北の総合診療医 - その先の、地域医療へ - 手塚 拓馬医師インタビュー

道東勤医協釧路協立病院
手塚 拓馬 ( てづか たくま ) 医師プロフィール

出身

北海道札幌市

略歴

  • 2021年 岐阜大学医学部を卒業
  • 2021年 勤医協中央病院 初期研修
  • 2023年 道東勤医協釧路協立病院 専攻医

資格

歯科医師免許

趣味

マラソン、筋トレ、読書

座右の銘・ モットー

雑草魂

手塚先生は、元歯科医師でしたが、患者さんの全身を診たいという気持ちから学び直しをし、総合診療医へと転身されたという経緯をお持ちです。

先生の医療に対するアプローチは、病気の治療を超えて、患者さんの人生に寄り添うことに重点を置いています。緩和医療、在宅診療、看取りにも深い関心をお持ちで、患者さんの尊厳や心情、とりまく環境をも大切にされているのが印象的でした。

先生は爽やかな笑顔がとても素敵ですが、お話を伺っているうちに、思いの深さや、強い意志が感じられてきました。ご趣味や「雑草魂」というモットーが、先生の逞しい精神を反映しているように思います。

総合診療医を目指したきっかけ

疾患そのものよりも患者さんの個性や、人生に深い関心を持っていました。
医学生時代から、疾患を超えた患者さん一人一人のストーリーに惹かれ、それが総合診療医を目指すきっかけになりました。

初期研修で経験した多様な患者さんとの出会いや経験を通して、さらにその思いが強くなり、患者さんの人生に寄り添う医師を目指す動機となりました。

研修時に印象に残ったできごと

訪問診療の現場において、終末期にある患者さんの御家族が、これまでの感謝の気持ちを伝えたいとお考えになっていました。御家族にとっては大変な御苦労や、それぞれの考えがおありだったかと思いますので、御家族同士のコミュニケーションがなかなかスムーズにいかないこともありました。そこで、皆さんの思いを聞き、可能な限りサポートさせていただきました。
御家族にとって重要な局面に、ここまで深く関わらせてもらえるのは、この職業ならではで、深く印象に残っています。
赴任後、医療懇談で他の町に講演に行った時に、その御家族が講演を聞きにきてくださいました。その時に、御家族と繋がっているという実感が持てました。

研修施設としての釧路協立病院の魅力

私は、初期研修を札幌の勤医協中央病院で行い、その間、半年間を釧路協立病院で働きました。指導してくださる先生も熱心で、病院の取り組みも含め共感を持ち、3年目からこちらで働くことになりました。
病院がコンパクトにまとまっているので、垣根なく相談できます。研修の内容や、無理がないかなど、まわりの方々が手厚くサポートしてくれます。専攻医としても数が少ないので集中できる環境です。
また、複雑な症例を経験できることも魅力で、研修環境としてはとてもありがたい病院だと思います。

仕事のやりがい

外来患者さんが診療を重ねるごとに信頼してくださっていると感じたり、救急搬送患者さんに「ここの病院で安心した」と言っていただけたりするなど、地域で頼られていることが実感できます。
患者さんにとって非日常空間である病院に比べ、訪問診療はその人が生活されている空間で診療できるのが良いところだと思っています。
勤務している病院では、複雑な症例にも関われるのが魅力です。医療資源が乏しい地域なので、病院が家庭医に力を入れており、それが自分の目指している分野と重なり、やりがいを感じます。

目指している総合診療医の姿

病院は患者さんにとって一時的な場所だと思います。そのため、医師として日常生活への復帰を支援することに重点を置いています。

入院患者さん、通院患者さんどちらも、それぞれのライフサイクルを通じて継続的に関わることで、患者さんの人生に寄り添う事ができると感じています。

他職種との連携を通じて、患者さんに日常に戻っていただくサポートをすることが総合診療医としての醍醐味だと考えています。
一方、外来定期通院の場面では、「ここ(病院)に来ることが楽しみ」という患者さんもいらっしゃいます。外来診療は一時的な関わりかもしれないですが、ライフサイクルを通して継続的に関わることで患者さんの人生に寄り添うことができると思っています。

今後の目標

基本的に、患者さんを家に帰して差し上げたい、その時に自分が力になれればという思いがあり、在宅医療、在宅での緩和医療に関心を持っています。

在宅でもできる事がたくさんあるので、例え患者さんが最期を迎えることになったとしても、ご希望に寄り添い、自宅で過ごすことができるように課題を解決していきたいと思っています。

総合診療医を目指している学生・医師へのメッセージ

健康問題だけでなく、患者さんの社会的背景や個人的な事情にも焦点を当てたいと考えている医学生や若手医師の皆さんに、総合診療医の道もあるということをお伝えしたいと思います。

複雑な問題を抱える患者さんと向き合い、皆さんの人生に深く関与することに興味がある人にとって、総合診療医は非常に適した選択肢だと思います。

総合診療医は、今後ますます求められていく分野だと思いますし、総合診療を入り口として、緩和医療も深められるなど、様々な可能性、選択肢があります。ぜひ総合診療医の門を叩いてください。

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