季節(きせつ)に生まれ育った川にもどってきます。
それをヒグマやワシが食べて、陸の動物の食料になります。また、食べ残したものは土にかえり、植物の養分となります。
こうした「食べる」「食べられる」の関係を食物連鎖(しょくもつれんさ)といい、昔からずっとくりかえされています。

食物連鎖

知床の自然を守ろう

世界遺産に登録(とうろく)されてから、知床はテレビや新聞などでたくさん紹介(しょうかい)され、たくさんの人がやってくるようになりました。
たくさんの人に知床のすばらしさを知ってもらうのはよいことですが、自然にとってよくないことやこまったことも起きてしまいます。

たとえば、ゴミが増えて景色(けしき)が悪くなったり、植物が踏(ふ)まれて枯(か)れてしまうかもしれません。
また、たくさんの車がやってくることで人や動物との事故(じこ)が増えたり、渋滞(じゅうたい)で地元の人が迷惑(めいわく)することがあります。

知床の自然を守ろう

知床の自然を将来(しょうらい)に伝えるためには、今生きている人たちで自然を守る必要(ひつよう)があります。
知床では、国や北海道や地元の人たちが協力して、知床の自然を守っていくためのルールづくりをしています。

知床に住む人たち、知床にやってくる人たちが、ルールをきちんと守りながら、自然のすばらしさに心から感動してほしいと思います。
そして、「これからも、みんなで知床を守っていこう」という気持ちになってほしいと思います。

身の回りの自然も大切にしよう

大切にしなければならない自然は知床だけではありません。
みんなの住んでいるところにもすばらしい自然がたくさんあるはずです。
どんなところでも「自然を大切にしよう」という気持ちを忘れないでください。

今日はいっしょに学んでくれてありがとう!

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