(仮称)天北風力発電所環境影響評価準備書に係る知事意見

○環境影響評価準備書に係る知事意見 (平成26年10月20日)

1 総括的事項

(1)評価書の作成に当たっては、予測及び評価の手法等についてわかりやすく解説するとともに、環境影響が実行可能な範囲内でどのように回避又は低減されているかを丁寧に説明すること。特に「景観」、「風車の影」など自ら設定した目標と予測結果との間に整合性が図られているかどうかの観点から評価を行う場合は、設定の理由及びその客観的、科学的根拠の妥当性を明らかにすること。

(2)対象事業実施区域及びその周囲の概況のうち動植物等の状況に係る文献その他の資料による調査は、当該地域に係る動植物相の全体像を把握するため、入手可能な最新の資料を用い、適切な調査範囲を設定することにより漏れなく網羅的に行うこと。

2 個別的事項

(1)騒音及び超低周波音

 工事用資材等の主要な運搬ルートに小中学校が面していることから、工事関係車両の走行台数の平準化を徹底すること等により、当該施設に対する道路交通騒音による影響について可能な限り回避、低減を図ること。

 住居や学校が近くにあり、風力発電設備の騒音及び超低周波音が、現況の残留騒音レベルを大きく上回るとともに、人によっては気になると感ずる値となることから、最寄りの住居を調査地点に追加した上で、風力発電設備の稼働に伴う騒音及び超低周波音による影響について調査、予測及び評価を行い、風力発電設備の配置の変更を検討するなど、可能な限り回避、低減を図ること。

 風力発電設備の騒音及び超低周波音による心身への影響(めまい、ふらつき等を含む)については不確実性があることから、稼働開始後に影響が確認された場合の対策について検討すること。


(2)風車の影
風車の影の影響が長時間に及ぶ住居があるため、当該住居に対する影響について可能な限り回避、低減を図ること。

(3)水環境
本事業は、水産資源保護法に基づく保護水面に指定されたさけ・ます増殖河川である増幌川及び希少性が高い魚類であるイトウを最上位種として豊かな河川生態系を構成する声問川の集水区域において、残土処理場の設置等に伴う土地の形状変更が行われることから、水の濁りの予測及び評価に当たっては、沈砂池の排水口位置でのSS濃度を予測するなど、理論に基づく計算により環境への負荷を定量的に把握する手法により、想定される環境への影響が最大となる条件において予測及び評価を行った上で、その結果を評価書に記載すること。  

(4)動物
事業実施区域内においてオジロワシの営巣木やオオタカの幼鳥の飛翔が確認されているほか、周辺でチュウヒ、ミサゴの繁殖行動が確認されていることから、専門家等の意見を聴取した上で、さらに1営巣期の追加調査を実施し、その結果を踏まえ、営巣中心域及び高利用域を中心に環境保全措置を検討し、これらの種の繁殖に対する影響を可能な限り回避、低減すること。
また、事業実施区域周辺には、特に冬季間、オジロワシ、オオワシ等の希少猛禽類が多数飛来し、事業実施区域内においても、希少猛禽類の飛翔が高頻度で確認されていることから、これらの猛禽類の風力発電設備への衝突が懸念される。このため、専門家等の意見を聴取した上で、改めて風力発電設備の配置等の見直しを含めた環境保全措置を検討し、希少猛禽類の生息に係る環境影響を可能な限り回避、低減すること。
さらに、鳥類の衝突に係る予測には大きな不確実性が伴うことから、専門家等の意見を聴取した上で、より精度の高い結果が得られるよう事後調査の頻度及び方法等について再度検討を行い、適切に実施するとともに、バードストライク等の生息環境への影響が生じた場合は、専門家等の意見を聴取した上で、稼働制限等を含む環境保全措置の実施について検討すること。

(5)植物
本事業は、土地の改変後の緑化面積が広いことから、外来種の侵入を防止するため、緑化に当たっては、事業実施区域内又はその周辺の在来種を使用すること。
また、当該地域は寒冷でかつ強風により植生回復が困難な地域であり、植生回復には不確実性を伴うものであることから、種子及び苗木の定着などの状況について事後調査を実施し、その結果に基づく適切な緑化方法により植生の早期回復を図ること。

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