相談事例4(訪問販売)

消費生活相談事例04 勝手に家の中に -強引な布団の訪問販売

相談内容

会社の営業員は、平成17年(2005年)、独り暮らしのB宅を訪問した。
Bは、家のチャイムが鳴ったので茶の間の戸を開けると、営業員は既に勝手に玄関の中に入ってきていた。
営業員は「いらない布団はないかい。私たちはそういう布団をお寺に寄付しているから。」「寒いね、上がらせてね。」と言って茶の間に上がり込んできた。
このとき、営業員は、布団の打ち直しの勧誘に来たということを一切告げていない。

営業員がBに「布団を見せてくれ。」と言ったので、Bは「いいよ、いいよ。」と言って断わったが、営業員は「おばあちゃん、どこで寝ているの。」とさらに聞いてきた。Bは「2階だからいいよ、いいよ。」と再度断わったが、それにも関わらず、営業員は「2階かい。こっちの方かい。」と言って、Bの了解も得ないで勝手に2階のBの寝室に入り、布団を1階の茶の間まで下ろして来た。Bは、営業員の強引さにびっくりして、圧倒された。

営業員は、Bが使っている羽毛布団のカバーを開け「こんなに毛が出ているよ。」と出ている羽毛をBに見せたので、Bは驚いてしまった。
営業員は「私たちが今やっている加工をすると、このように毛が飛び出ないようになるから、半永久的に使えます。」と言った。
Bは「いや、いいわ。」と断わったが、営業員はさらに「加工すると毛も膨らむから、そしたら肌掛けも取れるから。」と、出来上がりの見本の布団をBに見せ「このまま使っていたらダメになるよ。加工した方がこんなによくなるよ。」などと言って執ように勧誘を続けた。

その後、営業員はお買上伝票を書き始め、封筒に入れてBに渡した書面は「お買上伝票」のみで、その書面には会社の代表取締役の氏名が記載されていない。

アドバイス

訪問販売は、特定商取引法の規制を受ける取引であり、この事例の場合には、次のような法違反があります。

(1) 勧誘に先立ち、販売目的を告げることが義務づけられています。(北海道消費生活条例にも違反)
この事例の場合には、「いらない布団はないかい。私たちはそういう布団をお寺に寄付しているから。」「寒いね、上がらせてね。」と販売の勧誘以外のことのみを告げて、布団の販売契約の勧誘を始めていることから、販売目的を隠しており、法違反となります。
また、会社の名称や商品の種類についても明らかにしていません。

(2) 迷惑な勧誘を行うことは禁止されています。(消費生活条例にも違反)
消費者に「布団を見せてくれ。」などと言い、消費者が断っても布団を勝手に出してきて見ており、迷惑な勧誘を行っています。

(3) 心理的不安を与える言動による勧誘は禁止されています。(消費生活条例にのみ違反)
羽毛布団のカバーを開け「こんなに毛が出ているよ。」と出ている羽毛をBに見せ、心理的な不安を与えるような言動を用いて勧誘しています。

(4) 消費者が断った場合は、退去しなければなりません。(消費生活条例にのみ違反)
営業員が「布団を見せてくれ。」と言ったことに対して、Bは「いいよ、いいよ。」と言って断わっています。
しかし、営業員はBの了解も得ないで勝手に2階の寝室に入り、布団を1階の茶の間まで下ろして来ました。

(5) 定められた事項を記載した、契約書面を交付しなければなりません。
営業員が消費者に渡した書面は「お買上伝票」のみで、その書面には会社の代表取締役の氏名が記載されていません。

重要

このような悪質な事業者に、消費者、特に高齢者の方が立ち向かっていくことはなかなか難しいものと思われます。
訪問販売業者がなかなか帰らずに、どうしてよいかわからなくなって契約してしまったなどの場合、契約書面を受け取った日を含めて8日間は、クーリング・オフをすることができます。
また、この期間を経過したとしても勧誘方法に問題がある場合には、クーリング・オフの期間が延びたり、特定商取引法や消費者契約法による契約の取消しをできる可能性がありますので、被害にあったときには、お住まいの市町村の消費生活相談窓口や消費生活センターに相談してください。
一度契約した消費者を狙って、次々と寝具等を販売する販売方法(次々販売)が横行していますので、注意しましょう。

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