北海道福祉のまちづくり指針

北海道福祉のまちづくり指針

 北海道福祉のまちづくり指針

                      平成11年2月1日      地福第1300号
                   改正 平成12年4月3日      地福第 11号
                   改正 平成14年5月17日      地福第 216号
                   改正 平成16年8月30日      地福第 798号
                   改正 令和3年(2021年)4月1日 地福第3537号
目次

第1章 指針策定の趣旨

第2章 指針の性格

第3章 福祉のまちづくりが目指す基本的視点

 第1節 福祉のまちづくりの基本的方向

   1 「心のバリアフリー」の推進

   2 生活者重視の福祉のまちづくり

   3 連携と参加による福祉のまちづくり

 第2節 道、市町村、事業者及び道民の役割等

   1 道の役割

   2 市町村の役割

   3 事業者の役割

   4 道民の役割

 第3節 福祉のまちづくりに関する施策の推進

   1 福祉のまちづくりの気運の醸成

   2 有機的連携による福祉のまちづくり

   3 公共的施設等の整備の方向性

第1章 指針策定の趣旨

 私たち一人ひとりが地域社会を構成する一員として尊重され、安全で快適に生活できる社会をつくることが私たち道民の共通した願いです。
 すべての道民が等しく自由に行動し、様々な分野に社会参加していく機会を等しく持つことができるよう、その基盤となる、建物や道路などの公共的な施設や公共交通機関、生活に必要な情報、サービス等を円滑に利用できる「福祉のまちづくり」を進めていくことが重要となります。
 そのため、北海道福祉のまちづくり条例(平成9年北海道条例第65号。以下「条例」という。)第8条に基づき、道、市町村、事業者及び道民が福祉のまちづくりの重要性を理解し、それぞれの役割を認識し、ともに力を合わせ、一体となって福祉のまちづくりに取り組むための指針を策定しました。

第2章 指針の性格

 「福祉のまちづくり」を進めていくためには、行政や事業者、道民の一人ひとりがその必要性について考え、理解し、自ら福祉のまちづくりに努めることが最も大切です。
 この指針は、道、市町村、事業者及び道民それぞれの「福祉のまちづくり」に関する役割を明らかにし、それぞれの役割に応じた取り組みを呼びかけようとするものです。
 道においては、この指針を広く周知し、福祉のまちづくりについての気運を醸成し、市町村や事業者、道民の取り組みを支援するとともに、自らも各種の施策を実施し、積極的に取り組んでいく上での基本とします。
 市町村においては、福祉のまちづくりについて、住民に対する普及・啓発、それぞれの地域特性や住民の意見を取り入れた施策の策定や事業者などへの支援について、積極的な展開を期待します。
 事業者や道民においては、事業活動や日常生活を通して福祉のまちづくりに努めることやその実践を期待します。

第3章 福祉のまちづくりが目指す基本的視点

〈ともに支え合う地域共生社会の実現〉

 北海道では、少子高齢化等による急速な人口減少や価値観の多様化、地域における人びとのつながりの希薄化など、地域福祉をめぐる諸課題は複雑化していることを踏まえ、障がい者、高齢者、子ども等を含むすべての人々がお互いに支え合いながら、一人ひとりが役割を持ち活躍できる「地域共生社会」を目指しています。
 福祉のまちづくりは、こうした社会の実現に向けた取組の1つとして、すべての道民が等しく自由に行動し、様々な分野に社会参加していく機会を等しく持つことができるよう、道民の参加のもと地域全体で、様々な障壁(バリア)を取り除くことにより、安全で快適に生活することができる「暮らしやすい地域づくり」を進めます。
 
第1節 福祉のまちづくりの基本方向

1 【心のバリアフリーの推進】

 福祉のまちづくりを進めるためには、公共的施設等の整備のみならず、障がい者や高齢者等、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々に対し、地域住民や子どもたちが中心となってコミュニケーションを図り、相互に理解を深め支え合う「心のバリアフリー」の推進を図る必要があります。
 なお、ユニバーサルデザイン2020行動計画に基づき、「心のバリアフリー」の実現に向けて、次の3点の推進を図ります。
 ○1 障がいのある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
 ○2 障がいのある人(及び家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
 ○3 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。

2 【生活者重視の福祉のまちづくり】

 急速な高齢化の進行とともに、個人のライフスタイルや価値観、生活ニーズなどの多様化に応じて、物質的、経済的な豊かさから、ゆとりやうるおいといった心の豊かさを重視する社会への転換が求められてきています。
 そのため、障がい者や高齢者等をはじめ道民の日常生活を大切にし、積雪寒冷期における除雪など、人々が様々に交流できる環境の整備と人にやさしい安らぎとゆとりのある空間の確保を目指し、安心して生活できる福祉のまちづくりを進めます。

3 【連携と参加による福祉のまちづくり】

 道、市町村、事業者及び道民が、それぞれの役割を認識し、分担し、相互に補完しながら連携して一体となった取り組みを進めることが必要です。
 とりわけ、道及び市町村は、率先して障がい者や高齢者等が利用しやすい公共的施設の整備のほか、「心のバリアフリー」の取組の推進を図るとともに、全ての道民が福祉のまちづくりに積極的に取り組むように道民意識の高揚を図り、理解と協力を求めていくこととします。

第2節 道、市町村、事業者及び道民の役割等

1【道の役割】

 道は、福祉のまちづくりを推進するため、先導的な役割を担うとともに、市町村、事業者、道民がそれぞれの役割を果たせるよう、広域的な観点から次のような役割を担います。

(1) 総合的な施策の推進(条例第3条第1項及び第7条)

 福祉のまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し推進します。

(2) 市町村に対する助言等(条例第3条第2項)

 市町村の福祉のまちづくりを推進する上でその果たす役割の重要性にかんがみ、市町村が福祉のまちづくりに関する施策を策定し、また、実施しようとする場合には、助言や必要な支援を行います。

(3) 道立施設等の整備(条例第3条第3項)

 道が自ら所有し、又は管理する公共的施設等について障がい者や高齢者等が円滑に利用できるよう整備を行います。

(4) 情報伝達手段の充実(条例第3条第4項)

 道政に関する情報の提供を行うに当たって、障がい者や高齢者等が円滑に利用できるよう情報伝達手段の充実に努めます。

(5) 指針の策定(条例第8条)

 道、市町村、事業者及び道民がそれぞれの役割に応じて福祉のまちづくりに取り組むための指針を策定します。

(6) 啓発活動(条例第9条)

 福祉のまちづくりに関する意識の高揚を図るため、広報、情報の提供その他必要な啓発活動を行います。

(7) 学習機会の提供等(条例第10条)

 福祉のまちづくりに関する理解を深めるため、学習機会の提供その他必要な措置を講じます。

(8) 公共的施設の基準等(条例第11条)

 障がい者や高齢者等が、公共的施設を円滑に利用できるようにするための基準の策定その他必要な措置を講じます。

(9) 冬期の生活環境の整備(条例第11条の2)

 障がい者、高齢者等の冬期の快適な生活に資するため、必要な生活環境の整備に努めます。

(10) 移動手段の確保の支援(条例第11条の3)

 障がい者や高齢者等の外出時の円滑な移動に資するため、移動手段の確保の支援その他の必要な措置を講ずるよう努めます。

(11) 情報の利用等(条例第11条の4)

 障がい者や高齢者等が情報を円滑に利用し、意思表示をすることに資するため、必要な措置を講ずるよう努めます。

(12) 相談体制の整備等(条例第11条の5)

 福祉のまちづくりを推進する上で必要なサービスの適切かつ総合的な提供に資するため、相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めます。

(13) 災害時の安全の確保のための措置(条例第11条の6)

 障がい者、高齢者等の災害時の安全を確保するため、地域における支援体制及び避難誘導体制の充実その他の必要な措置を講ずるよう努めます。

(14) 人材の育成等(条例第11条の7)

 福祉のまちづくりの推進に資するため、専門的知識を有する人材の育成その他の必要な措置を講じます。
 また、福祉のまちづくりに関し、道民の自主的な活動を促進するため、研修機会の充実、情報提供その他の必要な措置を講ずるよう努めます。

(15) 技術的な助言等(条例第12条)

 福祉のまちづくりに関する取り組みを支援するため、技術的な助言、助成その他必要かつ適正な措置を講ずるよう努めます。

(16) 調査、研究等(条例第13条)

 福祉のまちづくりに関する施策を効果的に推進するため、公共的施設の整備、福祉サービスの提供、住宅の改修、福祉用具の開発等に関し、調査、研究その他必要な措置を講ずるよう努めます。

(17) 表彰等(条例第14条)

 福祉のまちづくりに関して優れた取り組みをしたものに対し、表彰その他必要な措置を講じます。

(18) 推進体制の整備(条例第15条)

 国の機関、道、市町村、事業者及び道民が一体となって福祉のまちづくりに取り組むために必要な推進体制を整備します。
 また、道にあっては庁内の会議を設置し、横断的な連携のもと福祉のまちづくりの推進を図ります。

(19) 財政上の措置(条例第16条)

 福祉のまちづくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めます。

(20) 「心のバリアフリー」の推進

 「心のバリアフリー」を推進するため、普及・啓発活動、教育活動を通じて、関係者の連携及び道民の理解を深めるとともに、障がい者、高齢者等のために必要となる支援等について、道民の協力を求めるよう努めます。

(21) その他
 
 国に対しては、道、市町村と連携した取り組みや必要な支援などを要請します。

2 【市町村の役割】

 市町村は、住民に最も身近な自治体として、福祉のまちづくりをきめ細かに進めるとともに、次のように、それぞれの地域の特性や状況に応じた施策の推進に努めていく役割を担います。

(1) 施策の推進と整備

 都市計画などの基本的計画に、福祉のまちづくりの視点を盛り込むとともに、それぞれの地域の実情や住民ニーズを把握し、福祉のまちづくりに関する施策を策定し実施に努めていく必要があります。

(2) 事業者、地域住民との連携

 事業者や地域住民に対して意識啓発を図るとともに、事業者や地域住民と一体となって、障がい者や高齢者をはじめ、すべての道民が円滑に利用できる福祉環境の整備の推進を図り、公的サービスと住民の自主活動の連携のもとで「共に生きる社会づくり」を進め、総合的に福祉のまちづくりの推進に努める必要があります。

(3) 先導的整備等の推進

 市町村が自ら所有し、又は管理する公共的施設や公共的車両等について、北海道福祉のまちづくり条例に基づいた整備に努めるとともに障がい者や高齢者等が円滑に利用できるために必要な措置を講ずるよう努める必要があります。

(4) 「心のバリアフリー」の推進

 「心のバリアフリー」を推進するため、普及・啓発活動、教育活動を通じて、関係者の連携及び住民の理解を深めるとともに、障がい者、高齢者等のために必要となる支援等について、住民の協力を求めるよう努めます。
 とりわけ、関係者を巻き込みながら「心のバリアフリー」の取組を計画的に進めていくことが望まれます。

3 【事業者の役割】(条例第5条)

 公共的施設等を設置・管理する事業者は、福祉のまちづくりを進めるため 次のような役割を担います。

(1) 公共的施設等の整備

 事業者は、自ら所有し、又は管理する公共的施設について、障がい者や高齢者等が円滑に利用できるように、北海道福祉のまちづくり条例に定める整備基準に適合するよう自主的かつ積極的な整備に努めるとともに、障がい者、高齢者等が隣接する他の公共的施設を一体的に利用できるよう、隣接する他の公共的施設の所有者等と連携し必要な措置を講ずるよう努める必要があります。
 なお、整備基準に適合させることが難しい場合などを含め、人的介助や接客などの体制の充実に努める必要があります。

(2) 公共的車両に係る措置

 事業者は自ら所有し、又は管理する公共的車両等について、障がい者や高齢者等が円滑に利用できるための必要な措置を講ずるよう努めるとともに、他の公共的施設等との間を円滑に移動することができるよう、他の公共的施設等の所有者等と連携し必要な措置を講ずるよう努める必要があります。

(3) 公共的工作物に係る措置

 事業者は自ら所有し、又は管理する公共的工作物について、障がい者、高齢者等が円滑に利用するために必要な措置を講ずるよう努める必要があります。

(4) 道、市町村等との連携など

 事業者は、自らの事業活動が地域社会と密接に関連することを認識し、福祉のまちづくりにおける役割の重要性を理解するとともに積極的な協力をしていくことが必要です。
 このため、道や市町村、他の事業者と連携、協調して一体的な整備を図るなど、障がい者や高齢者等が公共的施設を円滑に利用できるように配慮する必要があります。

(5) 「心のバリアフリー」の推進

 事業者は、継続的な教育訓練を通じて、職員等に障がい者、高齢者等と適切なコミュニケーションを取りながら積極的に声かけや支援を行うように促します。
 さらに、職員等だけでなく、施設の一般の利用者が、困っている障がい者、高齢者等を手助けすることや、車両の優先席、車いす使用者用駐車施設等の利用について、配慮することが、重要であることに鑑み、一般の利用者の「心のバリアフリー」を推進するための広報活動及び啓発活動を行うよう努めることが望まれます。

4 【道民の役割】(条例第6条)

 福祉のまちづくりを推進するためには、道民が自ら福祉のまちづくりの重要性を理解し、積極的に参加、協力していくことが必要です。
 そのため、次のような役割を担います。

(1) 福祉のまちづくりへの参加と協力

 福祉のまちづくりは、道民一人ひとりの行動が大切であることを認識し、障がい者や高齢者等に対する理解を深め、他人を思いやり互いに助け合う心とふれあいに満ちた地域社会をつくるため、地域における福祉のまちづくりへの積極的な参加と協力に努めることが必要です。

(2) 「心のバリアフリー」の推進

 障がい者、高齢者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性並びに、そのために障がい者、高齢者等の円滑な移動及び施設の利用を実現することの必要性について理解を深めるよう努めることが必要です。
 その際、外見上分かりづらい聴覚障がい、内部障がい、精神障がい、発達障がいなど、障がいには多様な特性があることに留意する必要があります。
 また、視覚障がい者誘導用ブロック上への駐輪、車いす使用者駐車施設への駐車等により障がい者、高齢者等の利用等を妨げないこと、住宅周辺を円滑に利用できる環境整備の重要性を理解し、共に連携し、歩道の除雪や障害物の除去などを行うこと、鉄道駅の利用に当たり、必要に応じ障がい者、高齢者等を手助けするなどの支援や協力をすることなどが求められます。
 加えて、「心のバリアフリー」の実践に資するため、積極的に道、市町村が行う啓発活動に参加することが望まれます。

(3) 障がい者や高齢者等の取り組み

 障がい者や高齢者等は、福祉のまちづくりを進める一員として、自ら地域社会への参加や交流に努めるとともに、地域住民や事業者と連携、協力して取り組むことが必要です。

第3節 福祉のまちづくりに関する施策の推進

1【福祉のまちづくりの気運の醸成】

 道は、福祉のまちづくりを推進するために、次の施策に取り組むこととします。

(1) 普及・啓発の推進

 福祉のまちづくりを分かりやすく紹介する資料等を作成・配布し、市町村、事業者や道民などに対する普及・啓発の促進を図ります。
 特に、視覚障がい者誘導用ブロック上への駐輪や車いす使用者駐車施設への迷惑駐車による障がい者、高齢者等への利用の妨げや鉄道駅の利用に当たっての手助けなど、道民の「心のバリアフリー」に対する理解が深まるよう啓発に努めます。
 また、建築物の設計・施工者や公共的施設を設置する事業者等に対して、福祉のまちづくりへの理解が深まるよう、北海道福祉のまちづくり条例をはじめとして福祉のまちづくり指針や施設整備マニュアルなどを配布します。

(2) 学習活動の推進

 次代を担う子どもたちに、障がい者や高齢者等に対するやさしい心を育み、「心のバリアフリー」に対する理解を深めるため、福祉読本の活用や体験型の福祉推進授業を広めるなどして、教育関係機関と連携した取り組みを進めます。
 また、教育関係機関、市町村や民間事業者と連携して、子どもから大人まで生涯を通して広く「心のバリアフリー」への取り組みが促進されるよう、学習機会の提供を行います。

(3) 公共的施設の基準の策定等

 障がい者や高齢者等が、円滑に利用できる公共的施設の整備基準を策定し、福祉のまちづくりを効果的に進めます。

(4) 情報利用等

 障がい者や高齢者等が情報を円滑に利用し、意思表示をすることに資するため、ウェブアクセシビリティ(※)に配慮するとともに、パンフレット等の作成する場合には、わかりやすい色遣いとなるよう色の明るさや組み合わせなどを工夫するほか、情報通信周辺機器の購入助成などを行い福祉のまちづくりを進めます。

(5) 技術的な助言等

 市町村や民間事業者等による福祉のまちづくりを支援するため、福祉環境アドバイザーの派遣など技術的な援助や、市町村に対する助成などを行い福祉のまちづくりを進めます。

(6) 調査研究の推進

 福祉のまちづくりを総合的に進めていくため、整備水準や整備状況の把握などに努めるとともに、効果的に推進するための調査研究を行います。
 また、市町村や事業者等に、障がい者や高齢者等が利用しやすい公共的施設を紹介するなどして、望ましい福祉のまちづくりに関する情報の提供などを行い福祉のまちづくりを進めます。

(7) 優良な建築物・活動などの顕彰

 整備基準を満たした優良な建築物については認定証を交付するとともに、特に条例の趣旨に沿って、障がい者や高齢者等が円滑に利用できるよう配慮された優れた建築物等や障がい者、高齢者等を支援する活動等を表彰し、また、それらの優れた取り組みや活動等を奨励して普及啓発に努めます。

2 【有機的連携による福祉のまちづくり】

 障がい者や高齢者等を含め、すべての人々が安全でかつ快適に暮らすことができるよう誰もがすみやすい福祉のまちづくりを推進するため、道、市町村、事業者や道民がそれぞれの役割を自覚し、共に力をあわせ一体となって取り組むことが必要です。
 そのため、障がい者や高齢者等の団体、事業者の団体、建築関係団体の代表、市町村代表などで構成される「北海道福祉のまちづくり推進連絡協議会」を設置し、情報提供や連絡協議を行うとともに、福祉のまちづくりの推進に協働していただける道民の方をサポーターに登録する等、事業者、道民と連携した福祉のまちづくりを進めます。
 こうした取組を通じて、広く道民の方々に福祉のまちづくりの普及啓発などを行い、それぞれの地域の実情や特性を踏まえながら、障がい者や高齢者等をはじめとした地域住民の意見を参考にするなど道民参加による福祉のまちづくりの促進を図ります。

3 【公共的施設等の整備の方向性】

(1) 建築物の整備

○1公共建築物の整備

 道は、福祉のまちづくり条例に基づき、障がい者や高齢者等が円滑に利用できるよう建築物の整備を進めます。
 また、既存建築物についても随時改善を図ります。
 市町村の公共的施設については、段差を解消するスロープや障がい者用トイレの整備、更にはエレベーター等の設置の促進に努めることとします。道は、この支援のため、福祉環境アドバイザーの派遣など技術的援助や既存建築物について整備基準にあわせた整備を行う市町村に対し助成などを行います。

○2民間建築物の整備促進と支援

 新築、増改築等を行う事業者などに対して、福祉のまちづくり条例の基準を遵守するよう適切な指導助言を行い、障がい者や高齢者等が円滑に利用できる建築物の整備を促進します。
 既存の建築物については、必要に応じて措置状況について報告などを求め、必要な指導助言を行います。
 障がい者や高齢者等が円滑に利用できる建築物の整備について啓発・普及を図るとともに、福祉環境アドバイザーの派遣など技術的援助を行います。

○3優良な建築物等の顕彰

 道は、整備基準を満たした優良な建築物については認定証を交付するとともに、特に、条例の趣旨に沿って障がい者や高齢者等が円滑に利用できるよう配慮された優れた取り組みを表彰し、それらの優れた取り組みを奨励して普及啓発に努めます。

(2) 公共交通機関の施設の整備

 鉄道駅舎等の公共交通機関の施設については、障がい者や高齢者等が円滑に利用できるようエレベーターの設置などの整備を促進します。

(3) 道路の整備

 障がい者や高齢者など誰もが安心して利用できるよう、歩道の整備にあたっては車いす使用者などが安全で快適に利用できる幅の広い歩道や段差の解消など、安全でゆとりのある歩行空間の確保に努めます。
 特に、障がい者や高齢者等の利用の多いところにおいては、視覚障がい者誘導用ブロックなどの安全施設の整備を進めます。
 また、障がい者や高齢者等の移動を妨げている、迷惑駐車などの対策や不法に歩道を占有している看板のはみ出しなどの是正に努めます。

(4) 公園等の整備

 都市公園、遊園地や植物園などは、障がい者や高齢者等をはじめ道民の憩いの場であり、また、スポーツ、レクリエーションといった健康増進と世代間の交流の場として重要な機能を持っています。
 こうしたことから、新設又は改良する公園等については、北海道福祉のまちづくり条例に基づいて安全かつ快適に憩うことのできる空間作りを促進します。

(5) 公共的車両等の整備

 障がい者や高齢者等が鉄道、バスなどの公共交通機関の車両を円滑に利用できるよう、案内表示システムの整備や超低床バスなどの導入を促進します。

(6) 情報提供の促進

 公衆電話、券売機、案内標示など障がい者や高齢者等が円滑に利用できる情報提供機器の設置などを促進します。

(7) 住宅の整備

 障がい者や高齢者など、できるだけ多くの人が安心して豊かに暮らせるよう、ユニバーサルデザインの視点に立った公営住宅などの整備・改善に努めます。
 民間住宅などの整備を促進していくため、障がい者や高齢者等が円滑に利用できる住まいづくりの啓発・普及を行います。

(8) 地域の一体的な整備の推進

 福祉のまちづくりを効果的に進めるためには、都市計画などの基本的計画に福祉のまちづくりの視点を盛り込むなどして、一定の地区において、一体的に整備を進める必要があります。
 そのため、市街地(再)開発などの機会を活用するとともに、駅や公共施設などの障がい者や高齢者等の利用する機会が多い施設が集っている地区などにおいて、事業者及び行政が連携して、一体的かつ計画的な整備が図られるよう努めます。

※ ウェブアクセシビリティとは、障がい者や高齢者など、心身の機能に制約のある人でもウェブで提供されている情報に問題なくアクセスし利用できることをいいます。

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