北の総合診療医 - その先の、地域医療へ(帯広協会2)

帯広協会病院

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2020.03.31 記事

帯広協会病院では、総合診療科を開設した時期に、地域包括ケア病棟も開設しました。浜名看護副部長は、看護学校を卒業後、釧路労災病院で5年間勤め、その後、帯広協会病院に移ってきました。最初は循環器の病棟に配属され、その後、透析センターで勤務し、新設の地域包括ケア病棟の配属となりました。そこで総合診療と出会ったのですが、当初は、総合診療とは診断のつかない病気や総合的に診る診療科というイメージだったといい、「実際には、病気というよりも、患者さんの生活をみるといった方が近いと思います」。

親身になって話を聞く
患者さんの気持ちを引き出すテクニック

高齢化とともに認知症の患者さんが増えています。その中で、看護師と同じように患者さんに寄り添い、親身になって話を聞き、社会背景も考慮して診療を行う姿をみて、総合診療医とはどういった役割なのか、わかってきたといいます。とくに驚いたのは、コミュニケーション能力で、声のかけ方、患者の気持ちや悩みをうまく引き出すテクニックは、看護師にとっても勉強になるそうです。

地域包括ケア病棟には、多くの高齢患者さんが入院しています。整形外科疾患の患者さんが多く、しかもさまざまな内科の疾患も併発しています。「入院の原因となった疾患だけではなく、そういった併発している疾患、その要因となる生活習慣、退院後の在宅療養まで考慮して治療を行う必要があり、まさに総合診療医が活躍できる場だと思います」。

他の地域と同様に、帯広市を中心とした十勝地域でも高齢者が増えています。帯広協会病院は急性期病院ですが、認知症も含めて高齢者の対応が重要になってきます。その中で、総合診療医のコミュニケーションの取り方、患者さんの診かたは、職種を問わず、勉強になるといいます。

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みんなで病棟を良くしたい
総合診療医はチーム医療の要

チーム医療が行われるようになると、院内の多職種で話し合う場が増えます。それぞれ専門分野が異なり、患者さんに対する視点が異なるだけでなく、医療に対する考え方も異なります。そういった状況の中で、総合診療医は各スタッフの良い点を引き出し、うまく話し合うことができる場づくりにも活躍しています。

「総合診療医は、スタッフそれぞれの『患者さんにこうしてあげたい』という強い思いをしっかりと聞いてくれます。また、総合診療医自身からも、患者さんが『帰りたい』と思う場所に、『安全に帰してあげたい』という意思をひしひしと感じます」。

また、総合診療医が来てから、医局の雰囲気が少し変わったと感じているそうです。「同じ職場の仲間」として、これまで以上に医師に相談しやすい環境になったといいます。

地域包括ケア病棟では、高齢者患者さんが思うように食べられないことがあるほか、誤嚥性肺炎、低栄養などで入退院を繰り返すケースも少なくありません。また、リハビリを行っても1単位に満たない患者さんもいます。こうした患者さんの状態を少しでも良くして退院してもらえるよう、総合診療医を中心に取り組んでいます。その一つが、レクリエーションの充実であり、さらに口腔ケアも含めた歯科診療の導入を進めています。「総合診療医が来てから、『みんなで病棟を良くしたい、そのためには何ができるか』といったスタッフの思いが医療につながっていると感じます」。

帯広協会病院のほかの
医療スタッフのインタビューもご覧ください

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