生きている川を
「生きている川づくり」には、北海道の現状と課題を踏まえた川づくりの基本的な方針を明らかにし、これを達成するための方策を示しています。
「川づくりを確かなものに」には、生きている川づくりを支えていく方針と、これを推進するための方策を示しています。
北海道の川づくり基本計画
生きている川づくり
川づくりを確かなものに
【四つの基本方針】
豊かで清らかな流れを
|
|
豊かで清らかな流れは、生きている川づくりの最も基本的な条件です。このため、河川の水量の確保と、水質の保全や改善に努めます。
|
|
みどりが広がり、生きものが棲む川を
|
多様な生物で構成される河川環境の保全と創出を図るため、変化に富んだ水辺やみどりの広がる川づくりを進めます。また北海道の原風景をとどめる湖沼や湿原の保全に努めます。このことによって、北海道らしい豊かな自然環境をもった川が生まれます。
|
|
|
親しみやすい川を
|
|
自然とふれあい、水辺に近づくことのできる施設を整備して、親しみやすい川をつくります。
|
|
ゆとりある川を
|
|
みどりが広がり、生きものが棲む川や、親しみやすい川をつくるため、河川空間にゆとりを確保します。
|
|
基本的な考え方
時代に引き継ぐ北海道の自然
北海道には豊かな自然が多く残されています。中でも川や湖沼は、水とみどりと、さまざまな生き物によって、優れた自然を構成しています。
この自然を時代に引き継ぐことは、道民の責務であり、北海道を訪れる全国の人々の期待にもなっています。
川づくりの視点
北海道の川づくりは、「治水」、「利水」と調和した環境対策を図るものであり、それぞれの目的や機能を損なわずに、自然環境を保全し創出することを基本にします。
また、河川改修には少なからず自然の改変を伴います。しかし、事前の調査、計画、工事、維持の各段階で、必要な対策を講ずることによって、自然の喪失を少なくし、その回復を早めることもできます。
北海道が目指す川の姿は、多様な植物が育ち、多くの生き物が棲む「生きている川」です。既に改修を終え、自然が失われている川にも、可能な限りその姿を取り戻そうとするものです。
水辺に親しむ施設
自然とふれあい、水辺に親しむ施設の整備も環境対策の一つになります。このことは、川に対する理解や関心を深める重要な意義を持っています。
この整備には、安全性への配慮が必要ですが、水辺に親しむことと、安全性を確保することが両立するには、自ずと限界があります。
さまざまな機会を通して、川を利用する人々、とくに子供たちに、川がもっている危険な側面を理解させる努力が求められます。
流域や川の特性をつかむ
以上のような川づくりを進めるためには、流域の自然や社会特性、周辺の土地利用の状況や制約、地域のまちづくり計画などを把握し、その川で実行可能な目標を設定する必要があります。
また、河床の洗掘や堆積、利用しようとする河原や高水敷の冠水の頻度など、流れの特性にも十分配慮しなければなりません。
景観との調和
「生きている川づくり」を進めることによって、北海道らしい農村風景や、町並みに潤いを与える川の景観が生まれます。また、川づくりには周辺の景観と調和させるよう、施設の配置や材料などに十分な配慮が必要になります。
管理が必要な川の自然環境
自然は一定の姿に留まるものではなく、常に変化しています。川の自然は、その変化の過程で治水機能に支障になる場合もあり、継続した管理が必要になります。「生きている川づくり」には、保全し創出した自然環境に対して、維持と管理の考え方を明確にしておかなければなりません。
長期的な視野に立った川づくり
「生きている川づくり」を達成するには、つくるだけではなく、その後の調査、改善など長期にわたる検証が欠かせません。川づくりには、地域に存在し続ける川として、次代を視野に入れ、引き継ぐことのできる質をもった整備が求められます。
|